英語の接続詞 “if” と “whether”。「もし〜ならば」と訳したり、「〜かどうか」と訳したり、使い分けに迷うことはありませんか?
特に、間接疑問文(文の中に組み込まれた疑問文)で「〜かどうか」と言いたいとき、どちらを使えばいいのか混乱しがちですよね。
見た目も少し似ているこの二つの単語ですが、単なる「条件」を表すのか、それとも「複数の選択肢(〜か、それとも〜か)」を提示するのかという核心的な意味合いで使い分けるのが基本です。さらに、文法的な制約から “whether” しか使えない場面もあるんです。
この記事を読めば、「if」と「whether」の根本的な意味の違いから、文法ルールに基づいた具体的な使い分け、間違いやすいポイントまでスッキリ理解でき、自信を持って使いこなせるようになります。それでは、まず最も重要な違いから見ていきましょう。
結論:一覧表でわかる「if」と「whether」の最も重要な違い
基本的には、「if」は「もし〜ならば」という条件を表し、「whether」は「〜かどうか」という選択肢や疑念を表すと覚えるのが簡単です。「〜かどうか」の意味では “if” も使えますが、”whether” の方がフォーマルで、文法的に “whether” しか使えない場合もあります。
まず、結論からお伝えしますね。
「if」と「whether」の最も重要な違いと使い方を、以下の表にまとめました。まずはこれを押さえておけば、基本的な使い分けは大丈夫でしょう。
| 項目 | if | whether |
|---|---|---|
| 核心イメージ | もし〜ならば(条件) | 〜かどうか(選択肢・疑念) |
| 主な役割 | ・副詞節を導く(条件) ・名詞節を導く(〜かどうか) |
・名詞節を導く(〜かどうか) |
| 「〜かどうか」の意味 | 使える(主に動詞の目的語として) | 使える(よりフォーマル、幅広い文構造で必須) |
| “or not” との相性 | 直後に “or not” を置けない | 直後にも文末にも “or not” を置ける |
| 文法的な制約 | 前置詞の後、主語、補語、不定詞の前では使えない | 前置詞の後、主語、補語、不定詞の前でも使える |
| フォーマル度 | 普通 | ややフォーマル |
一番のポイントは、「もし〜ならば」という条件を表すときは “if” しか使えないことです。一方で、「〜かどうか」という選択肢を表すときは、基本的には “whether” を使うのが無難であり、特に文法的に “whether” が必須となる場面がある、という点ですね。
例えば、「もし雨なら、家にいます」は “If it rains, I will stay home.” です。「彼が来るかどうか知りません」は “I don’t know whether he will come.” または “I don’t know if he will come.” の両方が可能ですが、”whether” の方がより正確でフォーマルな響きになります。
なぜ違う?核心的な意味(条件 vs 選択肢)から違いを掴む
「if」の根幹は「もし〜という条件が満たされたら」という仮定です。「whether」は「どちらか一方」という意味合いが強く、「AかBか」「〜するかしないか」という選択肢や不確実性を提示するイメージです。
なぜ “if” と “whether” で意味や使い方が異なるのでしょうか?それぞれの単語が持つ核心的なイメージを探ってみましょう。
「if」の核心イメージ:もし〜ならば(条件)
“if” の最も基本的なイメージは、「もし〜という条件が満たされた場合に…」という仮定や条件を示すことです。ある状況(条件)が成立するかどうかが、その後の結果に影響を与える、という関係性を表します。
【「if」のイメージ】
- If you study hard, you will pass the exam. (もし一生懸命勉強すれば、試験に合格するだろう。)→ 勉強することが合格の条件
- Let me know if you need help. (もし助けが必要なら、知らせてください。)→ 助けが必要な状況が条件
この「条件」のイメージが根幹にあるため、「〜かどうか」という意味で使われる場合でも、どこか仮定的なニュアンスが残ることがあります。
「whether」の核心イメージ:〜かどうか(選択肢・疑念)
“whether” は、古英語の “hwæðer” に由来し、もともと「二者のうちどちらか (which of two)」という意味を持っていました。
この語源からも分かるように、「whether」の核心的なイメージは、二つ(あるいはそれ以上)の可能性・選択肢を提示し、「〜か、それとも〜か」「〜するかしないか」という不確実性や疑念を表すことです。
多くの場合、「or not(〜であろうとなかろうと)」という言葉と一緒に使われたり、その意味合いを含んだりします。
【「whether」のイメージ】
- I wonder whether it will rain tomorrow (or not). (明日雨が降るかどうか疑問だ。)→ 降るか降らないかの選択肢
- The question is whether he is telling the truth. (問題は彼が真実を語っているかどうかだ。)→ 真実か嘘かの選択肢
このように、「if」が単一の「条件」に焦点を当てるのに対し、「whether」は複数の「選択肢」や「可能性」を天秤にかけるようなイメージを持つと、使い分けがしやすくなりますね。
具体的な例文で使い方をマスターする
「もし〜なら」という条件節は “if” を使います。「〜かどうか」という名詞節では、動詞の目的語になる場合は “if” も “whether” も使えますが、文の主語・補語になる場合や、前置詞の後、to不定詞の前では “whether” しか使えません。”whether or not” の形も特徴的です。
核心イメージが掴めたところで、具体的な例文を通して、どのような場面でどちらを使うべきか、あるいはどちらも使えるのかを見ていきましょう。
「if」が適切な場面(条件節)
「もし〜ならば」という意味で、文の主節に対する条件を示す副詞節を導く場合は、”if” を使います。”whether” はこの用法では使えません。
- If you are tired, you should rest. (もし疲れているなら、休むべきです。)
- We will go hiking if the weather is fine tomorrow. (もし明日天気が良ければ、私たちはハイキングに行きます。)
- If I were rich, I would travel around the world. (もし私がお金持ちなら、世界中を旅するだろうに。)[仮定法]
「whether」が適切な場面(名詞節:〜かどうか)
「〜かどうか」という意味で、文の中で主語、目的語、補語などの名詞の役割を果たす節(名詞節)を導く場合は、”whether” が基本です。特に、以下のような文構造では “whether” が必須、または強く推奨されます。
1. 文の主語になる場合
“〜かどうかは…” と文の主語になる場合は “whether” を使います。”if” は使えません。
- Whether she comes or not is uncertain. (彼女が来るかどうかは不確かです。)
- Whether we can finish it on time depends on the team. (時間通りに終えられるかどうかはチーム次第です。)
2. 文の補語になる場合
“The problem is 〜” や “My concern is 〜” のように、be動詞などの後ろに来て主語を説明する補語になる場合は “whether” が好まれます。
- The main issue is whether we have enough budget. (主な問題は、十分な予算があるかどうかです。)
- My question is whether you agree with this plan. (私の疑問は、あなたがこの計画に同意するかどうかです。)
3. 前置詞の目的語になる場合
“about”, “of”, “on”, “for” などの前置詞の後ろに来る場合は “whether” を使います。”if” は使えません。
- We talked about whether we should postpone the meeting. (私たちは会議を延期すべきかどうかについて話しました。)
- There is some doubt as to whether he is qualified. (彼が適任かどうかについては疑問があります。)
- The decision depends on whether the report is accurate. (その決定は報告書が正確かどうかにかかっています。)
4. to不定詞が続く場合
“whether to do something” (〜すべきかどうか)の形で、to不定詞が続く場合は “whether” を使います。”if” は使えません。
- I can’t decide whether to buy the red one or the blue one. (赤い方を買うべきか青い方を買うべきか決められません。)
- She is considering whether to accept the job offer. (彼女はその仕事のオファーを受け入れるべきかどうか考えています。)
5. “or not” が直後に来る場合
“whether or not” のように “or not” が直後に続く場合は “whether” を使います。”if or not” という形は通常使いません。
- Please let me know whether or not you can attend. (出席できるかどうか知らせてください。)
- He asked me whether or not I needed help. (彼は私に助けが必要かどうか尋ねた。)
(※ “or not” は文末に置くことも可能です: Please let me know whether you can attend or not. / I don’t know if you can attend or not.)
「if」も使えるが「whether」が好まれる場面
「〜かどうか」という意味の名詞節が、動詞の目的語になる場合(例: “I don’t know 〜”, “Ask him 〜”)、”if” と “whether” の両方が使えます。ただし、”whether” の方がややフォーマルで、曖昧さが少ないとされます。
- I don’t know if he will come.
- I don’t know whether he will come (or not). (彼が来るかどうか知りません。)
- Can you ask her if she needs anything?
- Can you ask her whether she needs anything (or not)? (彼女が何か必要かどうか尋ねてくれますか?)
特に書き言葉やフォーマルな会話では、”whether” を使う方が好まれる傾向があります。
これはNG!間違えやすい使い方
文法的な制約を無視すると間違いになります。
- 【NG】 I’m thinking about if I should go. (前置詞 “about” の後なので if は不可)
- 【OK】 I’m thinking about whether I should go.
- 【NG】 If it is true or not doesn’t matter. (文の主語なので if は不可)
- 【OK】 Whether it is true or not doesn’t matter.
- 【NG】 He can’t decide if to stay or leave. (to不定詞の前なので if は不可)
- 【OK】 He can’t decide whether to stay or leave.
- 【NG】 Let’s discuss if or not we need more time. (“if or not” の形は不可)
- 【OK】 Let’s discuss whether or not we need more time.
- 【OK】 Let’s discuss whether we need more time or not.
- 【OK】 Let’s discuss if we need more time or not.
これらのルール、特に “whether” しか使えない場面をしっかり押さえておきたいですね。
【応用編】似ている表現「in case」との違いは?
「in case」は「〜するといけないから」「〜する場合に備えて」という意味で、未来の可能性に「備える」ニュアンスを表します。「if」は単なる「条件」を示すのに対し、「in case」は予防的な行動の理由を示します。「whether」の「選択肢」とは意味が異なります。
“if” と少し似ていて混同しやすい表現に “in case” があります。これも違いを確認しておきましょう。
“if” は「もし〜ならば」という条件を示し、その条件が満たされたらどうなるか(どうするか)を述べます。
一方、”in case” は「〜するといけないから」「〜する場合に備えて」という意味で、未来に起こるかもしれないことに備えて、事前に行動する理由を示します。
【if の場合】
- Take your umbrella if it rains. (もし雨が降ったら、傘を持っていきなさい。)→ 雨が降るという条件が満たされたら、傘を持つ。
【in case の場合】
- Take your umbrella in case it rains. (雨が降るといけないから[雨が降る場合に備えて]、傘を持っていきなさい。)→ 雨が降る可能性に備えて、事前に傘を持つ。
“if” の文では、雨が降ってから傘を持っていけば良いですが、”in case” の文では、雨が降るかどうかわからないうちから、念のために傘を持っていきます。この「備え」のニュアンスが “in case” の特徴です。
“whether” は「〜かどうか」という選択肢を表すので、「if」とも「in case」とも意味合いが異なりますね。
「if」と「whether」の違いを英語学習の視点から解説
英語学習において “if” と “whether” の区別は、文法的な正確さ、特に名詞節の用法とフォーマルさの理解度を示す指標となります。”if” の多機能性(条件節・名詞節)と “whether” の特定用途(選択肢の提示、文法制限)を区別し、文脈に応じて適切に使い分ける能力は、中級以上の英語運用能力に不可欠です。
英語教育の現場では、「if」と「whether」の使い分けは、学習者が英語の文構造、特に節(clause)の機能をどれだけ正確に理解しているかを示す重要なポイントとして扱われます。
多くの学習者は、まず「もし〜ならば」という条件を表す副詞節の “if” を学びます。これは比較的理解しやすい用法です。問題は、「〜かどうか」という意味で名詞節を導く場合です。
なぜなら、
- 「〜かどうか」の意味でも “if” が使える場面があること(主に動詞の目的語)。
- しかし、文法的な制約から “whether” しか使えない場面があること(主語、補語、前置詞の後、to不定詞の前)。
- “whether” の方が一般的にフォーマルで、曖昧さが少ないとされること。
これらの点が複雑に絡み合い、混乱を招きやすいのです。
教育のステップとしては、
- まず、条件の “if” をしっかり定着させる。
- 次に、「〜かどうか」という間接疑問を表す際に “whether” が基本であることを教える。特に “whether or not” や “whether to do” の形を導入する。
- その上で、「動詞の目的語」になる場合に限り、口語では “if” もよく使われることを補足する。
- 最後に、”whether” しか使えない文法的なケース(主語、補語、前置詞の後など)を整理して提示する。
という流れが一般的です。
特に重要なのは、「if」と「whether」が導く節が、文全体の中でどのような役割(副詞的な条件か、名詞的な要素か)を果たしているかを意識させることです。これができれば、「〜かどうか」の意味で “if” が使えるのは限定的であり、迷ったら(特に書き言葉では) “whether” を使う方が安全である、という判断ができるようになります。
この使い分けは、単語の意味だけでなく、文全体の構造を読む力、そしてフォーマルさを意識した表現を選ぶ力に関わってくるため、英語の正確性を高める上で避けては通れない学習項目と言えるでしょう。
僕が「if」を使うべきか「whether」を使うべきか悩んだ学生時代のレポート
僕自身、大学時代に英語でレポートを書いているとき、「if」と「whether」の使い分けで頭を抱えた記憶があります。
社会学の授業で、ある調査結果について考察するレポートを書いていました。その調査では、回答者の満足度が、特定の要因によって影響を受ける「かどうか」が焦点の一つでした。
レポートの中で、「この要因が満足度に影響を与えるかどうかは、さらなる分析が必要である」という一文を入れたかったのです。最初は、日常会話の感覚でこう書きました。
“If this factor affects satisfaction needs further analysis.”
しかし、書いてみて何か違和感がありました。「もしこの要因が満足度に影響を与えるならば、さらなる分析が必要だ」という意味にも取れてしまう気がしたのです。僕が言いたいのは「影響を与えるか、与えないか、その点について」分析が必要だ、ということでした。
ここで、「〜かどうか」だから “whether” かな?と思い、辞書や文法書を引っ張り出して調べました。そして、「〜かどうかが…」のように文の主語になる場合は “if” は使えず、”whether” を使わなければならないというルールを発見したのです。
まさに僕が書こうとしていた文は、「〜かどうかが (Whether this factor affects satisfaction)」文の主語になっていました。
慌てて書き直しました。
“Whether this factor affects satisfaction needs further analysis.”
これでようやく、意図した通りの「影響を与えるかどうかは、さらなる分析が必要だ」という意味が明確になりました。もし最初の “if” のまま提出していたら、意味が曖昧で減点されていたかもしれません。
この経験を通して、単語の意味だけでなく、文の中での役割(主語、目的語など)によって使える単語が決まるという、文法の重要性を痛感しました。特にレポートや論文のような正確性が求められる文章では、こうした細かな使い分けが大切になるんですよね。
「if」と「whether」に関するよくある質問
Q1: “I don’t know if/whether…” の場合、どちらを使うのが一般的ですか?
A1: 日常会話では“if” が非常によく使われ、自然に聞こえます。書き言葉やフォーマルな場面では、曖昧さを避け、より正確な表現として“whether” が好まれる傾向があります。迷ったら “whether” を使っておくのが無難と言えます。
Q2: “whether or not” の “or not” は省略できますか?
A2: はい、多くの場合省略可能です。”I don’t know whether he will come.” のように “or not” がなくても「彼が来るかどうか(来ないのかどうか)」の意味合いは通常伝わります。ただし、「〜であろうとなかろうと」という譲歩の意味を強調したい場合(例: “Whether you like it or not, you have to do it.” あなたが好むと好まざるとに関わらず、それをしなければならない)や、選択肢を明確に示したい場合は “or not” を付けた方が良いでしょう。
Q3: 条件を表す “if” と「〜かどうか」の “if” を見分ける方法はありますか?
A3: 文脈と文構造で見分けます。条件を表す “if” 節は副詞節として、主節全体を修飾します(例: If it rains [副詞節], I will stay home [主節].)。一方、「〜かどうか」の “if” 節は名詞節として、文の中で動詞の目的語になります(例: I don’t know [動詞] if it will rain [名詞節].)。文法的な役割が違う点に着目すると見分けやすくなります。
「if」と「whether」の違いのまとめ
英語の接続詞、「if」と「whether」の使い分け、これでスッキリしましたね!
最後に、この記事のポイントをまとめておきましょう。
- 核心イメージ:「if」は「もし〜ならば」(条件)、「whether」は「〜かどうか」(選択肢・疑念)。
- 条件節は “if” のみ:「もし〜ならば」の意味では “if” しか使えない。
- 「〜かどうか」の名詞節:基本は“whether” が無難。動詞の目的語の場合は “if” も使えるが、ややインフォーマル。
- “whether” が必須の場面:文の主語・補語、前置詞の後、to不定詞の前、直後の “or not” では “whether” しか使えない。
- フォーマル度:”whether” の方が “if” よりもややフォーマル。
「〜かどうか」と言いたい場面で、文法的に “if” が使えるかどうか迷ったら、とりあえず “whether” を使っておけば間違いありません。特に、書き言葉やビジネスシーンでは “whether” を選ぶ方が、より正確で丁寧な印象を与えることが多いでしょう。
この二つの単語のニュアンスとルールを理解して、状況に合わせて的確に使い分けられるよう、ぜひ練習してみてください。言葉の使い分けについてさらに知りたい方は、カタカナ語・外来語の違いをまとめたページもぜひご覧ください。