「ポテトフライ」と「フライドポテト」。
どちらもジャガイモを揚げた美味しい料理ですが、この二つの呼び名の違い、気になったことはありませんか?
ファストフード店では「フライドポテト」、冷凍食品では「ポテトフライ」と書かれていることもあり、混乱してしまいますよね。
実はこの二つ、基本的には同じものを指す言葉ですが、その使われ方には微妙なニュアンスと歴史的背景があるんです。
この記事を読めば、二つの言葉の定義から、なぜ呼び名が混在しているのか、そして「フレンチフライ」との関係までスッキリと理解できます。
それでは、まず最も重要な結論から見ていきましょう。
結論|ポテトフライとフライドポテトの違いとは?
「フライドポテト」も「ポテトフライ」も、細長く切ったジャガイモを油で揚げた同じ料理を指します。どちらも英語の “Fried potato”(揚げたジャガイモ)に由来しますが、日本では「フライドポテト」が最も一般的です。「ポテトフライ」は和製英語的な表現、あるいは特定の地域や商品名で使われる傾向があります。
レストランやファストフード店で、どちらの名前で呼ぶべきか迷うかもしれませんが、どちらを使っても通じます。
本質的な違いは「呼び名」だけで、料理そのものに差はありません。
この二つの言葉のニュアンスを、以下の表にまとめました。
| 項目 | フライドポテト | ポテトフライ | 
|---|---|---|
| 料理の実体 | ジャガイモを油で揚げたもの | ジャガイモを油で揚げたもの(同じ) | 
| 語源・由来 | 英語の “Fried Potato” が由来 | 和製英語(Potato + Fry)の可能性が高い | 
| 日本での一般度 | 非常に一般的(特にファストフード) | 一般的だが「フライドポテト」よりは劣る | 
| 主な使用シーン | 飲食店、ファストフード店(マクドナルドなど) | 冷凍食品の商品名、一部の地域や店舗 | 
このように、日本では「フライドポテト」という呼び名が優勢ですが、「ポテトフライ」も間違いではありません。
では、なぜ二つの呼び方が存在するのか、その背景をもう少し詳しく見ていきましょう。
「フライドポテト」と「ポテトフライ」の定義と語源
語源はどちらも英語の「Fried potato(揚げたジャガイモ)」です。「フライドポテト」は英語の語順をそのままカタカナにしたもので、「ポテトフライ」は日本語の語順(ポテトをフライする)に近い和製英語的な表現とされています。
フライドポテト(Fried potato)とは?
「フライドポテト」は、英語の “Fried potato”(揚げたジャガイモ)または “Fried potatoes”(複数形)をカタカナ表記したものです。
英語圏では、単に「揚げたジャガイモ料理」全般を指す幅広い言葉として使われることもあります。
日本でこの呼び名が一般的になったのは、後述するファストフードチェーンの影響が大きいと考えられています。
ポテトフライ(Potato fry)とは?
一方、「ポテトフライ」は、”Potato fry” という英語表現から来ていますが、これは英語圏ではあまり一般的な表現ではありません。
どちらかというと、「ポテト(ジャガイモ)をフライ(揚げる)する」という日本語的な発想から生まれた和製英語に近い表現とされています。
日本では、特にスーパーマーケットなどで販売される冷凍食品の商品名として「ポテトフライ」という表記がよく使われる傾向がありますね。
フレンチフライ(French fry)との関係
話はもう少し複雑になります。アメリカ英語では、私たちが想像する細長く切ったフライドポテトのことを、特に「French fries(フレンチフライズ)」と呼ぶのが主流です。
これは「フランス風の(あるいはベルギー風の)揚げ方」といった意味合いがあり、この “French fries” が日本に入ってきた際に「フライドポテト」という呼び名として定着した、というのが最も有力な説です。
ちなみに、イギリス英語では同じものを「Chips(チップス)」と呼びます。「フィッシュ・アンド・チップス」のチップスがこれにあたりますね。
基本的な材料と調理法の違い
「ポテトフライ」も「フライドポテト」も、材料と調理法に一切違いはありません。ジャガイモをカットし、油で揚げ、塩で味付けする、というシンプルな料理です。
呼び名が違うだけで、作り方が変わるわけではありません。
主な材料
- ジャガイモ
 - 揚げ油(サラダ油、ショートニングなど)
 - 塩
 
基本的な調理法
美味しいフライドポテトを作るコツは「二度揚げ」です。
- ジャガイモを好みの形にカットします。
 - まず、160~170℃程度の比較的低温の油で、ジャガイモにじっくりと火を通します。
 - 一度バットなどに取り出し、余熱で中まで火を通しつつ、表面の水分を飛ばします。
 - 食べる直前に、180~190℃の高温の油で短時間揚げて、表面をカリッとさせます。
 - 熱いうちに塩を振って完成です。
 
この二度揚げの手間によって、外はカリカリ、中はホクホクの理想的な食感が生まれるわけですね。
味・食感・形状(カット)の違い
呼び名による味や食感の違いはありません。食感の違いを生み出すのは、ジャガイモの「カット形状」です。細ければカリカリ感が強く、太ければホクホク感が強くなります。
「ポテトフライ」と「フライドポテト」という言葉の違いではなく、その料理の「形」によって食感や満足感は大きく変わります。代表的なカットスタイルを見てみましょう。
シューストリング
「靴ひも」という意味の、最も細いカット(約5~7mm角)です。
表面積が広いため油を吸いやすく、カリカリとしたクリスピーな食感が最大限に楽しめます。ファストフード店で最も主流のタイプですね。冷めやすいのが少し難点です。
ストレートカット(レギュラーカット)
シューストリングより太い、標準的なカット(約10mm角)です。
カリカリ感と、ジャガイモ本来のホクホク感のバランスが良いのが特徴です。ファミリーレストランなどでよく見かけます。
ウェッジカット(皮付きポテト)
ジャガイモを皮付きのまま、くし形に大きくカットしたものです。
最もホクホク感が強く、ジャガイモの風味をしっかり味わえます。食べ応えがあり、おかずやおつまみとしても人気です。
クリンクルカット(波型)
表面が波状(ギザギザ)にカットされたタイプです。
表面積が広くなるため、塩やケチャップなどのソースがよく絡みます。冷凍食品の「ポテトフライ」などでよく見られる形状ですね。
栄養価とカロリーの違い
主原料がジャガイモであるため、炭水化物を豊富に含みます。油で揚げる調理法のため、脂質とカロリーは高くなります。同じ重量であれば、油を吸う表面積が広い細いカット(シューストリング)の方が、カロリーが高くなる傾向があります。
呼び名に関わらず、栄養成分は共通です。
ジャガイモは炭水化物の塊ですが、意外にもビタミンCやカリウムも含まれています(ただしビタミンCは加熱で一部失われます)。
問題はやはり、油で揚げることによる高脂質・高カロリーな点です。
特に注意したいのは、カット形状による違いです。一般的に、細いシューストリングカットは、太いウェッジカットに比べて同じ重量でも表面積が広くなります。その分、油を多く吸ってしまうため、カロリーは高くなりがちです。
健康を意識するなら、太めのカットを選ぶか、オーブンで焼く「ベイクドポテト」にするのが良いでしょう。
地域・文化・呼び名の違い
日本では「フライドポテト」という呼び名が全国的に優勢です。これはマクドナルドなどの大手ファストフードチェーンがメニュー名として採用し、広く浸透させた影響が大きいとされます。「ポテトフライ」も間違いではありませんが、やや限定的に使われます。
なぜ日本では「フライドポテト」が主流なのか?
日本で「フライドポテト」という呼び名が圧倒的に強い理由は、やはり大手ファストフードチェーンの影響が大きいでしょう。
1971年に日本マクドナルドが創業した際、アメリカでの主流な呼び名である「フレンチフライズ」ではなく、「フライドポテト」を商品名として採用しました。これが全国に広まるにつれて、「揚げたジャガイモ=フライドポテト」という認識がデファクトスタンダード(事実上の標準)として定着したと考えられます。
「ポテトフライ」は関西の呼び名?
「関西(特に大阪)では『ポテトフライ』と呼ぶ人が多い」という説を聞くことがあります。
これについては明確な統計データはありませんが、地域や家庭によっては「ポテトフライ」という呼び名が根強く残っている可能性はあります。また、前述の通り、冷凍食品のパッケージ名が「ポテトフライ」であることが多いため、その影響で日常的に使っている人もいるでしょう。
とはいえ、現在では関西のファストフード店でもメニュー名は「フライドポテト」が主流であり、地域差というよりは、個人や世代による差の方が大きいかもしれませんね。
体験談|呼び方の違いで混乱したファストフード店での一幕
僕が学生時代、地元の九州から上京したばかりの頃の体験です。
東京でできた友人と一緒にファストフード店(マクドナルドでした)に行き、レジに並んでいました。僕は「フライドポテト」と呼ぶのが当たり前だと思って育ってきました。
ところが、先に注文した友人が店員さんに向かって、はっきりとこう言ったんです。
「すみません、ポテトフライのLと、コーラください」
一瞬、店員さんの動きが止まりました。そして、すぐに笑顔で「はい、フライドポテトのLサイズですね?」と確認していました。
友人は「あ、はい。フライドポテト? ああ、それです」と少し照れたように答えていました。
後で聞いてみると、彼の地元(関西地方でした)の家族や周りでは「ポテトフライ」と呼ぶのが普通だったそうです。僕はその時初めて、あの料理に複数の呼び名が存在することを実感しました。
結局、出てきたのはいつもの美味しい揚げたジャガイモで、呼び名が違っても中身は同じなんだな、と妙に納得したのを覚えています。どちらの呼び名も、あの美味しさを表現する立派な日本語なんですよね。
「ポテトフライ」と「フライドポテト」に関するよくある質問
Q1. 結局、「ポテトフライ」と「フライドポテト」は同じものですか?
A. はい、基本的には同じ「ジャガイモを油で揚げた料理」を指します。「フライドポテト」が全国的に最も一般的な呼び名で、「ポテトフライ」は商品名や特定の地域で使われることがある呼び名、という程度の違いですね。
Q2. なぜ「フレンチフライ」とも呼ぶのですか?
A. アメリカ英語で、細長く切ったフライドポテトを「French fries(フレンチフライズ)」と呼ぶためです。フランス(あるいはベルギー)発祥の調理法とされることから、この名前が付いたと言われています。
Q3. コンビニでは「フライドポテト」と「ポテトフライ」、どちらが多いですか?
A. コンビニのホットスナックコーナーでは「フライドポテト」という商品名が主流ですね。ただし、冷凍食品のコーナーでは「ポテトフライ」という名前の商品も多く見かけますよ。
まとめ|結局「ポテトフライ」と「フライドポテト」どちらを使うべき?
「ポテトフライ」と「フライドポテト」の違い、ご理解いただけたでしょうか。
今回のポイントをまとめます。
- 本質は同じ:どちらも「ジャガイモを油で揚げた料理」で、料理自体に違いはない。
 - 呼び名の由来:どちらも英語の “Fried potato” が語源。「フライドポテト」は英語の語順、「ポテトフライ」は和製英語的な表現とされる。
 - 日本での主流:ファストフード店の影響で「フライドポテト」が最も一般的。
 - 食感の違い:呼び名ではなく、「カット形状」(シューストリング、ウェッジなど)によって食感が決まる。
 
結論として、どちらの呼び名を使っても間違いではありません。ただ、日本国内の飲食店で注文する際は「フライドポテト」と呼ぶのが最もスムーズに通じるでしょう。
呼び名の違いを気にすることよりも、その日の気分に合わせてカット形状を選び、好みの食感を楽しむのが一番賢い付き合い方かもしれませんね。
その他の様々な料理・メニューの違いについても、ぜひチェックしてみてください。