モルモットとハムスターの違い!どっちが懐く?鳴き声や寿命、費用まで解説

ペットショップで必ず出会う、小さくて愛らしい「モルモット」と「ハムスター」。どちらもげっ歯類(かじる歯を持つ哺乳類)の仲間ですが、実は分類学上も、飼い方や性格も全く異なる動物なんです。

結論から言うと、しっぽが無く体が大きいのがモルモット、しっぽがあり頬袋(ほおぶくろ)を持つのがハムスターというのが簡単な見分け方です。生態が異なるため、もちろん飼育に必要な準備や接し方も変わってきます。

この記事では、モルモットとハムスターの見た目の違いから、性格、寿命、飼いやすさ、そして意外なルーツまで、現役の飼育経験者(僕です!)の視点も交えて徹底的に比較解説します。あなたが「どっちをお迎えしようかな?」と迷っているなら、この記事が最高のパートナーを見つける手助けになるはずです。

結論:ひと目でわかる「モルモット」と「ハムスター」の主な違い一覧

【要点】

モルモットは体が大きく(500g〜1kg超)、しっぽが無く、群れで行動し、鳴き声で感情表現します。一方、ハムスターは体が小さく(30g〜150g程度)、頬袋としっぽがあり、単独行動を好む夜行性です。必要なケージの広さや飼育コストも大きく異なります。

まずは、両者の最も重要な違いを表で比較してみましょう。あなたがイメージする「小さなペット」の常識が、少し変わるかもしれませんよ。

モルモットとハムスターの主な比較
項目モルモットハムスター
分類・系統げっ歯目 テンジクネズミ科げっ歯目 キヌゲネズミ科
体の特徴しっぽが無い、頬袋なし、体はずんぐり頬袋(ほおぶくろ)がある、短いしっぽがある
サイズ・体重大きい(体長20〜30cm、体重500〜1200g)小さい(体長5〜20cm、体重30〜150g ※種類による)
行動・性質昼行性(薄明薄暮性)、群れで行動、臆病だが懐きやすい、鳴き声で感情表現夜行性単独行動(縄張り意識が強い)、懐くというより「慣れる」
寿命平均5〜8年(比較的長い)平均2〜3年(比較的短い)
飼育スペース広いケージ(床面積)が必要床面積に加え、上下運動(回し車など)のスペースが必要
食事完全草食性(牧草が主食)、ビタミンCを体内で作れない雑食性(ペレットが主食、野菜や種子も食べる)

【3秒で見分けるポイント】

  • ずんぐりして大きい(大人の手のひら2つ分以上) → モルモット
  • しっぽが無い → モルモット
  • 食べ物を頬張って顔の形が変わる(頬袋) → ハムスター
  • しっぽが(短くても)ある → ハムスター

見た目とサイズの違い:しっぽと頬袋(ほおぶくろ)がカギ

【要点】

最も分かりやすい違いは「しっぽ」と「頬袋(ほおぶくろ)」です。モルモットにはしっぽも頬袋もありませんが、ハムスターには短いしっぽと、食べ物を溜め込む頬袋があります。また、体のサイズもモルモットの方がハムスター(特にドワーフ種)より5倍から10倍近く大きくなります。

ペットショップで同じケージコーナーに並んでいると、「どっちも似たようなものでしょ?」と思いがちですが、ちょっと待ってください! 見た目だけでも、決定的な違いがたくさんあるんです。

まず、モルモットには「しっぽ」がありません。お尻はつるんとしていて、ずんぐりむっくりした体型が特徴です。一方、ハムスターには(短いですが)必ず「しっぽ」があります。これが一番確実な見分け方かもしれませんね。

次に、食べるときの顔を見てください。ハムスターは食べ物を頬にある「頬袋(ほおぶくろ)」にパンパンに詰め込みますよね。あの姿、愛嬌があって大好きです。でも、モルモットにはその頬袋がありません。だから、食べるときは口元でモグモグと上品(?)に食べ続けます。

そして、何より違うのが「サイズ感」です。ハムスターの中でも人気のゴールデンハムスターは比較的大きいですが、それでも体重は100〜150g程度。ジャンガリアンなどのドワーフハムスターなら30〜40gほどです。しかし、モルモットは(種類にもよりますが)大人のオスだと1kgを超えることも珍しくなく、体重で言えばハムスターの10倍以上になることも。抱っこした時の「ずっしり感」は、モルモットならではの魅力ですね。

性格・行動特性としつけやすさの違い

【要点】

モルモットは本来、群れで生活する社会性の高い動物で、臆病ですが人にも懐きやすく、鳴き声でコミュニケーションを取ります。ハムスターは縄張り意識が強い単独行動者で、懐くというより「人の存在に慣れる」という感覚に近いです。また、モルモットは昼行性(薄明薄暮性)、ハムスターは完全な夜行性という違いもあります。

「どっちが懐くの?」これはペットとして迎える上で最大の関心事ですよね。ここにも、両者の生態が色濃く反映されています。

モルモットは、南米の野生種(テンジクネズミ)が家畜化された動物で、もともと群れを作って生活していました。そのため非常に社会性が高く、仲間(飼い主も含む)とのコミュニケーションを大切にします。「プイプイ!」「キュイキュイ!」と鳴き声で感情を豊かに表現するのは、まさに群れで暮らしていた名残です。最初はとても臆病ですが、時間をかけて信頼関係を築けば、飼い主の後ろをついてきたり、膝の上でくつろいだりするほど懐いてくれます。

一方、ハムスターは単独行動者です。縄張り意識が非常に強く、特にゴールデンハムスターは成長すると同種であっても激しく争うため、多頭飼いは厳禁です。(ドワーフ種の一部は例外もありますが、基本は単独飼育が推奨されます)。ハムスターが懐くというのは、正確には「飼い主の匂いや存在に慣れて、攻撃しなくなる・エサをくれる存在として認識する」という状態に近いと僕は感じています。もちろん個体差はありますが、モルモットのような「甘え」を期待すると、ちょっと寂しい思いをするかもしれません。

また、活動時間も決定的に違います。ハムスターは完全な夜行性。昼間はほとんど寝ていて、夜になると回し車をカラカラと回し始めます。一方、モルモットは昼行性(または薄明薄暮性)とされ、人間と同じ時間帯に活動してくれることが多いので、触れ合う時間を確保しやすいのも特徴ですね。

寿命・健康リスク・病気の違い

【要点】

平均寿命はモルモットが5〜8年と比較的長く、ハムスターは2〜3年と短めです。モルモットはビタミンCを体内で合成できないため、食事からの摂取が必須で、「ビタミンC欠乏症(壊血病)」に注意が必要です。ハムスターは「頬袋(ほおぶくろ)の病気」や「腫瘍」が比較的多く見られます。

お迎えする前に必ず知っておいてほしいのが、寿命と健康リスクの違いです。ここを理解しておくことが、彼らを幸せにする第一歩です。

まず、平均寿命が大きく異なります。ハムスターの平均寿命は2〜3年。あっという間にお別れの時が来てしまう、非常にサイクルの早い動物です。それに対して、モルモットの平均寿命は5〜8年、中には10年以上生きる子もいます。犬や猫ほどではありませんが、小動物としては比較的長く付き合えるパートナーと言えます。

健康面で最も注意すべき点が、モルモットの食事です。モルモットは(人間やサルと同じく)体内でビタミンCを合成できません。そのため、食事からビタミンCを摂取し続けないと、歯茎から出血したり、関節が腫れたりする「ビタミンC欠乏症(壊血病)」という深刻な病気になってしまいます。モルモット専用フードや新鮮な野菜(ピーマンやパセリなど)で、毎日確実にビタミンCを補給する必要があります。

ハムスターは雑食性で、食事の自由度は比較的高いですが、特有の病気もあります。代表的なのが、頬袋に詰めた食べ物が腐敗したり、傷がついて炎症を起こしたりする「頬袋炎(ほおぶくろえん)」です。また、体が小さいためか、腫瘍(できもの)が発生しやすい傾向もあると言われています。どちらの動物も、少しでも異変を感じたら、すぐにエキゾチックアニマル(犬猫以外の小動物)を診察できる動物病院に連れて行くことが大切です。

「モルモット」と「ハムスター」の意外な共通点

【要点】

両者とも「げっ歯類」の仲間であり、一生伸び続ける歯(常生歯)を持っています。そのため、牧草や硬いペレット、かじり木などで常に歯を削り、不正咬合(ふせいこうごう)を防ぐ必要があります。また、どちらも体温調節が苦手で、特に高温多湿な日本の夏にはエアコンによる温度管理が不可欠です。

ここまで違いばかりを強調してきましたが、もちろん共通点もあります。何と言っても、彼らは同じ「げっ歯目(ネズミの仲間)」です。

げっ歯類としての最大の共通点は、一生伸び続ける歯(常生歯を持っていること。特に前歯(切歯)は、放っておくと伸びすぎて口が閉じられなくなったり、口内を傷つけたりする「不正咬合(ふせいこうごう)」という病気を引き起こします。これを防ぐため、彼らは常に何か硬いものをかじって歯を削る習性があります。モルモットの場合は主食である牧草、ハムスターの場合は硬いペレットや「かじり木」がその役割を果たします。これらを与え続けないと、命に関わることもあるんです。

また、小さな体に共通することですが、体温調節が非常に苦手です。特に暑さには弱く、日本の高温多湿な夏は彼らにとって致命的です。人間が快適だと感じる温度(一般的に20〜26℃程度)を、エアコンを使って年間を通じて維持し続けることが、飼育の絶対条件となります。「電気代がもったいない」と感じる方は、残念ながら彼らを飼う資格はない、と僕は断言します。

歴史・ルーツと性質の関係:意外と遠い親戚?

【要点】

モルモットは南米アンデス山脈の野生種(テンジクネズミ)が家畜化された動物で、数千年前から食用や愛玩用として人間と暮らしてきました。一方、ハムスターはシリアや中国などの乾燥地帯が原産で、家畜化の歴史は比較的浅く、野生の習性(単独行動、夜行性)が強く残っています。

見た目も性格もこれだけ違うのには、彼らが歩んできた「歴史」が大きく関係しています。

モルモット(英語では Guinea Pig=ギニアの豚、と呼ばれますが、ギニアにも豚にも関係ありません)のルーツは、南米アンデス山脈にあります。野生のテンジクネズミを、数千年も前からインカ帝国の人々が家畜化し、食用や愛玩用として飼育してきました。つまり、非常に長い間、人間の管理下で暮らしてきた動物なんです。だからこそ、人間の生活リズム(昼行性)に適応し、鳴き声でコミュニケーションをとる社会性を残しているんですね。

一方、ハムスターの歴史は少し異なります。例えばゴールデンハムスターは、シリアの乾燥地帯が原産です。1930年代に発見された個体がヨーロッパに持ち込まれ、ペットや実験動物として世界中に広まりました。家畜化の歴史がモルモットに比べて非常に浅く、野生の習性が色濃く残っています。昼間の暑い砂漠を避け、夜間に単独でエサを探し回る…そう、あの夜行性や強い縄張り意識、そして食べ物を頬袋に詰めて巣に運ぶ習性は、彼らが過酷な自然を生き抜くために身につけた本能そのものなのです。

どっちを選ぶべき?ライフスタイル別おすすめ

【要点】

日中に触れ合いたい、鳴き声も楽しみたい、しっかり懐いてほしい人にはモルモットがおすすめです。一方、夜型の生活で、静かに鑑賞するのが好きな人、お世話のスペースや費用を抑えたい人にはハムスターが向いています。どちらも温度管理は必須です。

さあ、これまでの違いを踏まえて、あなたのライフスタイルにはどちらが合っているか、一緒に考えてみましょう!

【モルモットがおすすめな人】

  • 日中、家にいる時間が長く、ペットと触れ合いたい人。(昼行性なので活動時間が合います)
  • ペットに「懐いて」ほしい、「甘えて」ほしい人。(社会性が高く、信頼関係を築けます)
  • 「プイプイ」という鳴き声や感情表現を楽しみたい人。
  • 比較的長く(5〜8年)、じっくり付き合いたい人。
  • 広い飼育スペース(最低でもうさぎ用ケージ程度)と、牧草や野菜の費用を確保できる人。

【ハムスターがおすすめな人】

  • 日中は仕事や学校で忙しく、夜に活動する人。(夜行性なので、昼間はそっとしておけます)
  • ペットとの適度な距離感を保ち、主に「鑑賞」して癒されたい人。(過度な触れ合いはストレスになります)
  • 鳴き声がほとんどない、静かなペットを求めている人。
  • 比較的省スペースで飼育したい人。(ただし回し車など必要な設備はあります)
  • 飼育期間が短い(2〜3年)方が良いと考える人。

どちらの動物も、適切な温度管理(特に夏のエアコン)は絶対に必要です。また、ハムスターは安価にお迎えできるイメージがありますが、ケージや回し車、床材、そして病気になった時の医療費など、初期費用も維持費も想像以上にかかることは覚悟しておきましょう。

僕と「プイプイ」と「カラカラ」の思い出

何を隠そう、僕も両方と暮らした経験があります。大学時代、一人暮らしの寂しさを紛らわすために、まずジャンガリアンハムスターの「マメ」を迎えました。

夜行性とは知っていましたが、想像以上でしたね。僕が大学から帰宅する夕方頃はまだ爆睡中。夜中、僕が寝静まった頃に「カラカラカラ…!」と回し車の大合唱が始まるんです。「ああ、元気なんだな」とうれしく思いつつも、正直「うるさいな!」と枕を投げつけたくなった夜も一度や二度ではありません(笑)。彼が僕に慣れることはあっても、「懐く」ことは最後までなかったように思います。でも、手のひらで小さなヒマワリの種を必死に頬張る姿は、何物にも代えがたい癒しでした。

その数年後、実家でイングリッシュモルモットの「ポテト」を飼い始めました。これがもう、ハムスターとは真逆で驚きの連続でした。最初は物陰に隠れてばかりでしたが、毎日ピーマンを手渡しであげているうちに、僕が部屋に入っただけで「プイ!プイ!(エサだ!)」と大声で催促するようになったんです。膝の上に乗せると、グルグルと喉を鳴らしてリラックスしたり…。「動物と心が通じるって、こういうことか!」と感動しましたね。ただ、お世話は大変でした。牧草とペレット、野菜の消費量がすごく、そして何よりフンが大量! 掃除の頻度はハムスターの比ではありませんでした。

どちらも、かけがえのない時間と教訓をくれました。懐かなくても、寿命が短くても、彼らの一生に責任を持つ覚悟。それが飼い主にとって一番大切なことだと、今は心から思います。

「モルモット」と「ハムスター」に関するよくある質問

Q: モルモットとハムスターは一緒に飼えますか?

絶対にダメです。体の大きさが全く違うため、ハムスターがモルモットに攻撃されて大怪我をする危険性が非常に高いです。また、ハムスターは単独行動の動物なので、他の動物と一緒にされること自体が強いストレスになります。

Q: どっちの方が臭いが少ないですか?

個体差や掃除の頻度によりますが、一般的には体もフンも大きいモルモットの方が、臭い対策はより重要になる傾向があります。ただし、ハムスターも臭腺(しゅうせん)からの分泌物や、ケージの掃除を怠れば強烈な臭いを発します。どちらを飼うにしても、毎日のこまめな掃除が臭いを防ぐ一番の対策です。

Q: ハムスターの「多頭飼い」は本当にダメなんですか?

はい、特にゴールデンハムスターは絶対にダメです。縄張り意識が強すぎて、どちらかが死ぬまで争い続けます。ジャンガリアンなどのドワーフ種は「相性が良ければ可能」と言われることもありますが、非常に稀なケースです。最初は仲が良くても、ある日突然ケンカして大怪我をすることも多いため、初心者の方は種類を問わず「1ケージ1匹」の単独飼育を強く推奨します

Q: モルモットはビタミンC入りの専用フードだけで大丈夫ですか?

専用フードは必須ですが、ビタミンCは熱や光で壊れやすいため、フードだけでは不足する可能性があります。できれば毎日、新鮮な野菜(ピーマン、パセリ、ブロッコリーなど)や、小動物用のビタミンCサプリメントなどで補ってあげると安心です。逆にネギ類やイモ類など、与えてはいけない野菜もあるので注意してください。

「モルモット」と「ハムスター」の違いのまとめ

モルモットとハムスター、どちらも小さな体で私たちを癒してくれる、かけがえのない存在です。しかし、その背景にある生態や習性は全く異なります。

  1. 体の違い:モルモットは「大きく、しっぽ無し、頬袋なし」。ハムスターは「小さく、しっぽ有り、頬袋あり」。
  2. 性質の違い:モルモットは「昼行性、群れで行動、懐きやすい」。ハムスターは「夜行性、単独行動、慣れる」。
  3. 飼育上の違い:モルモットは「寿命が長く、広い床面積、ビタミンC必須」。ハムスターは「寿命が短く、回し車が必要、単独飼育必須」。

どちらの動物も、その習性を正しく理解し、彼らにとって快適な環境(特に温度管理!)を整えてあげることが飼い主の責任です。見た目の可愛らしさだけでなく、あなたのライフスタイルや、動物とどう関わりたいかをじっくり考えて、最高のパートナーを選んでくださいね。

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参考文献(公的・一次情報)