英語の前置詞「at」と「in」、どちらも場所や時間を表すのに使いますが、使い分けに迷うことはありませんか?
「駅で会おう」は “at the station”? それとも “in the station”? 「午後に」は “at the afternoon”? いや “in the afternoon”? 簡単なようで、意外と奥が深いですよね。実はこの二つ、「点」で捉えるか「空間や期間の中」で捉えるかという核心的なイメージの違いで使い分けられるんです。
この記事を読めば、「at」と「in」の基本的なイメージから、場所や時間における具体的な使い分け、さらによく似た「on」との違いまでスッキリ理解でき、もう迷うことはありません。ネイティブに近い感覚で使いこなせるようになりますよ。それでは、まず最も重要な違いから見ていきましょう。
結論:一覧表でわかる「at」と「in」の最も重要な違い
基本的には、場所や時間を「点」として捉えるなら「at」、ある程度の広がりを持つ「空間」や「期間」の中として捉えるなら「in」と覚えるのが簡単です。「at」は具体的な地点や時刻、「in」は都市や国、月や年などに使われます。
まず、結論からお伝えしますね。
「at」と「in」の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。
| 項目 | at | in | 
|---|---|---|
| 核心イメージ | 点(ピンポイント) | 空間・期間の中(範囲) | 
| 場所 | 特定の地点、比較的狭い場所 (例:at the bus stop, at the corner, at school) | 境界線で囲まれた空間、都市、国、建物の中 (例:in the box, in Tokyo, in the building) | 
| 時間 | 特定の時刻、時点 (例:at 5 o’clock, at noon, at the moment) | 比較的長い期間、月、季節、年、世紀 (例:in the morning, in July, in summer, in 2025) | 
| ニュアンス | ピンポイントで指し示す感じ | ある範囲の中に含まれる感じ | 
一番大切なポイントは、「at」は点(ピンポイント)、「in」はある程度の広がりを持つ空間や期間の「中」というイメージを持つことです。
このイメージがあれば、多くの場面で適切な前置詞を選ぶことができますよ。
なぜ違う?核心的な意味とイメージ(点 vs 空間・時間)を掴む
「at」は、地図上の特定の点や時計の針が指す一点のように、場所や時間をピンポイントで示すイメージです。一方、「in」は箱の中やカレンダーの月のように、境界線で囲まれた空間や、ある程度の長さを持つ期間の「内部」を示すイメージです。
なぜこのような使い分けになるのか、それぞれの前置詞が持つ核心的なイメージをもう少し深く探ってみましょう。
「at」:特定の「点」を示すイメージ
「at」の基本的なイメージは、地図上の一点や、時間軸上の一瞬を指し示すような「点」です。
場所に使う場合は、特定の住所、交差点、バス停、建物の入り口など、比較的狭い範囲、あるいは特定の「地点」として認識される場所を指します。たとえ広い場所(例: at the airport 空港で)であっても、それを活動が行われる一つの「拠点」や「ポイント」として捉えているニュアンスです。
時間に使う場合は、時計の針が指す特定の「時刻」や、「正午」「夜中」のような特定の「時点」を表します。
「まさに、ここ!」「ちょうど、この時!」とピンポイントで指す感覚ですね。
「in」:範囲や期間の「中」を示すイメージ
一方、「in」の基本的なイメージは、境界線で囲まれた空間や、始まりと終わりがある期間の「中」です。
場所に使う場合は、箱の中、部屋の中、建物の中、都市、国など、明確な境界線があり、その「内部」という感覚が強い場所に使われます。
時間に使う場合は、「午前中」「7月」「夏」「2025年」のように、ある程度の長さを持つ期間を表します。その期間の「中に」含まれる、というニュアンスです。
「この範囲の中」「この期間の中」という感覚が「in」の核心と言えるでしょう。
具体的な例文で使い方をマスターする【場所編】
特定の地点は「at」(例: at the station 駅で)、建物や地域の中は「in」(例: in the building 建物の中で, in Japan 日本で)。「at school」は「学校で(授業中など活動の場として)」、「in school」は「学校の建物の中に」というニュアンスの違いがあります。
場所を表す際の「at」と「in」の使い分けを、具体的な例文で見ていきましょう。
「at」を使う場面(場所)
特定の地点や、活動の拠点として場所を捉える場合に用います。
【OK例文:at(場所)】
- Let’s meet at the bus stop. (バス停で会いましょう。)
- He is waiting at the entrance. (彼は入り口で待っています。)
- Turn left at the next corner. (次の角を左に曲がってください。)
- I am at work now. (今、職場にいます。)
- She is studying at university. (彼女は大学で勉強しています。) ※活動の場として
- We arrived at the airport early. (私たちは早く空港に着きました。) ※拠点・ポイントとして
- Look at the picture on the wall. (壁の絵を見てください。) ※視線が向かう点
「in」を使う場面(場所)
境界線で囲まれた空間の内部や、広い地域(都市、国など)を表す場合に用います。
【OK例文:in(場所)】
- The cat is in the box. (猫は箱の中にいます。)
- He lives in Tokyo. (彼は東京に住んでいます。)
- My keys are in my bag. (私の鍵はバッグの中にあります。)
- Children are playing in the park. (子供たちが公園で遊んでいます。)
- She works in an office building. (彼女はオフィスビルの中で働いています。)
- There are many beautiful temples in Kyoto. (京都にはたくさん美しい寺があります。)
これはNG!場所に関する間違えやすい使い方
イメージの違いを理解していないと、不自然な表現になることがあります。
- 【NG】 He lives at London.
- 【OK】 He lives in London. (彼はロンドンに住んでいます。)
ロンドンのような広い都市には「in」を使います。「at London」とは通常言いません。
- 【△】 Let’s meet in the station. (駅の中で会おう。)
- 【OK】 Let’s meet at the station. (駅で会おう。)
「in the station」は「駅舎の中で」という意味になりますが、単に待ち合わせ場所として「駅で」と言う場合は「at the station」の方が一般的です。「at」は駅全体を一つの待ち合わせ「地点」として捉えています。
- 【文脈注意】 He is at school. vs He is in school.
「at school」は「学校で(授業を受けている、活動している)」というニュアンスが強いです。一方、「in school」は単に「学校の建物の中にいる」という意味合いが強くなります(ただし、「在学中」という意味で使われることもあります)。どちらを使うかでニュアンスが変わりますね。
具体的な例文で使い方をマスターする【時間編】
特定の時刻は「at」(例: at 3 PM 午後3時に)、午前・午後や月・年などの期間は「in」(例: in the morning 午前中に, in August 8月に, in 2024 2024年に)。「at night」(夜に)は例外的な慣用表現です。
次に、時間を表す際の「at」と「in」の使い分けを例文で見ていきましょう。
「at」を使う場面(時間)
特定の時刻や時点をピンポイントで示します。
【OK例文:at(時間)】
- The meeting starts at 10 AM. (会議は午前10時に始まります。)
- I usually eat lunch at noon. (私はたいてい正午に昼食をとります。)
- See you at dinner time. (夕食時に会いましょう。)
- He woke up at midnight. (彼は真夜中に目を覚ました。)
- Please call me at your convenience. (ご都合の良い時にお電話ください。) ※特定の瞬間
- At the moment, I am busy. (今のところ、私は忙しいです。)
- I go to bed at night. (私は夜に寝ます。) ※慣用表現
「at night」は例外的な慣用表現として覚えておくと良いでしょう。
「in」を使う場面(時間)
午前、午後、月、季節、年、世紀など、ある程度の長さを持つ期間を表します。
【OK例文:in(時間)】
- I drink coffee in the morning. (私は午前中にコーヒーを飲みます。)
- My birthday is in September. (私の誕生日は9月です。)
- We often go skiing in winter. (私たちは冬によくスキーに行きます。)
- He was born in 1990. (彼は1990年に生まれました。)
- This castle was built in the 17th century. (この城は17世紀に建てられました。)
- I will finish the report in three days. (私は3日後にレポートを終えます。) ※期間
これはNG!時間に関する間違えやすい使い方
時刻と期間の区別がポイントです。
- 【NG】 The train leaves in 8:00 AM.
- 【OK】 The train leaves at 8:00 AM. (電車は午前8時に出発します。)
特定の時刻には「at」を使います。
- 【NG】 I went to Hawaii at August.
- 【OK】 I went to Hawaii in August. (私は8月にハワイに行きました。)
月のような期間には「in」を使います。
- 【NG】 She arrived in midnight.
- 【OK】 She arrived at midnight. (彼女は真夜中に到着しました。)
「midnight」は特定の時点なので「at」を使います。
【応用編】似ている言葉「on」との違いは?
場所の場合、「on」はテーブルの上や壁など、何かの「表面」に接触しているイメージです(例: on the table)。時間の場合、「on」は特定の日付や曜日に使います(例: on Monday, on July 4th)。「at(点)」、「in(中)」、「on(表面・特定の日)」のイメージで区別しましょう。
場所や時間を表す前置詞で、「at」「in」と共によく使われるのが「on」ですね。この三つの使い分けも整理しておきましょう。
場所:「on」は表面への接触
場所を表す場合、「on」の核心イメージは「表面への接触」です。
- at: 点 (at the door)
- in: 内部空間 (in the room)
- on: 表面 (on the desk, on the wall, on the ceiling)
【OK例文:on(場所)】
- The book is on the table. (本はテーブルの上にあります。)
- There is a clock on the wall. (壁に時計がかかっています。)
- He spilled coffee on his shirt. (彼シャツにコーヒーをこぼした。)
乗り物に乗る場合も、バスや電車のように「床の上に乗る」イメージのものは「on」(on the bus, on the train)、タクシーや乗用車のように「中に乗り込む」イメージのものは「in」(in the taxi, in the car)を使うことが多いです。
時間:「on」は特定の日付・曜日
時間を表す場合、「on」は特定の日付や曜日に使われます。
- at: 時刻 (at 6 PM)
- in: 月、年、季節、期間 (in May, in 2023, in spring)
- on: 特定の日付、曜日 (on Sunday, on Christmas Day, on my birthday)
【OK例文:on(時間)】
- The party is on Friday. (パーティーは金曜日です。)
- My birthday is on October 10th. (私の誕生日は10月10日です。)
- We have a meeting on Monday morning. (月曜の朝に会議があります。) ※特定の日の午前
「at(点)」「in(期間)」「on(特定の日)」というイメージで捉えると、時間の前置詞も整理しやすいですね。
僕が待ち合わせで大失敗した「at」と「in」の混同体験談
前置詞の使い分けって、頭ではわかっていても、いざとなると間違えちゃうこと、ありますよね。僕も昔、ロンドンに短期留学していた時に、「at」と「in」を混同して、友人を1時間も待たせてしまった苦い経験があります。
週末に、友人のジョンと大英博物館 (The British Museum) で待ち合わせる約束をしました。ジョンからのメッセージには “Let’s meet at the British Museum around 2 PM.” とありました。
当日、僕は張り切って2時少し前に博物館に着きました。広大な建物の「中 (in)」に入り、エントランスホールあたりでジョンを探したのですが、一向に見当たりません。携帯で連絡しようにも、当時は今ほどスマホが普及しておらず、館内も広いため、なかなか連絡が取れません。
結局、1時間近く館内をウロウロ探し回り、諦めかけた頃に、博物館の正面玄関の外で途方に暮れているジョンを発見しました。
「どこにいたんだよ!ずっと待ってたんだぞ!」と怒るジョンに、僕は「え、僕はずっと博物館の『中 (in the museum)』にいたよ!」と反論。
そこでジョンが呆れたように言いました。「メッセージに『at the British Museum』って書いただろ?こういう大きな場所で『at』って言ったら、普通は建物の入り口とか、その場所を一つの『地点』として捉えるんだよ。『in』だったら建物の中だけどさ…」
僕は顔から火が出るほど恥ずかしくなりました。「at」が持つ「地点」のイメージと、「in」が持つ「内部空間」のイメージを、僕は完全に取り違えていたのです。ジョンは博物館という「地点」の正面玄関あたりで待っていたのに、僕は「内部空間」である館内を探し回っていたわけです。
たかが前置詞、されど前置詞。この一件以来、場所を表す前置詞を使うときは、話者がその場所を「点」として捉えているのか、「空間」として捉えているのかを意識するようになりました。あの時のジョンの呆れ顔は、今でも忘れられません…
「at」と「in」に関するよくある質問
結局、どう使い分けるのが一番簡単ですか?
場所と時間のイメージで捉えるのが一番です。場所:特定の「地点」なら「at」、都市や建物などの「空間の中」なら「in」。時間:特定の「時刻」なら「at」、月や年などの「期間の中」なら「in」。この基本を押さえれば、多くの場合で正しく使えます。
「at home」と「in the house」の違いは何ですか?
「at home」は「家で(くつろいでいる、在宅している)」という状態や、より広い意味での「我が家」というニュアンスで使われることが多いです。副詞としても使えます。一方、「in the house」は文字通り「家(建物)の中にいる」という物理的な位置を強調します。
国や都市にはなぜ「in」を使うのですか?
国や都市は、地図上で見ると広い「範囲」や「境界線で囲まれたエリア」として認識されるため、「空間の中」というイメージを持つ「in」が使われます。「at Tokyo」のように「at」を使うことは通常ありません。
「at」と「in」の違いのまとめ
「at」と「in」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。
最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。
- 核心イメージ:「at」は特定の「点」、「in」は囲まれた「空間・期間の中」。
- 場所:「at」は地点(at the corner)、狭い場所や拠点(at the station)。「in」は空間の内部(in the box)、広い地域(in London)。
- 時間:「at」は時刻・時点(at 5 PM, at noon)。「in」は期間(in the morning, in May, in 2025)。
- 「on」との比較:場所は「表面」(on the table)、時間は「特定の日付・曜日」(on Monday)。
- 基本はイメージ:「点」なのか「中」なのかを意識すれば、応用が利きやすい。
前置詞は英語学習者にとって永遠の課題とも言われますが、核心的なイメージを掴むことで、丸暗記に頼らずとも自然な使い分けができるようになります。
今回学んだ「at」「in」「on」のイメージを意識しながら、たくさんの英語に触れてみてください。きっと、「なるほど、こういう感覚か!」と腑に落ちる瞬間が増えていくはずですよ。言葉の使い分けについてさらに知りたい方は、カタカナ語・外来語の違いをまとめたページもぜひご覧ください。