「indicate」と「show」、どちらも日本語にすると「示す」という意味で使われることが多いですよね。
でも、英語のレポートを書いたり、プレゼンテーションをしたりする場面で、「この場合は indicate と show、どっちを使うのが自然なんだろう?」と迷った経験はありませんか?
実はこの二つの単語、示す内容の具体性や直接性、そして使われる場面のフォーマルさに違いがあるんです。データが示唆することなのか、それとも事実をはっきり見せることなのか、そこが使い分けのポイントになります。
この記事を読めば、「indicate」と「show」それぞれの意味やニュアンス、具体的な使い分け、さらには「demonstrate」や「suggest」といった似た単語との違いまでスッキリ理解できます。もう英語で「示す」と表現するときに迷うことはありません。それでは、まず最も重要な違いから見ていきましょう。
結論:一覧表でわかる「indicate」と「show」の最も重要な違い
基本的には、間接的に「指し示す」「示唆する」ニュアンスなら「indicate」、直接的に「見せる」「明らかにする」ニュアンスなら「show」と覚えるのが簡単です。「indicate」はややフォーマルで客観的な示唆、「show」はより一般的で具体的な提示に使われる傾向があります。
まず、結論からお伝えしますね。
「indicate」と「show」の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。
| 項目 | indicate | show |
|---|---|---|
| 中心的な意味 | 指し示す、暗示する、示唆する、表示する | 見せる、示す、明らかにする、案内する |
| 示し方 | 間接的、暗示的、客観的 | 直接的、具体的、視覚的 |
| フォーマル度 | ややフォーマル | 一般的(フォーマル・インフォーマル両方) |
| 使われる場面例 | データや調査結果が示唆すること、計器の表示、方向指示 | グラフや図表を見せる、感情を表す、方法を実演する、道を教える |
| ニュアンス | それとなく示す、方向づける | はっきりと目に見えるようにする |
一番大切なポイントは、「indicate」が何かをそれとなく指し示したり、データが特定の傾向を示唆したりするのに対し、「show」はもっと直接的に、目に見える形で何かを見せたり、明らかにしたりするというニュアンスの違いですね。
例えば、調査結果がある傾向を「示唆している」なら「indicate」、グラフを使って具体的な数値を「見せる」なら「show」がしっくりきます。
なぜ違う?言葉のニュアンスと使い方からイメージを掴む
「indicate」はラテン語の「indicare」(指し示す)が語源で、方向や情報などを「指で示す」ような間接的なイメージ。「show」は古英語の「scēawian」(見る、見せる)が語源で、視覚的に「見せる」「明らかにする」という直接的なイメージが根底にあります。
この二つの「示す」は、なぜこのようなニュアンスの違いを持つのでしょうか?言葉の成り立ち、つまり語源を辿ってみると、それぞれの単語が持つ核心的なイメージが見えてきますよ。
「indicate」のニュアンス:「指し示す」「示唆する」
「indicate」の語源は、ラテン語の「indicare(インディカーレ)」に遡ります。これは「in-(~の中に、~へ向かって)」と「dicare(宣言する、示す)」が組み合わさった言葉で、元々は「指し示す」「知らせる」「指摘する」といった意味を持っていました。「index(索引、指標)」や「indicate(指し示す)」の「dic/dict」の部分は、「言う」や「示す」に関連する語根です。
この「指し示す」という語源から、「indicate」には、直接的に全体を見せるのではなく、特定の方向や情報、あるいは可能性などを「ポイントする」「それとなく示す」という間接的なニュアンスが生まれます。計器の針が数値を指し示したり、データがある傾向を示唆したりするような場面で使われるのは、この語源のイメージが反映されているのでしょう。
「show」のニュアンス:「見せる」「示す」「明らかにする」
一方、「show」の語源は、古英語の「scēawian(シェーアウィアン)」に由来します。これは「見る」「じっと見る」「調べる」「見せる」といった、視覚に関連する意味を持つ言葉でした。現代英語の「view(眺め)」とも遠い親戚にあたります。
この「見る」「見せる」という語源から、「show」は、何かを隠さずに相手に見せたり、視覚的に分かりやすく示したり、あるいはこれまで隠れていたものを「明らかにする」という、より直接的で具体的なニュアンスを持ちます。
グラフを見せる、感情を表に出す、やり方を見せる、場所を案内するなど、視覚的に認識できる形で「示す」行為全般に幅広く使われるのは、この「見せる」という基本的なイメージが根底にあるからなんですね。
具体的な例文で使い方をマスターする
「The survey results indicate a growing trend.」(調査結果はトレンドの増加を示唆している)、「This graph shows the sales figures.」(このグラフは売上数値を示している)。道順なら「Could you show me the way?」(道を教えてくれませんか?)、標識が方向を指すなら「The sign indicates the direction.」(標識が方向を示している)のように使い分けます。
言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。ビジネスシーンや日常会話での使い方、そして間違いやすいNG例を見ていきましょう。
ビジネスシーンでの使い分け
データの解釈や資料の説明など、ビジネスでは「示す」場面が多くあります。
【OK例文:indicate】
- The latest market research seems to indicate a shift in consumer preferences. (最新の市場調査は、消費者の好みの変化を示唆しているようだ。)
- The red light indicates that the machine is overheating. (赤色のライトは、機械がオーバーヒートしていることを示しています。)
- Please indicate your availability for the meeting by checking the box. (会議へのご都合を、ボックスにチェックを入れて示してください。)
- These figures clearly indicate the need for cost reduction. (これらの数字は、コスト削減の必要性を明確に示しています。)
調査結果の示唆、警告灯の表示、選択肢の指示、数字が示す必要性など、間接的に何かを指し示したり、特定の情報を示唆したりする文脈で使われていますね。
【OK例文:show】
- Let me show you the sales data on this slide. (このスライドで売上データをお見せしましょう。)
- This chart shows the breakdown of our expenses. (このチャートは我々の経費の内訳を示しています。)
- The results show that our strategy was successful. (その結果は、我々の戦略が成功したことを示しています。)
- Could you show me how to use this software? (このソフトウェアの使い方を教えて(見せて)くれませんか?)
スライドやチャートを具体的に「見せる」、結果が事実を「明らかにする」、使い方を実演して「見せる」など、より直接的で具体的な「示す」行為に使われています。
日常会話での使い分け
日常会話では「show」が圧倒的に多く使われますが、「indicate」も特定の場面で使われます。
【OK例文:indicate】
- His silence seemed to indicate disagreement. (彼の沈黙は、不同意を示しているように思えた。)
- The road sign indicates a sharp turn ahead. (その道路標識は、前方に急カーブがあることを示している。)
- Dark clouds usually indicate rain. (黒い雲は通常、雨を示す(兆候である)。)
沈黙が示す意味、標識の表示、天候の兆候など、直接的ではない「しるし」や「兆候」を示す場合に「indicate」が使われます。
【OK例文:show】
- Can you show me your new phone? (新しいスマホを見せてくれる?)
- He didn’t show any emotion. (彼は何の感情も見せなかった。)
- I’ll show you around the city tomorrow. (明日、街を案内してあげるよ。)
- Show me what you bought! (何を買ったか見せて!)
物を「見せる」、感情を「表す」、場所を「案内する」など、非常に幅広く、日常的な「見せる」「示す」に使えますね。
これはNG!間違えやすい使い方
意味が通じないわけではありませんが、より自然な表現を選びたいですね。
- 【△】 This graph indicates the population growth clearly.
- 【OK】 This graph shows the population growth clearly. (このグラフは人口増加を明確に示しています。)
グラフが具体的なデータを視覚的に「見せている」ので、「show」の方がより直接的で一般的です。「indicate」でも間違いではありませんが、「グラフが(間接的に)示唆している」という少し回りくどいニュアンスに聞こえる可能性があります。
- 【NG】 Please indicate me your passport at the check-in counter.
- 【OK】 Please show me your passport at the check-in counter. (チェックインカウンターでパスポートを見せてください。)
パスポートのような物理的なものを相手に「見せる」よう依頼する場合は、「show」を使います。「indicate」は物自体を見せるという意味では通常使いません。
- 【△】 Her smile indicates her happiness.
- 【OK】 Her smile shows her happiness. (彼女の笑顔は、彼女の幸せを示している。)
感情が表情などに「現れる」「見て取れる」という場合は、「show」の方が一般的で自然です。「indicate」だと、笑顔が幸せの「兆候・しるし」である、という少し客観的で分析的な響きになります。
【応用編】似ている言葉「demonstrate」「suggest」との違いは?
「demonstrate」は、実演したり証拠を挙げたりして「明確に示す」「証明する」という意味合いが強いです。「suggest」は「indicate」と似ていますが、より控えめに「示唆する」「提案する」ニュアンスで、断定を避ける場合に使われます。
「indicate」や「show」の他にも、「示す」に関連する単語があります。特に「demonstrate」と「suggest」との違いを知っておくと、より細かなニュアンスを表現できますよ。
「demonstrate」との違い
「demonstrate」は、「示す」の中でも、実際にやってみせる(実演する)、あるいは明確な証拠や論拠を挙げて「論証する」「証明する」という意味合いが強い動詞です。
「show」が単に「見せる」ことを指すのに対し、「demonstrate」は理解や納得を促すために、より能動的かつ具体的に示すニュアンスがあります。デモ、実演、証明といった場面でよく使われます。
例:Could you demonstrate how this machine works? (この機械がどのように動くか実演していただけますか?) (≒ show)
例:The experiment clearly demonstrates the effect of the drug. (その実験は、その薬の効果を明確に証明している。)
例:He demonstrated his skills during the presentation. (彼はプレゼンテーションで自身のスキルを示した(発揮した)。)
「suggest」との違い
「suggest」は「提案する」という意味でよく知られていますが、「(間接的に)示唆する」「暗示する」「ほのめかす」という意味も持ちます。
この意味では「indicate」と非常に似ていますが、「suggest」の方がより控えめで、断定を避けるニュアンスがあります。確実ではないけれど、そう思われる、といった場合に使われます。
例:The evidence suggests he might be innocent. (その証拠は、彼が無実である可能性を示唆している。) (indicate より控えめ)
例:Are you suggesting that I’m wrong? (私が間違っていると言いたいのですか(ほのめかしているのですか)?)
例:Her expression suggested she was not happy. (彼女の表情は、彼女が嬉しくないことを物語っていた(暗示していた)。)
「indicate」と「show」の違いを英語の専門家視点で解説
意味論的観点から、「show」は知覚(特に視覚)を通じて情報を直接的に提示することを広くカバーする基本動詞です。一方「indicate」は、何か(兆候、データ、記号など)が別の何かを間接的に指し示す、あるいはその意味や状態を含意するという、より限定的で抽象的な関係性を表します。動詞構文(文型)の多様性も「show」の方が高い傾向にあります。
英語の専門家、例えば意味論や語用論を研究する言語学者の視点から見ると、「indicate」と「show」の違いは、それぞれの動詞が持つ意味の核(core meaning)と、それが拡張される範囲、そして典型的な使われ方(collocation)に現れます。
「show」は、英語における基本的な動詞の一つであり、その核となる意味は「何かを(通常は視覚的に)知覚できるようにする、提示する」ことです。この基本的な意味から派生して、「明らかにする」「証明する」「案内する」「(感情などを)表す」「(能力などを)発揮する」など、非常に多岐にわたる意味で使われます。多くの場合、直接的な目的語(見せる対象)や、間接目的語(見せる相手)を伴い、様々な文型(例:show A to B, show B A, show that節)を取ることができます。汎用性が高く、具体的なものから抽象的なものまで、広く「示す」行為全般をカバーします。
一方、「indicate」の核となる意味は「指し示す(point out/to)」であり、より限定的です。これは、ある事象、記号、データなどが、別の事象や状態、意味などを間接的に示唆する、あるいはその兆候となる、という関係性を表すのに適しています。「show」のような直接的な視覚的提示だけでなく、より抽象的、論理的な「示唆」や「表示」のニュアンスが強いです(例:調査結果が~を示す、メーターが~を示す)。文型も、「indicate A」や「indicate that節」が主で、「show」ほど多様ではありません。また、「indicate」は客観的な事実やデータを提示する、やや硬い、フォーマルな文脈で好まれる傾向があります。
語用論的には、話し手が聞き手に対して、情報をどの程度直接的に伝えたいか、あるいはどの程度の確信度で述べたいかによって、これらの動詞が選択されると考えられます。「show」は比較的直接的で確信度が高い場合に、「indicate」や「suggest」はより間接的で、断定を避けたい場合に使われる傾向があると言えるでしょう。
僕がプレゼンで「indicate」と「show」を混同してしまった体験談
僕も新人時代、英語でのプレゼンテーションで「indicate」と「show」の使い分けに失敗し、冷や汗をかいたことがあります。
ある製品の市場調査結果を発表していた時のことです。顧客満足度に関するアンケート結果を示す円グラフをスクリーンに映し出し、僕は自信満々にこう説明しました。
“As this pie chart clearly indicates, 80% of users are satisfied with our product.” (この円グラフが明確に示唆しているように、ユーザーの80%が我々の製品に満足しています。)
自分としては、「グラフが示している通り」と伝えたかったのですが、プレゼン後に質疑応答で、ネイティブの上司からこんな質問が飛んできました。
「グラフが『示唆している』(indicate) というのは、何かまだ確定していない、あるいは解釈の余地があるということかな?グラフは具体的な数字を『見せて』(show) いるように思うんだけど、君はどう解釈したんだい?」
一瞬、頭が真っ白になりました…!上司は別に意地悪で聞いたわけではなく、僕の言葉遣いから、僕がデータに対して何か特別な解釈や含みを持たせているのではないか、と感じたようなのです。
僕は慌てて、「いえ、申し訳ありません。グラフは明確な結果を『示して』います。言葉の選択を誤りました。正しくは ‘As this pie chart clearly shows…’ です」と訂正しました。
この経験から、具体的なデータや視覚的な情報を直接的に示す際には「show」を使うのが基本であり、「indicate」を使うと、何かを間接的に示唆している、あるいは話し手の解釈が加わっているようなニュアンスを与えかねない、ということを学びました。
特に、客観的な事実を提示するビジネスシーンでは、言葉のニュアンスが意図しない誤解を招く可能性があるため、より慎重な単語選びが必要だと痛感した出来事でした。
「indicate」と「show」に関するよくある質問
Q. グラフや表について説明するときは、常に「show」を使うべきですか?
A. 多くの場合、「show」を使うのが最も自然で分かりやすいでしょう。グラフや表は、具体的なデータや情報を視覚的に「見せる」ものだからです。「This graph shows…」や「The table shows…」という表現が一般的です。ただし、グラフから読み取れる傾向や、それが暗示する内容について述べたい場合は、「The graph indicates a possibility of…」(グラフは~の可能性を示唆している)のように「indicate」を使うこともあります。
Q. 人の感情について話すときは、どちらが適切ですか?
A. 人が感情を表情や行動で「表す」「見せる」場合は、「show」を使うのが一般的です(例:「He showed his anger.」)。一方、表情や態度などが、その人の感情を間接的に「示している」「うかがわせる」というニュアンスで言いたい場合は、「indicate」を使うことも可能です(例:「Her tears indicated her sadness.」)。ただし、日常会話では「show」の方がよく使われます。
Q. 道順を「示す」場合はどちらを使いますか?
A. 人に道を「教える」「案内する」という意味では、「show」を使います(例:「Could you show me the way to the station?」)。地図や標識などが方向を「指し示す」場合は、「indicate」を使います(例:「The map indicates the shortest route.」)。
「indicate」と「show」の違いのまとめ
「indicate」と「show」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。
最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。
- 示し方の違いが核心:「indicate」は間接的に「指し示す・示唆する」、「show」は直接的に「見せる・明らかにする」。
- フォーマル度:「indicate」はややフォーマル、「show」は一般的。
- 語源イメージ:「indicate」は「指し示す」、「show」は「見る・見せる」。
- 具体的な場面:データが示唆するのは「indicate」、グラフを見せるのは「show」。兆候や表示は「indicate」、実演や案内は「show」。
- 類義語との比較:「demonstrate」は実演・証明、「suggest」はより控えめな示唆。
- 使い分けの重要性:特にビジネスや学術的な場面では、ニュアンスの違いが誤解を招く可能性もあるため、適切な単語を選ぶことが大切。
これらのポイントを押さえれば、もう英語で「示す」と表現する際に、「indicate」と「show」のどちらを使うべきか迷うことは少なくなるはずです。
言葉のニュアンスを正確に捉え、文脈に合わせて使い分けることで、あなたの英語表現はより豊かで的確になりますよ。自信を持って使い分けていきましょう。カタカナ語・外来語の使い分けについてさらに知りたい方は、カタカナ語・外来語の違いをまとめたページもぜひご覧ください。