「and」と「or」の違いとは?接続詞の基本を例文で理解

英語の基本的な接続詞、「and」と「or」。

とてもよく使う言葉ですが、その違いを正確に説明できますか?「A and B」と「A or B」、似ているようで意味は大きく異なりますよね。特にプログラミングや条件を考えるときに、この違いを混同すると大変なことになってしまいます。

実はこの二つ、物事を「繋げる」のか、「選択肢を示す」のかという根本的な役割の違いで使い分けられます。

この記事を読めば、「and」と「or」の基本的な意味の違いから、論理的な使い分け、日常会話やビジネスでの具体的な使い方までスッキリ理解でき、もう迷うことはありません。それでは、まず最も重要な違いから見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「and」と「or」の最も重要な違い

【要点】

基本的には、「and」は複数の要素が「両方とも」成り立つことを示し、「or」は複数の要素のうち「どちらか一方(または両方)」が成り立つことを示すと覚えるのが簡単です。「AもBも」なら「and」、「AかBか」なら「or」とイメージしましょう。

まず、結論からお伝えしますね。

「and」と「or」の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。

項目 and or
品詞(役割) 接続詞 接続詞
中心的な意味 〜と、そして、および(併合・追加 〜か、または、あるいは(選択・خير択
論理的な意味 論理積 (A かつ B) 論理和 (A または B) ※通常は含む
条件の扱い 複数の条件がすべて満たされる必要がある 複数の条件のうち少なくとも1つが満たされればよい
簡単な例文 I like apples and oranges. (リンゴオレンジが好き) Do you want tea or coffee? (紅茶コーヒーどちらがいい?)

一番大切なポイントは、「and」が要素を足し合わせていくイメージなのに対し、「or」はどちらかを選ぶ、あるいはどちらでも良いという選択のイメージを持つことですね。

レストランで「ハンバーグエビフライ」を注文すれば両方出てきますが、「ハンバーグエビフライ」を選んでくださいと言われれば、通常はどちらか一方ですよね。

なぜ違う?言葉の核心(役割)からイメージを掴む

【要点】

「and」は物事を並列に「つなぎ合わせる」役割を持ちます。「AとB」のように、AもBも両方が存在することを示します。一方、「or」は「どちらか一方を選ぶ」または「どちらの可能性もある」という選択・代替の役割を持ちます。「AかBか」のように、選択肢を提示します。

この二つの単語の違いは、それぞれの言葉が持つ基本的な役割を考えると、よりはっきりと理解できますよ。

「and」の役割:「〜と」「そして」と物事を繋げる・追加する

「and」は、最も基本的な接続詞の一つで、単語と単語、句と句、文と文を対等な関係で繋げる役割を持ちます。

「A and B」という場合、AとBの両方が存在したり、両方が真実であったりすることを示します。要素を追加していく、足し算のようなイメージですね。

  • bread and butter (パンバター)→ 両方がある
  • He is tall and handsome. (彼は背が高くハンサムだ。)→ 両方の性質を持つ
  • I went to the library and borrowed a book. (私は図書館に行き、そして本を借りた。)→ 二つの動作が連続して行われた

このように、「and」は物事を付け加えていく、繋ぎ合わせていく感覚で使われます。

「or」の役割:「〜か」「または」と選択肢を提示する

一方、「or」も接続詞ですが、こちらは複数の選択肢の中から一つを選ぶ、あるいはどちらか一方(または両方)の可能性があることを示す役割を持ちます。

「A or B」という場合、「AかBのどちらか」という意味合いが基本になります。排他的な選択(どちらか一方のみ)を示すこともあれば、包含的な選択(どちらか一方、あるいは両方)を示すこともあります(これについては後ほど触れますね)。

  • coffee or tea (コーヒー紅茶)→ どちらかを選ぶ
  • Is he coming today or tomorrow? (彼は今日来ますか、それとも明日ですか?)→ どちらか一方の可能性
  • You can pay by cash or credit card. (現金またはクレジットカードでお支払いいただけます。)→ どちらかの方法を選べる

このように、「or」は選択肢を提示したり、代替案を示したりする感覚で使われます。

この「繋げる・追加する and」と「選択肢を示す or」という根本的なイメージの違いを掴むことが、使い分けの第一歩ですね。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

「I need a pen and paper.」(ペン紙が必要です)のように両方が必要な場合は「and」。「Is this pen black or blue?」(このペンは黒ですか、それとも青ですか?)のようにどちらかを選ぶ、またはどちらかである場合は「or」を使います。

言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。

日常会話やビジネスシーンで「and」と「or」がどのように使われるか、もう少し詳しく見ていきましょう。

「and」(繋げる・追加する)の使い方

「and」は、物事を並べたり、動作を続けたり、条件を追加したりする際に使われます。

【OK例文:and】

  • Please buy milk, eggs, and bread. (牛乳と卵パンを買ってください。)
  • She is smart and kind. (彼女は賢く親切です。)
  • He woke up, washed his face, and brushed his teeth. (彼は起きて、顔を洗い、そして歯を磨いた。)
  • If you study hard and get good grades, you can go to college. (もし一生懸命勉強し良い成績を取れば、大学に行けます。)

最後の例文のように、条件(この場合は2つ)を示すときにも「and」が使われ、「両方の条件を満たした場合」という意味になります。

「or」(選択肢を示す)の使い方

「or」は、選択肢を提示したり、どちらか一方を選ばせたり、可能性を示したりする際に使われます。

【OK例文:or】

  • Which do you prefer, dogs or cats? (犬猫、どちらが好きですか?)
  • You can wait here or come back later. (ここでお待ちいただく、後でまたお越しください。)
  • Hurry up, or you’ll miss the train. (急ぎなさい、さもないと電車に乗り遅れますよ。)
  • Is it true or false? (それは本当ですか、それとも嘘ですか?)

3番目の例文のように、「命令文, or …」の形で「〜しなさい、さもないと…」という、少し脅しのようなニュアンスで使われることもありますね。

これはNG!間違えやすい使い方

意味が大きく変わってしまう、あるいは不自然になってしまう使い方を見てみましょう。

  • 【NG】 I want to buy a black and white T-shirt. (黒白のTシャツを買いたい。)→ 1枚のTシャツが黒でありでもある(例:白黒のボーダー、パンダ柄)という意味になる。
  • 【OK】 I want to buy a black T-shirt and a white T-shirt. (黒いTシャツ白いTシャツを買いたい。)→ 黒と白、計2枚欲しい場合。
  • 【OK】 I want to buy a black or white T-shirt. (黒白のTシャツを買いたい。)→ どちらか1枚欲しい場合。

最初のNG例は、文脈によっては正しいこともありますが、「黒いTシャツか白いTシャツか、どちらか1枚欲しい」あるいは「黒いTシャツと白いTシャツを1枚ずつ欲しい」という意図であれば、適切な表現ではありません。

  • 【NG】 To enter the club, you must be over 20 or have an ID. (クラブに入るには、20歳を超えている、IDを持っている必要がある。)→ どちらか一方を満たせば入れる、という意味になる。
  • 【OK】 To enter the club, you must be over 20 and have an ID. (クラブに入るには、20歳を超えていかつIDを持っている必要がある。)→ 両方の条件を満たす必要がある場合。

条件を示す場合の「and」と「or」の混同は、意味が全く逆になってしまうため、特に注意が必要ですね。契約書や規則などで間違えると大変なことになりかねません。

【応用編】プログラミングや数学での「and」と「or」

【要点】

プログラミングや数学(論理学)では、「and」は論理積(A∧B:AかつB)、「or」は論理和(A∨B:AまたはB)に対応します。「and」は両方の条件が真のときのみ真となり、「or」は少なくとも一方の条件が真であれば真となります。特に「or」は通常、両方が真の場合も含む「包含的論理和」を指します。

「and」と「or」の使い分けは、プログラミングの条件分岐や数学の集合・論理演算においても非常に重要です。基本的な考え方は同じですが、より厳密に定義されます。

  • and (論理積 ∧): 複数の条件がすべて真 (True) の場合にのみ、結果全体が真 (True) となります。一つでも偽 (False) の条件があれば、結果は偽 (False) です。例: `if (age >= 20 and has_ticket == True):` (年齢が20歳以上であり、かつ、チケットを持っている場合)
  • or (論理和 ∨): 複数の条件のうち、少なくとも一つが真 (True) であれば、結果全体が真 (True) となります。すべての条件が偽 (False) の場合にのみ、結果は偽 (False) です。例: `if (is_student == True or age < 18):` (学生であるか、または、年齢が18歳未満の場合)

ここで注意したいのが、「or」の解釈です。日常会話の「コーヒーか紅茶どちらにしますか?」のような場面では、通常どちらか一方を選ぶ「排他的論理和(XOR)」を意味することが多いですよね。しかし、プログラミングや数学における「or(論理和)」は、通常、両方の条件が真である場合も含む「包含的論理和」を指します。

例えば、「土曜日または日曜日に来てください」と言われた場合、論理和としては土日両方行くことも許容されます(もちろん、文脈によりますが!)。

この論理的な違いを理解しておくと、条件を指定したり、情報を検索したりする際に、より正確な操作が可能になりますね。

「and」と「or」の違いを英語学習の視点から解説

【要点】

英語学習者が「and」と「or」を混同しやすいのは、日本語の助詞「と」「か」の感覚で捉えてしまうためです。英語では文法的な接続詞として、文と文、句と句、語と語を論理的に結びつける役割を強く意識する必要があります。特に条件文や否定文での意味の違いに注意し、多くの例文に触れることが重要です。

英語を学んでいると、なぜ「and」と「or」の使い分けが難しく感じられるのでしょうか?

一つは、日本語の助詞「と」や「か」が持つ多様なニュアンスを、そのまま英語の「and」や「or」に当てはめようとしてしまうからです。例えば、日本語の「AとB」は、「AおよびB」という意味もあれば、「AかBか」という意味で使われることも稀にありますよね(例:「賛成と反対に分かれる」)。

しかし、英語の「and」と「or」は、接続詞として文法的に明確な役割を持っており、特に論理的な繋がりを示す際には厳密に区別されます。

英語学習においては、単に「and = 〜と」「or = 〜か」と覚えるだけでなく、

  • 文の中で何と何を結びつけているのか(単語? 文?)
  • その結びつきが追加・併合なのか、選択・代替なのか
  • 条件文や否定文の中でどのような意味になるのか(例: “not A or B” は「AでもBでもない」)

といった点を意識することが重要です。

例えば、「I don’t like apples and oranges.」は通常「リンゴオレンジも両方好きではない」という意味にはならず、「リンゴとオレンジの両方が揃っている状態が好きではない」という少し不自然な意味になりがちです。「両方好きではない」と言いたい場合は、「I don’t like apples or oranges.」または「I like neither apples nor oranges.」とするのが一般的です。

このように、特に否定文や条件文では意味が変わってくるため、たくさんの例文に触れて、それぞれの接続詞が持つ論理的な役割を体で覚えていくのが効果的ですね。英語の接続詞の用法については、文化庁の日本語教育・国語教育に関する情報なども、言語比較の観点から参考になるかもしれません。

僕が料理で「and」と「or」を勘違いした苦い体験談

僕がまだ料理に慣れていない頃、「and」と「or」の指示を勘違いして、とんでもない料理を作ってしまったことがあります。

友人が遊びに来るので、ちょっとおしゃれなパスタを作ろうと思い、ネットでレシピを探していました。見つけたのは、「エビアボカドのクリームパスタ」。写真も美味しそうで、これに決めました。

レシピには、「ソースを作る際に、生クリーム牛乳を加える」と書いてありました。僕はその指示通り、生クリーム牛乳の両方を用意してソースを作り始めました。

ところが、途中で別の作業に気を取られ、うっかり牛乳を入れすぎてしまったんです。「まあ、クリームソースだし、牛乳が多い分には大丈夫だろう」と高をくくっていました。

しかし、完成したパスタは、なんだか水っぽくて味が薄い…。コクも足りません。友人に出すと、「うーん、優しい味だね…?」と微妙な反応。大失敗でした。

後でレシピをよくよく見返してみると、小さな文字で注釈があったんです。「※生クリームがない場合は、牛乳だけでも作れますが、コクが減ります」と。

つまり、本来のレシピは「生クリーム and 牛乳」がベストだけど、「牛乳 or (牛乳のみ)」でも代用可能、という意味合いだったんですね。僕は「and」の部分しか見ておらず、さらに牛乳を入れすぎたことで、完全にバランスを崩してしまったのです。

料理のレシピという、一見単純に見える指示の中にも、「and(両方必須)」なのか「or(どちらか、または代替可能)」なのかという論理的な区別が隠れていることを痛感しました。

それ以来、レシピを読むときはもちろん、誰かに指示を出すときや受け取るときも、「これは『かつ』なのか?『または』なのか?」を意識するようになりました。あの水っぽいパスタの味は、今でも忘れられません(笑)。

「and」と「or」に関するよくある質問

Q. 「and/or」という表記を見かけますが、これはどういう意味ですか?

A. 「and/or」は、「A and B」または「A or B」のどちらか一方、あるいはその両方の意味を含むことを示したい場合に用いられることがあります。つまり、「AとBの両方、または、AかBの少なくとも一方」という意味です。ただし、この表記は曖昧さを生む可能性があるため、特に契約書などの正式な文書では避け、「A, B, or both」のように明確に記述することが推奨されます。

Q. 否定文で「and」と「or」を使うと意味が変わると聞きました。

A. はい、変わります。例えば、「I don’t like A or B.」は「AもBも好きではない(両方否定)」という意味になります。一方、「I don’t like A and B.」は、「AとBの両方が揃っている状態が好きではない」という意味になり、「AかBの片方だけなら好きかもしれない」という含みを持ちます。一般的に「両方〜ない」と言いたい場合は「not … A or B」または「neither A nor B」を使います。

Q. 3つ以上のものを繋ぐときはどうすればいいですか?

A. 3つ以上のものを列挙する場合、通常は最後の要素の前にだけ「and」または「or」を置きます。コンマ (,) で区切り、「A, B, and C」や「A, B, or C」のようにします。最後の要素の前のコンマ(オックスフォードコンマと呼ばれる)を入れるかどうかは、スタイルガイドや文脈によって異なります(例: apples, oranges, and bananas / apples, oranges or bananas)。

「and」と「or」の違いのまとめ

「and」と「or」の違い、しっかり区別できるようになったでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. 基本的な役割:「and」は繋げる・追加する、「or」は選択肢を示す・代替する。
  2. 論理的な意味:「and」は論理積(かつ)、「or」は論理和(または)。
  3. 条件の扱い:「and」は全ての条件を満たす必要があり、「or」は少なくとも一つの条件を満たせばよい。
  4. 包含的 vs 排他的:日常会話の「or」は排他的な場合が多いが、論理演算の「or」は通常、両方を含む包含的な意味。

この二つの基本的な接続詞を正確に使い分けることは、英語の理解と表現の精度を大きく向上させます。

特に条件や論理を扱う場面では、その違いを意識することが非常に重要です。これからは自信を持って、「and」と「or」を使い分けていきましょう。言葉の使い分けについてさらに知りたい方は、カタカナ語・外来語の違いをまとめたページもぜひご覧ください。