チョコレートと準チョコレートの違いとは?カカオ分と脂肪分の差を徹底解説

「チョコレート」と「準チョコレート」。

どちらも甘くて美味しいお菓子ですが、パッケージの裏を見て「何が違うんだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?

最も決定的な違いは、「カカオ分(カカオマスやココアバター)の割合」と「使用できる脂肪分の種類」にあります。

この違いは、日本の「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」というルールで厳密に定められています。

この記事を読めば、二つのチョコレートの法律上の定義、味や風味、そして上手な使い分けまでスッキリと理解できます。

それでは、まず二つの違いを一覧表で比較してみましょう。

結論|「チョコレート」と「準チョコレート」の違いを一言で

【要点】

「チョコレート」と「準チョコレート」の最も重要な違いは、製品に含まれる「カカオ分」の割合です。日本の規約では、「チョコレート」の方が「準チョコレート」よりもカカオ分の最低基準が厳しく設定されています。「チョコレート」は、カカオ分が35%以上(または特定の基準を満たすミルクチョコなど)の「チョコレート生地」を60%以上使用したものです。カカオの風味が豊かです。

「準チョコレート」は、カカオ分が15%以上 の「準チョコレート生地」を60%以上使用したものです。カカオ感はマイルドで、ココアバター以外の植物油脂も使いやすい ため、味わいやコストが多様です。

【徹底比較】チョコレートと準チョコレートの違い一覧表

【要点】

二つの違いは、法律(公正競争規約)で定められた「カカオ分」と「脂肪分」の規定にあります。チョコレートはカカオ分が多く風味豊かですが、準チョコレートはカカオ分が少なくマイルドで、植物油脂も使用しやすいのが特徴です。

まずは、両者の定義と特徴を一覧表で比較してみましょう。これは「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」に基づいています。

項目チョコレート準チョコレート
分類チョコレート製品チョコレート製品
生地の使用量チョコレート生地を60%以上使用準チョコレート生地を60%以上使用
生地のカカオ分35%以上
(ミルクチョコは21%以上)
15%以上
(準ミルクは7%以上)
生地の脂肪分ココアバター18%以上
(植物油脂は制限あり)
ココアバター3%以上
+植物油脂なども使用可能
風味・味わいカカオの風味が濃厚、口どけが滑らかカカオの風味がマイルド、あっさり
主な用途そのまま食べる、本格的な製菓駄菓子、パン、アイスのコーティング

※上記は基本的な定義です。規約では「ミルク」や「スイート」など、さらに細かい分類があります。

チョコレートとは?

【要点】

「チョコレート」とは、カカオ分が35%以上、またはカカオ分21%以上かつ乳固形分14%以上(ミルクチョコレート) などの基準を満たす「チョコレート生地」を、製品全重量の60%以上使用したものを指します。

定義:カカオ分が35%以上などの基準を満たすもの

私たちが一般に「チョコレート」と呼んでイメージするものの多くは、この規格に当てはまります。

法律(公正競争規約)上、「チョコレート」と表示するためには、「チョコレート生地」を製品の60%以上使用する必要があります。

そして、その「チョコレート生地」自体にも厳しい定義があります。カカオ分(カカオマス、ココアバターなど)が全重量の35%以上、かつココアバターが18%以上 含まれていなければなりません。

ただし、ミルクチョコレートの場合は基準が異なり、「カカオ分21%以上、乳固形分14%以上」といった規定があります。

準チョコレートとは?

【要点】

「準チョコレート」とは、カカオ分が15%以上(ココアバター3%以上) などの基準を満たす「準チョコレート生地」を、製品全重量の60%以上使用したものです。

定義:カカオ分が15%以上などの基準を満たすもの

一方、「準チョコレート」は、「準チョコレート生地」を製品の60%以上使用したものを指します。

この「準チョコレート生地」の定義が、「チョコレート生地」よりも緩やかになっています。カカオ分が全重量の15%以上、かつココアバターが3%以上 であればよいため、チョコレートに比べてカカオの使用量が少なくなります。

ミルクチョコレートに似た「準ミルクチョコレート生地」の基準も、「カカオ分7%以上、乳固形分12.5%以上」 と、チョコレートよりも低く設定されています。

【核心】法律(規約)で定められた「カカオ分」の決定的な違い

【要点】

核心的な違いは、生地に含まれる「カカオ分」の最低基準値です。チョコレートが35%(ミルクは21%)以上 なのに対し、準チョコレートは15%(準ミルクは7%)以上 と低く設定されています。また、準チョコレートはココアバターの代わりに植物油脂を使用しやすい 点も大きな違いです。

二つの違いを決定づけているのは、消費者庁と業界団体が定める「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」 にある「生地」の定義です。

チョコレート生地の定義(カカオ分)

「チョコレート」と名乗るためのベースとなる生地です。

  • カカオ分:35%以上
  • ココアバター:18%以上

(※ミルクチョコレート生地の場合は、カカオ分21%以上、乳固形分14%以上)

カカオ分がしっかり含まれていることが求められます。

準チョコレート生地の定義(カカオ分)

「準チョコレート」のベースとなる生地です。

  • カカオ分:15%以上
  • ココアバター:3%以上

(※準ミルクチョコレート生地の場合は、カカオ分7%以上、乳固形分12.5%以上)

チョコレート生地に比べて、カカオ分、ココアバターともに最低基準が大幅に低いことがわかります。

脂肪分の違い:ココアバター vs 植物油脂

もう一つの大きな違いが「脂肪分」です。

チョコレートの豊かな口どけは、体温(約36℃)で溶ける性質を持つ「ココアバター」によるものです。「チョコレート生地」では、ココアバター以外の植物油脂の使用は、風味を損なわない範囲(一般的に5%未満)でしか認められていません。

一方、「準チョコレート生地」は、ココアバターの最低基準が3%と低い ため、不足する脂肪分をココアバター以外の植物油脂(パーム油、ヤシ油など)で補うことが広く認められています。

味・風味・口どけの違い

【要点】

カカオ分が多い「チョコレート」は、風味が濃厚で、ココアバターによる滑らかな口どけが特徴です。カカオ分が少ない「準チョコレート」は、風味がマイルドで、使用される植物油脂の種類によって口どけや食感が変わります。

この原材料の違いが、そのまま味と食感の違いに直結します。

チョコレート:カカオの風味豊かで、なめらかな口どけ

カカオ分、特にカカオマスとココアバターが豊富なため、カカオ本来の香り、苦味、コクが強く感じられます

また、脂肪分の多くがココアバターであるため、口に入れると体温でスッと溶け、非常に滑らかな口どけを楽します。

準チョコレート:マイルドな風味と多様な食感

カカオ分の割合が低いため、カカオの風味はチョコレートに比べてマイルドで、あっさりとした味わいになります。

口どけは、使用される植物油脂の種類に大きく左右されます。ココアバターよりも融点(溶ける温度)が高い植物油脂が使われている場合、口の中で少し油脂感が残るような感覚になることもあります。

価格と用途(使い分け)の違い

【要点】

高価なカカオ分(特にココアバター)を多く含むチョコレートは価格が高くなる傾向があります。一方、植物油脂で代替できる準チョコレートは、比較的安価に製造できます。このため、駄菓子やパン、アイスのコーティングなど幅広く利用されます。

原材料の違いは、価格と用途にも影響します。

価格:
高価なカカオ、特にココアバターをふんだんに使う「チョコレート」は、価格が高くなる傾向があります。一方、「準チョコレート」は、カカオの使用量が少なく、安価な植物油脂で代替できるため、コストを抑えて製造することが可能です。

用途:
チョコレートは、カカオの風味や口どけをそのまま楽しむ、板チョコや高級チョコレート菓子に使われることが多いです。

準チョコレートは、その価格の手頃さから、駄菓子やチョコチップ入りのクッキー、菓子パンのコーティングなどに幅広く使われます。また、植物油脂を使うことで高温でも溶けにくい性質を持たせることができるため、夏場のお菓子やアイスクリームのコーティングにも適しているという利点があります。

【体験談】お菓子作りで気づいた「溶け方」と「風味」の違い

僕がお菓子作りにはまっていた時、この二つの違いを痛感したことがあります。

バレンタインデーに生チョコを作ろうと思い、スーパーで「チョコレート」と表示されたカカオ分50%以上の板チョコを買ってきました。レシピ通りに刻んで生クリームと混ぜると、湯煎ですぐに滑らかに溶け、冷やし固めると濃厚で口どけ抜群の生チョコが完成しました。

別の日、クッキーにコーティングをしようと思い、価格が安かった「準チョコレート」と表示された商品を使ってみました。同じように湯煎で溶かそうとしましたが、「チョコレート」の時よりも溶けにくく、少しもったりとした質感になったんです。

なんとかコーティングして冷やすと、パリッと固まりはしたのですが、味見をしてみると、生チョコの時のようなカカオの香りや滑らかな口どけは感じられず、あっさりとした甘さがメインでした。

この時、「これがココアバターと植物油脂の違いか!」と納得しました。風味と口どけを重視するなら「チョコレート」、コーティングなどの加工性やコストを重視するなら「準チョコレート」と、明確な使い分けがあることを学んだ体験でしたね。

チョコレートと準チョコレートに関するよくある質問(FAQ)

「チョコレート菓子」「準チョコレート菓子」というのもありますが、違いは何ですか?

これは生地の「使用量」の違いです。「チョコレート」や「準チョコレート」は、それぞれの生地が製品全体の60%以上を占めるものです。一方、生地の使用量が60%未満で、ナッツやビスケットなど他の素材と組み合わせたものが「〜菓子」と呼ばれます。例えば、アーモンドチョコやクッキーチョコなどがこれにあたります。

準チョコレートは体に悪いのですか?

準チョコレートに使われる植物油脂には、トランス脂肪酸を含むものがあるため、過剰摂取を懸念する声もあります。しかし、現在の日本ではトランス脂肪酸の摂取量は国際基準と比べても低いレベルにあるとされています。どんな食品でも同様ですが、特定の食品に偏らず、バランスの取れた食生活を心がけることが大切ですね。

カカオポリフェノールを摂りたい場合、どちらを選ぶべきですか?

カカオポリフェノールは「カカオマス」に多く含まれます。カカオ分の割合が低い「準チョコレート」よりも、カカオ分が高い「チョコレート」、特に「ハイカカオ(高カカオ)チョコレート」と表示されたものを選ぶ方が、ポリフェノールを効率的に摂取できると言えるでしょう。

まとめ|カカオ分と用途で選ぶチョコレートと準チョコレート

「チョコレート」と「準チョコレート」の違い、これでスッキリしましたね。

二つの違いを最後にシンプルにまとめます。

  • チョコレートカカオ分が多い(35%以上など)。ココアバターが主体の脂肪分で、濃厚な風味と滑らかな口どけが特徴。
  • 準チョコレートカカオ分が少ない(15%以上など)。植物油脂も使用でき、マイルドな風味と多様な用途に対応できるのが特徴。

「カカオの本格的な風味や口どけを楽しみたい!」という時は、種類別「チョコレート」を。

「駄菓子や菓子パン、アイスのコーティングなどで手軽にチョコ風味を楽しみたい!」という時は、種類別「準チョコレート」を。

ぜひ、パッケージの裏にある「種類別名称」をチェックして、あなたの目的や好みに合った商品を選んでみてください。

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