「till」と「until」の違いは?継続と完了の使い分けを解説

英語で「〜までずっと」と継続を表したいとき、「till」と「until」、どちらを使えばいいか迷ったことはありませんか?

形も似ているし、意味もほとんど同じように感じますよね。

実はこの二つの単語、基本的な意味は同じですが、使われる場面のフォーマルさや文頭で使えるかどうかに微妙な違いがあるんです。この記事を読めば、「till」と「until」の基本的な違いから、ニュアンス、具体的な使い方、そして似た表現「by」との違いまでスッキリ理解でき、自信を持って使い分けられるようになります。それでは、まず最も重要な違いから見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「till」と「until」の最も重要な違い

【要点】

基本的には、「till」と「until」は「〜までずっと(継続)」という意味で同じように使えます。ただし、「until」の方がややフォーマルで、文頭(文の最初)で使えるのは「until」のみです。「till」は日常会話でより多く使われる傾向があります。

まず、結論からお伝えしますね。

「till」と「until」の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けはほぼ大丈夫です。

項目 till until
中心的な意味 〜まで(ずっと)、〜になるまで(継続を表す)
品詞 前置詞、接続詞
互換性 ほとんどの場合で交換可能
フォーマル度 ややインフォーマル、日常会話的 ややフォーマル、書き言葉でも一般的
文頭での使用 通常使わない 使える (例: Until tomorrow, …)
スペル注意 Lは2つ (‘til は ‘till の短縮形だが非標準的) Lは1つ
例文(前置詞) Wait till 5 o’clock. Wait until 5 o’clock. (どちらもOK)
例文(接続詞) Let’s wait till he comes back. Let’s wait until he comes back. (どちらもOK)
例文(文頭) × Till tomorrow, good night. Until tomorrow, good night.

一番大切なポイントは、意味と基本的な使い方はほぼ同じだということです。どちらを使うかで意味が大きく変わることはありません。ただし、フォーマルな場面や文の最初では「until」を使う方が無難、と覚えておくと良いでしょう。

なぜ違う?言葉の由来とニュアンスを探る

【要点】

「until」は古英語の「un-(〜まで)」と「til(目標、終わり)」が合わさった言葉で、「till」はその「til」に由来、または「until」が短縮された形と考えられています。歴史的には「till」の方が古いですが、現代では「until」が標準的でややフォーマル、「till」がより口語的というニュアンスの違いがあります。

ほとんど同じ意味なのに、なぜ「till」と「until」という二つの形が存在するのでしょうか? その背景には、言葉の歴史的な成り立ちと、そこから生まれた微妙なニュアンスの違いがあります。

「till」と「until」は基本的に同じ意味

まず大前提として、「till」と「until」はどちらも「〜まで(ずっと)」という継続を表す点では同じ機能を持っています。前置詞としても接続詞としても使えます。

歴史的には、「till」の方が「until」よりも古くから使われていたと考えられています。「until」は古ノルド語由来の「und」(〜まで)と古英語由来の「til」(目標、終わり)が組み合わさってできた言葉、あるいは「un-」(〜まで)という接頭辞が「til」についたものとされています。「till」は、その「til」がそのまま使われている、もしくは「until」の最初の「un-」が脱落した形だと言われています。

つまり、語源的に見ても、両者は非常に近い関係にある、あるいは「till」が「until」の元になった(または短縮形)と考えられるのです。だから、基本的な意味や使い方が同じなのは当然とも言えますね。

フォーマル度と文頭での使われ方の違い

では、なぜ使い分けが生じるのでしょうか?

それは、時代と共に言葉の使われ方が変化してきたからです。現代英語においては、

  • 「until」:より一般的で標準的な形と見なされており、書き言葉やフォーマルな場面でも問題なく使われます。
  • 「till」やや口語的でカジュアルな響きを持つとされ、日常会話で頻繁に使われます。

このようなニュアンスの違いが定着しています。ただし、「till」も決して間違いではなく、詩や歌詞などで使われることもあります。

もう一つの明確な違いは、文頭(文の最初)で使えるのは「until」だけというルールです。「Till」で文を始めるのは、通常避けられます。

× Till you finish your homework, you can’t watch TV.
Until you finish your homework, you can’t watch TV.
(宿題が終わるまで、テレビを見てはいけません。)

スペルについても注意が必要です。「till」は L が2つですが、「until」は L が1つです。時々見かける「’til」や「’till」は、「until」や「till」の短縮形としてインフォーマルな場面で使われることがありますが、標準的な書き方ではありません。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

日常会話では「Wait till I come back.(私が戻るまで待ってて)」のように「till」がよく使われます。ビジネスメールや案内文など、少し改まった場面では「Please wait until further notice.(追って通知があるまでお待ちください)」のように「until」を使う方が無難です。

「till」と「until」の使い分けを、具体的な例文を通して見ていきましょう。フォーマル度や文脈を意識するのがポイントです。

「till」を使う場合(日常会話、カジュアルな文)

友人や家族との会話など、インフォーマルな場面でよく使われます。

  • Let’s hang out till sunset. (日没まで一緒に過ごそうよ。)
  • I slept till noon today. (今日は昼まで寝てたよ。)
  • We danced till the music stopped. (私たちは音楽が止まるまで踊った。)
  • “Are you staying long?” “Only till Friday.” (「長く滞在するの?」「金曜日までだよ。」)
  • You won’t know till you try. (やってみるまで分からないよ。)

これらの文で「till」を「until」に置き換えても、文法的には全く問題ありません。ただ、「till」の方がより口語的で自然に聞こえることが多いでしょう。

「until」を使う場合(フォーマルな文、文頭)

書き言葉、ビジネスシーン、公的な案内、そして文頭で使われることが多いです。

  • Please submit the report by Friday. You have until 5 PM. (レポートは金曜日までに提出してください。午後5時までです。) ※ビジネスシーン
  • The museum is open until 6 PM. (その美術館は午後6時まで開いています。) ※案内文
  • He didn’t arrive until after midnight. (彼は真夜中過ぎまで到着しなかった。) ※否定文と共起しやすい
  • Until recently, I didn’t know about this fact. (最近まで、私はこの事実を知りませんでした。) ※文頭
  • You must wait until the light turns green. (青信号になるまで待たなければなりません。)

これらの文で「until」を「till」に置き換えても意味は通じますが、特に書き言葉やフォーマルな場面では「until」の方が好まれます。文頭では「until」一択です。

これはNG!間違えやすい使い方

意味は同じでも、使い方を間違えると不自然になります。

  • 【NG】 Till the end of the meeting, please remain silent. (会議が終わるまで、静かにしていてください。)
  • 【OK】 Until the end of the meeting, please remain silent.
  • 【OK】 Please remain silent till/until the end of the meeting.

文頭で使えるのは「until」のみです。「till」は文頭には通常置きません。

  • 【NG】 Please wait untill I return. (私が戻るまでお待ちください。)
  • 【OK】 Please wait until I return.
  • 【OK】 Please wait till I return.

スペルミスです。「until」の L は1つ、「till」の L は2つです。混同しないようにしましょう。

  • 【NG】 The store is open until 9 PM from Monday. (その店は月曜日から午後9時まで開いている。) ※起点を表している
  • 【OK】 The store is open from Monday to/until/till Friday until 9 PM. (その店は月曜日から金曜日まで、午後9時まで開いている。)
  • 【OK】 The store has been open since Monday. (その店は月曜日から開いている。)

「until/till」は継続の終わりを示す言葉であり、「〜から」という起点を示すのは「from」や「since」です。

【応用編】似ている言葉「by」との違いは?

【要点】

「till/until」が「〜までずっと(継続)」を表すのに対し、「by」は「〜までには(完了・期限)」を表します。「Wait until 5 PM.」は「5時まで待ち続ける」、「Finish by 5 PM.」は「5時までに終える」という意味の違いがあります。

「〜まで」と訳せる英語には、「till/until」の他に「by」もあります。この「by」との違いを理解することは、「till/until」の本質を掴む上で非常に重要です。

「till / until」継続

ある時点まで、動作や状態がずっと続くことを表します。「その時点になって、ようやく終わる」というニュアンスです。

  • I will stay here until Sunday. (私は日曜日までずっとここにいます。) ※日曜日の終わりまで滞在する
  • He studied till midnight. (彼は真夜中までずっと勉強した。) ※真夜中になったら勉強をやめた
  • The shop is open until 8 PM. (その店は午後8時までずっと開いている。)

「by」完了・期限

ある時点までに、動作が完了すること、あるいは期限を表します。「その時点より前か、遅くともその時点には終わらせる」というニュアンスです。

  • Please reply by Sunday. (日曜日までにご返信ください。) ※日曜日の終わりが期限
  • He must finish the work by midnight. (彼は真夜中までにその仕事を終えなければならない。) ※真夜中が期限
  • Can you come here by 8 PM? (午後8時までにここに来られますか?) ※8時ちょうどか、それ以前に

同じ時間を指定しても、「till/until」と「by」では意味が大きく異なります。

  • Wait here until 5 PM. (午後5時までずっとここで待ちなさい。)
  • Come here by 5 PM. (午後5時までにここに来なさい。)

「till/until」は継続の終了点、「by」は完了の期限点、と覚えておくと分かりやすいですね。

「till」と「until」の違いを言語学的に解説

【要点】

言語学的に、「till」と「until」は共に時間的な継続の終点を示す前置詞または従属接続詞として機能します。「until」は古英語の「un-(〜まで)」+「til(目標)」に由来し、「till」はその「til」に直接由来するか、「until」の頭音消失形とされます。意味・機能上の差はほぼなく、文体的(stylistic)な使い分け(until=フォーマル寄り、till=インフォーマル寄り)や統語的制約(文頭ではuntilのみ)が主な違いです。これらは同義語の異形態(allomorphs)に近い関係と言えます。

「till」と「until」の関係性は、言語学的な観点から見ると、意味や機能はほぼ同一でありながら、使用域(register)や統語上の振る舞いにわずかな違いが見られる興味深い例です。

両単語は、時間的な継続の終点(endpoint of duration)をマークするという共通の意味機能を持っています。どちらも前置詞として名詞句(例: until midnight)を、従属接続詞として節(例: until he arrived)を導くことができます。

語源的には、前述の通り、「until」が古英語の「un-」(ここでは「〜まで」の意味を持つ接頭辞)と「til」(古英語・古ノルド語で「目標」「終わり」)の組み合わせに由来するのに対し、「till」はその「til」自体に由来するか、あるいは「until」から強勢のない第一音節「un-」が脱落した形(頭音消失、apheresis)と考えられています。歴史的には「till」の方が「until」よりも早くから文献に現れていますが、現代英語では「until」がより標準的な形式とされています。

意味・機能上の明確な使い分けは現代英語にはほとんど存在せず、両者は多くの文脈で自由変異(free variation)に近い形で交換可能です。しかし、語用論(pragmatics)や文体論(stylistics)の観点からは、以下のような使い分けの傾向が見られます。

  • フォーマリティ(Formality):「until」は中立的〜ややフォーマルな文脈で好まれ、書き言葉で広く用いられます。一方、「till」はインフォーマル、口語的な響きを持つとされ、日常会話でより頻繁に使われます。ただし、「till」も完全にインフォーマルというわけではなく、文学作品や標準的な散文でも用いられます。
  • 統語的制約(Syntactic Constraint):文頭の位置では、「until」のみが使用可能です。「Till」で文を始めることは、現代の標準英語では容認されません(例: ○Until tomorrow / ×Till tomorrow)。これは慣習的な制約と考えられます。

しばしば見られる「’til」や「’till」といったアポストロフィ付きの形は、「until」の短縮形としてインフォーマルな場面で使われることがありますが、規範文法的には推奨されないことが多いです。特に「’till」は、「till」自体が L を二つ持つため、冗長と見なされます。

結論として、「till」と「until」は意味的にはほぼ同義であり、言語学的には同義語の異形態(allomorphs)に近い関係にあると言えます。主な違いは、フォーマリティに関する微妙なニュアンスと、文頭での使用可否という統語的な制約に集約されます。

僕がプレゼン資料で「till」を使い、指摘された経験

僕自身、「till」と「until」のフォーマル度の違いを意識せず、ビジネスシーンで少し恥ずかしい思いをした経験があります。

それは、あるクライアント向けのプレゼンテーション資料(英語)を作成していた時のことでした。プロジェクトのスケジュールに関するスライドで、「最終レポートは月末までお待ちください」というニュアンスの一文を入れることになりました。

日常会話の感覚で、僕は特に深く考えずにこう書きました。

「Please wait for the final report till the end of the month.」

自分の中では、「till」も「until」も同じ「〜まで」という意味だから問題ないだろう、と軽く考えていたのです。むしろ、「till」の方が短くてシンプルかな、くらいに思っていました。

しかし、その資料をレビューしてくれたネイティブの上司(イギリス人)から、赤字で修正が入りました。

「’Till’ is a bit informal for this type of document. Let’s use ‘until‘ here to maintain a professional tone.」 (「Till」はこの種の文書には少しインフォーマルだね。プロフェッショナルなトーンを保つために、ここでは「until」を使いましょう。)

指摘を受けて、ハッとしました。クライアントに提出する正式なプレゼンテーション資料というフォーマルな文脈では、日常会話でよく使う「till」よりも、より標準的で硬さのある「until」の方が適切だったのです。

意味が同じだからといって、どちらを使っても良いわけではない。特に書き言葉やビジネスシーンでは、場面に応じたフォーマルさを意識した単語選びが重要なのだと、改めて気づかされました。もちろん、「till」を使ったからといって致命的な間違いではありませんでしたが、細部への配慮がプロフェッショナルな印象を与える上で大切だと学びました。

それ以来、特にビジネス関連の英文を書く際には、「until」を使うことを基本とし、「till」は友人とのメールやチャットなど、よりカジュアルな場面で使うように意識しています。あの時の上司の的確なフィードバックには、今でも感謝しています。

「till」と「until」に関するよくある質問

Q1: 「till」と「until」は本当に全く同じ意味ですか? 微妙な違いはありますか?

A1: はい、「〜までずっと(継続)」という意味においては、完全に同じと考えて問題ありません。ネイティブスピーカーも意味の違いは意識していません。ただし、前述の通り、「until」の方がややフォーマルで、文頭では「until」しか使えないという違いがあります。日常会話では「till」が好まれる傾向がありますが、どちらを使っても意味は正確に伝わります。

Q2: 「’til」という表記を見かけることがありますが、これは何ですか?

A2: 「’til」は「until」の短縮形として、特にインフォーマルな文脈(歌詞、詩、友人へのメッセージなど)で使われることがあります。アポストロフィは「un-」が省略されていることを示しています。「till」と同じ意味ですが、標準的な書き方ではなく、フォーマルな文章では避けるべきです。また、「’till」(アポストロフィ付きでLが2つ)という表記は、「till」自体が短縮形ではないため、文法的には誤りとされています。

Q3: 「〜まで」を表す「till/until」と「by」の使い分けがよくわかりません。

A3: 重要な違いは「継続」か「完了・期限」かです。「till/until」は「〜までずっと続く」という継続を表します(例: Study until midnight. / 真夜中まで勉強する)。一方、「by」は「〜までには終わらせる」という完了の期限を表します(例: Finish by midnight. / 真夜中までに終わらせる)。「〜まで」という日本語訳に惑わされず、動作や状態がその時点まで続くのか、その時点までに終わるのかを考えると区別できます。

「till」と「until」の違いのまとめ

「till」と「until」、これで使い分けのポイントは掴めましたね!

最後に、この記事でお伝えした最も重要な点をまとめておきましょう。

  1. 意味はほぼ同じ:「〜までずっと(継続)」を表す前置詞・接続詞として、多くの場合で交換可能。
  2. フォーマル度の違い:「until」の方がややフォーマルで、書き言葉やビジネスシーンで好まれる。「till」はややインフォーマルで、日常会話でよく使われる。
  3. 文頭の使用:文の最初に置けるのは「until」のみ。「Till」は文頭では通常使わない。
  4. スペル注意:「till」は L が2つ、「until」は L が1つ。「’til」は非標準的な短縮形。
  5. 「by」との違い:「till/until」は【継続】の終わりを示すのに対し、「by」は【完了・期限】を示す。

基本的な意味は同じなので、神経質になりすぎる必要はありませんが、フォーマルな場面や文頭では「until」を選ぶ、と覚えておくだけで、より自然で適切な英語表現ができるようになりますよ。

言葉のニュアンスの違いは面白いですよね。他の単語の使い分けにも興味があれば、カタカナ語・外来語の違いをまとめたページをぜひご覧ください。