「電気の~」と英語で言いたいとき、「electric」と「electrical」、どちらを使うか迷った経験はありませんか?
どちらも「電気」に関連する言葉ですが、使い方には明確な違いがあるんです。
基本的には、それが電気で「動く」ものなのか、電気に「関連する」ものなのかで使い分けます。この記事を読めば、「electric」と「electrical」のニュアンスの違いから具体的な使い方、さらには似た言葉「electronic」との区別までスッキリ理解でき、英文作成や英会話で迷うことはもうありません。それでは、まず最も重要な違いから見ていきましょう。
結論:一覧表でわかる「electric」と「electrical」の最も重要な違い
「electric」は主に「電気で動く、電気を起こす」ものを指し、「electrical」は「電気に関する、電気を使った」ものをより広範に指します。具体的な機器名には「electric」、分野や抽象的な事柄には「electrical」と覚えるのが簡単です。
まず、結論からお伝えしますね。
「electric」と「electrical」の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。
| 項目 | electric | electrical |
|---|---|---|
| 中心的な意味 | 電気で動く、電気を利用する、電気を生み出す | 電気に関する、電気の、電気を使った |
| 主な対象 | 具体的な機器や装置 (例:electric car, electric guitar, electric shock) |
分野、問題、職業、抽象的な概念 (例:electrical engineering, electrical fault, electrical equipment) |
| ニュアンス | 直接的に電気を動力源とするイメージ | 電気という分野やシステム全体に関連するイメージ |
| 品詞 | 形容詞 | 形容詞 |
| 使い分けのヒント | ~ powered by electricity | relating to electricity |
一番大切なポイントは、電気を直接のエネルギー源として「動く」具体的なモノには「electric」、電気という「分野」や「システム」に関連するコトやモノには「electrical」を使う、ということですね。
例えば、「電気自動車」は電気で動くので **electric car**、「電気技師」は電気に関する職業なので **electrical engineer** となります。
なぜ違う?言葉の核心的な意味からイメージを掴む
どちらも語源は「琥珀(electricityの語源)」ですが、「electric」はより直接的に「電気そのもの」の力で動くイメージ、「electrical」は「〜に関する」という接尾辞「-al」がつき、より広範な関連性を示すイメージを持つと理解しやすいでしょう。
なぜこの二つの似た言葉が存在し、使い分けられるのでしょうか。成り立ちを探ってみると、そのニュアンスの違いが見えてきますよ。
「electric」の核心:電気で「動く」モノ
「electric」も「electrical」も、語源を辿ればギリシャ語の「ēlektron(琥珀)」に行き着きます。古代ギリシャで琥珀を擦ると静電気が発生することから、「electricity(電気)」という言葉が生まれました。
「electric」は、この「electricity」から派生した形容詞で、「電気そのものの力によって動く・作用する」という直接的な関係性を示すのが核心的なイメージです。
電気を動力として走る車(electric car)、電気信号で音を出すギター(electric guitar)、電気による衝撃(electric shock)など、電気エネルギーが直接的な原因や動力となっているモノや現象に使われることが多いですね。
「electrical」の核心:電気に「関連する」コト・モノ
一方、「electrical」は、「electric」に接尾辞「-al」が付いた形です。この「-al」は「~に関する」「~の性質を持つ」といった意味を加える接尾辞です(例: nature → natural, industry → industrial)。
そのため、「electrical」は、「electric」が持つ直接的な「電気で動く」という意味合いから一歩引いて、「電気という分野やシステムに広く関連する」という間接的・包括的な関係性を示すのが核心的なイメージになります。
電気を扱う学問分野(electrical engineering)、電気系統の故障(electrical fault)、電気工事士(electrical contractor)、電気器具全般(electrical appliances/equipment)など、より広い範囲の「電気関連の」コトやモノに使われるわけですね。
具体的な例文で使い方をマスターする
「電気毛布」は **electric blanket**、「電気配線」は **electrical wiring** です。具体的な製品か、システムの一部かで判断しましょう。
言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。
ビジネスと日常、そして間違いやすいNG例を見ていきましょう。
ビジネスシーンでの使い分け
技術文書や報告書、製品説明などで正確な使い分けが求められます。
【OK例文:electric】
- Our company is developing a new type of electric motor. (当社は新型の電動モーターを開発しています。)
- The building is equipped with an electric generator for emergencies. (その建物は緊急時用の発電機を備えています。)
- Safety precautions must be taken to avoid electric shock. (感電を避けるために安全予防策を講じなければならない。)
【OK例文:electrical】
- We need to hire an experienced electrical engineer. (経験豊富な電気技術者を採用する必要がある。)
- A sudden power surge caused an electrical failure in the system. (突然の電力サージがシステムの電気的故障を引き起こした。)
- Please check all the electrical connections before starting the machine. (機械を始動する前に、すべての電気接続を確認してください。)
- The factory uses various types of electrical equipment. (その工場では様々な種類の電気設備を使用している。)
「electric motor(電動機)」や「electric generator(発電機)」のように電気で動いたり電気を作ったりする具体的な装置には「electric」が、「electrical engineer(電気技術者)」や「electrical failure(電気的故障)」のように電気分野やシステムに関するものには「electrical」が使われているのがわかりますね。
日常会話での使い分け
家電製品など、身の回りのモノについて話すときにも使います。
【OK例文:electric】
- I bought a new electric kettle yesterday. (昨日、新しい電気ケトルを買った。)
- My son wants an electric guitar for his birthday. (息子は誕生日にエレキギターを欲しがっている。)
- Be careful not to touch the electric fence. (電気柵に触らないように気をつけて。)
【OK例文:electrical】
- There seems to be an electrical problem with the lights. (照明に電気系統の問題があるようだ。)
- My brother is studying electrical engineering at university. (私の兄は大学で電気工学を学んでいる。)
- We had an electrician check the electrical wiring in our house. (電気屋さんに家の電気配線を見てもらった。)
「電気ケトル」や「エレキギター」など、電気で動作する具体的な製品は「electric」、「電気の問題」や「電気配線」など、より広範な関連を示す場合は「electrical」ですね。
これはNG!間違えやすい使い方
意味が通じることもありますが、不自然に聞こえたり、誤解を招いたりする可能性もあります。
- 【NG】 I need an electric engineer.
- 【OK】 I need an electrical engineer. (電気に関する技術者なので)
「electric engineer」だと、「電気で動くエンジニア」?のような奇妙な意味合いになりかねませんね。
- 【NG】 My car has an electrical motor.
- 【OK】 My car has an electric motor. (電気で動くモーターなので)
モーターは電気を動力源としているので「electric」が適切です。「electrical motor」は意味としては通じなくはないですが、一般的ではありません。
- 【NG】 Be careful of electrical shock.
- 【OK】 Be careful of electric shock. (感電という直接的な現象なので)
「感電」は電気による直接的な衝撃なので「electric shock」が一般的です。「electrical shock」という言い方も存在はしますが、「electric shock」の方が圧倒的に多く使われます。
【応用編】似ている言葉「electronic」との違いは?
「electronic」は、電子回路や半導体など、より微細な電気の流れを利用する機器(コンピューター、スマートフォンなど)を指します。「electric」や「electrical」が電力そのものに関わるのに対し、「electronic」は情報処理などを行う電子機器に使われます。
「electric」「electrical」と似ていて混同しやすいのが「electronic」です。これも押さえておきましょう。
「electronic」は、電子(electron)の動きを制御する技術、つまり電子工学を用いた機器を指します。具体的には、コンピューター、スマートフォン、テレビ、オーディオ機器など、内部にトランジスタや集積回路(IC)といった電子部品を持ち、情報の処理や通信を行う装置に使われます。
- electric: 電気エネルギーを動力、熱、光として利用する機器 (例:electric heater, electric light bulb)
- electrical: 電気全般に関するもの (例:electrical components, electrical safety)
- electronic: 電子の流れを制御して情報処理などを行う機器 (例:electronic calculator, electronic mail (e-mail))
簡単に言うと、単に電気で動くだけなら「electric」、電気に関連する幅広い事柄なら「electrical」、コンピューターのように内部で複雑な情報処理を行っているなら「electronic」という使い分けになりますね。
「electric」と「electrical」の違いを言語学的に解説
「electric」と「electrical」は共に形容詞ですが、使用される名詞との結びつき(コロケーション)に慣習的な違いがあります。「electric」は具体的な動力源、「electrical」は分野や抽象概念との結びつきが強い傾向があります。
言語学的に見ると、「electric」と「electrical」の違いは、主に意味範囲と慣用的なコロケーション(語と語の慣習的な結びつき)によって説明できます。
両者とも「電気の」を意味する形容詞ですが、「electric」は、より限定的で、名詞が示すものが「電気によって直接作動する (powered by electricity)」または「電気を生産する (producing electricity)」ことを含意する場合に好んで用いられます。例えば、「electric current(電流)」、「electric charge(電荷)」のように電気現象そのものを指す場合や、「electric car」「electric light」のように具体的な機器を指す場合です。
一方、「electrical」は、「electric」に接尾辞「-al」が付くことで「~に関する (relating to)」という意味合いが加わり、より広範で一般的な「電気関連の」という意味で用いられます。こちらは、「electrical engineering(電気工学)」、「electrical appliance(電気器具)」、「electrical fault(電気的故障)」のように、特定の機器だけでなく、分野、産業、抽象的な概念、あるいは機器の集合体など、より広い範囲の名詞と結びつく傾向があります。
この使い分けは絶対的な規則ではなく、慣習によるところが大きいです。例えば、「電気器具」は「electrical appliance」が一般的ですが、「electric appliance」という言い方も存在します。しかし、「electrical engineering」を「electric engineering」とは通常言いません。これは、それぞれの形容詞が特定の名詞と強く結びついて定着している(コロケーションが形成されている)ためです。
参考文献としては、英語のコーパス(大規模言語データベース)を用いたコロケーション研究や、Merriam-Webster や Oxford Learner’s Dictionaries などの主要な辞書の語法解説が参考になります。これらの辞書では、しばしば「electric」と「electrical」の使い分けについて注記がなされていますね。
危うく感電!?「electric」と「electrical」を混同した体験談
僕も昔、この二つの言葉を混同して、ちょっとヒヤッとした経験があります。
学生時代に、アメリカの友人の家でホームパーティーの手伝いをしていた時のことです。庭で使う照明器具のコードが古くなっていたのを見つけて、友人に伝えようと思ったんですね。
「ねえ、このコード、ちょっと危ないよ。electric problem がありそうだ」
と、僕は言いました。「電気の問題」だから「electric problem」だろう、と単純に考えてしまったんです。
すると友人は一瞬きょとんとして、「Electric problem? ああ、electrical problem のことね!確かに被覆が破れてる。危ない、危ない。教えてくれてありがとう!」と言って、すぐにそのコードを交換してくれました。
後で、「electric problem と electrical problem って違うの?」と聞いてみたら、友人は笑いながら説明してくれました。
「”electric problem” って言うと、なんだか電気が意思を持って問題を起こしてるみたいに聞こえなくもないかな(笑)。まあ通じるけど、普通は配線とか回路とか、そういう『電気系統』の問題は ‘electrical problem‘ って言うんだよ。’electrical’ はもっと広い意味で『電気関連の』って感じだからね」
なるほど、と思いました。僕が言いたかったのは、コードの絶縁不良という「電気系統に関する問題」だったので、まさに「electrical problem」が適切な場面でした。「electric」を使うと、もっと直接的な、例えば「電気が来ていない」とか、そういう事態を想像させてしまうのかもしれません。
もしあの時、友人が僕の意図を正確に汲み取ってくれなかったら、あるいは僕がもっとおかしな言い方をしていたら、古いコードを使い続けて誰かが感電していたかも…?なんて考えると、ちょっと怖くなりましたね。
言葉の微妙なニュアンスの違いが、時には安全に関わることもあるんだな、と実感した出来事でした。それ以来、「electric」と「electrical」の使い分けには、特に気をつけるようになりました。
「electric」と「electrical」に関するよくある質問
Q1: 「電気器具」は “electric appliance”? それとも “electrical appliance”?
どちらの表現も使われますが、“electrical appliance” の方が一般的です。”electrical” は「電気に関する」という広い意味を持つため、様々な種類の電気器具全般を指すのに適しています。”electric appliance” も間違いではありませんが、個々の器具が電気で「動く」点に焦点を当てた言い方になりますね。
Q2: “electric” と “electrical” の使い分けで、簡単な覚え方はありますか?
「具体的なモノ(特に名前の一部になっていることが多い)には electric」(例: electric car, electric toothbrush, electric guitar)、「分野やシステム、抽象的なコトには electrical」(例: electrical engineering, electrical system, electrical safety)と覚えるのが一つの方法です。迷ったら、「これは電気で『動く』ものか? それとも電気に『関連する』ものか?」と考えてみると良いでしょう。
Q3: “electronic” との違いがまだよく分かりません。
“electric” や “electrical” が主に電力(パワー)としての電気に関わるのに対し、“electronic” は電子回路などを使って情報処理や通信を行う、よりハイテクな機器に使われます。例えば、「電気ストーブ」は “electric heater” ですが、「電子レンジ」は “electronic microwave (oven)”(または単に microwave)です。熱を出すのが主なら “electric”、複雑な制御をしているなら “electronic” というイメージですね。
「electric」と「electrical」の違いのまとめ
「electric」と「electrical」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。
最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。
- electric:主に電気で「動く」または「電気を起こす」具体的な機器を指す。(例:electric car, electric heater)
- electrical:電気に「関連する」広範な事柄(分野、システム、職業、抽象概念など)を指す。(例:electrical engineering, electrical equipment)
- 使い分けのヒント:「Powered by electricity」なら electric、「Relating to electricity」なら electrical。
- electronic との違い:「electronic」は電子回路を用いた情報処理機器(コンピューターなど)に使う。
語源のイメージ(electric = 電気そのもの、electrical = 電気に関する)を掴むと、感覚的に使い分けやすくなりますね。具体的なモノか、より広い関連性かで判断するのがコツです。
これからは自信を持って、的確な言葉を選んでいきましょう。言葉の使い分けについてさらに知りたい方は、カタカナ語・外来語の違いをまとめたページもぜひご覧ください。