「who」と「whom」の違いとは?主格と目的格の使い分けを解説

英語の「who」と「whom」、どちらを使うべきか迷ってしまうこと、ありますよね。

特に書き言葉やフォーマルな場面で、「これで合ってるかな?」と不安になる方も多いのではないでしょうか。

実はこの二つの単語、文の中で主語(〜が)の役割をするか、目的語(〜を、〜に)の役割をするかで明確に使い分けられるんです。この記事を読めば、「who」と「whom」の基本的な違いから、具体的な使い方、会話での扱われ方までスッキリ理解でき、もう迷うことはありません。それでは、まず最も重要な違いから見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「who」と「whom」の最も重要な違い

【要点】

基本的には、文の中で主語(〜が)として使うなら「who」、目的語(〜を、〜に)として使うなら「whom」と覚えるのが簡単です。「he/she」に置き換えられれば「who」、「him/her」に置き換えられれば「whom」と考えると分かりやすいでしょう。

まず、結論からお伝えしますね。

「who」と「whom」の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。

項目 who whom
基本的な意味 (疑問詞)誰、(関係代名詞)〜する人
文法的な格 主格 (Subjective) 目的格 (Objective)
文中での役割 主語(〜が、〜は) 目的語(〜を、〜に)、前置詞の目的語
置き換えのヒント he / she / they に置き換えられる him / her / them に置き換えられる
疑問文の例 Who called you? (誰があなたに電話したの?) Whom did you call? (あなたは誰に電話したの?)
関係代名詞の例 The person who called you is my brother. (あなたに電話した人(が)は私の兄です。) The person whom you called is my brother. (あなたが電話した人(に)は私の兄です。)
使われる場面 主語として、会話・書き言葉全般 目的語として、特にフォーマルな書き言葉、前置詞の後ろ

一番大切なポイントは、文の中での役割(主語か目的語か)ですね。迷ったときは、「he/she」に置き換えられるか、「him/her」に置き換えられるかを試してみると、判断しやすくなりますよ。

なぜ違う?文法上の役割(主格 vs 目的格)

【要点】

「who」と「whom」の違いは、英語の「格」に基づいています。「who」は主格で文の主語となり、「whom」は目的格で動詞や前置詞の目的語となります。これは代名詞「I/my/me」や「he/his/him」などに見られる格変化と同じ仕組みです。

なぜ英語では「誰」を表すのに「who」と「whom」という二つの形があるのでしょうか? その理由は、英語の文法における「格(case)」という概念にあります。

格とは、名詞や代名詞が文の中でどのような役割(主語、目的語、所有者など)を果たしているかを示す文法的な形のことです。皆さんも「I / my / me」や「he / his / him」といった代名詞の形の変化を習ったことがあるかと思いますが、あれがまさに格変化です。

「who」は主語(〜が)の役割

「who」は主格の代名詞です。主格とは、文の主語、つまり動作を行う主体(〜が、〜は)を表す形です。

例えば、「Who opened the window?(誰が窓を開けたの?)」という文では、「who」が「窓を開けた」という動作の主体(主語)になっていますね。この文の答えが「He opened the window.(彼が窓を開けた)」となるように、「who」は主格の代名詞「he」や「she」「they」に対応します。

「whom」は目的語(〜を、〜に)の役割

一方、「whom」は目的格の代名詞です。目的格とは、動詞の動作の対象(〜を、〜に)や、前置詞の対象となる形です。

例えば、「Whom did you meet yesterday?(あなたは昨日誰に会いましたか?)」という文では、「whom」が「会った(meet)」という動作の対象(目的語)になっています。この文の答えが「I met him yesterday.(私は昨日彼に会った)」となるように、「whom」は目的格の代名詞「him」や「her」「them」に対応します。

また、「To whom should I give this letter?(誰にこの手紙を渡すべきですか?)」のように、前置詞(to, for, with など)の後ろに来る場合も目的格である「whom」が使われます。

このように、「who」と「whom」の使い分けは、他の代名詞の主格と目的格の使い分け(例: I vs me, he vs him)と同じ文法ルールに基づいているんですね。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

主語になる場合は「Who is coming?(誰が来るの?)」のように「who」を、目的語になる場合は「Whom did you see?(誰に会ったの?)」や「the person whom I admire(私が尊敬する人)」のように「whom」を使います。特に前置詞の後ろは「for whom(誰のために)」のように「whom」が基本です。

理屈は分かっても、実際に使うとなると迷うこともありますよね。具体的な例文を通して、「who」と「whom」の使い方をしっかり身につけましょう。

「who」を使う場合(主語として)

文の主語として、または関係代名詞節の中で主語として使われます。

  • Who wants some pizza? (ピザが欲しい人(は)?)
  • Who made this beautiful cake? (誰がこの美しいケーキを作ったの?)
  • She is the artist who painted this picture. (彼女がこの絵を描いた画家(です)。)
  • I need someone who can speak French. (フランス語を話せる人(が)必要です。)
  • Do you know the boy who is standing over there? (あそこに立っている少年(を)知っていますか?) ※関係詞節内では主語

関係代名詞の場合、先行詞(whoが説明する名詞)が関係詞節の中で主語の役割を果たしているかを確認しましょう。「the artist painted…」「someone can speak…」「the boy is standing…」のように、主語として自然であれば「who」を使います。

「whom」を使う場合(目的語として)

動詞の目的語、または関係代名詞節の中で目的語として使われます。特にフォーマルな文体で使われることが多いです。

  • Whom should we invite to the party? (私たちは誰をパーティーに招待すべきですか?)
  • Whom did you give the book to? (あなたはその本を誰にあげたのですか?)
  • The manager whom I respect is retiring soon. (私が尊敬しているそのマネージャー(を)はもうすぐ退職します。)
  • She is the candidate whom we interviewed yesterday. (彼女が私たちが昨日面接した候補者(です)。)
  • This is the professor whom I told you about. (こちらが私があなたに話した教授(です)。)

関係代名詞の場合も同様に、先行詞が関係詞節の中で目的語になっているかを確認します。「I respect the manager」「we interviewed the candidate」「I told you about the professor」のように、目的語として自然であれば「whom」を使います。

前置詞の後では「whom」を使うのが基本

前置詞(to, for, with, about, from など)の目的語となる場合は、原則として「whom」を使います。これは比較的明確なルールです。

  • To whom did you send the email? (あなたはそのメールを誰に送りましたか?)
  • For whom are you buying this gift? (あなたはこの贈り物を誰のために買っているのですか?)
  • He is the colleague with whom I work closely. (彼は私が緊密に協力している同僚(です)。)
  • That is the issue about whom we were discussing. (それが私たちが議論していた問題(です)。) ※人を問題として議論する場合

ただし、会話では前置詞が文末に移動し、「Who did you send the email to?」のように「who」が使われることも多いです(後述)。

これはNG!間違えやすい使い方

主格と目的格を混同すると、文法的に正しくない文になってしまいます。

  • 【NG】 Whom is calling me? (誰にが私に電話しているの?)
  • 【OK】 Who is calling me? (誰が私に電話しているの?)

電話をかけている主体(主語)を尋ねているので「who」が正解です。

  • 【NG】 The woman who I met at the conference was very knowledgeable. (私が会議で会った女性(が)は非常に知識が豊富だった。)
  • 【OK】 The woman whom I met at the conference was very knowledgeable. (私が会議で会った女性(に)は非常に知識が豊富だった。)
  • 【OK】 The woman who I met at the conference was very knowledgeable. (口語的)
  • 【OK】 The woman I met at the conference was very knowledgeable. (関係代名詞の省略)

関係詞節「I met (the woman)」の中で、先行詞「the woman」は動詞「met」の目的語にあたるため、本来は「whom」が文法的に正確です。ただし、現代英語、特に会話では「who」で代用されたり、目的格の関係代名詞が省略されたりすることも一般的です。

  • 【NG】 With who did you go to the concert? (誰とコンサートに行きましたか?)
  • 【OK】 With whom did you go to the concert? (誰とコンサートに行きましたか?)
  • 【OK】 Who did you go to the concert with? (口語的)

前置詞「with」の後ろなので、文法的には「whom」が正解です。ただし、会話では前置詞を文末に移動させ、「Who…?」で始める方が自然に聞こえることが多いです。

【応用編】会話での「whom」の扱われ方

【要点】

現代の日常会話では、「whom」が使われる頻度は減っており、目的格の場合でも「who」で代用されることが一般的です。特に疑問文の文頭や、前置詞が文末にくる場合は「who」が好まれます。ただし、フォーマルな書き言葉や前置詞の直後では、依然として「whom」を使うのが適切とされています。

ここまで「who」は主格、「whom」は目的格というルールを説明してきましたが、実は現代英語、特に日常会話においては、このルールは少し緩やかになってきています。

実際の会話では、「whom」を使うべき目的格の場面でも、「who」で代用されることが非常に多いのです。

例えば、

  • Who did you meet yesterday? (昨日誰に会った?) ← 文法的には Whom がより正確
  • Who are you talking to? (誰に話しかけてるの?) ← 文法的には Whom がより正確
  • The person who I admire is… (私が尊敬する人は…) ← 文法的には Whom がより正確

のように、「whom」を使うと少し堅苦しく聞こえるため、くだけた会話では「who」が好まれる傾向にあります。

特に、疑問文の文頭や、前置詞が文末に置かれる場合(例: Who are you looking for?)は、「whom」よりも「who」を使う方が圧倒的に自然です。

ただし、だからといって「whom」が完全になくなったわけではありません。

  • フォーマルな書き言葉(論文、ビジネス文書など)
  • 前置詞の直後(例: to whom, for whom, with whom)

これらの場面では、依然として「whom」を使うのが文法的に正しく、適切とされています。むしろ、フォーマルな場で目的格に「who」を使うと、教養がないと見なされる可能性もゼロではありません。

結論としては、

  • 会話やカジュアルな文章では、目的格でもwhoを使うのが一般的(ただし前置詞の直後はwhomが無難)。
  • フォーマルな文章では、文法ルールに従い、目的格にはwhomを使うのが望ましい。

このように、場面に応じて使い分ける意識を持つのが良いでしょう。「whom」の正しい使い方を知っておくことは、フォーマルな場面できちんとした英語を使う上で依然として重要だと言えますね。

「who」と「whom」の違いを言語学的に解説

【要点】

言語学的に見ると、「who」と「whom」の区別は、古英語における代名詞の格変化の名残です。古英語では名詞や代名詞は文中での役割に応じて複雑に形を変えていましたが、現代英語ではその多くが失われました。「whom」は目的格(特に対格・与格)の形が残ったものですが、言語の簡略化の流れの中で、主格の「who」が目的格としても使われるようになってきています。

「who」と「whom」の使い分けが現代英語で揺れ動いている背景には、言語の歴史的な変化があります。言語学的な視点から、この違いをもう少し深く掘り下げてみましょう。

「who」と「whom」の区別は、古英語(Old English, 5世紀〜12世紀頃)における代名詞の格変化(case inflection)の名残です。

古英語では、現代ドイツ語やラテン語のように、名詞、代名詞、形容詞が文の中での役割(主語、所有者、直接目的語、間接目的語など)に応じて語尾などを変化させるシステム(格システム)を持っていました。「who」にあたる疑問代名詞・関係代名詞も、以下のように複雑な格変化をしていました。

  • 主格:hwā
  • 属格(所有格):hwæs
  • 与格(間接目的語):hwǣm / hwām
  • 対格(直接目的語):hwone

現代英語の「who」はこの主格の「hwā」に、「whose」は属格の「hwæs」に由来します。そして、「whom」は与格の「hwǣm / hwām」や対格の「hwone」(特に与格)が変化した形と考えられています。

中英語(Middle English, 12世紀〜15世紀頃)を経て近代英語(Modern English)へと変化する過程で、英語の格システムは大幅に簡略化されました。名詞の格変化はほぼ失われ、代名詞にかろうじてその名残(I/my/me, he/his/him など)が見られる程度になりました。

「who」と「whom」の区別も、この簡略化の流れの中にあります。本来は目的語(与格・対格)を表していた「whom」の代わりに、主格である「who」が広く使われるようになってきたのです。これは、言語がよりシンプルで規則的な形へと変化していく自然なプロセスの一部と捉えることができます。

特に、文頭に疑問詞を置くという英語の語順ルール(例: Whom did you see?)が、「who」が本来主語の位置に来るという感覚と相まって、「Who did you see?」のような形をより自然に感じさせる要因になっているのかもしれません。

現在、「whom」が主にフォーマルな文体や前置詞の直後という限られた環境で生き残っているのは、言語変化の過渡期にあることを示していると言えるでしょう。将来的には、「whom」の使用はさらに限定的になる可能性も考えられますね。

僕が英文メールで「who」と「whom」を間違えた苦い記憶

今でこそ「who」と「whom」の違いを説明できるようになりましたが、僕も過去に手痛い失敗をしたことがあります。あれは社会人になりたての頃、海外の取引先に初めて英文メールを送った時のことでした。

あるプロジェクトに関して、担当者を紹介してもらう必要があり、僕は拙いながらも一生懸命メールを作成しました。紹介してほしい相手が複数名いる可能性があったので、「どなたをご紹介いただけますでしょうか?」というニュアンスで、確かこんな一文を書いた記憶があります。

「Could you please tell me who you will introduce from your team?」

自分としては、「誰を紹介してくれるの?」という意味で、ごく自然な疑問文のつもりでした。「who」が主語にも目的語にも使える、という甘い認識があったのかもしれません。

数日後、返信メールが届き、無事に担当者を紹介してもらえたのですが、メールの最後に丁寧な言葉遣いで P.S. が添えられていました。

「P.S. Just a small note on grammar, in formal writing like this email, when ‘who/whom’ is the object of a verb (‘introduce’ in this case), ‘whom’ is traditionally preferred. So, ‘…tell me whom you will introduce…’ would be more precise. Hope this helps!」

(追伸:文法に関するちょっとした注記ですが、このようなフォーマルなメールでは、「who/whom」が動詞(この場合は introduce)の目的語になる場合、伝統的には「whom」が好まれます。ですので、「…tell me whom you will introduce…」の方がより正確でしょう。お役に立てば幸いです!)

読んだ瞬間、顔から火が出るかと思いました。相手は僕の文法ミスを、非常に丁寧かつ親切に指摘してくれたのです。幸い、ビジネスに支障はありませんでしたが、自分の英語力のなさと、フォーマルな場での言葉遣いへの意識の低さを痛感しました。

「introduce」するのは相手(you)であり、紹介される「誰か」はその目的語なのだから、フォーマルなメールでは「whom」を使うべきだったのです。会話では「who」でも許容されることが多いけれど、書き言葉、特にビジネスメールでは、文法的な正確さが求められることを、この経験を通して学びました。

それ以来、英文メールを書く際には、特に「who」を使う場面で一瞬立ち止まり、「これは主語か?目的語か?」と自問自答するようになりました。あの時の恥ずかしさが、今では正確な英語を使うための良い教訓になっています。

「who」と「whom」に関するよくある質問

Q1: 関係代名詞の目的格は、いつも「whom」を使わないといけませんか? 省略できる場合もあると聞きました。

A1: フォーマルな文体では目的格の関係代名詞として「whom」を使うのが最も正確ですが、現代英語ではいくつかの選択肢があります。まず、カジュアルな場面では「who」で代用することが非常に一般的です(例: The person who I met)。さらに、目的格の関係代名詞は省略できることも多いです(例: The person I met)。ただし、前置詞が関係代名詞の直前に来る場合(例: the person with whom I spoke)は、省略できず、「whom」を使うのが基本です。

Q2: 疑問文で「Who are you looking for?」は正しいですか? 「Whom」ではないのですか?

A2: 文法的に厳密に言えば、「for」の目的語なので「Whom are you looking for?」または「For whom are you looking?」がより正しい形です。しかし、現代の日常会話では、「Who are you looking for?」のように文頭に「Who」を置き、前置詞を文末に置く形が圧倒的に一般的で、自然に聞こえます。「Whom」を文頭に使うと、かなり堅苦しい印象を与えます。

Q3: 「who」と「whom」の簡単な見分け方はありますか?

A3: 迷ったときは、その「who/whom」の部分を他の代名詞に置き換えてみるのが有効な方法です。文が成り立つように「he」や「she」「they」といった主格の代名詞が入るなら「who」を、文が成り立つように「him」や「her」「them」といった目的格の代名詞が入るなら「whom」を使います。

  • Who called? → He called. (だから Who)
  • Whom did you call? → You called him. (だから Whom)
  • The person who called… → She called… (だから who)
  • The person whom you called… → You called her… (だから whom)

この置き換えテストは、特に書き言葉で正確さを期したい場合に役立ちますよ。

「who」と「whom」の違いのまとめ

「who」と「whom」の違い、これでしっかり整理できたでしょうか。

最後に、この記事の重要なポイントをまとめておきましょう。

  1. 基本は文法的な役割:文の中で主語(〜が)なら「who」、目的語(〜を、〜に)なら「whom」を使う。
  2. 格の変化:「who」は主格、「whom」は目的格。これは他の代名詞(I/me, he/him)と同じルール。
  3. 置き換えテスト:「he/she/they」に置き換えられれば「who」、「him/her/them」に置き換えられれば「whom」。
  4. 前置詞の後ろ:前置詞(to, for, with など)の直後は原則として「whom」。
  5. 会話では「who」が優勢:日常会話では、目的格でも「who」が使われることが多い。特に疑問文の文頭や前置詞が文末に来る場合。
  6. フォーマルな場面では「whom」:書き言葉やフォーマルなスピーチでは、文法ルール通り「whom」を使うのが適切。

現代英語では「whom」の使用頻度が減っているとはいえ、正しい使い方を知っておくことは、フォーマルな場面でのコミュニケーションや、英文の読解において依然として重要です。場面に応じて適切に使い分けられるように、意識してみてくださいね。

言葉の使い分けについてさらに深く知りたい方は、カタカナ語・外来語の違いをまとめたページもご覧になることをおすすめします。