留学や進学で迷わない!「college」と「university」の違い

留学や進学の話でよく聞く「college(カレッジ)」と「university(ユニバーシティ)」という言葉。

どちらも「大学」と訳されることがありますが、その違いを正確に説明できますか?

実はこの二つの言葉、国や文脈によって指すものが異なり、特にアメリカとイギリスでの使い分けには注意が必要なんです。一般的には、「university」のほうがより規模が大きく、学術的な研究機関を指すことが多いようです。

この記事を読めば、「college」と「university」の基本的な意味の違いから、国ごとのニュアンスの違い、具体的な使い分けまでスッキリ理解できます。もう海外ドラマのセリフや留学案内で迷うことはありません。それでは、まず最も重要な違いから見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「college」と「university」の最も重要な違い

【要点】

「university」は大学院を持つことが多い総合大学、「college」は学部課程中心の大学や短期大学、専門学校、大学内の学部などを指すことが多いです。ただし、国によって使い方が異なり、特にアメリカとイギリスでの違いを理解することが重要です。迷ったら文脈で判断しましょう。

まず、結論からお伝えしますね。

「college」と「university」の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。

項目 college university
中心的な意味 高等教育機関(学部課程中心、短期大学、専門学校など)や、大学内の特定の学部・学科群を指すことが多い。 複数の学部や大学院(修士・博士課程)を持つ、より大規模で研究中心の総合大学を指すことが多い。
規模感(一般的傾向) 比較的小規模なことが多い。 比較的大規模なことが多い。
学位(一般的傾向) 学士号(Bachelor’s degree)、準学士号(Associate degree)、専門分野の資格など。 学士号、修士号(Master’s degree)、博士号(Doctoral degree)など幅広い学位。
指す範囲 国によって様々(例:アメリカの学部課程、イギリスの大学構成要素や専門学校)。 学位を授与する高等教育機関全般(特に総合大学)。
注意点 国(特に米・英)や文脈で意味合いが大きく異なる。 比較的意味合いは共通しているが、規模や専門分野は様々。

一番大切なポイントは、特に英語圏では、国によってこれらの言葉が指す教育機関の種類が異なるということですね。

「college = 短大、university = 4年制大学」という単純な理解では、誤解が生じる可能性があります。次に、なぜこのような違いが生まれたのか、言葉の成り立ちから見ていきましょう。

なぜ違う?言葉の由来(語源)からイメージを掴む

【要点】

「college」はラテン語の「collegium(集まり、団体)」が語源で、共通の目的を持つ人々の集まりを意味します。「university」はラテン語の「universitas(組合、全体)」が語源で、中世の「教師と学生の組合」に由来し、より包括的な学術共同体を意味します。

なぜこの二つの言葉にニュアンスの違いが生まれるのか、それぞれの言葉が持つ元々の意味、つまり語源を紐解くと、その理由がよくわかりますよ。

「college」の由来:「集まり」から学術団体へ

「college」という言葉は、ラテン語の「collegium(コレギウム)」に由来します。

これは「同僚」「仲間」を意味する「collega」から派生した言葉で、「共通の規則や目的のもとに集まった人々の団体・組織」を意味していました。

古代ローマでは、商人組合や宗教団体など、様々な種類の「collegium」が存在したそうです。

この「集まり」という意味合いが、後に特定の学術的な目的を持つ人々の集まり、つまり学術団体や教育機関を指すようになり、現在の「college」の意味につながっていったんですね。

特定の専門分野や目的のために集まる、というニュアンスが根本にあるとイメージすると分かりやすいかもしれません。

「university」の由来:「組合」から総合大学へ

一方、「university」は、ラテン語の「universitas(ウニウェルシタス)」が語源です。

これは「全体」「普遍性」「組合」「団体」といった意味を持つ言葉でした。

中世ヨーロッパにおいて、ボローニャ大学やパリ大学などが形成される過程で、「universitas magistrorum et scholarium(教師と学生の組合)」という表現が使われるようになりました。

つまり、特定の学問分野だけでなく、様々な学術分野を包括的に扱い、教員と学生が共同で学問を探求する「学術共同体全体」を指す言葉として「university」が定着していったのです。

より広く、多様な学問分野を包括する「総合的な」学術機関、というイメージが根底にあるわけですね。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

留学の話では「She went to college in Boston.(彼女はボストンの大学に行った)」のように学部課程を指したり、「He is a professor at the university.(彼はその総合大学の教授だ)」のように大学院を含む機関を指したりします。日常会話では、「college student(大学生)」のように広く使われることもあります。

言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。

留学や進学、ビジネスシーンと日常会話、そして間違いやすいNG例を見ていきましょう。

留学や進学、ビジネスシーンでの使い分け

どのような教育機関や課程を指しているかを意識すると、使い分けが見えてきますよ。

【OK例文:college】

  • After high school, he attended a community college for two years. (高校卒業後、彼は2年間コミュニティカレッジに通った。) ※準学士号を目指す短期大学
  • She is studying liberal arts at a small private college. (彼女は小さな私立大学でリベラルアーツを学んでいる。) ※学部課程中心の大学
  • Harvard College is the undergraduate part of Harvard University. (ハーバード・カレッジはハーバード大学の学部課程である。) ※総合大学内の学部
  • He trained as a chef at a vocational college. (彼は職業訓練カレッジでシェフとしての訓練を受けた。) ※専門学校

【OK例文:university】

  • She graduated from Stanford University with a degree in computer science. (彼女はスタンフォード大学をコンピューターサイエンスの学位で卒業した。) ※大学院を持つ総合大学
  • The university is renowned for its research facilities. (その大学は研究施設で有名だ。) ※研究機関としての側面
  • He applied to several universities for his master’s program. (彼は修士課程のためにいくつかの大学院大学に応募した。) ※大学院課程
  • The city is home to a large public university. (その市には大きな公立総合大学がある。) ※大規模な教育機関

このように、「college」は文脈によって短期大学、学部課程中心の大学、総合大学内の学部、専門学校など、様々な意味で使われます。「university」は比較的、大学院を含む総合大学を指すことが多いですね。

日常会話での使い分け

日常会話では、より一般的な意味で使われることもあります。

【OK例文:college】

  • My son is now a college student. (私の息子は今、大学生です。) ※広く大学生を指す場合
  • Are you planning to go to college after high school? (高校卒業後、大学に進学する予定ですか?) ※高等教育機関全般を指す場合

【OK例文:university】

  • The town’s atmosphere changes when the university students leave for the summer. (大学生が夏休みでいなくなると、町の雰囲気が変わる。) ※その町の中心的な大学を指す場合
  • He works in the administration office at the local university. (彼は地元の大学の事務局で働いている。)

特にアメリカ英語の日常会話では、「college」が「大学(学部課程)」を指す一般的な言葉としてよく使われますね。

これはNG!間違えやすい使い方

意味が通じにくい、あるいは誤解を招く可能性がある使い方を見てみましょう。

  • 【△/NG in UK】He got his PhD from Oxford College.
  • 【OK】He got his PhD from Oxford University.

オックスフォード大学は多数の「カレッジ」で構成されていますが、博士号(PhD)のような学位は「ユニバーシティ」全体として授与されます。特にイギリスでは、「college」だけでオックスフォード大学全体を指すのは不自然です。

  • 【△/Ambiguous】I’m going to college next year.

この文だけでは、4年制大学の学部課程なのか、短期大学なのか、専門学校なのかが不明確です。文脈によっては通じますが、誤解を避けるためには、より具体的に “a four-year college”, “community college”, “vocational college” などと言う方が親切かもしれませんね。

留学前に知っておきたい!アメリカとイギリスでの使われ方の違い

【要点】

アメリカでは「college」が学部課程を指す一般的用語で、「university」は大学院を持つ大規模な機関を指す傾向があります。一方、イギリスでは「university」が学位を授与する機関で、「college」は大学の構成要素(学寮)、大学進学前の学校、専門学校などを指すことが多いです。

「college」と「university」の使い分けで最も注意が必要なのが、アメリカとイギリスでの意味合いの違いです。留学を考えている方は特にしっかり押さえておきましょう。

アメリカにおける「college」と「university」

アメリカでは、一般的に以下のような使い分けがされます。

  • college:
    • 4年制大学の学部課程(undergraduate program)を指す最も一般的な言葉。「go to college」は通常、4年制大学の学部課程に進学することを意味します。
    • 独立した学部課程のみの(大学院を持たない)リベラルアーツカレッジなども含まれます。
    • コミュニティカレッジ(community college): 2年制の公立短期大学。準学士号や職業訓練プログラムを提供し、4年制大学への編入の足掛かりにもなります。
    • 総合大学(university)内の特定の学部や学科群を指すこともあります(例:Harvard College)。
  • university:
    • 複数の学部(colleges or schools)と大学院(graduate programs: 修士・博士課程)を持つ、より大規模で研究中心の教育機関を指すことが多いです。
    • 州立大学(例:University of California)や大規模な私立大学(例:Stanford University)などが典型です。
    • ただし、小規模な機関でも「university」を名乗る場合もあります。

ポイントは、アメリカの日常会話では「college」が大学の学部課程を指す非常に一般的な言葉である、という点ですね。

イギリスにおける「college」と「university」

イギリスでは、アメリカとはかなり使い方が異なります。

  • college:
    • オックスフォード大学やケンブリッジ大学などの学寮制大学(collegiate university)の構成要素。学生が所属し、生活や指導を受ける場です(例:King’s College, Cambridge)。
    • Further Education (FE) College: 義務教育修了後(通常16歳以上)の学生が、職業訓練や大学進学準備(Aレベルなど)のために通う教育機関。
    • Sixth Form College: 大学進学準備のためのAレベルコースに特化したカレッジ(通常16~18歳)。
    • 特定の専門分野(芸術、音楽など)に特化した独立した高等教育機関。
  • university:
    • 学位(学士、修士、博士)を授与する権限を持つ高等教育機関を指します。
    • 研究と教育を行う中心的な機関です。
    • University of Londonのように、複数のcollegeで構成される連合大学(federal university)も存在します。

イギリスでは、学位を出すのが「university」であり、「college」は大学の一部であったり、大学入学前の教育機関であったり、専門学校であったりと、より多様な意味合いで使われます。

このように、同じ英語でも国によって制度や言葉の使い方が大きく異なるため、注意が必要ですね。

僕が留学先選びで「college」と「university」を混同して赤面した話

僕も昔、大学時代にアメリカ留学を考え始めた頃、この「college」と「university」の違いで恥ずかしい思いをしたことがあるんです。

当時、僕は単純に「college = 短大や専門学校」「university = 4年制大学」と思い込んでいました。高校の先生もそんな風に説明していた気がします。

ある日、大学の留学相談カウンターで、アドバイザーの方に意気揚々と希望を伝えました。

「アメリカの有名なUniversityで、リベラルアーツを学びたいんです!アイビーリーグとかに憧れてて…」

すると、アドバイザーの方は少し困ったような、でも優しい笑顔でこう言いました。

「なるほど、リベラルアーツ中心に学びたいんですね。それでしたら、アイビーリーグのような大規模なUniversityもいいですが、アメリカには学部教育に力を入れている素晴らしいリベラルアーツCollegeもたくさんありますよ。例えば、Amherst CollegeやWilliams Collegeとか…」

僕は「え?College?短大じゃなくて?」と一瞬パニックになりました。

アドバイザーの方は、僕の表情を見て察してくれたのか、アメリカでは「College」が学部課程を指す一般的な言葉であること、リベラルアーツ教育で有名な質の高い4年制の「College」がたくさんあることを丁寧に教えてくれました。

ハーバード大学の中に「Harvard College」という学部組織があることもその時初めて知りました。

自分の無知というか、思い込みが恥ずかしくて、顔がカッと熱くなったのを覚えています。「University で学びたい!」と力説していた自分が、なんだか滑稽に思えました。

この経験から、言葉の表面的な意味だけでなく、それが使われる文化や文脈、特に国ごとの違いを理解することの大切さを痛感しました。それ以来、海外の情報を得る際には、言葉の定義や背景をきちんと調べるクセがつきましたね。

「college」と「university」に関するよくある質問

日本の「〇〇カレッジ」は大学ではないのですか?

日本では、「カレッジ」という名称を持つ教育機関は様々です。学校教育法で定められた「大学」である場合もありますし、「専門学校(専修学校専門課程)」や、大学・短期大学に付設された教育施設(公開講座など)の場合もあります。名称だけで判断せず、どのような種類の学校なのか(大学なのか専門学校なのか)、どのような学位や資格が得られるのかを確認することが重要です。

結局、留学するならどっちを選べばいいですか?

「college」と「university」のどちらが良いかは、あなたの学びたいこと、目的、教育環境の好みによります。例えばアメリカの場合、学部課程で少人数教育やリベラルアーツ教育を重視するなら優れた「college」が良い選択肢かもしれません。一方で、特定の分野での最先端の研究に触れたい、大学院進学を視野に入れている、多様な学問分野に触れたいという場合は、研究施設や大学院が充実した「university」が向いているかもしれません。名称だけでなく、学校の規模、プログラム内容、教授陣、研究環境、立地、学費などを総合的に比較検討することが大切です。

「community college」とは何ですか?

主にアメリカにある2年制の公立の高等教育機関です。準学士号(Associate Degree)の取得や、職業訓練、4年制大学への編入(transfer)のための基礎教育などを目的としています。比較的入学しやすく、学費も4年制大学に比べて安価な場合が多いため、多様な学生が学んでいます。

「college」と「university」の違いのまとめ

「college」と「university」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. 基本的な違い:「university」は大学院を持つ総合大学、「college」は学部中心の大学や短期大学、専門学校、大学の一部などを指すことが多いが、定義は曖昧。
  2. 国による違いが重要:特にアメリカ(college=学部が一般的)とイギリス(university=学位授与機関、college=大学の一部や専門学校など)での使い分けに注意が必要。
  3. 語源イメージ:「college」は共通目的の「集まり」、「university」は学術共同体の「組合・全体」というニュアンスを持つ。
  4. 文脈で判断:名称だけで判断せず、どのような教育機関や課程を指しているのか、文脈で理解することが大切。

言葉の背景にある文化や制度の違いを知ると、単語一つでもより深く理解できるようになりますよね。

これで、留学や進学の情報を見るときも、自信を持って「college」と「university」の違いを区別できるはずです。言葉の使い分けについてさらに知りたい方は、カタカナ語・外来語の違いをまとめたページもぜひご覧ください。