「八福餅(はちふくもち)」と「赤福(あかふく)」。
どちらも「福」の字がつくあんころ餅ですが、この二つの違いをご存知ですか?
「伊勢土産として赤福と八福餅で迷う」という方がいらっしゃいますが、実は「八福餅」は伊勢の銘菓ではありません。
結論から言うと、「赤福」は三重県伊勢市の伊勢神宮の銘菓であり、「八福餅」は神奈川県高座郡寒川町の寒川神社の銘菓です。そもそも販売されている地域が全く異なります。
もしかすると、あなたが「八福餅」と混同しているのは、伊勢のもう一つの有名なあんころ餅、二見浦の「御福餅(おふくもち)」ではありませんか?
この記事を読めば、「赤福」と「八福餅」の明確な違い、そして伊勢で赤福のライバルとされる「御福餅」との違いまで、スッキリと理解できます。
結論|「八福餅」「赤福」「御福餅」の違いが一目でわかる比較表
「赤福」は伊勢神宮(内宮)の名物で、あんこの三筋が特徴です。「八福餅」は神奈川県の寒川神社の名物で、八角形の形が特徴です。多くの人が混同しがちな伊勢の「御福餅」は二見浦の名物で、あんこが波の形をしています。
まず、混同されやすい三つのあんころ餅の違いを表で比較してみましょう。
| 項目 | 赤福(あかふく) | 八福餅(はちふくもち) | 御福餅(おふくもち) | 
|---|---|---|---|
| 主な販売場所 | 三重県伊勢市(伊勢神宮) | 神奈川県寒川町(寒川神社) | 三重県伊勢市(二見浦) | 
| 製造元 | 株式会社赤福 | 株式会社青葉 | 株式会社御福餅本家 | 
| 創業 | 1707年(宝永4年) | 比較的あたらしい(約30年程度) | 1738年(元文3年) | 
| あんこの特徴 | 三筋(五十鈴川の清流) | 八角形(八方除け) | 波型(二見浦の波) | 
| 餅の原材料 | もち米(国産) | 餅米(国産) | もち米(北海道産はくちょうもち) | 
| 餡の原材料 | 小豆(北海道産) | こし餡(小豆) | 小豆(北海道産きたろまん) | 
| 日持ち(目安) | 短い(夏期2日、冬期3日) | 短い(製造から2~3日) | 比較的長い(製造から7日) | 
このように、名前は似ていても、「八福餅」だけが伊勢ではなく神奈川県の銘菓であることが分かりますね。
「八福餅」と「赤福」の違いとは?神奈川の銘菓と伊勢の銘菓
「赤福」と「八福餅」は、製造元も販売場所も全く異なる別のお菓子です。赤福は伊勢神宮、八福餅は神奈川県の寒川神社にゆかりがあります。
検索キーワードである「八福餅」と「赤福」は、どちらも神社仏閣にゆかりのあるあんころ餅ですが、そのルーツは全く異なります。
「赤福(あかふく)」は伊勢神宮の定番あんころ餅
「赤福」は、株式会社赤福が製造する、伊勢土産の代名詞とも言えるあんころ餅です。
1707年(宝永4年)創業と300年以上の歴史を持ち、伊勢神宮の内宮前にある「おかげ横丁」の本店は常に行列ができるほどの人気です。
お餅(もち米)の上にこしあんを乗せたシンプルなお菓子で、あんこにある「三筋(さんすじ)」と呼ばれる3本線は、伊勢神宮の神域を流れる五十鈴川(いすずがわ)の清流を表現しています。
「八福餅(はちふくもち)」は神奈川・寒川神社の名物
一方、「八福餅」は、神奈川県高座郡寒川町にある「株式会社青葉」が製造・販売するあんころ餅です。
赤福が伊勢神宮にゆかりがあるのに対し、八福餅は相模の国一之宮「寒川神社」の名物として販売されています。
その最大の特徴は、寒川神社の「八方除け」に因んだ「八角形」の形です。名前の「八」は八方除の「八」と末広がりの「八」、「福」は招福・幸福の「福」に由来しています。
原材料はこし餡ともち米で赤福と似ていますが、歴史は比較的あたらしく、伊勢の赤福とは直接の関係はありません。
【重要】あなたが探しているのは伊勢の「御福餅(おふくもち)」ではありませんか?
伊勢で「赤福」と比較されるのは、寒川の「八福餅」ではなく、二見浦の「御福餅(おふくもち)」です。どちらも伊勢の老舗あんころ餅であり、長年のライバル的存在です。
ここまで読んで、「あれ?でも伊勢で赤福に似たお餅を見た気がする…」と思った方。それこそが、「八福餅」と音が似ている「御福餅(おふくもち)」です。
伊勢の二大銘菓「赤福」 vs 「御福餅」
伊勢志摩地域において、「赤福」と長年人気を二分してきたライバル的存在、それが「御福餅」です。
「御福餅」は、株式会社御福餅本家が製造し、伊勢市二見町、特に夫婦岩で有名な「二見興玉神社(ふたみおきたまじんじゃ)」の参道を中心に販売されています。
どちらも「伊勢のあんころ餅」であるため、多くの観光客が「赤福と御福餅、どっちがどう違うの?」と迷うことになります。
おそらく、検索ユーザーが知りたかった「八福餅と赤福の違い」とは、この「御福餅と赤福の違い」であった可能性が非常に高いと考えられます。
【徹底比較】赤福と御福餅の主な違い
赤福と御福餅の最大の違いは「あんこの形」と「日持ち」です。赤福は五十鈴川の清流を表す「三筋」ですが、御福餅は二見浦の波を表現した「波型」です。また、日持ちは赤福が2~3日と非常に短いのに対し、御福餅は7日間と比較的長めです。
では、伊勢の二大銘菓である「赤福」と「御福餅」の具体的な違いを見ていきましょう。
場所と歴史:「内宮」の赤福、「二見浦」の御福餅
まず、拠点が異なります。
- 赤福:伊勢神宮の「内宮」おひざもと、「おかげ横丁」に本店を構えます。創業は1707年(宝永4年)です。
 - 御福餅:伊勢神宮参拝の前に身を清める「二見浦」(夫婦岩)に本店を構えます。創業は1738年(元文3年)で、こちらも非常に長い歴史を持ちます。
 
原材料と製法:あんこの「三筋」と「波の形」
原材料はどちらも小豆、もち米、砂糖とシンプルですが、産地にこだわりが見られます。
- 赤福:小豆は北海道産、もち米は国産(主に北海道名寄産など)を使用しています。特徴的な「三筋」は、機械または手作業で付けられます。
 - 御福餅:小豆は北海道産「きたろまん」100%、もち米は北海道産「はくちょうもち」100%と、品種を明記しています。あんこの形は「二見浦に打ち寄せる波の形」をイメージしており、今も職人の手作業で仕上げられています。
 
味・食感・日持ち(賞味期限)の違い
どちらも滑らかなこしあんと柔らかいお餅の組み合わせですが、微妙な違いがあります。
赤福は、あんこがやや濃い色合いで、しっかりとした小豆の風味と甘さが特徴です。お餅もコシがあります。
御福餅は、赤福に比べるとあんの色がやや褐色で、水飴が使われているためか、少しあっさりとした、まろやかな甘みを感じるという意見が多いです。
そして、お土産として最も重要なのが「日持ち(賞味期限)」です。
- 赤福:鮮度にこだわり、製造日を含め夏期(5月中旬~10月中旬)は2日間、冬期(10月中旬~5月中旬)は3日間と非常に短いです。
 - 御福餅:2018年のリニューアルにより、保存料なしで製造日を含め7日間と、日持ちが大幅に長くなりました。
 
お土産として遠方に持ち帰る場合、この日持ちの違いは非常に大きなポイントになりますね。
体験談|伊勢参りで二つのあんこ餅を食べ比べ
僕が伊勢を訪れた際、もちろん「赤福」の本店で出来立てをいただきました。
五十鈴川のせせらぎを聞きながら食べる赤福は、格別でした。あんこの風味が強く、しっかりとした甘さが、歩き疲れた体に染み渡るようでした。「これぞ伊勢参りだ」と感じる、王道の美味しさです。
その翌日、二見浦の夫婦岩を訪れた際に「御福餅」の存在を知りました。
「赤福のライバル」と聞き、こちらも迷わず本店でお茶とセットで注文。
見た目は赤福にそっくりですが、あんこの形が波打っているのがすぐに分かりました。
一口食べてみると、赤福よりも少し甘さがまろやかで、あんこが滑らかな舌触りに感じました。手作りならではの、温かみのある味わいというか…。
どちらが優れているという訳ではなく、本当に「好みの差」だと思います。
ガツンとした小豆の風味と王道の甘さを求めるなら「赤福」、少しあっさり目でまろやかな甘さを楽しみたいなら「御福餅」、というのが僕の素直な感想です。
伊勢に行かれた際は、ぜひ両方食べ比べて、ご自身の「推し」を見つけてみてください。
「八福餅」「赤福」「御福餅」に関するよくある質問(FAQ)
これらのお餅に関して、よくある疑問にお答えします。
「八福餅」は伊勢では本当に売っていないのですか?
はい、「八福餅」は神奈川県の寒川神社の名物であり、伊勢市内では販売されていません。
伊勢市内で赤福のライバルとして販売されているのは「御福餅(おふくもち)」です。名前が似ているため、混同しないようご注意ください。
赤福と御福餅は、なぜあんなに似ているのですか?
どちらも300年近い歴史を持つ老舗であり、伊勢神宮への参拝客をもてなす「あんころ餅」として発展してきました。どちらかが真似をしたというよりは、同じ伊勢の地で、同じ目的(参拝客へのおもてなし)のために切磋琢磨してきた結果、似た形状に進化したと考えるのが自然でしょう。
ただし、あんこの形(三筋と波型)には、それぞれの店のオリジナリティと伊勢の自然への想いが込められています。
お土産として買うなら、赤福と御福餅はどちらがおすすめですか?
知名度やブランド力を重視するなら「赤福」が間違いありません。ただし、賞味期限が非常に短い(2~3日)ので注意が必要です。
お土産を渡すまでに数日かかる場合や、少し違った伊勢土産を選びたい場合は、賞味期限が7日間ある「御福餅」がおすすめです。
まとめ|シーン別おすすめ(伊勢神宮 vs 二見浦 vs 寒川神社)
「八福餅」「赤福」「御福餅」の違い、スッキリしましたでしょうか?
この三つは、ルーツも場所も異なる、それぞれに魅力的なあんころ餅です。
- 赤福:伊勢神宮・内宮を参拝した記念に。王道の味とブランド力を求める方に。
 - 御福餅:二見浦・夫婦岩を訪れた記念に。日持ちするお土産が必要な方や、赤福との違いを楽しみたい方に。
 - 八福餅:神奈川・寒川神社を参拝した記念に。八方除けの縁起を担ぎたい方に。
 
もしあなたが「伊勢で八福餅と赤福で迷っている」のなら、それはきっと「御福餅」のこと。
伊勢神宮で「赤福」を味わい、二見浦で「御福餅」を味わう。それが伊勢参りの新しい楽しみ方かもしれませんね。
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