リンツとリンドールの違い!スイスのチョコブランドと看板商品の関係を解説

「リンツ(Lindt)」と「リンドール(LINDOR)」、どちらもチョコレートの話題でよく耳にする名前ですよね。

カラフルな包み紙の丸いチョコレートを思い浮かべる方も多いと思いますが、この2つの言葉が何を指しているのか、正確に使い分けるのは意外と難しいかもしれません。

結論から言うと、「リンツ」はスイスのチョコレート会社の「ブランド名(会社名)」、「リンドール」はそのリンツが製造・販売している「商品の名前」です。

つまり、「リンツ(会社)」が作っている「リンドール(商品)」という関係になります。トヨタ自動車(会社)が作っているカローラ(商品)と同じ関係ですね。

この記事を読めば、この二つの言葉の明確な違い、リンドールがどれほど特別なチョコレートなのか、その魅力と歴史までスッキリと理解できますよ。

結論|リンツとリンドールの違いを一言で

【要点】

「リンツ(Lindt)」は、1845年に創業したスイスのプレミアムチョコレートブランド(会社名)です。「リンドール(LINDOR)」は、そのリンツが製造・販売する最も象徴的なチョコレート(商品名)です。リンドールは、硬いシェル(外殻)の中に滑らかなフィリング(中身)が入った「2層構造」が最大の特徴です。

「リンツの店にリンドールを買いに行く」というのが正しい使い方ですね。

多くの人が「リンツの丸いチョコ」と呼ぶため、ブランド名と商品名が混同されやすいのです。

「リンツ」と「リンドール」の違い 比較一覧表

項目リンツ (Lindt)リンドール (LINDOR)
分類会社名・ブランド名商品名
発祥1845年、スイス・チューリッヒ1949年、スイス・(リンツ社が開発)
何を指すかチョコレート製造会社、そのブランド全体リンツが作る特定のチョコレート製品
主な特徴世界的なプレミアムチョコレートブランド。「コンチング」技術の発明者。丸いシェルの中に滑らかなフィリングが入った「2層構造」
代表商品リンドール、エクセレンス(タブレット)などリンドール(ミルク、ダーク、ホワイトなど多彩なフレーバー)

リンツ(Lindt)とは?【スイスのチョコレートブランド】

【要点】

「リンツ(Lindt)」は、正式名称を「リンツ&シュプルングリー(Lindt & Sprüngli)」という、スイスで1845年に創業された老舗チョコレートブランドです。世界120カ国以上で愛される、プレミアムチョコレートの代名詞的存在です。

1845年創業の老舗

リンツの歴史は、1845年にスイス・チューリッヒで菓子店を開いたデイヴィッド・シュプルングリーとその息子に始まります。当初から固形チョコレートの製造を手掛けていました。

現在の社名「リンツ&シュプルングリー」は、1899年にシュプルングリーの会社が、ベルンでチョコレート工場を営んでいたロドルフ・リンツの工場とブランドを買収したことに由来します。

「コンチング」技術の発明

リンツが世界のチョコレートの歴史に名を刻んだ最大の功績は、創業者の一人であるロドルフ・リンツが1879年に発明した「コンチング・マシン(攪拌機)」です。

それまでのチョコレートは、ザラザラとした食感で苦いものでした。しかし、リンツが発明した機械でチョコレートの原料を長時間練り上げること(コンチング)で、カカオの不要な苦味や酸味が揮発し、世界で初めて、口の中で滑らかにとろける、香り高いチョコレートが誕生したのです。

この革命的な技術が、現在のリンツ製品すべての美味しさの基盤となっています。

リンドール(LINDOR)とは?【リンツの看板商品】

【要点】

「リンドール(LINDOR)」は、リンツ社が1949年に生み出した、同ブランドを象徴する最も人気のある商品です。その名は「リンツ(Lindt)」とフランス語で金を意味する「Or(オール)」を組み合わせて名付けられました。

リンツの店舗で、カラフルな包み紙で山積みにされている、あの丸いチョコレート。それがリンドールです。

リンツ(Lindt)+ Or(金)=リンドール(LINDOR)

「リンドール」という名前は、まさに「リンツの金のチョコレート」という意味が込められています。

当初はタブレット(板チョコ)として発売されましたが、1967年に現在のような丸いボール状の形(クリスマス限定)が登場し、後に定番化されました。

最大の特徴「2層構造」

リンドールの最大の特徴であり、他のチョコレートと一線を画すのが、「2層構造」です。

  1. シェル(外殻):パリッとした食感の、リンツの高品質なチョコレート。
  2. フィリング(中身):シェルよりも融点が低く、口に入れると瞬時にとろけ出す、非常に滑らかなチョコレート。

この「シェル」と「フィリング」という、硬さも口溶けも異なる2種類のチョコレートが同時に口の中で混ざり合うことで、他では味わえない究極の口溶け体験が生まれるのです。

リンツとリンドールの違いまとめ【会社 vs 商品】

【要点】

「リンツ」はブランド全体を指し、「リンドール」はその中の特定の商品シリーズを指します。リンツの店舗には、リンドール以外にも様々なチョコレートが並んでいます。

つまり、関係性を整理すると以下のようになります。

  • リンツ(Lindt):ブランド名・会社名。
  • リンドール(LINDOR):リンツが作っている商品の一つ。丸くて中がとろけるチョコ。

「リンツのチョコレート」という呼び方は正しいですが、リンツの製品がすべてリンドールというわけではありません。

リンドール以外のリンツ代表商品

リンツには、リンドール以外にも世界中で愛される代表的な商品があります。

エクセレンス(EXCELLENCE)

「エクセレンス」は、リンツが誇る高品質なタブレット(板チョコ)のシリーズです。

特にカカオの含有量(%)を明記した「ハイカカオ」シリーズが有名で、70%、85%、90%、99%など、多彩なラインナップが揃っています。カカオ豆の品質とコンチング技術に自信があるからこそできる、リンツのもう一つの看板商品と言えますね。

メートル・ショコラティエのこだわり

リンツでは、チョコレート作りの職人たちを「メートル・ショコラティエ(チョコレート職人の巨匠)」と呼び、その技術と情熱をブランドの中核に据えています。

リンドールやエクセレンスといった商品は、すべて彼らの卓越した技術によって生み出されているのです。

【体験談】リンドールの「とろけるフィリング」に驚いた日

僕が「リンツ」と「リンドール」の違いを明確に意識したのは、リンツの直営店(リンツ ショコラ ブティック&カフェ)を初めて訪れた時でした。

店内には色とりどりの包み紙に入った「リンドール」が量り売り(ピック&ミックス)されており、その種類の多さに圧倒されました。「リンツって、この丸いチョコのことじゃないんだ!」と、その時初めてリンツがブランド名であることを知ったのです。

定番の赤い包み紙の「リンドール ミルク」を選んで、カフェスペースで食べてみました。

それまで、リンドールは「ちょっと高級な、丸いミルクチョコ」くらいにしか思っていませんでした。しかし、一口噛んだ瞬間、その認識は完全に覆されました。

「パリッ」というシェルの歯ごたえの直後、まだシェルが口に残っているうちに、中から「とろーっ」と、まるで液体のような滑らかなチョコレートが溢れ出してきたのです。

「え、中身だけ先に溶けた!?」と。

外側のチョコレートと内側のチョコレートが、全く異なる速度で溶けていく……。この衝撃的な「2層構造」の口溶けこそがリンドールの本質であり、リンツが発明した「コンチング」技術の結晶なのだと、深く感動しました。

あれは単なる丸いチョコではなく、「リンドール」という独自の体験ができるお菓子なのだと、身をもって知った瞬間でしたね。

リンツとリンドールに関するよくある質問(FAQ)

結局、「リンツ」と「リンドール」は同じ意味ですか?

いいえ、違います。「リンツ(Lindt)」はスイスのチョコレートブランド名(会社名)です。「リンドール(LINDOR)」は、リンツが作っている、丸い形で中に滑らかなフィリングが入った商品の名前です。

リンツの店に行けばリンドールが買えますか?

はい、買えます。「リンツ ショコラ ブティック&カフェ」などの直営店では、リンドールが看板商品として最も目立つ形で販売されています。好きなフレーバーを選べる「ピック&ミックス(量り売り)」が人気です。

リンドールにはどんな味があるのですか?

非常に多彩なフレーバーがあります。定番の「ミルク」(赤)をはじめ、「ダーク」(青)、「ホワイト」(金)、「ヘーゼルナッツ」(茶)、「抹茶」(緑)、「ストラッチャテッラ」(水色)など、季節限定品を含めると数十種類にも及びます。

まとめ|リンツはブランド名、リンドールはその看板商品

「リンツ」と「リンドール」の違い、これでスッキリしましたね。

  • リンツ (Lindt):スイスの老舗チョコレート「会社・ブランド名」
  • リンドール (LINDOR):リンツが作る看板「商品名」。シェルとフィリングの2層構造が特徴。

「リンツ(ブランド)の店で、リンドール(商品)を買う」と覚えておけば、もう間違うことはありません。

リンドールを選ぶ際は、ぜひその多彩なフレーバーと、リンツの技術の結晶である究極の口溶けを楽しんでみてください。他のスイーツ・お菓子の違いを知ることも、あなたのチョコレートライフをより豊かにしてくれるでしょう。