「本日」と「今日」の違いがわかる!使い分け完全ガイド

「本日(ほんじつ)」と「今日(きょう)」、どちらも「今のこの日」を指す言葉ですが、使い分けに迷った経験はありませんか?基本的には「本日」が改まった場面や書き言葉、「今日」が日常会話や話し言葉で使われます。この記事を読めば、それぞれの言葉が持つニュアンスの違いから、具体的な使い分け、公用文でのルールまでスッキリと理解でき、もう迷うことはありません。それでは、まず最も重要な違いから見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「本日」と「今日」の最も重要な違い

【要点】

基本的には「本日」はフォーマルな場面や書き言葉、「今日」はカジュアルな場面や話し言葉で使い分けます。「本日」は改まった響きを持ち、公的な文書やビジネスシーンに適しています。一方、「今日」はより日常的で親しみやすい表現です。

まず、結論からお伝えしますね。

この二つの言葉の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。

項目 本日 今日
読み方 ほんじつ きょう
中心的な意味 今のこの日(改まった言い方) 今のこの日(一般的な言い方)
使われる場面 フォーマル、改まった場面
(例:式典、公的文書、ビジネスメール、ニュース報道)
カジュアル、日常的な場面
(例:日常会話、友人とのメール、日記)
言葉の種類 漢語(音読み) 和語(訓読み)
ニュアンス 硬い、改まった、事務的、客観的 柔らかい、日常的、親しみやすい、主観的
主に使われる形式 書き言葉、アナウンスなど改まった話し言葉 話し言葉、親しい間柄での書き言葉

最も大きな違いは、「本日」が改まった硬い表現、「今日」が日常的な柔らかい表現である点ですね。

ビジネスメールや公式な文書では「本日」、普段の会話では「今日」と覚えておくと、多くの場面で対応できるでしょう。

なぜ違う?言葉の由来からイメージを掴む

【要点】

「本日(ほんじつ)」は漢語由来の音読みで、改まった硬い響きを持ちます。一方、「今日(きょう)」は和語由来の訓読みの変化形で、日常的で柔らかい響きを持っています。この読み方や成り立ちの違いが、それぞれの言葉のニュアンスの違いを生んでいます。

なぜこの二つの言葉にニュアンスの違いが生まれるのか、それぞれの言葉の由来を探ると、その理由がよくわかりますよ。

「本日」の由来:「ほんじつ」という読み方のニュアンス

「本日」は、「本」も「日」も漢字を音読みした漢語と呼ばれる言葉です。

漢語は、中国から伝わった言葉や、それを基に日本で作られた言葉で、一般的に改まった響きや硬い印象を与えます。「本」には、「もと」「根源」「まさに今〜」といった意味がありますね。「本会議」「本社」「本題」などの言葉からも、中心となる重要なもの、というニュアンスが感じ取れます。

そのため、「本日」は「まさにこの日」「当の日」という改まった意味合いが強くなり、公の場やビジネスシーンで使われるようになったと考えられます。

「今日」の由来:「きょう」という読み方のニュアンス

一方、「今日」は「きょう」と読みますよね。これは「けふ(け=此、ふ=日)」という和語(日本固有の言葉、または、漢語に対して使われた日本語)が変化したものです。

訓読みを基にした和語は、一般的に日常的で柔らかい印象を与えます。「この日」を意味する「けふ」が「きょう」と発音しやすくなる過程で、より口語的、日常的な言葉として定着していったのでしょう。

このように、音読みの漢語である「本日」と、和語由来の「今日」とでは、言葉の成り立ちからして持つ響きやニュアンスが異なるんですね。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

「本日」は、会社の式典での挨拶やニュースのアナウンス、公的な書類などで使われます。一方、「今日」は、友人との会話や日記、日常的なメールなどで使われます。場面のフォーマルさに合わせて使い分けるのが基本です。

言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。

ビジネスシーンと日常会話、そして間違いやすいNG例を見ていきましょう。

ビジネスシーンでの使い分け

会社の状況や相手との関係性によって、どちらを使うべきか判断しましょう。

【OK例文:本日】

  • 本日は、お忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。(式典や会議での挨拶)
  • 本日付で、〇〇部へ異動となりました。(辞令や公式な通知)
  • 本日の営業は午後5時をもって終了いたします。(店舗のアナウンス)
  • 本日未明、〇〇県で震度5弱の地震がありました。(ニュース報道)
  • 請求書を本日中にメールにてお送りいたします。(取引先への連絡)

【OK例文:今日】

  • 〇〇さん、今日のランチどうする?(同僚との会話)
  • 今日の会議、長引いたね。(同僚との会話)
  • 今日提出予定だった資料、少し遅れても大丈夫ですか?(上司への相談)
  • 今日は直帰します。(比較的カジュアルな社内連絡)

ビジネスシーンでも、社内の親しい同僚との会話など、比較的カジュアルな場面では「今日」を使っても問題ありません。ただし、社外の人や目上の人に対して、また公式な文書や発表では「本日」を使うのが基本ですね。

日常会話での使い分け

日常会話では、ほとんどの場合「今日」を使います。「本日」を使うと少し堅苦しく、不自然に聞こえることが多いでしょう。

【OK例文:本日】

  • (結婚式のスピーチなどで)本日、〇〇さんと△△さんの門出を祝し、一言お祝いを申し上げます。
  • (地域のイベントのアナウンスで)本日のイベントは、予定通り開催いたします。

【OK例文:今日】

  • 今日、何時に帰ってくる?(家族との会話)
  • 今日、映画を見に行かない?(友人との会話)
  • 今日はいい天気だね。(近所の人との挨拶)
  • 今日の日記には、楽しかった出来事を書こう。(独り言や日記)

結婚式のスピーチや公的なアナウンスなど、非常に改まった場面を除けば、日常的には「今日」を使うのが自然ですね。

これはNG!間違えやすい使い方

意味が通じないわけではありませんが、場面に合わない使い方をすると、違和感を与えてしまう可能性があります。

  • 【NG】友達とのメール:「本日は遊んでくれてありがとう!また本日中に連絡するね!」
    → 親しい友人に対しては堅苦しすぎます。「今日は遊んでくれてありがとう!また今日中に連絡するね!」が自然です。
  • 【NG】会社の朝礼でのカジュアルな連絡:「本日のランチですが、駅前の新しいカフェに行こうと思ってる人いますか?」
    → 朝礼の内容にもよりますが、単なるランチの誘いなら「今日のランチ〜」の方が場に馴染むでしょう。ただし、社長が全社員に向けて話すような厳粛な朝礼なら「本日」が適切な場合もあります。
  • 【NG】ニュースキャスターが友人との会話のように:「今日未明、〇〇県で地震があったんだって。びっくりだよね。」
    → ニュース報道は客観性と正確性が求められるため、「本日未明、〇〇県で震度〇〇の地震がありました。」のように伝えるのが適切です。

場面のフォーマルさと、話す相手との関係性を意識することが、自然な使い分けのコツですね。

【応用編】似ている言葉「当日」との違いは?

【要点】

「本日」「今日」が「今のこの日」を指すのに対し、「当日(とうじつ)」は過去や未来のある特定の基準となる日を指します。例えば、「会議の当日」「運動会の当日」のように使います。

「本日」「今日」と似た言葉に「当日(とうじつ)」があります。これも使い分けを押さえておきましょう。

「本日」と「今日」は、話したり書いたりしている「今、この日」を指します。

それに対して、「当日」は、基準となる特定の日を指します。その基準となる日が過去であっても未来であっても使えます。

【例文:当日】

  • 会議の当日になって、資料の変更点が発覚した。(過去の特定の日)
  • 運動会の当日は、晴れるといいですね。(未来の特定の日)
  • チケットは、当日会場でも販売しております。(イベントが行われる特定の日)
  • 試験当日は、時間に余裕をもって会場にお越しください。(試験が行われる特定の日)

このように、「当日」は「その日」という意味合いで使われ、「今、この日」を指す「本日」「今日」とは明確に異なりますね。

「本日」と「今日」の違いを公的な視点から解説

【要点】

公用文(役所などが作成する文書)においては、読みやすさの観点から、より一般的で日常的に使われる「今日」ではなく、改まった表現である「本日」を使うのが原則とされています。これは、文書の性格や慣習に基づいています。

少し専門的な話になりますが、「本日」と「今日」の使い分けは、公用文のルールにも関わってきます。

公用文とは、国や地方公共団体などが、公の目的のために作成する文書のことです。法令、告示、通達、申請書などがこれにあたりますね。

文化庁の「公用文作成の要領」など、公用文に関する指針では、日時を表す言葉について、「本日」「本〜」を使うのが原則とされています。「今日」ではなく「本日」、「今年」ではなく「本年」、「今月」ではなく「本月」といった具合です。

これはなぜでしょうか?

理由としては、公用文が客観的で正確、かつ改まった性格を持つ文書であることが挙げられます。日常的でやや主観的な響きを持つ「今日」よりも、漢語由来で硬く改まった響きを持つ「本日」の方が、公用文の性格に適していると考えられているためです。また、長年の慣習として「本日」が使われてきたという背景もあります。

ただし、国民向けの広報文など、より分かりやすさが求められる文書では、「今日」が使われることもあります。文書の種類や対象読者によって使い分けられることもありますが、基本的なルールとしては公用文では「本日」と覚えておくと良いでしょう。

詳しくは文化庁のウェブサイトなどでご確認いただけます。

僕が「本日」と「今日」の使い分けで悩んだ体験談

僕も新人ライター時代、「本日」と「今日」の使い分けでちょっとした失敗をしたことがあるんです。

ある企業の社長へのインタビュー記事を任された時のことでした。インタビュー自体は和やかな雰囲気で進み、社長も気さくに色々な話をしてくれました。その中で、社長が「今日ね、面白いことがあってね…」と、その日の朝にあった出来事を話してくれたんです。

記事をまとめる際、僕はそのエピソードを「社長はインタビュー当日、『今日、面白いことがあってね…』と語り始めた」と書きました。社長が実際に「今日」と言っていたので、そのまま引用した方が臨場感が出ると思ったんですね。

しかし、原稿を提出すると、先輩デスクから赤字が入りました。「この部分は、『本日、面白いことがありまして…』と社長がお話しされた、という形に修正しようか」と。

僕は「え、でも社長は『今日』って言ってましたよ?」と食い下がりました。すると先輩は、「もちろん、実際の会話では『今日』だったんだろうね。でも、記事全体は社長の経営哲学とか、少し硬めのテーマを扱っているだろう?その中で、ここだけ急に『今日』という話し言葉そのままの引用だと、少し浮いてしまうし、記事のトーンも崩れるんだ。読者にとっては、社長が改まった場で『本日』と話したように表現した方が、全体の流れとして自然に読めるんだよ」と教えてくれました。

なるほど、と思いました。単に言葉の正しさだけでなく、文章全体のトーンや文脈に合わせて言葉を選ぶことの重要性を学んだ瞬間でした。実際の会話と、それを文章で伝えるときの表現方法の違い。ちょっとしたことですが、読者に与える印象を左右する大切なポイントだと気づかされましたね。

「本日」と「今日」に関するよくある質問

「本日」と「今日」、どちらを使うべきですか?

場面によります。公的な場、ビジネス文書、改まった挨拶などフォーマルな場面では「本日」を使いましょう。日常会話、友人とのやり取り、カジュアルな場面では「今日」を使うのが自然です。

メールやビジネス文書ではどちらが適切ですか?

基本的には「本日」を使うのが適切です。特に社外向けや目上の人へのメール、公式な文書では「本日」を使用します。ただし、社内の親しい同僚への簡単な連絡など、カジュアルな内容であれば「今日」を使っても問題ない場合もあります。

話し言葉で「本日」を使うのは変ですか?

スピーチやアナウンス、改まった挨拶など、フォーマルな話し言葉の場面では「本日」を使うのが適切です。しかし、日常会話で使うと堅苦しく、不自然に聞こえることが多いでしょう。普段の会話では「今日」を使うのが一般的です。

「本日」と「今日」の違いのまとめ

「本日」と「今日」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. 基本はフォーマル度で使い分け:「本日」は改まった場面・書き言葉、「今日」は日常的な場面・話し言葉。
  2. 言葉の由来がニュアンスを生む:「本日」は硬い響きの漢語、「今日」は柔らかい響きの和語由来。
  3. 公用文では「本日」が原則:文書の性格や慣習から、改まった「本日」が使われる。
  4. 文脈に合わせた選択が重要:単語単体だけでなく、文章全体のトーンに合わせて選ぶ。

これからは自信を持って、「本日」と「今日」を的確に使い分けていきましょう!