「fluid」と「liquid」の違いとは?流体と液体の使い分けを解説

「fluid」と「liquid」、どちらも液体に関係する言葉のようですが、その違いをはっきり説明できますか?

科学の授業で聞いたことがあるような気もするけれど、日常会話やビジネスシーンで「この状況は fluid かな? liquid かな?」と迷ってしまうかもしれませんね。

実はこの二つ、指し示す「範囲」が違うんです。「fluid」の方がより広い意味を持っているんですよ。

この記事を読めば、「fluid」と「liquid」のそれぞれの定義、科学的な背景、そして具体的な使い分けまでスッキリ理解できます。もう、流れるものを表現する英語で迷うことはありません!

それではまず、最も重要な違いから詳しく見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「fluid」と「liquid」の最も重要な違い

【要点】

基本的には、「fluid」は液体と気体の両方を含む「流体」「liquid」はその中の「液体」のみを指します。「fluid」はより広範な概念で、形を変えて流れる性質を持つ物質全般に使えます。

まず、結論からお伝えしますね。

「fluid」と「liquid」の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。

項目 fluid liquid
品詞 名詞、形容詞 名詞、形容詞
中心的な意味 (名詞) 流体(液体および気体) 液体、液
中心的な意味 (形容詞) 流動的な、変わりやすい 液体の、液状の、澄んだ
科学的な定義 剪断応力(ずり応力)に対して連続的に変形(流動)する物質 一定の体積を持つが、定まった形を持たず容器の形になる物質の状態
含むもの 液体 (liquid) と 気体 (gas) の両方 液体のみ
使われ方の例 (名詞) Air and water are both fluids. (空気と水は両方とも流体だ。)
Hydraulic fluid (油圧作動油)
Drink plenty of liquids. (たっぷりと水分を摂ってください。)
Melted chocolate is a liquid. (溶けたチョコレートは液体だ。)
使われ方の例 (形容詞) The situation is quite fluid. (状況は非常に流動的だ。)
Her movements were fluid and graceful. (彼女の動きは流れるようで優雅だった。)
Liquid nitrogen is extremely cold. (液体窒素は極めて冷たい。)
Liquid assets (流動資産)

一番の違いは、「fluid」が液体と気体の総称である「流体」を指すのに対し、「liquid」は「液体」という特定の物質の状態のみを指す点ですね。つまり、「liquid」は「fluid」の一種である、という関係性になります。

また、どちらも形容詞として使われますが、「fluid」は「流動的な、変わりやすい」、「liquid」は「液体の、液状の」という意味合いで使われることが多いです。

なぜ違う?言葉の由来(語源)からイメージを掴む

【要点】

「fluid」はラテン語の「fluere(流れる)」が語源で、形を変えて流れる性質そのものに焦点があります。「liquid」もラテン語の「liquere(液状である、澄んでいる)」が語源ですが、こちらは特定の「液体」という状態を指すニュアンスが強いです。

この二つの言葉がなぜ似たような意味を持ちながら、指し示す範囲が異なるのでしょうか?それぞれの語源を探ってみましょう。

「fluid」の語源:「流れる」性質そのもの

「fluid」は、ラテン語の動詞「fluere」に由来します。「fluere」は「流れる」という意味を持っています。英語の “flow”(流れる)や “fluent”(流暢な)とも関連がありますね。

この語源から、「fluid」には、固体のように定まった形を持たず、力を加えると形を変えて流れていく性質(流動性)を持つ物質、という基本的なイメージがあることがわかります。液体だけでなく、気体もこの性質を持っていますよね。だからこそ、「fluid」は液体と気体の両方を包含する「流体」という広い概念を指すようになったのです。

「liquid」の語源:「澄んだ」「流れる」液体の状態

一方、「liquid」もラテン語に由来し、動詞「liquere」に関連しています。「liquere」は「液状である、液体である、澄んでいる」といった意味を持っていました。

この語源からは、「liquid」が、固体や気体とは異なる、特定の「液体」という物質の状態を指すことに焦点が当てられていることが分かります。「澄んでいる」という意味合いも含まれていたことから、水のような透明な流れるものをイメージしていたのかもしれませんね。

言葉の成り立ちを見ると、「fluid」が「流れる」という性質自体に着目しているのに対し、「liquid」は「液体」という特定の状態を指している、という違いが明確になりますね。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

科学的な文脈で液体と気体を合わせて議論する場合は「fluid mechanics(流体力学)」のように「fluid」を使います。日常生活で飲み物などを指す場合は「Drink plenty of liquids.(水分をたくさん飲んでください)」のように「liquid」が一般的です。形容詞では「fluid situation(流動的な状況)」、「liquid soap(液体石鹸)」のように使います。

言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。

「fluid」と「liquid」がそれぞれ名詞と形容詞として、どのような場面で使われるか見ていきましょう。

「fluid」を使う場合(液体と気体を含む流体、流動的なもの)

【名詞として】

  • Physics studies the behavior of solids, liquids, gases, and fluids. (物理学は固体、液体、気体、そして流体の振る舞いを研究する。)
  • The brakes work using hydraulic fluid. (ブレーキは油圧作動油を使って機能する。)
  • The patient needs intravenous fluids. (その患者は点滴(静脈内輸液)が必要だ。)
  • Fluid dynamics is a complex field. (流体力学は複雑な分野だ。)

【形容詞として】

  • The political situation remains highly fluid. (政治状況は依然として非常に流動的だ。)
  • Her dance movements were incredibly fluid. (彼女のダンスの動きは信じられないほど滑らかだった。)
  • The company needs a more fluid organizational structure. (その会社はもっと柔軟な組織構造が必要だ。)
  • The transition between scenes was smooth and fluid. (場面間の移行はスムーズで淀みがなかった。)

名詞では科学・工学分野で「流体」を指す場合や、体液・作動油などを指す場合に使われます。形容詞では「流れるような」「変わりやすい」といった比喩的な意味で使われることが多いですね。

「liquid」を使う場合(液体、液状のもの)

【名詞として】

  • Water is a clear, colorless liquid. (水は透明で無色の液体だ。)
  • Be careful not to spill the liquid. (その液体をこぼさないように気をつけて。)
  • This bottle contains a flammable liquid. (このボトルには可燃性の液体が入っている。)
  • Doctors often advise patients to drink plenty of liquids when sick. (医者は病気の時、患者にたくさんの水分(液体)を摂るようよく助言する。)

【形容詞として】

  • We sell both solid and liquid soap. (私たちは固形石鹸と液体石鹸の両方を販売している。)
  • The metal was heated until it became liquid. (その金属は液状になるまで熱せられた。)
  • She has beautiful, liquid eyes. (彼女は美しく澄んだ(潤んだ)瞳をしている。 – 比喩的表現)
  • They converted their stocks into liquid assets. (彼らは株を流動資産(現金化しやすい資産)に変えた。 – 経済用語)

名詞では水、ジュース、薬など、具体的な「液体」を指します。形容詞では「液体の状態にある」ことを示したり、「澄んだ」「流動性の高い(資産など)」といった意味で使われます。

これはNG!間違えやすい使い方

意味が通じないわけではありませんが、不自然に聞こえたり、誤解を招いたりする可能性がある使い方です。

  • 【NG】 Air is a type of liquid.
  • 【OK】 Air is a type of fluid (or gas). (空気は流体(または気体)の一種だ。)

空気は気体であり、液体ではありません。「流体」という広いカテゴリーなら含まれるので「fluid」を使うか、より具体的に「gas」を使うのが正しいですね。

  • 【NG】 The company’s plans are still very liquid.
  • 【OK】 The company’s plans are still very fluid. (その会社の計画はまだ非常に流動的だ。)

計画や状況が「変わりやすい」「固まっていない」状態を表すのは、形容詞の「fluid」です。「liquid」をこの意味で使うことは通常ありません。(「liquid assets(流動資産)」のように経済用語としては使いますが、意味が異なります。)

  • 【△/NG】 Please drink more fluids like water or juice.
  • 【OK】 Please drink more liquids like water or juice. (水やジュースのような水分(液体)をもっと飲んでください。)

日常会話で飲み物を指す場合、「liquids」の方が一般的で自然です。「fluids」でも間違いではありませんが、少し医学的な響き(輸液など)に聞こえる可能性があります。

気体を含むか、液体のみか、そして形容詞として「流動的」か「液状」か、という点を意識すると、適切な単語を選びやすくなりますね。

「fluid」と「liquid」の違いを物理学的視点から解説

【要点】

物理学(特に流体力学)において、「fluid(流体)」は静止状態では剪断応力(ずり応力)に抵抗できず、連続的に変形(流動)する物質と定義されます。これには液体と気体の両方が含まれます。「liquid(液体)」は、流体の中でも分子間力が比較的強く、自由表面を持ち、体積がほぼ一定という特徴を持つ状態を指します。気体は体積が一定ではなく、容器全体に広がります。

「fluid」と「liquid」の違いは、物理学、特に物質の状態や流体力学の分野で、より厳密に定義されています。

物理学において、「fluid(流体)」とは、加えられた剪断応力(せんだんおうりょく、shear stress – 物体を滑らせるように変形させる力)に対して、静止状態を保つことができず、連続的に変形(流動)する物質の総称です。この定義には、液体 (liquid)気体 (gas) の両方が含まれます。固体は剪断応力に対して一定の形状を保とうと抵抗しますが、流体はその力がある限り流れ続けます。

流体力学 (Fluid mechanics) という学問分野は、まさにこの「fluid」(液体と気体)の運動や性質を扱います。飛行機の翼周りの空気の流れ(気体)も、船の周りの水の流れ(液体)も、同じ流体力学の法則で説明できることが多いんですね。

一方、「liquid(液体)」は、物質の状態の一つであり、「fluid(流体)」の一部です。液体は、以下のような特徴を持ちます。

  • 定まった形を持たない:容器の形に合わせて形を変える(流動性)。これは気体も同じです。
  • ほぼ一定の体積を持つ:温度や圧力が変わらなければ、体積は大きく変化しない。気体のように無限に膨張したり、容易に圧縮されたりしません。
  • 自由表面を持つ:重力下では、容器に入れられた液体は、気体との間に明確な境界面(自由表面)を形成します。気体は容器全体を満たします。
  • 分子間力が比較的強い:気体ほどではないが、分子同士がある程度引き合っているため、まとまりを保ちます。

つまり、物理学的には、「fluid」は「流れる」という力学的な性質に注目した広いカテゴリーであり、「liquid」はその中で「体積がほぼ一定で自由表面を持つ」という熱力学的な状態を指す、と区別できます。水、油、アルコールなどは liquid であり、同時に fluid でもあります。空気、酸素、水蒸気などは gas であり、fluid ですが、liquid ではありません。

この科学的な定義を知っておくと、専門的な文脈での使い分けがより明確になりますね。例えば、日本機械学会の流体工学部門のようなサイトでは、こうした「流体」に関する研究が多く紹介されています。

僕が料理中に混同した「fluid」と「liquid」の話

実は僕、料理をしているときに、この二つの言葉のニュアンスの違いを実感したことがあります。

ある日、海外の料理レシピサイトを見ながら、ちょっと凝ったソースを作ろうとしていたんです。レシピには “Simmer until the mixture becomes a thick liquid.” (混合物がとろみのある液体になるまで煮詰める)と書かれていました。

順調に煮詰めていたのですが、思ったより早く水分が飛んでしまい、ソースというよりはペーストに近い状態になってしまいました。「うわ、煮詰めすぎた!」と焦った僕は、とっさに横にいた英語ネイティブの友人にこう言いました。

“Oh no, I cooked it too long! It’s not fluid enough anymore!” (しまった、煮詰めすぎた!もう十分に流動的じゃない!)

僕としては、「もっとサラサラ流れる感じにしたかったのに、固まっちゃった」というニュアンスで、形容詞の「fluid」(流れるような)を使ったつもりでした。すると友人は、鍋を覗き込みながら、

“You mean it’s not liquid enough? Yeah, it looks more like a paste. ‘Fluid’ isn’t wrong, but ‘liquid’ sounds more natural when you’re talking about the state of sauce.” (「液体っぽさが足りない」ってこと? うん、ペーストみたいだね。「fluid」も間違いじゃないけど、ソースの状態について話すなら「liquid」の方が自然に聞こえるかな。)

と言ったんです。

その時、ハッとしました。確かに、僕が目指していたのは「流れるような滑らかさ」(fluid な動き)というよりは、ソースとして適切な「液状」(liquid な状態)でした。「fluid」でも意味は通じるけれど、料理の文脈で「液体としての状態」を指すなら「liquid」の方がより直接的で分かりやすい、ということだったんですね。

「fluid」は動きや変化の性質、「liquid」は物質の状態そのもの。この微妙なニュアンスの違いを、料理という身近な場面で実感できたのは面白い経験でした。それ以来、レシピを見たり、料理の状態を説明したりする時には、この二つの単語のイメージをより意識するようになりました。

「fluid」と「liquid」に関するよくある質問

「fluid」と「liquid」について、よくある質問とその答えをまとめました。

水やジュースはどちらですか?

水やジュースは「liquid」(液体)です。これらは液体という物質の状態なので「liquid」を使うのが最も一般的です。もちろん、液体は流体の一種なので、科学的な文脈で「Water is a fluid.」と言うことも可能ですが、日常会話で飲み物を指す場合は「liquid」を使いましょう。

空気や蒸気はどちらですか?

空気や蒸気は「fluid」(流体)ですが、「liquid」(液体)ではありません。これらは気体 (gas) であり、気体は流体に含まれます。したがって、「Air is a fluid.」や「Steam is a fluid.」は正しいですが、「Air is a liquid.」は間違いです。

「流動食」は英語でどちらを使いますか?

一般的に「liquid diet」と言います。食べ物が液状であることを指すため「liquid」が使われます。「fluid diet」という表現も存在はしますが、「liquid diet」の方がはるかに一般的です。

「fluid」と「liquid」の違いのまとめ

「fluid」と「liquid」の違い、これでしっかり使い分けられそうですね!

最後に、この記事のポイントをまとめておきましょう。

  1. 範囲が違う:「fluid」は流体(液体+気体)、「liquid」は液体のみ。「liquid」は「fluid」の一部。
  2. 品詞:どちらも名詞形容詞がある。
  3. 名詞の意味:「fluid」=流体、「liquid」=液体。
  4. 形容詞の意味:「fluid」=流動的な、変わりやすい、「liquid」=液体の、液状の。
  5. 科学的定義:「fluid」は剪断応力で流動する物質、「liquid」は体積一定で自由表面を持つ状態。
  6. 語源:「fluid」は「流れる」、「liquid」は「液状である」。
  7. 使い分け:科学的な総称や比喩的な流動性には「fluid」、具体的な液体や液状の状態には「liquid」が基本。

一番のポイントは、「fluid」が液体と気体の両方を含む広い概念である、という点ですね。日常会話では「liquid」を使う場面の方が多いかもしれませんが、科学的な話や比喩的な表現では「fluid」が活躍します。

この違いを理解して、文脈に応じて適切な言葉を選べるようになると、英語の理解度も表現力もぐっと深まりますよ。

他の似たような単語の使い分けについてもっと知りたい方は、カタカナ語・外来語の違いをまとめたページもぜひチェックしてみてください。