英語で「昔はよく〜したものだ」と過去の習慣について話したいとき、「would」と「used to」、どちらを使うべきか迷った経験はありませんか?
どちらも似たような意味を表せそうですが、実は使い分けにはっきりとしたルールがあるんです。
この二つの表現、過去の「状態」を表せるかどうか、そして現在の状況との対比を強調するかどうかで使い分けられます。この記事を読めば、「would」と「used to」の基本的な違いから、ニュアンス、文法的な注意点、具体的な使い方までスッキリ理解でき、過去の出来事を英語で表現する際に迷うことはもうありません。それでは、まず最も重要な違いから見ていきましょう。
結論:一覧表でわかる「would」と「used to」の最も重要な違い
基本的には、過去の「習慣的な行動」と「状態」の両方を表せるのが「used to」、主に過去の「習慣的な行動」のみを表すのが「would」です。「used to」は「今はもう違う」という現在の状況との対比を強調するニュアンスがあります。
まず、結論からお伝えしますね。
「would」と「used to」の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。
| 項目 | would + 動詞の原形 | used to + 動詞の原形 |
|---|---|---|
| 意味 | (過去に)よく〜したものだ | (過去は)〜したものだ、(過去は)〜だった |
| 表せること | 過去の習慣的な行動・繰り返し | 過去の習慣的な行動・繰り返し 過去の状態 |
| 状態動詞との相性 | 使えない (例: × I would live in Tokyo.) |
使える (例: ○ I used to live in Tokyo.) |
| 現在の状況との対比 | 必ずしも含まない(単なる過去の回想) | 「今は違う」というニュアンスを含むことが多い |
| 頻度のニュアンス | 繰り返し行われたこと(回数に焦点) | 一定期間続いたこと(期間に焦点) |
| フォーマル度 | やや文学的、物語的 | 一般的、日常会話でもよく使う |
| 例文(行動) | We would often go fishing. | We used to go fishing. |
| 例文(状態) | × There would be a park here. | There used to be a park here. |
一番大切なポイントは、「used to」は過去の行動と状態の両方に使えるが、「would」は基本的に過去の行動にしか使えないという点ですね。「昔ここに公園があった」のような過去の状態を言いたいときは、「used to」一択になります。
なぜ違う?言葉の核心イメージを探る
「used to」は過去と現在のギャップ、「以前はそうだった(でも今は違う)」というコントラストに焦点を当てます。一方、「would」は過去のある時点での繰り返された行動や典型的な振る舞いを、懐かしみや物語の一部として描写するイメージです。
「would」と「used to」、どちらも過去の習慣を表せるのに、なぜ使い分けが必要なのでしょうか?それぞれの表現が持つ、核となるイメージを掴むと、その理由が見えてきます。
「used to」のイメージ:過去の状態や習慣(今は違う)
「used to」の核心にあるのは、「過去」と「現在」の対比(コントラスト)です。「昔はこうだったんだけど、今はもうそうじゃないんだ」というニュアンスを強く含んでいます。
例えば、「I used to smoke.」と言えば、「昔はタバコを吸っていた(でも今は吸っていない)」という意味になります。単に過去の習慣を述べるだけでなく、それが現在は当てはまらない、という情報まで伝えたいときに非常に便利な表現です。
そして重要なのが、この「過去は〜だった(今は違う)」という対比は、行動だけでなく「状態」にも使える点です。「I used to live in Osaka.(昔は大阪に住んでいた)」や「This building used to be a library.(この建物は昔は図書館だった)」のように、過去の状況や存在を表すことができます。
「would」のイメージ:過去の繰り返された行動(回想)
一方、「would」が過去の習慣を表す場合、その核心イメージは過去のある特定の時期における「繰り返された行動」や「典型的なパターン」です。しばしば、懐かしさ(ノスタルジア)を伴う回想や、物語の中での描写として使われます。
例えば、「When I was a child, I would often visit my grandparents in the countryside.」と言えば、「子供の頃、田舎の祖父母のところによく行ったものだなぁ」という、過去の習慣的な行動を懐かしむ気持ちが込められています。
ポイントは、「would」は基本的に具体的な「行動」(visit, play, go など)の繰り返しを示すという点です。「live(住んでいる)」、「be(〜である)」、「have(持っている)」、「like(好きである)」といった「状態」を表す動詞(状態動詞)と一緒には、過去の習慣の意味では使えません。
また、「would」は必ずしも「今は違う」という意味を含むわけではありません。文脈によっては今も続いている可能性がある行動についても使えますが、主に過去の描写として用いられます。
このように、「used to」が過去と現在のギャップに焦点を当てるのに対し、「would」は過去の特定の行動パターンを回想するイメージ、と捉えると違いが分かりやすいですね。
具体的な例文で使い方をマスターする
過去の状態「I used to be shy.(昔は内気だった)」や、今はもうしていない習慣「He used to play tennis.」は「used to」を使います。過去の繰り返された行動の回想「She would always bring cookies.(彼女はいつもクッキーを持ってきてくれたものだ)」は「would」が自然です。行動については「used to」も使えます。
それでは、実際の文の中で「used to」と「would」がどのように使われるのか、具体的な例文で確認していきましょう。
「used to」を使う場合(過去の状態・習慣)
過去の習慣的な行動と、過去の状態の両方を表せます。「今はもう違う」というニュアンスを含むことが多いです。
- 過去の習慣的行動
- I used to walk to school every day. (私は毎日学校まで歩いて通っていたものだ。) ※今は違う方法で通っている
- They used to argue a lot, but now they get along well. (彼らは昔はよく口論したが、今は仲が良い。)
- Did you use to play the piano? (あなたは昔ピアノを弾いていましたか?) ※疑問文では use to
- She didn’t use to like coffee, but now she loves it. (彼女は以前はコーヒーが好きではなかったが、今は大好きだ。) ※否定文では use to
- 過去の状態
- He used to live in New York. (彼は以前ニューヨークに住んでいた。) ※今は住んでいない
- There used to be a movie theater on this street. (この通りには昔、映画館があった。) ※今はもうない
- I used to have long hair. (私は以前、髪が長かった。) ※今は長くない
- She used to be very shy as a child. (彼女は子供の頃、とても内気だった。)
疑問文や否定文では “used” の “d” が取れて “use to” になる点にも注意しましょう。
「would」を使う場合(過去の繰り返された行動)
過去に繰り返し行われた行動を表します。回想や物語の描写で使われることが多いです。状態動詞とは一緒に使えません。
- When we were kids, we would spend hours playing by the river. (子供の頃、私たちは川辺で何時間も遊んだものだった。)
- My grandfather would tell me stories every night before bed. (祖父は毎晩寝る前に私に物語を話してくれたものだ。)
- Every summer, they would travel to Italy. (毎年夏になると、彼らはイタリアへ旅行したものだった。)
- She would often call me just to chat. (彼女はただおしゃべりするためによく私に電話してきたものだ。)
- He would always forget his keys. (彼はいつも鍵を忘れたものだ。) ※過去の典型的な行動
これらの行動は「used to」を使って表現することも可能です(例: We used to spend hours…)。しかし、「would」を使うことで、より回想的で情景が目に浮かぶようなニュアンスが出ることがあります。
これはNG!間違えやすい使い方
特に「would」を状態動詞と一緒に使う間違いが多いので注意しましょう。
- 【NG】 I would live in London when I was a student. (私は学生の頃、ロンドンに住んだものだ。)
- 【OK】 I used to live in London when I was a student. (私は学生の頃、ロンドンに住んでいた。)
「live」は状態動詞なので、過去の状態を表すには「used to」を使います。
- 【NG】 There would be many trees around my house. (私の家の周りにはたくさんの木があったものだ。)
- 【OK】 There used to be many trees around my house. (私の家の周りには昔たくさんの木があった。)
存在を表す「be」動詞も状態動詞です。過去の存在は「used to be」を使います。
- 【NG】 She would like playing video games. (彼女はテレビゲームをするのが好きだったものだ。)
- 【OK】 She used to like playing video games. (彼女は以前テレビゲームをするのが好きだった。)
「like」も状態動詞なので、「used to」を使います。
【応用編】似ている言葉「be used to doing」との違いは?
「used to + 動詞の原形」が「過去は〜したものだ」という過去の習慣や状態を表すのに対し、「be used to + 動名詞/名詞」は「〜することに慣れている」という現在の状態を表します。形が似ていますが、意味も構造も全く異なるので注意が必要です。
「used to」と形が似ていて混同しやすい表現に「be used to doing」があります。これは意味が全く異なるので、しっかり区別しておきましょう。
「used to + 動詞の原形」は、これまで見てきたように、「過去の習慣や状態」を表します。「used」は過去を示す助動詞のような働きをし、「to」は不定詞の「to」です。
- I used to live in Tokyo. (私は以前東京に住んでいた。)
一方、「be used to + 動名詞(〜ing) / 名詞」は、「〜に慣れている」という意味を表し、現在の状態を示します。ここでの「used」は形容詞「慣れた」という意味で、「to」は前置詞です。そのため、後ろには動詞の原形ではなく、動名詞(〜ing形)や名詞が来ます。
- I am used to living in Tokyo. (私は東京に住むことに慣れている。)
- She is used to hard work. (彼女はきつい仕事に慣れている。)
- He quickly got used to using chopsticks. (彼はすぐに箸を使うことに慣れた。) ※get used to 〜ing: 〜に慣れる
形は似ていますが、「be動詞(またはget)があるか」「toの後ろが動詞の原形か、動名詞/名詞か」で意味が全く変わってきます。混同しないように注意しましょう。
「would」と「used to」の違いを言語学的に解説
言語学的に、「used to」は過去の習慣や状態をマークし、現在との断絶(discontinuity)を含意する特殊な法助動詞(または半助動詞)と見なされます。一方、「would」は本来、意志・推量・仮定などを表す法助動詞ですが、過去の文脈では反復相(iterative aspect)や習慣相(habitual aspect)を表す機能も持ちます。特に物語文脈(narrative context)で過去の典型的な行動を描写する際に用いられます。「would」が状態動詞と共起しにくいのは、その動的な反復・習慣のニュアンスが、静的な状態とは意味的に相性が悪いためと考えられます。
「would」と「used to」の使い分けは、英語の法助動詞(Modal Verbs)の機能と、相(Aspect)の概念から言語学的に説明することができます。
「used to」は、文法的に少し特殊な位置づけにあり、半助動詞(semi-modal)や、独自のカテゴリーとして扱われることがあります。その主な機能は、過去の習慣(habitual)または状態(stative)をマークし、同時にそれが現在では継続していないこと(discontinuity with the present)を強く含意することです。例えば、「I used to live there」は「過去に住んでいた事実」と「現在は住んでいない」という二つの情報を伝えます。この「現在との断絶」を含意する点が、「used to」の際立った特徴です。
一方、「would」は、will, can, may, must などと同じ法助動詞(Modal Verb)であり、本来は意志、推量、丁寧さ、仮定など多様なモダリティを表します。過去の習慣を表す用法は、その多様な機能の一つであり、特に過去の反復相(iterative aspect)や習慣相(habitual aspect)を示す際に用いられます。「would」が過去の習慣を表す場合、それは過去のある時点を基準とした典型的な、あるいは繰り返された「行動」を描写するニュアンスが強くなります。これはしばしば、物語文脈(narrative context)や個人的な回想の中で、情景を描写するために使われます(例: “Every morning, he would wake up early and go for a walk.”)。
「would」が状態動詞(stative verbs: live, be, have, know, like など)と共に使われにくい理由は、この「反復・習慣」という動的な(dynamic)ニュアンスが、静的な(static)状態を表す動詞とは意味的に相性が悪いためと考えられます。状態は通常、繰り返されるものではなく、一定期間継続するものだからです。これに対し、「used to」は状態の継続とその現在との断絶を示すことができるため、状態動詞とも自然に共起します。
まとめると、「used to」は「過去の習慣・状態 + 現在との断絶」を専門にマークする表現であり、「would」は法助動詞の多機能性の一部として、主に物語的な文脈で過去の反復的・習慣的な「行動」を描写する表現、と整理できます。両者は一部意味的に重なる(過去の習慣的行動)ものの、カバーする範囲(状態を含むか)と含意(現在との断絶を強調するか)、そして文体的なニュアンス(物語的か一般的か)において明確な違いがあるのです。
僕が昔住んでいた場所の話で「would」を使い間違えた経験
僕も若い頃、英会話の練習中に「would」と「used to」の使い分け、特に「状態」には「would」が使えないというルールをうっかり忘れて、恥ずかしい思いをしたことがあります。
オンライン英会話のレッスンで、子供の頃に住んでいた町の思い出について話していた時のことです。昔は家の近くに大きな公園があって、よくそこで遊んだという話をしようとしました。
「When I was a child, I lived near a big park.」と、ここまでは良かったのですが、その公園について説明しようとして、僕はこう続けてしまったんです。
「There would be a huge slide and many trees.」 (そこには巨大な滑り台やたくさんの木があったものだった。)
自分の中では、「昔そこには〜があったなぁ」という回想のつもりで、習慣を表す「would」を使えると思い込んでいました。しかし、「〜がある、存在する」という「be」動詞は典型的な状態動詞です。
すると、先生(フィリピン人の女性講師でした)が、少し不思議そうな顔をして尋ねてきました。
「’Would be’? Are you talking about something imaginary? Or maybe something that appeared and disappeared repeatedly? For a past state, like something that existed, we usually use ‘used to be’.」 (「Would be」?何か想像上の話をしているの?それとも、繰り返し現れたり消えたりしたものの話?過去の状態、例えば存在していたものについては、普通「used to be」を使うわよ。)
先生の的確な指摘に、僕は一瞬で自分の間違いを悟りました。「Would」は繰り返しの行動であって、公園や滑り台が「繰り返しあった」わけではありません。過去に「存在していた」という状態なのだから、「used to be」を使うべきだったのです。
「Oh, you’re right! I’m sorry, I meant ‘There used to be a huge slide…’ Thank you for correcting me!」 (あ、本当ですね!すみません、「There used to be a huge slide…」が言いたかったんです。訂正ありがとうございます!)
と慌てて言い直しました。先生は笑顔で「No problem! That’s a common point of confusion.(いいのよ!よくある間違いだから気にしないで)」と言ってくれましたが、基本的なミスをしてしまったことがとても恥ずかしかったです。
この経験から、「would」はあくまで過去の「繰り返しのアクション」であり、「状態」には使えないというルールが、知識としてだけでなく、感覚として身につきました。「昔は〜だった」「昔は〜があった」という過去の状態を表現したいときは、迷わず「used to」を使う。このシンプルな原則を、あの時の赤面体験と共に、僕はしっかりと心に刻みました。
「would」と「used to」に関するよくある質問
Q1: 過去の習慣的な行動については、「would」と「used to」はいつも置き換え可能ですか?
A1: 多くの場合、過去の習慣的な行動については置き換え可能ですが、ニュアンスが異なります。「used to」は「今はもうしていない」という現在との対比を強調することが多いのに対し、「would」は単に過去の繰り返された行動を回想するニュアンスが強いです。また、「would」を使うためには、過去の特定の時期(例: When I was a child…)が文脈から明らかな場合が多いです。初めて過去の習慣に言及する際には、「used to」を使う方が自然な場合が多いでしょう。
Q2: 「would」と「used to」では、どちらがより頻繁に使われますか?
A2: 日常会話においては、「used to」の方が「would」よりも一般的に使われる頻度が高いと言えます。これは、「used to」が過去の行動と状態の両方をカバーでき、かつ「今は違う」という対比を示す便利な表現であるためです。「would」による過去の習慣の表現は、どちらかというと物語を語る際や、特定の状況下での繰り返しの行動を描写する際に使われることが多く、少し文学的な響きを持つこともあります。
Q3: 「used to」の疑問文や否定文はどのように作りますか?
A3: 「used to」は少し特殊な形をとります。
- 疑問文: 助動詞「Did」を使い、「Did + 主語 + use to + 動詞の原形…?」となります(例: Did you use to live here?)。
- 否定文: 助動詞「did not (didn’t)」を使い、「主語 + didn’t + use to + 動詞の原形…」となります(例: I didn’t use to like vegetables.)。
疑問文や否定文では、過去を示す助動詞「did」が入るため、「used」の「d」が取れて「use to」の形になるのが標準的です。ただし、特にインフォーマルな場面では「Used you to…?」や「I used not to…」のような古い形が使われることも稀にありますが、現代では「Did … use to…?」「didn’t use to…」が一般的です。
「would」と「used to」の違いのまとめ
「would」と「used to」の違い、これで自信を持って使い分けられそうでしょうか?
最後に、この記事で学んだ重要なポイントを簡潔にまとめておきましょう。
- 表せる範囲が違う:「used to」は過去の【習慣的行動】と【状態】の両方。「would」は基本的に過去の【習慣的行動】のみ。
- 状態動詞との相性:「used to」は状態動詞(live, be, have, likeなど)と使える。「would」は使えない。
- 現在の状況との対比:「used to」は「今は違う」というニュアンスを強く含むことが多い。「would」は必ずしも含まない。
- ニュアンス:「used to」は過去と現在のギャップ。「would」は過去の繰り返しの回想、物語的。
- 疑問文・否定文:「used to」は “Did … use to …?”, “didn’t use to …” という形をとる。
過去の出来事について話す際、それが「行動」なのか「状態」なのか、そして「今はどうなのか」を少し意識するだけで、「would」と「used to」のどちらがより適切か、自然と判断できるようになりますよ。
英語の助動詞や似た表現の使い分けは、最初は難しく感じるかもしれませんが、基本的なルールと核心イメージを掴めば、必ず使いこなせるようになります。さらに他の表現の違いも知りたくなったら、カタカナ語・外来語の違いをまとめたページも参考にしてみてくださいね。