「企画」と「計画」の違いは、「何をやるか(What)」を考えるか、「どうやるか(How)」を定めるかという点にあります。
なぜなら、企画は新しいアイデアや方針を生み出すことであり、計画はそのアイデアを実現するための具体的な道筋や手順を立てることだからです。
この記事を読めば、ビジネスシーンで頻出するこの2つの言葉の明確な違いがわかり、もう二度と資料作成やプレゼンで迷うことはありません。
それでは、まず最も重要な違いから詳しく見ていきましょう。
結論:一覧表でわかる「企画」と「計画」の最も重要な違い
基本的にはアイデア出しなら「企画」、実現のための手順や日程なら「計画」と覚えるのが簡単です。ビジネスにおいては「企画」が先に行われ、その後に「計画」が続くという明確な順番があります。
まず、結論からお伝えしますね。
この二つの言葉の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。
これさえ押さえれば、ビジネスの現場における基本的な使い分けはバッチリでしょう。
| 項目 | 企画(きかく) | 計画(けいかく) |
|---|---|---|
| 中心的な意味 | 新しいアイデアや目的を考えること | 目的を実現するための手順や日程を立てること |
| 焦点(5W1H) | What(何を)、Why(なぜ) | How(どのように)、When(いつ)、Who(誰が) |
| 順番 | 最初に行う(上流工程) | 企画の次に行う(下流工程) |
| 英語表現 | Planning, Idea | Plan, Schedule |
「うちの部署の新しい企画、もう考えた?」と聞かれたら、それは「新しいアイデア」を求められています。
一方で「明日の出張の計画を教えて」と聞かれたら、「何時の電車に乗って、どこへ行くのか」という具体的なスケジュールを答えなければなりません。
つまり、「企画」はゼロから1を生み出す創造的な作業であり、「計画」は1を10にするための論理的な作業なのです。
なぜ違う?漢字の成り立ち(語源)からイメージを掴む
「企」は「つま先立って遠くを見る」ことから「未来の新しいことを考える」意味を持ちます。一方の「計」は「言葉に出して数を数える」ことから「具体的な数字や手順をはかる」意味になります。
なぜ、これら2つの言葉にはこのような違いがあるのでしょうか。
漢字の成り立ち(語源)を紐解くと、それぞれの言葉が持つ核心的なイメージがより鮮明に浮かび上がってきます。
「企画」の漢字の成り立ち
「企」という漢字は、「人」が「つま先立ちをしている」様子を表した象形文字から生まれました。
つま先立ちをして遠くを見ようとすることから、「未来に向かって新しいことをくわだてる」「実現をねがう」という意味を持つようになったのです。
そして「画」には、「区切る」「はかる」という意味があります。
つまり「企画」とは、遠い未来を見据えて、新しいアイデアの枠組みを描くことを指しているわけですね。
「計画」の漢字の成り立ち
一方の「計」という漢字は、「言(言葉)」と「十(数をまとめる)」が組み合わさってできています。
言葉に出して数を数え上げる様子から、「物事をはかる」「見積もる」という意味が生まれました。
先ほどの「画」と組み合わせることで、「計画」は具体的な数字や手順をしっかりと見積もり、枠組みに落とし込むことという意味になります。
「企(未来を想い描く)」と「計(数字で具体的に詰める)」。
この漢字のニュアンスを知っているだけでも、使い分けに迷うことはグッと減るのではないでしょうか。
具体的な例文で使い方をマスターする
ビジネスシーンでは「企画書(アイデア)」と「計画書(スケジュール)」の違いに注意が必要です。日常会話でも、新しい提案には「企画」、旅行の手順などには「計画」を使い分けます。
言葉の定義や語源がわかったところで、次は具体的な使い方を見ていきましょう。
ビジネスシーンと日常会話に分けて、OK例とNG例をそれぞれご紹介します。
ビジネスシーンでの使い方
ビジネスにおいて、この2つを混同すると上司やクライアントとの間で大きな認識のズレが生じるかもしれません。
- 〇:新商品のコンセプトについて、明日までに企画を練っておいて。
- 〇:来期の売上目標を達成するため、具体的な行動計画を策定する。
- 〇:この企画書はアイデアは面白いが、それを実現する計画が甘い。
【NG例と解説】
✕:来週の展示会に向けて、当日の搬入スケジュールを企画しよう。
これは典型的な間違いです。
搬入スケジュールは「すでに決まっていること(展示会)をどう実行するか」という手順の確認なので、「計画」とするのが正解ですね。
日常会話での使い方
日常生活でも、少し意識するだけで自然な日本語が使えるようになります。
- 〇:来月の町内会のお祭りで、子供向けの新しいイベントを企画した。
- 〇:老後の資金を貯めるために、毎月5万円ずつ貯蓄する計画を立てる。
- 〇:夏休みの家族旅行は、奥さんが企画して、僕が詳細な計画を練る。
【NG例と解説】
✕:明日の朝ごはんに目玉焼きを作る企画を立てた。
朝ごはんのメニューを決める程度のことには、少し大げさすぎますよね。
「企てる」ほどの新しいアイデアではないため、単純に「計画」や「予定」という言葉を使う方が自然でしょう。
【応用編】似ている言葉「立案」との違いは?
「立案(りつあん)」は、頭の中にある企画や計画を「文書や案として具体的な形にまとめること」を指します。「企画」や「計画」と組み合わせて使われることが多い言葉です。
ビジネスの現場では、「企画」や「計画」とセットで「立案」という言葉もよく耳にしませんか?
これも少しややこしい言葉なので、一緒に整理しておきましょう。
「立案」とは、考えた内容を、他人が見てわかるように「案(ドキュメントや資料)」として立てる(まとめる)ことです。
つまり、「企画立案」といえば「新しいアイデアを企画書にまとめること」になります。
「計画立案」といえば「スケジュールや予算を計画書にまとめること」です。
「立案」単体でアイデアを出すという意味ではなく、あくまで「形にする作業」に焦点が当たっていると覚えておいてください。
「企画」と「計画」の違いを学術的に解説
経営学やマーケティング戦略において、「企画」は「戦略(目的と方針)」の領域に属し、「計画」は「戦術(具体的な実行プロセス)」の領域に属します。この階層構造を理解することが重要です。
ここからは少し視点を変えて、学術的なアプローチから違いを掘り下げてみます。
経営学やマーケティングの理論では、物事を成し遂げるためのプロセスは「戦略」と「戦術」の階層に分かれています。
「企画」は、この「戦略(Strategy)」に近い概念です。
誰に、どんな価値を、なぜ提供するのか?
そうした本質的なコンセプトや独自の切り口を定義するのが、企画の役割です。
一方で「計画」は、「戦術(Tactics)」の実行プロセスに該当します。
企画で定めたコンセプトを絵に描いた餅に終わらせないために、予算(コスト)、人員リソース、期限(納期)を論理的に配分する作業です。
マーケティングの専門家も、「どんなに素晴らしい企画(コンセプト)があっても、それを着実に実行する計画(アクションプラン)がなければ成果は出ない」と指摘しています。
両者は対立するものではなく、常に「企画が先、計画が後」という車の両輪のような関係にあるのですね。
言葉の定義や日本語の正しい運用についてより深く探求したい方は、国立国語研究所などの学術的なデータベースも参考になりますよ。
どちらが先?「企画」から「計画」へのスムーズな移行体験談
僕も新人時代、この「企画」と「計画」の認識のズレで大失敗をしたことがあります。
入社1年目の秋、新規事業の立ち上げチームに配属された僕は、上司から「今週末までに、新しいWebサービスの企画書を作ってみて」と指示されました。
気合が入った僕は、エクセルを開いて緻密なガントチャートを作成しました。
「初月にシステム要件定義、2ヶ月目にデザイン制作、3ヶ月目にテスト運用……予算はざっとこれくらいで……」
徹夜で仕上げた資料を自信満々で提出すると、上司は困ったような顔で言いました。
「神宮寺くん、これは『計画書』だよ。僕が知りたいのは、そもそもなぜこのサービスをやるのか、どんな価値をユーザーに提供するのかという『企画』なんだよ」
頭をガツンと殴られたような衝撃でした。
僕は、「何をやるか(What)」が全く決まっていないのに、「どうやるか(How)」ばかりを一生懸命考えていたのです。
この痛い失敗から、「まずは誰にどんな価値を届けるかという『企画』を固める。それが承認されてから、初めて具体的なスケジュールや予算の『計画』を練る」という正しい順番を身をもって学びました。
言葉の違いを知ることは、そのまま仕事の進め方を知ることにも繋がるのだと実感した瞬間でしたね。
「企画」と「計画」に関するよくある質問
最後に、この2つの言葉についてよくある疑問にお答えします。
Q. 会社で「企画書」を出せと言われましたが、スケジュールも書くべきですか?
A. 基本的には、企画書におけるスケジュールは「ざっくりとした見通し」で十分です。企画書の主役は「アイデアの面白さや目的」です。ただし、実現可能性を示すために「おおよその実行期間」を添えるのは効果的ですよ。
Q. 「企画部」と「経営計画部」では何が違うのですか?
A. 「企画部」は、新しい商品やサービス、プロモーションなどの「アイデア」を次々と生み出す部署です。一方の「経営計画部」は、会社の目標売上や利益を達成するための「中長期的な数値目標やスケジュール」を管理・策定する部署という違いがあります。
Q. 英語で表現する場合はどうなりますか?
A. 「企画」は「Plan(動詞)」「Planning(名詞)」や「Idea」「Project」などで表現されます。「計画」は「Plan」「Schedule」「Program」などが適訳です。英語の「Plan」には両方の意味が含まれるため、文脈で判断する必要があります。
「企画」と「計画」の違いのまとめ
いかがでしたでしょうか、と言いたいところですが、少しでも違いがスッキリと整理できていれば嬉しいです。
今回解説した「企画」と「計画」の違いを、最後にもう一度振り返っておきましょう。
- 企画:ゼロから新しいアイデアや目的を考えること(What, Why)。
- 計画:目的を実現するための具体的な手順や日程を立てること(How, When, Who)。
- 順番:常に「企画」が先であり、「計画」が後に続く。
ビジネスにおいて、どれほど素晴らしい「企画」を思いついても、緻密な「計画」がなければただの夢物語で終わってしまいます。
逆に、目的のない「計画」は、どこに向かっているのかわからない無意味な作業になってしまうでしょう。
ぜひ、あなたも明日からの資料作成や会議で、この2つの言葉を意識して使い分けてみてください。
マーケティングやビジネス用語の正しい意味をもっと知りたい方は、こちらのマーケティング用語の使い分けまとめ記事も併せてご覧くださいね。
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