エクレアとシュークリームの違い!「稲妻」と「キャベツ」って知ってた?

サクサク、ふわふわの生地にクリームがたっぷり。考えるだけで幸せになる「エクレア」と「シュークリーム」。

この二つ、とてもよく似ていますが、一体何が違うのでしょうか?

結論から言うと、エクレアとシュークリームの生地は全く同じ「シュー生地」です最大の違いは「形」と「仕上げ(トッピング)」にあります。

エクレアは「細長く」焼いて「チョコレート」をかけ、シュークリームは「丸く」焼いて「粉糖」をかけるのが一般的です。

この記事を読めば、二つの名前の意外な由来から、製法の違い、味わいの違いまでスッキリと理解できますよ。

それではまず、二つの違いを一覧表で詳しく見ていきましょう。

結論|エクレアとシュークリームの違いが一目でわかる比較表

【要点】

エクレアとシュークリームは、どちらも同じ「シュー生地(パータ・シュー)」で作られます。決定的な違いは、エクレアが「細長く」絞って焼き、表面にチョコレートやフォンダンをかけるのに対し、シュークリームは「丸く」絞って焼き、粉糖をかけるかそのままで仕上げる点です。

この二つの洋菓子の特徴を、一覧表にまとめました。

項目エクレアシュークリーム
生地同じ(シュー生地 / パータ・シュー)
語源フランス語で「稲妻・雷フランス語の「キャベツ」(シュー)
形状細長い(約10〜12cm)丸い(キャベツのような形)
仕上げ(トッピング)必須(チョコレート、フォンダンなど)粉糖、または無し
中身のクリームカスタードクリーム、コーヒークリームなどカスタードクリーム、ホイップクリームなど

エクレアとシュークリーム、それぞれの定義と語源

【要点】

二つの名前はどちらもフランス語に由来しますが、意味は全く異なります。「エクレア(Éclair)」は「稲妻」、「シュークリーム(Chou à la crème)」の「シュー(Chou)」は「キャベツ」を意味します。

名前の由来を知ると、二つの違いがより鮮明になりますよ。

エクレア(Éclair)とは?

「エクレア(Éclair)」は、フランス語で「稲妻(いなずま)」や「雷」を意味する言葉です。

なぜこのような名前が付いたのかは諸説ありますが、

  • 中のクリームがはみ出さないよう、稲妻のように素早く(一口で)食べるから
  • 表面にかけたチョコレートやフォンダン(糖衣)の光沢が稲妻のようだから
  • 焼いたシュー生地の表面の亀裂が稲妻に似ているから

といった説が有名です。19世紀のフランスで、著名なパティシエであるアントナン・カレームによって完成されたとも言われています。

シュークリーム(Chou à la crème)とは?

私たちが「シュークリーム」と呼んでいるお菓子は、実は和製英語(またはフランス語と英語の混成語)です。

フランス語の正式名称は「シュー・ア・ラ・クレーム(Chou à la crème)」と言います。「Chou(シュー)」はフランス語で「キャベツ」、「à la crème」は「クリーム入りの」という意味です。

その名の通り、オーブンで焼いたシュー生地が、ゴツゴツと不規則に膨らんだ形が「キャベツ」に似ていることから名付けられました。

原材料・製法・仕上げの決定的な違い

【要点】

エクレアとシュークリームの生地は「シュー生地(パータ・シュー)」という全く同じものです。違いは、生地を「細長く絞る(エクレア)」か「丸く絞る(シュークリーム)」かという「成形」と、焼き上がりに「チョコレートをかける(エクレア)」か「粉糖をふる(シュークリーム)」かという「仕上げ」にあります。

同じ生地から、どうやって二つの異なるお菓子が生まれるのでしょうか。

生地は同じ「シュー生地」

まず大前提として、エクレアもシュークリームも、「シュー生地(Pâte à choux / パータ・シュー)」と呼ばれる一つの生地から作られます。</p

シュー生地は、鍋で水、バター、小麦粉を加熱して練り上げたところに、卵を加えて作る特殊な生地です。オーブンで焼くと、生地内部の水分が蒸発して一気に膨らみ、中が空洞になるのが特徴です。

製法の違い:「絞る形」と「仕上げ(トッピング)」

違いが生まれるのは、このシュー生地をオーブンで焼く「前」と「後」です。

1. 焼く前の「成形(絞り方)」
エクレア:生地を絞り袋に入れ、細長い棒状(一般的に10cm〜12cm程度)に絞り出します。

シュークリーム:生地を絞り袋で丸く(キャベツのような形)絞り出すか、スプーンですくって天板に落とします。

2. 焼いた後の「仕上げ(トッピング)」
エクレア:焼き上がった細長い生地にクリーム(カスタードやコーヒークリームが伝統的)を詰め、表面(上部)に必ずチョコレートやフォンダン(糖衣)をかけます。このトッピングがエクレアの定義の必須要素です。

シュークリーム:焼き上がった丸い生地にクリーム(カスタードやホイップクリーム)を詰め、仕上げに粉糖(こなざとう)を軽くふりかけるか、何もかけずに生地のゴツゴツした表面を見せることが一般的です。

味・食感・見た目の違い

【要点】

見た目は「細長い(エクレア)」か「丸い(シュークリーム)」かで一目瞭然です。食感は、エクレアは表面のチョコの「パリッ」とした食感と甘さが加わるのに対し、シュークリームはシュー生地本来の「サクッ・ふわっ」とした食感とクリームの味をシンプルに楽しみます。

製法と仕上げが違えば、当然、私たちが口にしたときの印象も変わってきます。

見た目と食感の違い:「細長い」 vs 「丸い」

見た目の違いは明確です。エクレアは「細長いスティック状」シュークリームは「丸い球状」をしています。

この形状の違いが、食感にも影響を与えます。エクレアは細長いため、どこから食べてもシュー生地、クリーム、上掛けのチョコレートが一口で口の中に入ります。

シュークリームは丸いため、食べる場所によってクリームの量や生地の厚みを感じやすく、かぶりつく楽しさがあります。

味わいの違い:チョコレート vs 生地の風味

エクレアの味わいは、表面にかけられたチョコレートやフォンダンの甘さ・風味が、味の大きな柱となっています。生地とクリームの味に、上掛けの味が加わった、複合的な味わいです。

シュークリームは、上掛けが粉糖程度とシンプルなため、シュー生地自体の香ばしさや、卵と牛乳で作られたクリーム本来の風味をダイレクトに楽しむことができます。「キャベツ」と呼ばれるゴツゴツした生地の食感も、味わいの重要な要素ですね。

保存方法・賞味期限・日持ちの違い

【要点】

どちらもカスタードクリームや生クリームといった「生菓子」であるため、日持ちしません。必ず冷蔵庫で保存し、原則として購入した当日中に食べる必要があります。

エクレアもシュークリームも、中に詰めるクリームはカスタードクリームやホイップクリームなど、非常に傷みやすい生ものです。

そのため、保存方法と賞味期限に違いはありません。

購入後はすぐに冷蔵庫で保存し、必ずその日のうちに食べきるようにしましょう。時間が経つと、クリームが傷むだけでなく、シュー生地もクリームの水分を吸ってしまい、せっかくのサクサク感やふわふわ感が失われてしまいます。

体験談|「稲妻」の名に納得した日

僕には、エクレアの名前の由来(稲妻)を実感した、少し恥ずかしい思い出があります。

まだ子供だった頃、親が買ってきたエクレアを初めて食べました。細長い形なので、行儀悪くも端からかぶりついたんです。

すると、一口目の圧力で、反対側の端から中のカスタードクリームが勢いよく飛び出し、服を汚してしまいました。

「なんて食べにくいお菓子なんだ!」と子供心に思ったのですが、大人になってから「稲妻のように素早く食べないとクリームが飛び出すから」という語源説を知り、あの時の体験はまさにそれだったのかと納得しました。

シュークリームは丸いので、クリームがどこから出てくるか予測がつきますが、細長いエクレアは油断すると反対側から逆襲されます。あの「稲妻」という名前には、美味しさだけでなく、食べ方への警告も含まれていたのかもしれませんね(笑)。

エクレアとシュークリームに関するFAQ(よくある質問)

Q1. エクレアとシュークリームの生地は、本当に同じものですか?

A1. はい、原材料も作り方も同じ「シュー生地(パータ・シュー)」です
フランス菓子では、この生地を丸く絞れば「シュー(キャベツ)」、細長く絞れば「エクレール(稲妻)」、小さな球状に絞れば「シュケット(小型のシュー)」、リング状に絞れば「パリ・ブレスト」など、絞る形を変えるだけで全く別のお菓子として扱われるんですよ。

Q2. シュークリームの「シュー」ってどういう意味ですか?

A2. フランス語で「キャベツ」という意味です
シュー生地を丸く絞って焼いたときの、ゴツゴツと不揃いに膨らんだ形がキャベツ(フランス語で Chou)に似ていることから、この名前がつきました。「クリーム入りのキャベツ」というのが元の意味ですね。

Q3. エクレアにはなぜチョコレートがかかっているのですか?

A3. それがエクレアの「定義」だからです。
19世紀にフランスで完成した当時から、細長いシュー生地にクリームを詰め、表面をフォンダン(糖衣)やチョコレートでコーティング(グラサージュ)したものを「エクレア」と呼んでいました。このトッピングがあって初めて「エクレア」と呼ばれる、と覚えておくと良いでしょう。

まとめ|エクレアとシュークリーム、どう使い分ける?

エクレアとシュークリームの違い、これでスッキリしましたね。

「同じシュー生地から生まれた、形の違う兄弟」のような存在ですが、その個性は全く異なります。

  • シュークリーム「丸い」形。シュー生地とクリームのシンプルな美味しさを楽しみたい時。「キャベツ」という語源。
  • エクレア「細長い」形。生地、クリーム、チョコレートの複合的なハーモニーを楽しみたい時。「稲妻」という語源。

どちらも生クリームやカスタードクリームを使った生菓子なので、冷蔵保存で当日中に食べるのが鉄則です。

今日の気分は、素朴な「キャベツ」ですか?それとも刺激的な「稲妻」ですか?ぜひ、お気に入りのパティスリーで、二つの違いを意識しながら味わってみてください。

当サイト「違いラボ」では、他にもたくさんの「スイーツ・お菓子」に関する違いを解説しています。ぜひ、そちらもご覧になってみてくださいね。