英語で「みんな」「皆さん」と言いたいとき、”everyone” と “everybody” のどちらを使えばいいか、ふと迷うことはありませんか?
学校では「どちらも同じ意味」と習ったかもしれませんが、ネイティブスピーカーは微妙に使い分けているような気もしますよね。
実際、これら二つの単語は意味の上ではほとんど違いがありません。しかし、使われる場面のフォーマルさや、書き言葉か話し言葉かによって、わずかなニュアンスの違いがあるんです。
この記事を読めば、「everyone」と「everybody」の基本的な意味から、微妙なニュアンスの違い、文法的な注意点、類似表現との比較までスッキリ理解でき、どんな場面でも自信を持って使い分けられるようになります。それでは、まず最も重要な違いから見ていきましょう。
結論:一覧表でわかる「everyone」と「everybody」の最も重要な違い
基本的には、「everyone」と「everybody」は意味の上では同じ「みんな、全員」であり、多くの場合で置き換え可能です。ただし、「everyone」の方がややフォーマルで書き言葉向き、「everybody」の方がややインフォーマルで話し言葉向きという微妙なニュアンスの違いがあります。どちらも文法的には単数として扱います。
まず、結論からお伝えしますね。
「everyone」と「everybody」の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けはほぼマスターしたと言っても過言ではありません。
| 項目 | everyone | everybody |
|---|---|---|
| 基本的な意味 | みんな、皆さん、すべての人 | みんな、皆さん、すべての人 |
| 指す対象 | 特定のグループの全員 | 特定のグループの全員 |
| ニュアンス | ややフォーマル、客観的 | ややインフォーマル、親しみを込めて |
| 主に使われる場面 | 書き言葉、スピーチなど | 話し言葉、日常会話 |
| 文法上の扱い | 単数 | 単数 |
| 置き換え | 多くの場合可能 | |
意味は全く同じ、これが大前提です。ネイティブスピーカーでも厳密に区別せず使う人もたくさんいます。
ただ、どちらかというと “everyone” は少し硬い響きがあり、文章や公式なスピーチなどで好まれ、”everybody” は日常会話で親しみを込めて「みんな!」と呼びかけるような場面でよく使われる、という傾向があるんですね。
そして、文法的にどちらも単数として扱う(Everyone is here. / Everybody loves music. のように)という点は、非常に重要なポイントです。
なぜ違う?言葉の成り立ちとニュアンスから違いを掴む
どちらも「every(すべての)」+「one(人)」または「body(人)」という構成です。「one」は個々の人を意識させるため少し客観的・フォーマルに、「body」はより集合的な「人々」を想起させ、やや口語的・インフォーマルに感じられる傾向があります。
意味がほぼ同じなのに、なぜ二つの言い方が存在し、微妙なニュアンスの違いが生まれたのでしょうか?言葉の成り立ちを見てみると、そのヒントが見えてきます。
「everyone」のニュアンス:ややフォーマル、書き言葉寄り
“everyone” は、”every”(すべての)と “one”(人、もの)が組み合わさった言葉です。”one” は個々の存在を指す基本的な単語であり、人を指す場合も特定のだれか一人、あるいは不特定の「人というもの」を指します。
“every” と組み合わさることで、「そのグループに属する一人ひとりが皆」というニュアンスが生まれます。個々のメンバーに焦点を当てつつ全体を指すため、少し客観的で、どちらかというとフォーマルな響きを持ちます。そのため、文章やスピーチ、ビジネスシーンなどで好んで使われる傾向があります。
「everybody」のニュアンス:ややインフォーマル、話し言葉寄り
“everybody” は、”every”(すべての)と “body”(体、人)が組み合わさった言葉です。”body” も人を指す言葉ですが、”one” が個々の存在を意識させるのに対し、”body” はもともと「身体」を意味することから、より集合的な「人々」「人々の集まり」といったニュアンスを持ちます。「somebody(誰かさん)」や「anybody(誰でも)」のように、より口語的で漠然とした人を指す場合にも使われますよね。
“every” と組み合わさることで、「そこにいる人々全体、みんな」という、より一体感のある集合体を指すニュアンスが生まれます。”everyone” に比べると、親しみを込めた呼びかけや、インフォーマルな日常会話で使われることが多いです。「Hey, everybody!」(やあ、みんな!)のような呼びかけは典型的ですね。
とはいえ、このニュアンスの違いは絶対的なものではなく、あくまで傾向です。どちらを使っても間違いではなく、文脈や個人の好みで選ばれることがほとんどです。
具体的な例文で使い方をマスターする
日常会話や一般的な状況では「everyone」も「everybody」も同じように使えます。フォーマルな文書やスピーチでは「everyone」が、カジュアルな呼びかけや会話では「everybody」が好まれる傾向があります。どちらも動詞は単数形(is, has, loves など)で受けます。
それでは、具体的な例文を通して、それぞれの単語がどのような場面で使われるか、ニュアンスの違いを感じてみましょう。
一般的な場面(どちらも使える)
多くの場合、どちらを使っても自然で、意味も変わりません。
- Everyone / Everybody knows that smoking is bad for health. (喫煙が健康に悪いことは誰もが知っている。)
- Is everyone / everybody ready to go? (みんな、行く準備はできましたか?)
- Everyone / Everybody makes mistakes sometimes. (誰だって時には間違いを犯すものだ。)
- She invited everyone / everybody from the office to her party. (彼女は職場のみんなをパーティーに招待した。)
- Not everyone / everybody agrees with the decision. (誰もがその決定に賛成しているわけではない。)
ややフォーマルな場面(everyone が好まれる)
書き言葉、公式なアナウンス、ビジネスプレゼンテーションなどでは、”everyone” の方がより適切と感じられることがあります。
- Good morning, everyone. Welcome to the seminar. (皆様、おはようございます。セミナーへようこそ。)
- We ask that everyone remain seated until the aircraft comes to a complete stop. (飛行機が完全に停止するまで、皆様お座席にお座りください。)[機内アナウンス]
- This new policy will affect everyone in the company. (この新しい方針は社内の全員に影響します。)[社内文書]
- Everyone has the right to freedom of speech. (誰もが言論の自由に対する権利を持っている。)[やや硬い表現]
ややインフォーマルな場面(everybody が好まれる)
日常会話、友人同士の呼びかけ、カジュアルな集まりなどでは、”everybody” が親しみを込めて使われることが多いです。
- Hey everybody, let’s start the party! (やあみんな、パーティーを始めよう!)
- Okay everybody, listen up! (よしみんな、聞いてくれ!)
- Come on, everybody, sing along! (さあみんな、一緒に歌おう!)
- Everybody seemed to be having a good time. (みんな楽しんでいるようだった。)
これはNG!間違えやすい使い方(単数扱い)
“everyone” も “everybody” も「みんな」という意味なので、複数形のように感じてしまいがちですが、文法的には単数として扱います。これが最も重要な注意点です。
- 【NG】 Everyone are here.
- 【OK】 Everyone is here. (みんなここにいます。)
- 【NG】 Everybody like pizza.
- 【OK】 Everybody likes pizza. (みんなピザが好きです。)[三単現のs]
- 【NG】 Does everyone have their tickets? (代名詞は their も可だが動詞は単数)
- 【OK】 Does everyone have his or her ticket? (より厳密)
- 【OK】 Does everyone have their ticket? (近年許容される表現)
最後の例のように、”everyone/everybody” を受ける代名詞は、伝統的には “his or her” ですが、近年では性別を特定しない “their” を使うことが一般的になっています。ただし、動詞はあくまで単数形(例: everyone has, everybody is)で受けることを忘れないようにしましょう。
【応用編】似ている言葉「all people」「each person」との違いは?
「all people」は「すべての人々」を一般的に、あるいは世界中の人々など非常に広範囲を指す場合に使います。「everyone/everybody」は通常、特定の文脈における「その場にいる全員」を指します。「each person」は「一人ひとり、各自」を強調し、個々に焦点を当てます。
“everyone” や “everybody” と似た意味を表す他の表現との違いも見ておきましょう。
【all people / all the people】
“all people” は「すべての人々」を一般論として述べたり、非常に広範囲(例:世界中の人々)を指したりする場合に使われます。”all the people” は、特定の集団(例:その国の人々)を指す場合に使うことがあります。
- All people deserve respect. (すべての人は尊敬に値する。)[一般的な人々]
- All the people in this town know him. (この町の人々は皆、彼を知っている。)[特定の集団]
“everyone/everybody” は、通常、会話や文脈の中で暗黙的に特定されているグループの「全員」(例:この部屋にいる全員、クラスの全員)を指すことが多いです。”all (the) people” ほど広範囲を指すことは少ないです。
文法的には、”all people” は複数扱いです(例: All people are equal.)。
【each person】
“each person” は「一人ひとり」「各自」という意味で、集団の中の個々のメンバーに焦点を当てて述べるときに使います。”everyone/everybody” が全体を一つのまとまりとして捉えるのに対し、”each person” は個を強調します。
- Each person must bring their own lunch. (各自、自分の昼食を持参しなければならない。)
- The teacher gave feedback to each person individually. (先生は一人ひとりに個別にフィードバックを与えた。)
文法的には、”each person” は単数扱いです(例: Each person has a role.)。
まとめると、
- everyone/everybody: (特定のグループの)みんな、全員【単数扱い】
- all people: (一般的に、あるいは広範囲の)すべての人々【複数扱い】
- each person: (グループ内の)一人ひとり、各自【単数扱い】
という使い分けになりますね。
「everyone」と「everybody」の違いを言語学的に解説
言語学的には、「everyone」と「everybody」は複合不定代名詞に分類され、意味論的にはほぼ同義です。形態論的には “-one” と “-body” の違いがありますが、統語論的にはどちらも単数として扱われます。語用論的には、「everyone」がよりフォーマル、「everybody」がよりインフォーマルなレジスター(使用域)で好まれるという文体的な差異が観察されますが、絶対的な規則ではありません。
言語学的な観点から「everyone」と「everybody」の違いを見てみると、いくつかの側面から分析できます。
- 意味論 (Semantics): 意味の上では、両者は基本的に同義 (synonymous) です。どちらも「all people」や「every person」を指し、特定の文脈における集合全体を構成するメンバー全員を含意します。意味的な違いはほとんど無視できるレベルと言えます。
- 形態論 (Morphology): どちらも「every-」という限定詞に、人を指す不定代名詞「one」または「body」が結合した複合不定代名詞 (compound indefinite pronoun) です。「-one」系の不定代名詞 (someone, anyone, no one) と「-body」系の不定代名詞 (somebody, anybody, nobody) は、意味や統語的な振る舞いにおいてほぼ平行関係にあります。
- 統語論 (Syntax): 文法的には、”everyone” も “everybody” も単数 (singular) として扱われます。これは、構成要素である “one” や “body” が単数であることに由来します。そのため、動詞は三人称単数現在形 (-s/-es) を取り (Everyone knows.)、be動詞は is/was を取ります (Everybody is happy.)。ただし、これらを指す代名詞として、性別を特定しない包括的な “they/them/their” が、意味的な複数性 (semantic plurality) を反映して口語を中心に広く使われるようになっています (Everyone brought their own lunch.)。これは規範文法と実際の用法の間に乖離が見られる例の一つです。
- 語用論 (Pragmatics) / 文体論 (Stylistics): 最も顕著な違いが現れるのがこの側面です。一般的に、“everyone” は “everybody” よりもややフォーマルな響きを持ち、書き言葉で好まれる傾向があります。一方、“everybody” はより口語的でインフォーマルな響きを持ち、日常会話や親しい間柄での呼びかけなどで頻繁に使われます。これは、”one” が持つやや抽象的・客観的な響きに対し、”body” が持つより具体的・集合的な響きに起因する可能性があります。しかし、このフォーマルさの度合い (register) の違いは絶対的なものではなく、文脈や話者の意図によって柔軟に選択されます。例えば、フォーマルなスピーチでも親しみを込めて “everybody” を使うこともありますし、カジュアルなメールで “everyone” を使っても全く問題ありません。
言語学的に見ても、”everyone” と “everybody” の違いは意味や基本的な文法機能にあるのではなく、主に文体的なニュアンスや使用されるコンテクストの傾向にあると言えますね。
僕がプレゼンで「everybody」を使って少し浮いた(?)体験談
昔、社内の少し堅めな報告会でプレゼンテーションをしたとき、「everyone」と「everybody」のニュアンスの違いを意識せず、ちょっと場違いな言葉を選んでしまったかな、と後で反省した経験があります。
部署の業績報告をするプレゼンで、僕は参加している部員や他部署のマネージャーたちに向けて、冒頭でこう呼びかけました。
“Good morning, everybody! Let’s get started.”
(おはよう、みんな!始めましょう。)
普段、チームミーティングなどカジュアルな場では “everybody” を使うことが多かったので、その癖でつい言ってしまったのです。しかし、その報告会は役員も出席するような、比較的フォーマルな場でした。
誰も特に反応はしませんでしたが、話し始めた瞬間に「あ、しまった。”everyone” の方が良かったかも…」と内心で焦りました。”everybody” が間違いというわけではないのですが、その場の雰囲気には少しカジュアルすぎたように感じられたのです。まるで、かしこまった会議でいきなり「やあ!」と挨拶してしまったような、ちょっとした場違い感…。
プレゼン自体は無事に終わりましたが、その後、英語が得意な先輩に「今日の冒頭の挨拶、”everybody” より “everyone” の方が良かったかもしれませんね」と、やんわり指摘されました。
先輩曰く、「意味は同じだけど、こういう少し改まった場では “everyone” の方が無難だよ。”everybody” だと、親しみを込めているつもりでも、場面によっては馴れ馴れしいとか、少し軽く聞こえてしまう可能性もあるからね」とのこと。
確かに、その場の参加者や雰囲気、自分の立場などを考えて言葉を選ぶのが大切ですよね。意味が同じでも、言葉が持つ「響き」や「フォーマル度」が、場の空気に与える影響は意外と大きいのだと学びました。
それ以来、特にビジネスシーンでは、相手や状況に合わせて “everyone” と “everybody” を意識的に使い分けるようにしています。迷ったら、少しフォーマル寄りの “everyone” を選んでおけば、まず間違いはない、というのもこの時の教訓です。
「everyone」と「everybody」に関するよくある質問
Q1: 本当に意味は全く同じなのですか?微妙な違いもない?
A1: はい、意味内容としては完全に同じと考えて問題ありません。どちらも「特定のグループに属するすべての人」を指します。辞書によってはごく僅かなニュアンスの違い(everyone=個々を意識、everybody=集合体を意識)を記述するものもありますが、実際の使われ方ではほとんど区別されません。違いは主にフォーマルさや使用場面の傾向にあります。
Q2: 書き言葉では絶対に “everyone” を使うべきですか?
A2: 必ずしもそうではありません。”everyone” の方が書き言葉では一般的で好まれる傾向にありますが、小説の会話部分や、カジュアルなブログ記事、友人へのメールなど、文脈によっては “everybody” を使っても全く自然です。重要なのは、文章全体のトーンや読者との関係性に合わせることです。
Q3: “everyone” や “everybody” は単数扱いなのに、なぜ代名詞は “their” を使うことがあるのですか?
A3: 文法的には単数扱いのため、動詞は単数形 (is, has, goes) を取ります。代名詞も本来は単数の “his or her” を使うのが伝統的なルールでした。しかし、近年、性別を特定しない包括的な表現として、意味上の複数性に合わせて単数扱いの “they/them/their” を使うことが広く受け入れられています (例: Everyone should bring their own lunch.)。これは現代英語における変化の一つで、多くのスタイルガイドでも認められています。
「everyone」と「everybody」の違いのまとめ
「everyone」と「everybody」、これで使い分けのポイントが掴めましたね!
最後に、この記事のポイントをまとめておきましょう。
- 意味は同じ:「みんな、全員」という意味で、ほとんどの場合置き換え可能。
- ニュアンスの違い:「everyone」はややフォーマルで書き言葉向き、「everybody」はややインフォーマルで話し言葉向き。
- 文法は単数扱い:どちらも文法的には単数。動詞は is, has, likes のように単数形で受ける。
- 代名詞:受ける代名詞は “his or her” または包括的な “their” が使われる。
- 迷ったら “everyone”:フォーマルさが求められる場面や書き言葉で迷ったら、”everyone” を選ぶのが無難。
意味の違いを気にする必要はほとんどありませんが、使う場面のフォーマルさや、書き言葉か話し言葉かを少し意識するだけで、より自然で適切な英語表現に近づけます。
そして、最も重要な文法ルール「単数扱い」をしっかり守ること。これを忘れなければ、大きな間違いは避けられるはずです。
ぜひ、これからの英語学習やコミュニケーションで、自信を持って “everyone” と “everybody” を使い分けてみてください。言葉の使い分けについてさらに知りたい方は、カタカナ語・外来語の違いをまとめたページもぜひご覧ください。