吊るし柿と干し柿の違い!「吊るして干す製法」が名前の由来

秋が深まると、軒先に柿が吊るされている風景を見かけることがありますよね。

この「吊るし柿(つるしがき)」と、私たちが普段おやつや贈答品として目にする「干し柿(ほしがき)」、この二つは一体何が違うのでしょうか?

結論から言うと、「吊るし柿」と「干し柿」は基本的に同じものを指します。「干し柿」は柿を乾燥させた食品の総称であり、「吊るし柿」はその製法(皮をむいた柿を縄や糸につるして干すこと)や、その干されている様子を指す呼び名です。

この記事を読めば、二つの言葉の関係性や、干し柿の代表的な種類である「あんぽ柿」「枯露柿(ころ柿)」との違いまで、スッキリと理解できますよ。

それではまず、二つの言葉の違いを一覧表で比較してみましょう。

結論|吊るし柿と干し柿の違いが一目でわかる比較表

【要点】

「干し柿」は、渋柿の皮をむいて乾燥させたドライフルーツの「総称」です。一方、「吊るし柿」は、干し柿を作る伝統的な「製法(吊るして干すこと)」や、その風景を指す「呼び名」の一つです。つまり、吊るし柿は干し柿を作るための一手法であり、両者はほぼ同義で使われます。

二つの言葉が指す範囲と特徴を比較しました。

項目 干し柿(ほしがき) 吊るし柿(つるしがき)
言葉の意味 柿を乾燥させた食品の総称 柿を吊るして干す製法、またはその状態の柿
カテゴリ 食品名(ドライフルーツ) 製法・通称
指すもの あんぽ柿、枯露柿(ころ柿)などを含む 主に天日干しで作られる干し柿
主な目的 保存食、菓子 干し柿を作る工程

「吊るし柿」と「干し柿」は基本的に同じもの

【要点】

「干し柿」という食品カテゴリの中に、「吊るし柿」という製法(または呼び名)が含まれる関係です。家の軒先などに柿を縄で吊るして干す様子から、「吊るし柿」という愛称で呼ばれるようになりました。

「吊るし柿」と「干し柿」は、対立する二つの異なるものではありません。

「干し柿」とは、渋柿の皮をむき、乾燥させて水分を抜き、渋みを糖分に変えた保存食・ドライフルーツの「総称」です。

「吊るし柿」とは、この干し柿を作るための最も伝統的な製法、すなわち皮をむいた柿を縄や糸、串などで「吊るして」天日干しにする方法そのものを指します。

秋の農村などで軒先に柿がずらりと吊るされている風景は、日本の冬の風物詩でもありますね。この風景そのものや、その製法で作られた干し柿を指して「吊るし柿」と呼ぶのです。

したがって、「吊るし柿」は「干し柿」の代表的な作り方であり、干し柿の別名の一つと言えます。

干し柿の主な種類|「あんぽ柿」と「枯露柿(ころがき)」

【要点】

「干し柿」は、水分量によって大きく二種類に分けられます。水分50%前後でゼリー状のものを「あんぽ柿」、水分20~30%まで乾燥させ、表面に白い粉が吹いたものを「枯露柿(ころ柿)」と呼びます。

「干し柿」と一口に言っても、乾燥具合によって食感や呼び名が変わります。スーパーなどでよく見かける代表的な種類は「あんぽ柿」と「枯露柿」です。

あんぽ柿:水分50%のジューシー食感

あんぽ柿は、干し柿の中では水分量が50%前後と非常に多いのが特徴です。

製法の特徴として、皮をむいた後に「硫黄燻蒸(いおうくんじょう)」という処理を施します。この燻蒸により、酸化が抑えられ、柿本来の美しいオレンジ色を保ったまま仕上がります。

食感は、乾燥させたというより「半生」の状態で、中はトロリとしており、ゼリーのようだとも評されます。福島県や山梨県が主な産地です。

枯露柿(ころ柿):水分20-30%の濃厚な甘み

枯露柿(「ころ柿」とも書く)は、あんぽ柿よりもさらに乾燥を進め、水分量が20%~30%程度になるまで干し上げたものです。

硫黄燻蒸を行わずに天日干しでじっくり乾燥させる伝統的な干し柿は、こちらに分類されます。

水分が抜けた分、甘みが凝縮され、食感はねっとりと濃厚。表面には、柿の糖分が結晶化した「柿霜(しそう)」と呼ばれる白い粉が吹くのが特徴です。

製法の違い|なぜ「吊るし柿」と呼ぶのか

【要点】

「吊るし柿」は、皮をむいた柿のヘタ(撞木:しゅもく)に縄や糸を結びつけ、軒先などに吊るして天日乾燥させる伝統的な製法です。この作業風景がそのまま「吊るし柿」という呼び名になっています。

干し柿の作り方には、伝統的なものから最新技術まで様々です。

天日乾燥(吊るし柿)

最も古くから行われているのが、軒下などに柿を吊るし、太陽の光と乾燥した風(木枯らし)を利用して干し上げる方法です。

この「吊るして干す」という工程(製法)そのものが、「吊るし柿」という呼び名の由来です。

乾燥の途中で柿の実を手で優しく揉む「柿もみ」という作業を行うことで、水分が均一に抜け、渋みが早く抜け、柔らかく甘い干し柿に仕上がります。

硫黄燻蒸(あんぽ柿)

一方、あんぽ柿の製法では、吊るして干す前に「硫黄燻蒸」を行います。

これはカビの発生や変色を防ぎ、美しいオレンジ色を保つための工程です。硫黄燻蒸を行った後、吊るして乾燥させます。伝統的な「吊るし柿」(枯露柿)が黒っぽく仕上がるのに対し、あんぽ柿が鮮やかな色をしているのはこのためです。

体験談|軒先の風景と呼び名の謎

僕の祖母の家は農家で、秋になると毎年、家の軒先いっぱいに柿を吊るしていました。オレンジ色のカーテンのようで、それが僕にとっての「秋の終わりの風景」でした。

祖母はそれを「吊るし柿」と呼んでいました。

一方で、お正月に親戚が集まる時に出てくるお茶請けは、表面が真っ白な粉で覆われた、黒くて四角いお菓子。それは「枯露柿(ころ柿)」と呼ばれていました。

子供の頃の僕は、あの軒先の「吊るし柿」が、どうしてあんなに真っ白な「枯露柿」に変身するのか不思議でたまりませんでした。

大人になってから、あの「吊るし柿」こそが「干し柿」を作る工程そのものであり、じっくりと乾燥と熟成が進む過程で(柿もみも手伝って)、やがて糖分が結晶化して白い粉(柿霜)を吹くことを知りました。

「吊るし柿」は状態や製法を指す言葉で、「干し柿(枯露柿)」は完成した製品の名前だったんですね。呼び名が違うだけで、元は同じものだったと気づいた時は、長年の謎が解けた気分でした。

吊るし柿と干し柿に関するFAQ(よくある質問)

Q1. 「吊るし柿」と「干し柿」は結局、同じものですか?

A1. はい、ほぼ同じものと考えて問題ありません。
「干し柿」は乾燥させた柿の総称です。その干し柿を作る代表的な方法が、柿を「吊るして干す」こと。そのため、製法や干している状態を指して「吊るし柿」と呼びます。

Q2. 白い粉が吹いている干し柿は何ですか?

A2. それは「枯露柿(ころ柿)」と呼ばれるタイプの干し柿です。
水分量を20~30%程度までしっかり乾燥させたもので、表面の白い粉は「柿霜(しそう)」と呼ばれる柿の糖分(ブドウ糖)が結晶化したものです。カビではありません。

Q3. トロトロの半生タイプの干し柿は何ですか?

A3. それは「あんぽ柿」と呼ばれる干し柿です。
水分量を50%前後残したジューシーな干し柿です。製造工程で硫黄燻蒸を行うため、色は鮮やかなオレンジ色をしています。

まとめ|吊るし柿は「干し柿」の製法を表す愛称

「吊るし柿」と「干し柿」の違い、スッキリ整理できたでしょうか。

二つは別物ではなく、「干し柿」という食品カテゴリの中に、「吊るし柿」という製法(呼び名)がある、という関係性でした。

  • 干し柿:渋柿を乾燥させた食品の総称。水分量の違いで「あんぽ柿」や「枯露柿」などに分類される。
  • 吊るし柿:干し柿を作る伝統的な製法・風景。多くの場合、「枯露柿」を指して使われる。

もし軒先に柿が吊るされている風景を見かけたら、それは「干し柿(吊るし柿)を作っている」最中であり、それが乾燥して白い粉を吹けば、美味しい「枯露柿」になる、というわけですね。

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