「refuse」と「reject」の違いとは?「断る」の正しい英語表現

「refuse」と「reject」、どちらも英語で「断る」「拒否する」といった意味を持つ単語ですが、使い分けに迷ったことはありませんか?

「彼の申し出をrefuseした」「提案がrejectされた」のように使われますが、実はこの二つの言葉、断る対象や、断り方の強さ・ニュアンスに違いがあるんです。

この記事を読めば、「refuse」と「reject」それぞれの言葉が持つ核心的なイメージ、語源からくるニュアンスの違い、ビジネスや日常会話での具体的な使い分け、さらには「decline」や「deny」といった類語との違いまでスッキリ理解できます。もう英語で「断る」場面で、どちらの単語を選ぶべきか迷うことはありません。

それでは、まず最も重要な違いから見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「refuse」と「reject」の最も重要な違い

【要点】

基本的には、申し出や要求、招待などを「(きっぱりと)断る」なら「refuse」、提案や応募、人や物などを「はねつける」「受け入れない」なら「reject」と覚えるのが簡単です。「reject」の方が、より強い拒絶のニュアンスを含むことが多いですね。

まず、結論からお伝えしますね。

「refuse」と「reject」の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。

項目refusereject
中心的な意味(申し出・要求・招待などを)断る、拒否する。(〜することを)拒む(提案・応募・人・物などを)拒絶するはねつける、却下する、受け入れない。
断る対象申し出 (offer)、要求 (request)、招待 (invitation)、許可 (permission)、助け (help) など。行為(〜すること)を拒む場合にも使う (refuse to do)。提案 (proposal)、アイデア (idea)、応募者 (applicant)、原稿 (manuscript)、製品 (product)、臓器 (organ) など。人や物自体を受け入れない場合にも使う。
ニュアンスきっぱりとした、意志の強い拒否。単純な「ノー」。提案や物が基準に満たない、不適切であるなどの理由ではねつける感じ。より強い拒絶、否定的なニュアンスを含むことが多い。
語法の違い`refuse + 名詞`
`refuse + to 不定詞`
`reject + 名詞`
(to 不定詞は通常伴わない)
語源イメージ後ろへ注ぎ返す(受け取らない)後ろへ投げ返す(突き返す)

簡単に言うと、差し出されたものに対して「いりません」「しません」と自分の意志でキッパリ断るのが「refuse」、差し出されたものや提案などが基準に合わない、受け入れられないとして「ダメだ」「受け付けられない」と突き返すのが「reject」というイメージですね。

「reject」の方が、相手の提案や存在そのものを否定するような、より強い拒絶感が出ることが多いです。

なぜ違う?言葉の成り立ち(語源)からイメージを掴む

【要点】

「refuse」はラテン語の「refundere(注ぎ返す)」が語源で、差し出されたものをそのまま返すイメージです。「reject」はラテン語の「reicere(投げ返す)」が語源で、より強く突き返すイメージを持ちます。この語源の違いが、断り方の強さやニュアンスの違いにつながっています。

この二つの「断る」を表す言葉が、なぜ異なるニュアンスを持つのか、それぞれの語源を探ると、その根本的なイメージの違いが見えてきますよ。

「refuse」の成り立ち:「後ろへ注ぐ」から「拒否」へ

「refuse」の語源は、ラテン語の「refundere」に遡ります。これは「re-(後ろへ)」と「fundere(注ぐ)」が組み合わさった言葉で、「注ぎ返す」「押し戻す」といった意味を持っていました。

この「注ぎ返す」というイメージから、差し出されたもの(申し出や要求など)を受け取らずに、そのまま返す、つまり「拒否する」「断る」という意味が生まれました。何かを積極的に攻撃するというよりは、受け入れずに押し戻す、という比較的シンプルな拒否の動作が根底にありますね。

「reject」の成り立ち:「後ろへ投げる」から「拒絶」へ

一方、「reject」の語源は、ラテン語の「reicere」(またはその過去分詞形「rejectus」)です。これは「re-(後ろへ)」と「jacere(投げる)」が組み合わさった言葉で、「投げ返す」「突き返す」という意味を持っていました。

「注ぎ返す」よりも「投げ返す」方が、動作としてより力強く、相手に対して突き放すような印象がありませんか? この語源のイメージが、「reject」が持つ「はねつける」「拒絶する」「受け入れない」といった、より強い否定的なニュアンスにつながっています。

提案や物が基準に満たないと判断して突き返す、あるいは移植された臓器を体が受け付けない(拒絶反応を起こす)といった場面で使われるのも、この「投げ返す」という強い拒絶のイメージから来ていると考えられますね。

語源のイメージを掴むと、「refuse」のキッパリとした拒否と、「reject」の強い拒絶・却下というニュアンスの違いが、より感覚的に理解できるのではないでしょうか。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

申し出や招待には「refuse an offer/invitation」、要求や命令には「refuse a request/order」のように「refuse」を使います。提案やアイデア、応募者などをはねつける場合は「reject a proposal/idea/applicant」のように「reject」を使います。

言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。

どのような場面で「refuse」と「reject」が使われるのか、見ていきましょう。

「refuse」を使う場面(申し出・要求・招待などを断る)

「refuse」は、誰かからの申し出、要求、招待、助けなどを「断る」場合や、何かをすることを「拒む」場合に使われます。きっぱりとした意志を示すことが多いです。

  • He refused my offer of help. (彼は私の助けの申し出を断った。)
  • She refused to answer any questions. (彼女は一切の質問に答えることを拒んだ。)
  • I had to refuse their invitation to the party because I was busy. (忙しかったので、彼らのパーティーへの招待を断らなければならなかった。)
  • The bank refused his request for a loan. (銀行は彼のローン要求を拒否した。)
  • The horse refused to jump the fence. (その馬は柵を飛び越えるのを嫌がった。)

特に `refuse to do`(〜することを拒む)という形は非常によく使われますね。

「reject」を使う場面(提案・人・物などをはねつける、受け入れない)

「reject」は、提案、計画、アイデア、応募者、原稿、製品などが基準に満たない、不適切であるなどの理由で「拒絶する」「却下する」「受け入れない」場合に使われます。「refuse」よりも強い否定や、相手(や物)に対するネガティブな評価を含むことがあります。

  • The committee rejected his proposal. (委員会は彼の提案を却下した。)
  • My application for the job was rejected. (私のその仕事への応募は不採用となった。)
  • This machine rejects damaged coins. (この機械は損傷した硬貨を受け付けない。)
  • The body may reject the transplanted organ. (体は移植された臓器を拒絶することがある。)
  • She felt rejected when her friends didn’t invite her. (彼女は友人たちが自分を誘ってくれなかったので、拒絶されたと感じた。)

人や物そのものを受け入れない、はねつける、というニュアンスが強いのが特徴です。

これはNG!間違えやすい使い方

文法的に間違いではなくても、ニュアンス的に不自然になる使い方を見てみましょう。

  • 【△/不自然】 I rejected to go with them.
  • 【OK】 I refused to go with them. (私は彼らと行くのを断った。)

何かをすることを拒む場合は `refuse to do` を使います。「reject」は通常 `to 不定詞` を伴いません。

  • 【△/強い拒絶に聞こえる可能性】 He rejected my help.
  • 【OK】 He refused my help. (彼は私の助けを断った。)

助けの申し出を断る場合、「refuse」の方が一般的で自然です。「reject」を使うと、「あなたの助けなど要らない!」というような、より強い拒絶、あるいは侮辱的なニュアンスに聞こえてしまう可能性があります。

  • 【△/やや弱い印象】 The editor refused the manuscript.
  • 【OK】 The editor rejected the manuscript. (編集者はその原稿を却下した。)

原稿が出版基準に満たないなどの理由で受け入れられない場合は、「reject」の方が一般的です。「refuse」でも意味は通じますが、「単に受け取るのを断った」というよりは、「内容を評価した上で不採用とした」ニュアンスが「reject」にはあります。

相手への影響や、拒絶の理由・強さを考慮して使い分けることが大切ですね。

【応用編】似ている言葉「decline」「deny」との違いは?

【要点】

「decline」は「refuse」よりも丁寧な断り方で、特に招待や申し出に対して使われます。「deny」は要求や願いを拒否する意味もありますが、主に事実や非難などを「否定する」意味で使われます。

「断る」や「拒否する」に関連する英語には、「decline」や「deny」などもあります。これらと「refuse」「reject」との違いも知っておくと、より適切な表現が選べますよ。

「decline」との違い:丁寧さの度合い

「decline」も「断る」という意味で使われますが、「refuse」よりも丁寧で、穏やかな断り方を示します。特に、招待 (invitation) や申し出 (offer)、依頼 (request) などを、礼儀正しく、しかし明確に断る場合によく使われます。

  • I invited him to the party, but he declined. (彼をパーティーに招待したが、彼は断った。)
  • She declined the job offer for personal reasons. (彼女は個人的な理由でその仕事の申し出を辞退した。)
  • We must respectfully decline your request at this time. (今回は、丁重にあなたの要求をお断りしなければなりません。)

「refuse」がきっぱりとした、時には強い意志を感じさせる断り方なのに対し、「decline」は相手への配慮を含んだ、よりソフトな拒否のニュアンスがあります。ビジネスシーンやフォーマルな場面で、相手に失礼なく断りたい場合に適していますね。

「deny」との違い:「否定する」こと

「deny」にも「(要求などを)拒む、与えない」という意味がありますが、主な意味は「(事実・非難などを)否定する」「(〜が)真実ではないと言う」ことです。

  • He denied stealing the money. (彼はお金を盗んだことを否定した。)
  • The government denied the allegations. (政府はその疑惑を否定した。)
  • She was denied access to the building. (彼女はその建物への立ち入りを拒否された。)←要求の拒否
  • They were denied basic human rights. (彼らは基本的人権を与えられなかった。)←与えない

「refuse」や「reject」が申し出や提案を断るのに対し、「deny」は主に何かが事実であることや、自分が何かをしたことを認めない、という場面で使われます。「〜へのアクセスを拒否する」「権利を与えない」のように、要求や権利を拒む意味で使われることもありますが、「refuse」「reject」とは使われる文脈が異なりますね。

このように、「断る」にも様々なニュアンスがあることを理解しておくと、英語でのコミュニケーションがより円滑になりますよ。

「refuse」と「reject」の違いを語法の観点から解説

【要点】

語法的には、「refuse」は名詞を目的語に取るだけでなく、「refuse to do」の形で「〜することを拒む」という意味で非常によく使われます。一方、「reject」は主に名詞を目的語に取り、「reject to do」の形は通常使いません。

「refuse」と「reject」の使い分けは、文法的な形(語法)の違いからもアプローチできます。特に、動詞の後にどのような形が続くかに注目すると、その違いがより明確になります。

「refuse」の主な語法

「refuse」は、名詞を目的語にとる(例: `refuse the offer`)こともできますが、それ以上に重要なのが`to 不定詞` を伴って「〜することを拒む」という意味を表す用法です。これは非常によく使われる形です。

  • `refuse + 名詞` : He refused the gift. (彼は贈り物を断った。)
  • `refuse + to 不定詞` : She refused to leave. (彼女は立ち去ることを拒んだ。)
  • `refuse + (人) + 名詞` : They refused him entry. (彼らは彼の入場を拒否した。) ※少し硬い表現

「reject」の主な語法

一方、「reject」は、主に名詞を目的語にとります。提案、人、物など、拒絶する対象を直接後ろに置くのが一般的です。「reject to do」という形は基本的に使いません。

  • `reject + 名詞` : The company rejected her application. (会社は彼女の応募を不採用にした。)
  • `reject + 名詞 + as + 形容詞/名詞` : They rejected the plan as impractical. (彼らはその計画を実行不可能としてはねつけた。)

このように、`to 不定詞` が続くかどうかは、「refuse」と「reject」を使い分ける上で非常に分かりやすいポイントになります。「〜することを断る」と言いたい場合は「refuse」を使う、と覚えておくと良いでしょう。

この語法的な違いも、それぞれの単語が持つ意味のニュアンス(refuse: 行為の拒否、reject: 対象の拒絶)と関連していると言えますね。(参考:Cambridge Dictionary

僕が海外クライアントに「reject」を使って冷や汗をかいた体験談

これは、僕がまだ若手で、海外とのやり取りに慣れていなかった頃の失敗談です。

あるヨーロッパのクライアントから、新しいプロジェクトへの参加依頼をメールで受け取りました。非常に魅力的なお話だったのですが、残念ながら他の案件とスケジュールが重なっており、どうしても参加できそうにありませんでした。

丁寧にお断りのメールを書こうと思った僕は、辞書で「断る」を調べ、「refuse」と「reject」を見つけました。どちらを使うべきか少し迷いましたが、「reject」の方がなんとなく「ビジネスっぽい響きかな?」という安易な考えと、「今回は提案そのものを受け入れられないのだから」という自己流の解釈で、メールにこう書いてしまったんです。

“Thank you very much for your kind invitation. Unfortunately, due to scheduling conflicts, we must reject your offer to participate in the new project at this time.”

(ご丁寧な招待ありがとうございます。残念ながら、スケジュールの都合により、現時点では新しいプロジェクトへの参加の申し出を拒絶しなければなりません。)

自分としては丁寧なつもりで送ったのですが、そのメールを送った後、クライアントからの返信がピタッと途絶えてしまったのです。「あれ?何か失礼なことをしただろうか…」と不安に思っていた矢先、数日後に僕の上司から呼ばれました。

上司は少し困った顔で言いました。「〇〇さん(クライアント担当者)から連絡があったんだけど、君の断りのメール、ちょっと表現が強すぎたみたいだよ。『reject』は、相手の提案をはねつけるような、かなり強い拒絶のニュアンスがあるんだ。特に招待や申し出に対して使うと、相手に不快感を与えかねない。こういう場合は『refuse』でも少し強いかもしれないから、もっと丁寧に『decline』を使うのが一般的だよ」

僕は血の気が引くのを感じました。良かれと思って選んだ単語が、相手を不快にさせていたかもしれないなんて…。上司がクライアントに謝罪と説明をしてくれたおかげで、幸い大きな問題にはなりませんでしたが、自分の英語力のなさと配慮の欠如に深く落ち込みました。

この経験から、単語の意味だけでなく、それが持つニュアンスや、使われる文脈、相手に与える印象まで考慮することの重要性を学びました。特に「断る」というデリケートなコミュニケーションにおいては、言葉選び一つで関係性が変わってしまう可能性があることを痛感しましたね。それ以来、英語でメールを書くときは、類語辞典でニュアンスの違いを念入りに調べるようにしています。

「refuse」と「reject」に関するよくある質問

Q. 日常会話で気軽に「断る」ときはどちらを使いますか?

A. 日常会話で友人からの誘いや簡単な申し出を断る場合は、「refuse」の方が一般的です。「I refused his invitation. (彼の招待を断った)」のように使えます。ただし、「refuse」もややきっぱりとした断り方なので、状況によってはもう少し柔らかい表現(例: “I couldn’t make it.” / 行けなかったんだ)を使う方が自然なこともあります。「reject」は日常会話で使うには少し強すぎる場合が多いですね。

Q. ビジネスで提案を却下する場合はどちらが適切ですか?

A. ビジネスシーンで提案や企画などを正式に「却下する」「不採用にする」場合は、「reject」がよく使われます。「The board rejected the budget proposal. (取締役会は予算案を却下した)」のように使います。これは、提案内容が基準を満たさなかったり、受け入れられないと判断された結果を示すニュアンスです。「refuse」を使うと、単に受け取りを拒否したような、少し違う意味合いになる可能性があります。

Q. プレゼントや招待を断るときはどちらが良いですか?

A. プレゼントや招待を断る場合、「reject」を使うのは非常に失礼にあたる可能性が高いです。相手の好意や提案そのものを強くはねつけるニュアンスがあるため、避けるべきでしょう。「refuse」でも断ることはできますが、やや直接的で強い印象を与えることがあります。相手への配慮を示すなら、より丁寧な「decline」を使うのが最も適切です。「I must decline your generous offer. (寛大な申し出ですが、お断りしなければなりません)」のように使います。

「refuse」と「reject」の違いのまとめ

「refuse」と「reject」、どちらも「断る」ですが、ニュアンスの違い、しっかり掴んでいただけたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. 断る対象と強さで使い分け:「refuse」は申し出・要求・行為などをきっぱり断る。「reject」は提案・人・物などを強くはねつける、受け入れない。
  2. 語源イメージが鍵:「refuse」は後ろへ注ぎ返す(受け取らない)。「reject」は後ろへ投げ返す(突き返す、より強い拒絶)。
  3. 語法の違い:「refuse」は `to 不定詞` を伴い「〜することを拒む」とよく使う。「reject」は通常 `to 不定詞` を伴わない。
  4. 丁寧さなら「decline」:招待や申し出を丁寧に断る場合は「decline」が最適。
  5. 否定なら「deny」:「deny」は主に事実や非難などを「否定する」意味で使う。

語源のイメージを持つと、「refuse」の「受け付けません」という態度と、「reject」の「ダメです、受け付けられません」という、より強い拒絶の姿勢の違いが分かりやすいですね。

英語でコミュニケーションをとる際には、これらのニュアンスの違いを意識して、場面や相手に合った適切な言葉を選ぶことが、誤解を避け、円滑な関係を築く上でとても大切です。ぜひ、今日から使い分けてみてください。

他のカタカナ語や英語の使い分けについて、さらに知りたいと感じたあなたは、カタカナ語・外来語の違いをまとめたページも、ぜひ参考にしてみてくださいね。