誤解してない?「フリーター」と「無職」の決定的違いと境界線

「フリーター」と「無職」、どちらも定職に就いていない状態を指すように思えますが、実は明確な違いがあるのをご存知ですか?

「アルバイトをしている友人はフリーター?それとも無職?」のように、使い分けに迷う場面もあるかもしれませんね。

これらの言葉は、年齢や働く意志、雇用形態によって使い分けられます。この記事を読めば、「フリーター」と「無職」それぞれの正確な定義から、具体的な使い分け、さらには「ニート」との違いまでスッキリ理解できます。もう二人の違いで悩むことはありません。

それでは、まず最も重要な違いから見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「フリーター」と「無職」の最も重要な違い

【要点】

基本的には、「フリーター」は主に若年層(15~34歳)でアルバイト・パートとして働く人や働く意志のある人、「無職」は年齢に関わらず定職に就いていない状態全般を指します。「フリーター」は働き方の一つの呼称、「無職」は就労状態そのものを表すと覚えるのが簡単です。

まず、結論からお伝えしますね。

「フリーター」と「無職」の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。

項目 フリーター 無職
中心的な意味 正社員以外の就労形態(アルバイト・パート)で生計を立てる若年者、またはその意志を持つ者。 定職に就いていない状態。働いていないこと。
年齢制限 主に15歳~34歳(厚生労働省の定義による) 特になし(全年齢対象)
就労状態 アルバイト・パートとして働いている、または働く意志がある 働いていない(求職中、家事手伝い、年金受給者なども含む)
雇用形態 非正規雇用(アルバイト・パート) 雇用されていない
ニュアンス 特定の働き方、ライフスタイル。 就労していないという客観的な状態。
英語 Freeter (Japanese term), Part-time worker (context-dependent) Unemployed, Jobless, Out of work

一番大きな違いは、「フリーター」には一般的に年齢制限(15~34歳)があり、アルバイトなどで働いているか、働く意志があるのに対し、「無職」には年齢制限がなく、単純に働いていない状態を指すという点ですね。

つまり、40歳の人がアルバイトで生計を立てていても、一般的には「フリーター」とは呼ばず、「非正規雇用」や単に「アルバイト」と表現されることが多いです。また、働く意志のない人や求職活動をしていない人は、たとえ若くても「フリーター」ではなく「無職」や後述する「ニート」に分類されることがあります。

なぜ違う?言葉の定義と背景からイメージを掴む

【要点】

「フリーター」は「フリー・アルバイター」の略語で、特定の働き方・生き方を示す造語です。一方、「無職」は「職が無い」という文字通りの状態を示す一般的な言葉です。

なぜこの二つの言葉に違いが生まれるのか、それぞれの言葉の定義や生まれた背景を知ると、そのニュアンスの違いがより深く理解できますよ。

「フリーター」の定義:若年層の非正規雇用者

「フリーター」という言葉は、「フリーランス」の「フリー (free)」と、ドイツ語で労働者を意味する「アルバイター (Arbeiter)」を組み合わせた和製英語です。1980年代後半に、リクルート社の雑誌『フロム・エー』で使われ始めたのが最初と言われています。

当初は、正社員にならず自由な働き方を選ぶ若者、という肯定的なニュアンスで使われることもありました。しかし、バブル崩壊後の就職氷河期を経て、正規雇用に就けずに非正規雇用で働く若者が増える中で、社会的な課題として注目されるようになりました。

現在、厚生労働省など公的な定義では、フリーターは「15~34歳の若年層のうち、パート・アルバイトとして雇用されている者、または働く意志はあるが現在は仕事に就いていない者(家事・通学を除く)」とされることが多いです。(※学生や主婦(夫)でパート・アルバイトをしている人は通常含みません)。

つまり、「フリーター」は単に働いていない状態ではなく、特定の年齢層における非正規雇用という「働き方」、あるいはそのような働き方を志向する「状態」を指す、やや限定的な言葉なんですね。

「無職」の定義:定職に就いていない状態

一方、「無職」は読んで字のごとく、「職が無い」状態を指します。特定の職業や定職に就いていない、収入を得るための労働に従事していない状態全般を表す、非常にシンプルな言葉です。

年齢や働く意志の有無は問いません。定年退職した高齢者、専業主婦(夫)、病気療養中の人、失業して求職活動中の人、働けるけれど働く意志がない人など、様々な状況の人が「無職」に含まれます。

「フリーター」が特定の層の働き方を示すのに対し、「無職」はより広範な「就労していない状態」を示す客観的な言葉と言えるでしょう。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

「彼は大学卒業後、フリーターとして働いている」のように若者の働き方を示す場合は「フリーター」。「定年退職して今は無職です」のように単に職がない状態を示す場合は「無職」を使います。

言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。

どのような場面で「フリーター」と「無職」が使われるのか、見ていきましょう。

「フリーター」を使う場面

主に15歳から34歳の若者が、正社員ではなくアルバイトやパートで生計を立てている状況、またはそのような働き方を望んでいる状況で使われます。

  • 彼は俳優を目指しながら、フリーターとしてコンビニで働いている。(20代)
  • 大学を卒業したものの就職が決まらず、しばらくフリーターを続けることにした。(22歳)
  • 彼女は正社員の誘いを断り、自由な時間を求めてフリーターの道を選んだ。(25歳)
  • 政府はフリーターから正社員への就職支援を強化している。
  • フリーター向けの求人情報誌も多い。

年齢が若く、非正規雇用で働いている、または働く意思がある、という点がポイントですね。

「無職」を使う場面

年齢や理由を問わず、定職に就いていない状態全般を表すときに使われます。

  • 父は昨年定年退職し、現在は無職です。(60代)
  • 病気療養のため、一時的に無職の状態が続いている。(年齢問わず)
  • 彼は会社が倒産して以来、無職で求職活動中だ。
  • 彼女は結婚を機に仕事を辞め、専業主婦として無職になった。
  • 履歴書の職歴欄に空白期間がある場合、その間は無職と記載することがある。

働いていないという客観的な事実を示す場合に広く使われますね。

これはNG!間違えやすい使い方

意味が通じないわけではありませんが、一般的な用法からすると不自然に聞こえる使い方を見てみましょう。

  • 【NG】50歳でリストラされ、現在はフリーターとして仕事を探している。
  • 【OK】50歳でリストラされ、現在は無職で仕事を探している。(または「求職中」)

「フリーター」は一般的に若年層(15~34歳)を指すため、50歳の人に使うのは不自然です。「無職」や「求職中」が適切な表現ですね。

  • 【NG】彼は働く気力がなく、ずっと家で過ごしておりフリーター状態だ。
  • 【OK】彼は働く気力がなく、ずっと家で過ごしており無職状態だ。(または「ニート」)

「フリーター」は働く意志があることが前提とされる場合が多いです。働く意欲がない場合は「無職」、あるいは後述する「ニート」の方が状況を正確に表しています。

  • 【NG】大学に通いながらアルバイトをしている彼はフリーターだ。
  • 【OK】大学に通いながらアルバイトをしている彼は学生だ。

学生は、公的な定義上「フリーター」には通常含まれません。本分が学業であるためですね。

【応用編】似ている言葉「ニート」との違いは?

【要点】

「ニート(NEET)」は、15~34歳で、就学・就労・職業訓練のいずれも行っていない人を指します。「フリーター」は働いているか働く意志があるのに対し、「ニート」は働く意志がないか、求職活動をしていない点が大きな違いです。「無職」はニートを含みますが、ニートは若年層に限定される点が異なります。

「フリーター」や「無職」と関連して、「ニート」という言葉もよく聞かれますね。この違いも明確にしておきましょう。

ニート(NEET)とは、”Not in Education, Employment, or Training” の頭文字を取った言葉で、日本語では「若年無業者」と訳されます。

具体的には、15歳から34歳までの若者のうち、学校に通っておらず(Education)、働いておらず(Employment)、仕事に就くための訓練(Training)も受けていない人を指します(※家事手伝いも通常含みません)。

「フリーター」との大きな違いは、働く意欲の有無や求職活動の有無です。フリーターはアルバイトなどで働いているか、働く意志を持って仕事を探しているのに対し、ニートは働く意志がない、あるいは求職活動をしていない状態を指します。

「無職」との違いは、年齢制限です。「無職」は全年齢対象ですが、「ニート」は15歳から34歳までの若年層に限定されます。また、「無職」には求職活動中の人も含まれますが、「ニート」は求職活動をしていない状態を指すのが一般的です。

まとめると、以下のようになります。

  • フリーター:15~34歳、非正規で就労中 or 就労意欲あり
  • ニート:15~34歳、非就学・非就労・非職業訓練、就労意欲なし or 求職活動なし
  • 無職:年齢不問、定職についていない状態(求職中も含む)

それぞれの言葉が指す範囲が異なることを理解しておきましょう。

「フリーター」と「無職」の違いを社会的な視点から解説

【要点】

「フリーター」は、非正規雇用の増加や若者のキャリア形成といった社会問題を論じる際に使われることが多いです。一方、「無職」は失業率などの雇用統計や社会保障制度において、就労していない状態を示す客観的な分類として用いられます。

「フリーター」と「無職」という言葉は、使われる文脈によって社会的な意味合いが異なります。

「フリーター」という言葉は、1990年代以降の若者の雇用問題や働き方の多様化を議論する際によく使われます。正社員と比較して収入が不安定であること、スキルアップやキャリア形成が難しいこと、社会保障が十分でないことなどが課題として指摘されることが多いですね。政府の雇用対策や若者支援策の対象としても、「フリーター」という区分が用いられることがあります。

一方、「無職」という言葉は、より客観的で広範な就労状態を示す分類として使われます。例えば、国の失業率を計算する際には、「無職」の人の中から、働く意欲があり求職活動をしている人を「完全失業者」としてカウントします。また、社会保障制度(失業保険、生活保護など)の対象者を区分する際にも、「無職」という状態が基準の一つとなります。

このように、「フリーター」は特定の社会層や働き方に関する議論で使われやすいのに対し、「無職」は雇用統計や行政手続きなど、より客観的な分類が必要な場面で使われることが多いと言えるでしょう。

どちらの言葉も、使う場面や文脈によって、その言葉が持つ社会的背景やニュアンスが異なることを意識すると、より深い理解につながりますね。

僕が就職活動で混同して赤面した「フリーター」と「無職」の体験談

僕も就職活動をしていた頃、「フリーター」と「無職」の区別が曖昧で、面接で赤面した経験があります。

大学卒業後、なかなか希望の職種に就けず、アルバイトをしながら就職活動を続けていました。いわゆる「既卒」という立場ですね。ある企業の面接で、面接官から卒業後の状況について尋ねられました。

「大学卒業から現在まで、約1年間ありますが、どのように過ごされていましたか?」

僕は、アルバイト経験もアピールになるかと思い、少し見栄を張ってこう答えました。

「はい、卒業後はフリーターとして、接客業のアルバイトをしておりました。その中でコミュニケーション能力を磨きながら、御社のような企業で正社員として働くことを目指し、就職活動を続けておりました!」

自信満々に答えた僕に、面接官は少し怪訝な顔をして、こう聞き返してきました。

「なるほど、アルバイトをされていたのですね。ただ、一般的にフリーターというのは、正社員になることを必ずしも目指さず、自由な働き方を選んでいる若者を指す場合もあります。あなたは正社員を目指して就職活動をされていたわけですから、その期間は『無職(求職中)』あるいは『アルバイト』と表現する方が、より正確かもしれませんね」

頭が真っ白になりました。たしかに、僕は正社員を目指していたので、「フリーター」という言葉の本来のニュアンスとは少しずれていたのかもしれません。単に「アルバイトをしていました」か、正直に「求職活動中でした」と答えるべきだったのです。

面接官は決して僕を責めたわけではありませんでしたが、言葉の定義を曖昧に理解し、自分を良く見せようとして不正確な言葉を使ってしまったことが猛烈に恥ずかしくなりました。言葉は、自分の状況や意志を正確に伝えるためのツールであり、その定義を正しく理解していないと、かえって誤解を招いてしまうのだと痛感しました。

幸い、その後の面接で正直に状況を説明し直し、なんとか内定をいただけましたが、あの時の赤面した感覚は忘れられません。それ以来、特に公の場やビジネスシーンでは、言葉の定義をしっかり確認し、正確に使うことを心がけるようになりました。

「フリーター」と「無職」に関するよくある質問

アルバイトをしていれば「無職」ではないのですか?

厳密に言えば、アルバイトやパートタイマーとして働いて収入を得ている場合、「職業がある」状態なので「無職」ではありません。しかし、一般的に「定職に就いていない」という意味合いで、正社員でない人を広く「無職」と表現する文脈も存在します。公的な定義では、アルバイトをしている若年層(15~34歳)は「フリーター」に含まれることが多いです。状況を正確に伝えたい場合は、「アルバイトとして働いています」や「非正規雇用です」のように具体的に言うのが良いでしょう。

学生は「フリーター」や「無職」に含まれますか?

いいえ、通常は含まれません。学生の本分は学業であるため、アルバイトをしていても「フリーター」とは呼ばれません。また、職に就いていなくても「学生」という身分があるため、「無職」にも分類されません。ただし、卒業後も進学も就職もしない場合は「無職」や「ニート」に該当する可能性があります。

公的な統計ではどう扱われますか?

国の労働力調査などでは、「フリーター」はパート・アルバイトとして集計されたり、若年層の非正規雇用者として分析されたりします。「無職者」はより大きな括りで、「完全失業者」(働く意欲と能力があり求職活動をしている人)と「非労働力人口」(働く意欲がない、または求職活動をしていない人。学生、専業主婦(夫)、高齢者などを含む)に分けられます。統計上の定義は調査目的によって異なる場合があるので注意が必要です。

「フリーター」と「無職」の違いのまとめ

「フリーター」と「無職」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. 核心的な違い:「フリーター」は主に15~34歳非正規雇用で働くか働く意志のある人、「無職」は年齢問わず定職に就いていない状態
  2. 言葉の背景:「フリーター」は若者の働き方を示す造語、「無職」は就労状態を示す一般的な言葉
  3. ニートとの違い:「ニート」は働く意欲がない求職活動をしていない15~34歳の若年無業者。
  4. 社会的文脈:「フリーター」は若者雇用問題、「無職」は雇用統計や社会保障で使われることが多い。

これらの言葉は、個人の状況や社会的な文脈を反映するものです。それぞれの意味を正しく理解し、状況に応じて適切に使い分けることが、円滑なコミュニケーションにつながりますね。

これからは自信を持って、的確な言葉を選んでいきましょう。言葉の使い分けについてさらに知りたい方は、社会・関係の言葉の違いをまとめたページもぜひご覧ください。