「解決する」と訳されることが多い英語の “resolve” と “solve”。
似たような意味に感じられますが、実は使うべき状況が異なります。あなたはこれらの違いを正しく理解し、自信を持って使い分けられていますか?
「この問題は solve するべき? それとも resolve…?」と迷ってしまうこともありますよね。実は、明確な答えや解決策を見つけるのか、それとも対立や疑念に決着をつけたり、固い決意をしたりするのか、という点で使い分けるのがポイントなんです。
この記事を読めば、「resolve」と「solve」の根本的なニュアンスの違いから、具体的な使い方、似た単語との比較までスッキリ理解でき、より的確な英語表現ができるようになります。それでは、まず最も重要な違いから見ていきましょう。
結論:一覧表でわかる「resolve」と「solve」の最も重要な違い
基本的には、「solve」は問題やパズルに対する明確な「答え」や「解決策」を見つけることを指し、「resolve」は意見の対立や紛争に「決着をつける」、問題を分解して「明確にする」、あるいは固く「決意する」ことを指すと覚えるのが簡単です。
まず、結論からお伝えしますね。
「resolve」と「solve」の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けは大丈夫でしょう。
| 項目 | resolve | solve |
|---|---|---|
| 核心イメージ | 決着をつける、決意する、分解する | 答え・解決策を見つける |
| 主な対象 | ・紛争、対立、意見の不一致 ・疑念、問題点 ・決意、決心 ・(化学)分解、分離 |
・数学の問題、パズル、謎 ・具体的な課題、困難な状況 |
| ニュアンス | ・議論や交渉を経て合意に至る ・複雑なものを分析して明確にする ・強い意志を持って決める |
・論理的な思考や分析によって正解を導き出す |
| 解決の性質 | 終結させる、はっきりさせる、固める | 正解・手順を見つける |
| 名詞形 | resolution (決意、解決、分解能) | solution (解決策、解答) |
一番のポイントは、“solve” が数学の問題やミステリーのように「正解」が存在するものを解き明かすイメージなのに対し、“resolve” は争いごとを収めたり、迷いを断ち切って決心したりするイメージが強い、という点ですね。
例えば、数学の「問題」は “solve a problem” ですが、二国間の「紛争」は “resolve a conflict” と言うのが自然です。
なぜ違う?核心的な意味(答え vs 決意・決着)から違いを掴む
どちらもラテン語の「緩める(solvere)」が語源ですが、「resolve」は「再び/徹底的に緩める」ことから、「分解する」「疑念を解きほぐす」「固まったものを緩めて決着させる/決意する」という多義的な意味を持ちます。「solve」はシンプルに「問題を解きほぐす」→「答えを見つける」という意味合いです。
なぜこれらの言葉に意味の違いが生まれたのでしょうか?言葉の成り立ちを探ると、それぞれの核心的なイメージが見えてきます。
「resolve」の核心イメージ:決意する、分解して明確にする、決着をつける
“resolve” の語源はラテン語の “resolvere” にあります。これは “re-“(再び、徹底的に)と “solvere”(緩める、解く)が組み合わさった言葉です。
この「再び(徹底的に)緩める」というイメージから、以下のような多様な意味が派生しました。
- 分解する、分析する: 複雑なものを構成要素に「解きほぐして」明確にする。(例:光をスペクトルに分解する)
- 疑念や問題を解きほぐす: 不明瞭な点を「解き明かして」はっきりさせる、解決に導く。
- 決着をつける、解決する: 硬直した対立や問題を「緩めて」終結させる。
- 決意する、決心する: 心の中の迷いを「解きほぐし」、固い意志を定める。
何か固まっていたり、もつれていたりするものを、解きほぐして「はっきりさせる」「終わらせる」「固める」というニュアンスが共通して感じられますね。
「solve」の核心イメージ:答えや解決策を見つけ出す
“solve” も同じくラテン語の “solvere”(緩める、解く)を語源としています。”resolve” のような接頭辞 “re-” は付きません。
こちらはより直接的に、問題や謎、パズルなどの「もつれ」を「解きほぐし」、明確な「答え」や「解決策(solution)」を見つけ出すというイメージが中心です。
数学の問題を解く、犯罪の謎を解く、困難な状況を打開する具体的な方法を見つける、といった場面で使われます。そこには通常、論理的な思考や分析によってたどり着くべき「正解」が存在します。
このように語源は同じでも、”re-” が付くかどうかで、意味の焦点が異なってきたわけですね。
具体的な例文で使い方をマスターする
固い決意(新年の抱負など)、紛争や意見の対立の解決、疑念の解消、物質の分解などには「resolve」を使います。数学の問題、パズル、ミステリー、具体的な課題の解決策を見つける場合には「solve」を使います。
核心イメージの違いがわかったところで、具体的な例文を見て使い方に慣れていきましょう。
「resolve」が適切な場面(決意、紛争解決、分解など)
意志決定、合意形成、分析などの文脈で使われます。
- She resolved to quit smoking next year. (彼女は来年禁煙することを固く決意した。)→ 決意
- They finally resolved their differences through discussion. (彼らは話し合いを通じて最終的に意見の相違を解決した。)→ 紛争・対立の決着
- We need to resolve the issue of resource allocation. (私たちは資源配分の問題を解決する必要がある。)→ 問題点への決着・合意形成
- This meeting aims to resolve any remaining doubts. (この会議は残っている疑念をすべて解消することを目指しています。)→ 疑念の解消
- The microscope can resolve very fine details. (その顕微鏡は非常に細かい細部を分解して見せることができる。)→ 分解・分析
- He resolved never to make the same mistake again. (彼は二度と同じ過ちを犯さないと固く誓った。)→ 決意
これらの場合、”solve” を使うと不自然に聞こえることが多いです。
「solve」が適切な場面(問題解決、謎解きなど)
明確な答えや解決策が求められる文脈で使われます。
- Can you solve this math problem? (この数学の問題を解けますか?)→ 答えがある問題
- The detective managed to solve the mystery. (その探偵は何とかその謎を解き明かした。)→ 謎解き
- We are looking for ways to solve the traffic congestion issue. (私たちは交通渋滞問題を解決する方法を探しています。)→ 具体的な課題への解決策
- Technology can help solve many global challenges. (テクノロジーは多くの地球規模の課題を解決するのに役立つ。)→ 困難な状況への対処
- He quickly solved the Rubik’s Cube. (彼は素早くルービックキューブを解いた。)→ パズル
これらの場合、”resolve” を使うことも稀にありますが(例えば問題を分析して明確にするニュアンス)、一般的には “solve” の方がずっと自然です。
これはNG!間違えやすい使い方
核心イメージを取り違えると、おかしな表現になります。
- 【NG】 I solved to start exercising from tomorrow. (決意なので solve は不適切)
- 【OK】 I resolved to start exercising from tomorrow.
- 【NG】 The leaders met to solve the border dispute. (紛争は解決策を見つけるというより決着をつけるもの)
- 【OK】 The leaders met to resolve the border dispute.
- 【NG】 Let’s resolve this puzzle together. (パズルは答えを見つけるもの)
- 【OK】 Let’s solve this puzzle together.
特に「決意する」の意味で “solve” を使ったり、紛争や意見の対立に “solve” を使ったりする間違いが多いので注意したいですね。
【応用編】似ている言葉「settle」との違いは?
「settle」は、議論や紛争などに「終止符を打つ」「決着をつける」という意味で “resolve” と非常に近いです。”resolve” の方がややフォーマルで、根本的な解決や合意形成のニュアンスが強い場合がありますが、多くの場合で互換性があります。「solve」の「答えを見つける」という意味は含みません。
“resolve” と意味が非常に似ていて混同しやすいのが “settle” です。「解決する」「決着をつける」といった意味で使われます。
“resolve” と “settle” は、特に紛争、議論、意見の不一致などを終わらせるという意味では、多くの場合で置き換え可能です。
- They tried to resolve / settle the argument peacefully. (彼らは平和的にその口論を解決しようとした。)
- The case was resolved / settled out of court. (その事件は示談で解決した。)
ただし、ニュアンスの違いが少しあります。
- resolve: より根本的な解決や、議論を通じた合意形成を意味することがあります。また、「決意する」「分解する」といった “settle” にはない意味も持ちます。ややフォーマルな響きがあります。
- settle: 議論や争いに「終止符を打つ」「確定させる」というニュアンスが強いです。最終的な決定を下す、支払いを済ませる(settle the bill)といった意味でも使われます。”resolve” よりやや口語的です。
紛争解決の文脈ではほぼ同じように使えますが、「問題を分析して明確にする」や「固く決意する」と言いたい場合は “resolve” を選ぶ必要があります。
もちろん、”solve” の持つ「答えを見つける」という意味は “settle” にもありません。
「resolve」と「solve」の違いを英語学習の視点から解説
英語学習では、まず「solve = 答えを見つける」と「resolve = 決着/決意」という基本的な意味の違いを例文と共に覚えることが重要です。特に “resolve” は多義的なので、文脈から意味を判断する練習が必要です。類義語 (“settle” など) とのニュアンスの違いを意識することで、より精緻な語彙力が身につきます。
英語学習者が “resolve” と “solve” の使い分けでつまずくのは、どちらも日本語の「解決する」に訳せてしまうからですよね。しかし、英語ネイティブはこれらを明確に区別しています。この区別を理解することは、より自然で正確な英語を身につける上で重要です。
英語教育の観点からは、以下の点がポイントになります。
- 核心イメージの対比: まず、「solve = 答えを出す」「resolve = 決着をつける or 決意する」という、最も対照的な核心イメージをしっかりと植え付けることが大切です。数学の問題 (solve) と喧嘩の仲裁 (resolve) のような、具体的な場面を対比させて示すのが効果的です。
- “Resolve” の多義性への注意: “Solve” の意味は比較的限定的ですが、”resolve” は「決意する」「分解する」「(会議で)決議する」など、文脈によって意味が大きく変わります。辞書で複数の意味を確認し、例文を通してそれぞれの用法に慣れる必要があります。特に「決意する」の意味は “solve” にはないため、混同しないよう注意が必要です。
- 名詞形との関連付け: それぞれの名詞形 “solution” (解決策、解答) と “resolution” (決意、解決、分解能) の意味の違いと関連付けて覚えることで、動詞のニュアンスの理解が深まります。
- 共起表現(コロケーション)での学習: どのような名詞と一緒に使われやすいか(例: solve a problem/mystery, resolve a conflict/dispute/issue/doubt)をセットで覚えることが、実践的な運用能力を高めます。
- 類義語との比較: “settle” のような類義語との微妙なニュアンスの違いを意識することで、より洗練された語彙選択が可能になります。
単に日本語訳を覚えるのではなく、それぞれの単語がどのような「種類の」解決を指しているのか、その背景にあるイメージや文脈を理解することが、使い分けの鍵となります。多くの例文に触れ、「この状況ならどっちが自然か?」と考える練習が効果的ですね。
僕が会議で「solve」と「resolve」を混同してしまった体験談
僕も以前、社内の英語での会議中に “solve” と “resolve” を混同してしまい、少し気まずい空気になったことがあります。
その会議では、部署間の意見の対立から生じているプロジェクトの遅延について話し合っていました。様々な意見が出た後、僕は議論をまとめようとして、良かれと思ってこう発言したんです。
“Okay, let’s solve this disagreement and move forward.”
(よし、この意見の不一致を解決して、前に進みましょう。)
僕としては「この問題を解決しよう」くらいの軽い気持ちで “solve” を使ったつもりでした。しかし、その言葉を聞いた瞬間、対立していた部署のリーダーの一人が、少しムッとした表情になったのが分かりました。
会議の後、同僚のネイティブスピーカーにそっと指摘されました。
「さっきの ‘solve this disagreement’ っていう表現だけど、ちょっと違和感があったかもね。’solve’ は普通、数学の問題みたいに正しい答えが一つあるものを『解く』っていうニュアンスなんだ。意見の対立みたいに、どっちが完全に正しいというわけじゃないものを『解決する』場合は、‘resolve’ を使う方が自然だよ。『決着をつける』とか『合意点を見出す』みたいな感じかな。」
なるほど、と思いました。僕が “solve” と言ったことで、「(我々のどちらかが間違っていて、正しい)答えを出そう」というような、少し上から目線というか、対立を煽るような響きに聞こえてしまったのかもしれません。”resolve” を使っていれば、「この対立状態をなんとか収めましょう」という、より協調的なニュアンスになったはずです。
言葉一つで、相手に与える印象や場の雰囲気が変わってしまうことを痛感した出来事でした。特に意見が対立しているようなデリケートな場面では、言葉のニュアンスに細心の注意を払う必要があると学びました。それ以来、会議で「解決」という言葉を使いたいときは、それが「答えを出す」べき問題なのか、「決着をつける」べき状況なのかを、一瞬考えるようになりましたね。
「resolve」と「solve」に関するよくある質問
Q1: “resolve a problem” と “solve a problem” はどちらも使えますか?違いは?
A1: どちらも使えますが、ニュアンスが異なります。“solve a problem” は、問題に対する具体的な解決策や答えを見つけることに焦点を当てます(例:技術的な問題の解決策を見つける)。一方、“resolve a problem” は、問題となっている状況自体に決着をつけたり、不明瞭な点を明確にしたりするニュアンスが強くなります(例:顧客からのクレーム[問題]に対応し解決する)。”resolve” の方が、より複雑な状況や意見の対立を含む問題に使われる傾向があります。
Q2: 「決意する」という意味では “solve” は使えませんか?
A2: はい、使えません。「~しようと固く決心する」という意味では、必ず “resolve” (resolve to do something) を使います。例えば、「彼はもっと運動しようと決意した」は “He resolved to exercise more.” となります。”He solved to exercise more.” とは言いません。
Q3: 名詞形の “resolution” と “solution” の違いは何ですか?
A3: 動詞の意味の違いがそのまま反映されます。“solution” は問題やパズルに対する具体的な「解決策」「解答」を指します。一方、“resolution” は「決意」「決議」「(紛争などの)解決」、そしてカメラやディスプレイの「解像度」(細かく分解する能力)といった複数の意味を持ちます。
「resolve」と「solve」の違いのまとめ
「解決する」を意味する “resolve” と “solve” の違い、これでしっかり区別できるようになったでしょうか?
最後に、この記事のポイントをまとめておきましょう。
- 核心イメージ:「solve」は「答え・解決策を見つける」(問題、パズルなど)。「resolve」は「決着をつける、決意する、分解する」(紛争、疑念、決心など)。
- 対象の違い:「solve」は正解があるもの。「resolve」は合意形成や意志決定、分析が必要なもの。
- 「決意する」は “resolve” のみ:固い決心を表すときは “resolve to do”。
- 名詞形も連動:”solution” は解決策、”resolution” は決意・解決・解像度。
- 類義語 “settle”:紛争解決では “resolve” と似るが、「終止符を打つ」ニュアンス。
数学の問題を解くときは “solve”、会議で意見の対立を収めるときは “resolve”、新年の抱負を決めるときも “resolve”。この感覚を掴めば、もう迷うことは少なくなるはずです。
似ているようで異なるニュアンスを持つ単語を使い分けることは、英語の表現力を豊かにする上でとても大切です。ぜひ、実際のコミュニケーションの中で意識して使ってみてくださいね。言葉の使い分けについてさらに知りたい方は、カタカナ語・外来語の違いをまとめたページもぜひご覧ください。