「inport」と「import」、キーボードで入力していると、つい間違えてしまいそうなスペルですよね。
特に、貿易関係の書類やIT関連の作業で「インポートする」という言葉を使うとき、「あれ?iの次はnだっけ?mだっけ?」と一瞬手が止まってしまうことはありませんか?
実はこの二つ、一方が正しいスペルで広く使われる単語、もう一方は基本的にそのスペルミスという明確な違いがあるんです。
この記事を読めば、「import」の正しい意味と使い方、そしてなぜ「inport」が間違いなのかがスッキリ理解できます。もう資料作成やデータ入力で迷うことはありません。それでは、まず最も重要な違いから見ていきましょう。
結論:一覧表でわかる「inport」と「import」の最も重要な違い
「import」が「輸入する」「(データなどを)取り込む」という意味の正しい英単語です。一方、「inport」は、これらの意味においては一般的に「import」のスペルミスと見なされます。
まず、結論からお伝えしますね。
「inport」と「import」の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これが全てと言っても過言ではありません。
| 項目 | import | inport |
|---|---|---|
| スペル | 正しい | 一般的ではない(多くの場合、誤り) |
| 中心的な意味 | ①(外国から商品を)輸入する ②(データやファイルを)取り込む、インポートする |
(上記①②の意味では使われない) |
| 品詞 | 動詞、名詞 | ー |
| 語源 | ラテン語 “importare” (中に運ぶ) | ー |
| 使用場面 | 貿易、経済、IT、ソフトウェアなど | (一般的な英語ではほぼ使われない) |
一番大切なポイントは、「輸入」やデータの「取り込み」を意味する場合は、「m」を使った「import」が正解ということです。
「inport」というスペルが特定の固有名詞(港の名前の一部など)や非常に専門的な分野で使われる可能性はゼロではありませんが、私たちが普段目にする「インポート」という言葉は、ほぼ間違いなく「import」を指しています。
なぜ違う?言葉の成り立ちと正しいスペル
「import」はラテン語で「in(内に)」+「portare(運ぶ)」が語源です。物を国の中に運び入れたり、データをシステムの中に運び入れたりするイメージです。「inport」という組み合わせは、この語源に合致しません。
なぜ「import」が正しく、「inport」が一般的な意味では間違いとされるのか、言葉の成り立ちから見ていきましょう。
「import」の成り立ち:「内に運ぶ」から輸入・取り込みへ
「import」という単語のルーツは、ラテン語の「importare(インポルターレ)」にあります。これは、「in-(中に、内へ)」という接頭辞と、「portare(運ぶ、携帯する)」という動詞が組み合わさったものです。「portable(持ち運び可能な)」や「transport(輸送する)」の「port」と同じ語源ですね。
つまり、「importare」の元々の意味は「中に運び入れる」ということです。
この「中に運び入れる」という基本的なイメージが、
- 外国から国内へ商品を「運び入れる」→ 輸入する
- 外部のデータやファイルをシステムやソフトウェアの「中に運び入れる」→ 取り込む、インポートする
という、現代の「import」が持つ二つの主要な意味につながっています。
「inport」はスペルミス?
一方、「inport」というスペルは、上記のラテン語の語源「importare」には合致しません。「in-」は「中に」という意味がありますが、「port」に当たる部分がありません(もし港 “port” と結びつけるとしても、”in port” で「港にいる」という別の意味になってしまいます)。
英語では、「n」の後に「p」や「b」、「m」が続く場合、発音上の理由から「n」が「m」に変化する(同化と呼ばれる現象)ことがよくあります。例えば、「in + possible → impossible」「in + balance → imbalance」「in + material → immaterial」などです。「in + portare」が「importare」になるのも、この音声的な変化が影響していると考えられます。
そのため、「輸入」やデータの「取り込み」を意味する場合には、「inport」ではなく「import」と綴るのが正しいのです。
具体的な例文で使い方をマスターする
貿易では「Japan imports cars from Germany.」(日本はドイツから車を輸入している)。ITでは「You need to import the data into the spreadsheet.」(データをスプレッドシートに取り込む必要がある)。これらの文脈で「inport」を使うのは誤りです。
正しい「import」の使い方を、具体的な例文で確認しましょう。「inport」がなぜ間違いなのかも合わせて見ていきます。
ビジネス・貿易での使い方
「輸入する」という意味での「import」は、ビジネスや経済のニュースなどで頻繁に使われます。
【OK例文:import】
- Japan imports a large amount of oil from the Middle East. (日本は中東から大量の石油を輸入している。)
- The company decided to import furniture directly from Italy. (その会社はイタリアから直接家具を輸入することを決めた。)
- These are imported goods. (これらは輸入品です。)
- The total value of imports exceeded exports last year. (昨年は輸入総額が輸出総額を上回った。)(名詞としての用法)
動詞としても名詞としても使えますね。
IT・データ関連での使い方
ソフトウェアやアプリケーションで、外部のデータを取り込む際にも「import」が使われます。
【OK例文:import】
- You can import contacts from your old phone to the new one. (古い携帯から新しい携帯へ連絡先をインポートできます。)
- Please import the CSV file into the database. (そのCSVファイルをデータベースに取り込んでください。)
- This software has an import function for various file formats. (このソフトウェアには様々なファイル形式に対応したインポート機能がある。)(名詞としての用法)
- How do I import bookmarks into this browser? (このブラウザにブックマークをインポートするにはどうすればいいですか?)
こちらも動詞、名詞の両方で使われます。
「inport」はなぜ間違いなのか?
上記の例文で「import」を「inport」に置き換えることはできません。
- 【NG】 Japan inports a large amount of oil…
- 【NG】 You can inport contacts from your old phone…
このように書くと、単なるスペルミスと見なされます。「輸入」やデータの「取り込み」の意味を持つ英単語は「import」だからです。
【応用編】反対語「export」との関係は?
「import」の反対語は「export」です。「export」はラテン語で「ex(外へ)」+「portare(運ぶ)」が語源で、「輸出する」「(データを)書き出す」という意味になります。「im-(内に)」と「ex-(外へ)」が対になっていると覚えると分かりやすいです。
「import」の意味をより深く理解するために、その反対語である「export」についても触れておきましょう。
「export」は、「import」と同様にラテン語に由来します。「ex-(外へ)」という接頭辞と「portare(運ぶ)」が組み合わさった「exportare(エクス・ポルターレ)」が語源です。
つまり、「外へ運び出す」というのが元々の意味です。これが転じて、
- 国内から外国へ商品を「運び出す」→ 輸出する
- システムやソフトウェアから外部へデータを「運び出す」→ 書き出す、エクスポートする
という意味で使われます。「import」の「in-(内に)」と「export」の「ex-(外へ)」がきれいな対比になっていますね。これもセットで覚えておくと便利です。
例:Japan exports high-quality electronics worldwide. (日本は高品質な電子機器を世界中に輸出している。)
例:You can export the document as a PDF file. (その文書をPDFファイルとしてエクスポートできます。)
「inport」と「import」の違いを英語の専門家視点で解説
言語学的に見ると、「import」はラテン語由来の確立された英単語であり、形態論(語形成)的にも音韻論(発音)的にも理にかなっています。一方「inport」は、標準的な英語の語彙には存在せず、特定の文脈を除き、形態論的にも音韻論的な同化の観点からも不自然であり、一般的には「import」の単純なスペルミスとして扱われます。
英語の専門家、例えば辞書編纂者や言語学者の視点から見ると、「import」と「inport」の違いは極めて明確です。
「import」は、ラテン語の「importare」に由来し、英語の語彙体系の中に確立された単語として存在します。その意味(輸入する、取り込む)と用法は、主要な英語辞書(Oxford English Dictionary, Merriam-Websterなど)に明確に記載されています。形態論的(語形成論的)に見ても、「in-(接頭辞)」+「port(語根)」という構造は理解可能であり、音韻論的(音声学的)にも、/n/ の音が後続する両唇破裂音 /p/ の影響を受けて /m/ の音に変化する(唇音同化)のは自然な現象です。
一方、「inport」というスペルは、標準的な英語の語彙としては認識されていません。「輸入」やデータの「取り込み」といった意味を持つ単語としては、どの主要な辞書にも掲載されていません。形態論的に見ても、「in-」+「port(港?)」という組み合わせで「輸入する」という意味を成すのは不自然であり、音韻論的にも、上記のような同化が起こらない「inport」という形は考えにくいです。
したがって、言語学的な観点からは、「inport」は、一般的な文脈においては「import」の単純なスペルミス(typographical error)と結論付けられます。特定の固有名詞や、極めて限定された技術分野の専門用語として存在する可能性は完全に否定できませんが、それは一般的な英語の用法とは区別して考えるべきでしょう。
僕が「inport」とタイプミスして冷や汗をかいた体験談
恥ずかしながら、僕も以前、急いでメールを作成しているときに「import」を「inport」とタイプミスしてしまい、後で冷や汗をかいた経験があります。
海外の取引先に、新しいシステムへのデータ移行について説明するメールを送っていました。その中で、「既存の顧客データを新しいシステムに取り込む必要があります」と伝えたかったのです。
頭の中では「import」と分かっていたはずなのに、指が滑ったのか、あるいは「in」と「port」という単語に引きずられたのか、メール本文に “We need to inport the existing customer data into the new system.” と書いて送ってしまったのです。
送信した後、しばらくしてメールを読み返していて、その致命的なスペルミスに気づきました。「しまった!一番肝心な単語を間違えてる…!」
幸い、相手からは特に指摘はありませんでしたが、もし気づかれていたら「基本的な英単語も知らないのか」と、こちらのスキルや注意力を疑われてしまったかもしれません。ビジネスメールでのスペルミスは、信頼に関わる可能性がありますからね。
すぐに訂正のメールを送りましたが、基本的な単語ほど、思い込みやタイピングの癖で間違えやすいということを痛感しました。特に「m」と「n」のタイプミスは、キーボードの位置も近いので起こりやすいのかもしれません。
この経験以来、特に重要なメールや文書を送る前には、基本的なスペルも含めて、必ず見直しをするように心がけています。一瞬の確認が、後々の大きな問題を防ぐことにつながりますからね。
「inport」と「import」に関するよくある質問
Q. 「inport」という単語は本当に存在しないのですか?
A. 「輸入する」や「データを取り込む」という意味では、標準的な英単語としては存在しません。一般的には「import」のスペルミスです。ただし、非常に稀なケースとして、特定の地名(港の名前など)の一部や、特殊な専門用語、あるいは古い英語の用法として存在する可能性はゼロではありません。しかし、現代の一般的な英語でこれらの意味で使われることはまずありません。
Q. なぜ「inport」と間違えやすいのでしょうか?
A. いくつか理由が考えられます。一つは、単純なタイプミスです。キーボードの「m」と「n」は隣接しているため、打ち間違いが起こりやすいです。もう一つは、接頭辞「in-」と単語「port(港)」の組み合わせとして類推してしまう可能性です。「港(port)の中に(in)」で「輸入」と考えてしまうかもしれませんが、語源的には「port」は「運ぶ」という意味合いが強いです。また、英語の発音では /np/ の組み合わせは比較的少なく、/mp/ の方が自然に発音されるため、スペルと発音の関係で混乱することもあるかもしれません。
Q. プログラミング言語で “import” 文がありますが、これは何ですか?
A. PythonやJavaなどの多くのプログラミング言語には、「import」というキーワード(またはそれに類する命令)があります。これは、他のファイルやモジュール(部品)で定義された機能(関数やクラスなど)を、現在のプログラムの中に「取り込んで」利用できるようにするための命令です。これも、外部から必要な要素を「中に運び入れる」という「import」の基本的な意味合いに基づいています。ここでもスペルは「import」であり、「inport」ではありません。
「inport」と「import」の違いのまとめ
「inport」と「import」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。
最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。
- スペルが決定的な違い:「import」が正しいスペル、「inport」は多くの場合、誤り。
- 意味:「import」は「輸入する」または「(データなどを)取り込む」。
- 語源:「import」はラテン語で「in-(内に)」+「portare(運ぶ)」。
- 反対語:「export」(輸出する、書き出す)。「ex-(外へ)」+「portare(運ぶ)」。
- 注意点:基本的な単語だが、タイプミスしやすいので、特にビジネス文書などでは送信前に確認することが重要。
結論として、「輸入」やデータの「取り込み」を意味したい場合は、常に「m」を使った「import」を使いましょう。
基本的なスペルミスは、意図しない誤解を招いたり、場合によってはプロフェッショナルでない印象を与えてしまったりすることもあります。今回の内容をしっかり覚えて、自信を持って正しい単語を使っていきましょう。カタカナ語・外来語の使い分けについてさらに知りたい方は、カタカナ語・外来語の違いをまとめたページもぜひご覧ください。