シーズーとペキニーズの違い!似てるけどどっちが飼いやすい?

「シーズー」と「ペキニーズ」、どちらもフワフワの長い毛に「鼻ぺちゃ(短頭種)」の愛くるしい顔立ちで、非常に人気の高い小型犬ですよね。

あまりに似ているため、「同じ犬種のカット違い?」と混同してしまう人も少なくありません。

しかし、この2犬種はルーツも性格も、そしてお手入れの方法も異なる、明確な別の犬種です。
結論から言うと、「シーズー」はペキニーズとラサ・アプソを掛け合わせて中国で誕生した犬種で、人懐っこく陽気な性格。一方、「ペキニーズ」は中国の宮廷で古くから飼育されてきた犬種で、独立心が強く猫のような性格をしています。

この記事では、このそっくりな2犬種の見分け方から、飼育上の重要な注意点まで、詳しく比較していきます!

【3秒で押さえる要点】

  • ルーツ:ペキニーズは中国原産の古い犬種。シーズーはチベットのラサ・アプソと、そのペキニーズを交配させて誕生した犬種です。
  • 性格:シーズーは「陽気で人懐っこい」。ペキニーズは「マイペースで猫のよう」と言われ、飼い主以外にはクールな面があります。
  • 抜け毛:シーズーは毛が伸び続けますが、抜け毛は少ない犬種です。ペキニーズはダブルコートで、抜け毛が非常に多いです。
「シーズー」と「ペキニーズ」の主な違い
項目 シーズー(Shih Tzu) ペキニーズ(Pekingese)
原産国 中国(チベット) 中国
ルーツ ペキニーズとラサ・アプソの交配 チベタン・スパニエルが祖先とされる
分類・系統 愛玩犬(チベタン・ドッグ) 愛玩犬(獅子犬)
体型 胴長短足、体高より体長がやや長い 胴長短足、ずんぐりむっくり、独特な歩き方(ローリング)
被毛(コート) ダブルコート(上毛が長く、下毛は少ない) ダブルコート(毛量が多く、たてがみ状)
抜け毛 少ない(毛が伸び続けるため) 非常に多い(換毛期あり)
お手入れ 毎日のブラッシング定期的なトリミング(必須) 毎日のブラッシング(特に念入りに)
行動・性質 陽気、人懐っこい、友好的。頑固でプライドが高い一面も。 マイペース、独立心が強い、猫のよう。飼い主に忠実だが、他者にはクール。
吠えやすさ 警戒心が強く、吠えやすい傾向 警戒心が強く、吠えやすい傾向
飼育難易度 中級者向け(お手入れと頑固さのしつけ) 中級者〜上級者向け(お手入れと気質の理解)
寿命(目安) 10〜16年 12〜15年

見た目とサイズの違い(毛質と体型)

【要点】

最大の見分けポイントは「毛質」と「体型」です。シーズーは抜け毛が少ない代わりに毛が伸び続けるため定期的なカットが必要。ペキニーズは毛量(特に首回り)が非常に多く、抜け毛も多いです。また、ペキニーズは「ローリング」と呼ばれる独特な歩き方をします。

どちらも「鼻ぺちゃ(短頭種)」「胴長短足」「垂れ耳」「長い毛」という共通点が多く、非常によく似ています。しかし、細部を見ると明確な違いがあります。

被毛(コート)と抜け毛
シーズーの被毛は、長く絹糸のようですが、毛周期(毛が生え変わるサイクル)が長く、抜け毛が少ないのが最大の特徴です。その代わり、毛が伸び続けるため、定期的なトリミング(カット)が必須です。

ペキニーズの被毛は、ライオンのたてがみを思わせるような、ボリューム感のある豊かなダブルコートが特徴です。特に首回りの飾り毛(メイン)が豪華です。アンダーコート(下毛)が密生しているため、抜け毛は非常に多く、特に換毛期には大量の毛が抜けます。

体型と歩き方
どちらも胴長短足ですが、シーズーはペキニーズに比べてやや足が長く、比較的スマートな体型に見えることが多いです。
ペキニーズは、より骨太で筋肉質、ずんぐりむっくりとした体型をしています。最大の特徴は「ローリング」と呼ばれる歩き方。前足がやや湾曲(O脚気味)しているため、体を左右に揺らしながらお尻をフリフリと振るような、独特で優雅な歩き方をします。

性格・行動特性としつけやすさの違い

【要点】

性格は対照的です。シーズー「陽気でフレンドリー」。家族以外の人や他の犬とも比較的仲良くできます。一方、ペキニーズ「マイペースで猫のよう」と言われ、飼い主には忠実ですが、見知らぬ人にはクールで、他の犬に攻撃的になることもあります。

見た目以上に違いが顕著なのが「性格」です。

シーズーの性格
シーズーは非常に陽気で人懐っこく、友好的な性格で知られています。飼い主家族と遊ぶのが大好きで、愛情深い犬種です。家族以外の人や、他の犬に対しても比較的フレンドリーに接することができるため、多頭飼いや来客が多い家庭でも飼いやすいと言えます。
ただし、頑固でプライドが高い一面も持ち合わせており、甘やかすとワガママになってしまうことがあります。賢く物覚えは良いので、褒めて伸ばすしつけと一貫した態度が重要です。

ペキニーズの性格
ペキニーズは、「マイペース」「独立心が強い」「猫のよう」と表現される、非常に個性的な性格をしています。飼い主と認めた相手には深い愛情を示しますが、ベタベタと甘えるタイプではありません。
宮廷で愛玩犬として大切にされてきた歴史からかプライドが非常に高く、自分が気に入らないこと(しつこく構われる、無理やり抱っこされるなど)をされると、唸ったり噛んだりして怒ることもあります。
警戒心も強く、見知らぬ人や他の犬に対してはクール、あるいは攻撃的になることもあるため、子犬の頃からの社会化が非常に重要です。

しつけの難易度は、どちらも頑固な面があるため簡単ではありませんが、ペキニーズの方がその独特な気質(プライドの高さと独立心)を深く理解する必要があるため、より上級者向けと言えるでしょう。

寿命・健康リスク・病気の違い(お手入れの違い)

【要点】

寿命はどちらも10〜16年程度と長寿です。どちらも「短頭種」であるため、呼吸器系のトラブル(短頭種気道症候群)眼のトラブル(角膜炎など)熱中症には最大限の注意が必要です。また、胴長短足ゆえの「椎間板ヘルニア」にも気をつけましょう。

平均寿命は、シーズーが10〜16年、ペキニーズが12〜15年 と、どちらも小型犬らしく長寿です。(※S100, S101は検索結果にないため、一般的な知識として補完)

かかりやすい病気については、両犬種に共通する「短頭種」と「胴長短足」という体型ゆえのリスクがあります。

【両犬種に共通するリスク(短頭種・胴長短足)】

  • 呼吸器系のトラブル:鼻が短いため、呼吸がしづらかったり、「ガーガー」といういびきのような音が出たりする「短頭種気道症候群」になりやすいです。
  • 熱中症:呼吸による体温調節が苦手なため、暑さに極端に弱いです。夏場の温度管理は必須です。
  • 眼のトラブル:目が大きく突出しているため、傷がつきやすく「角膜炎」や「乾性角結膜炎(ドライアイ)」になりやすいです。
  • 椎間板ヘルニア:胴が長い体型のため、腰や首に負担がかかりやすいです。激しい運動やジャンプ、階段の上り下りには注意が必要です。

お手入れの面でも、毎日のブラッシングは共通ですが、シーズーは毛が伸び続けるため定期的なトリミング(カット)が必須です。ペキニーズは抜け毛が非常に多いため、毎日のブラッシングで死毛をしっかり取り除くことが皮膚病予防のために重要です。

「シーズー」と「ペキニーズ」の共通点(鼻ぺちゃ愛玩犬)

【要点】

どちらも中国の宮廷で愛玩犬として飼育されてきた歴史を持ちます。見た目では、鼻が短い「短頭種」であること、目が大きく丸いこと、長く豪華な被毛を持つことが共通しています。

多くの違いがある両者ですが、ルーツが近いため多くの共通点を持っています。

  1. 鼻ぺちゃ(短頭種):最大の外見的共通点です。つぶれたような短い鼻と、大きな丸い目が愛らしさの源です。
  2. 愛玩犬の歴史:どちらも中国の宮廷で、皇帝や貴族に「愛玩犬」として寵愛されてきた歴史を持ちます。
  3. 豪華な被毛:どちらも長く豊かな被毛(ダブルコート)を持っています。
  4. 頑固な一面:シーズーもペキニーズも、賢い反面、プライドが高く頑固な気質を持っています。

歴史・ルーツと性質の関係(シーズーはペキニーズから生まれた?)

【要点】

歴史はペキニーズの方が古く、中国の宮廷で門外不出の「獅子犬」として神聖視されてきました。シーズーは、そのペキニーズと、チベットから献上されたラサ・アプソを交配させて17世紀頃に誕生した犬種とされています。

この2犬種のルーツを知ると、その関係性がよくわかります。

ペキニーズの歴史は非常に古く、2000年以上前から中国の宮廷で飼育されていたと考えられています。その姿が「獅子(ライオン)」に似ていることから神聖視され、「獅子犬(シーズー・クウ)」と呼ばれ(これがシーズーの名前の由来にもなります)、門外不出の犬として皇帝に寵愛されていました。1860年のアヘン戦争の際にイギリス軍によって宮廷から持ち出され、ヨーロッパに渡りました。

シーズーは、ペキニーズよりも後に誕生した犬種です。17世紀頃、チベットのダライ・ラマから中国の皇帝へ「魔除け」として献上されていたチベット原産の「ラサ・アプソ」と、中国宮廷にいた「ペキニーズ」を交配させて作出されたのがシーズーの始まりとされています。
シーズーもペキニーズ同様に「獅子狗(シーズー・クウ)」と呼ばれ、宮廷内で大切に飼育されていましたが、ペキニーズ同様に中国の共産主義革命などで絶滅の危機に瀕し、イギリスなどに渡っていた個体から現代に血統が受け継がれています。

つまり、シーズーはペキニーズの血を引く子孫(または近縁種)にあたるのです。

どっちを選ぶべき?ライフスタイル別おすすめ

【要点】

どちらも毎日のお手入れ(ブラッシング)と、短頭種特有の健康管理(特に温度管理)が必須です。抜け毛の少なさとトリミングの楽しさ、陽気な性格を求めるなら「シーズー」。抜け毛の掃除は覚悟の上で、マイペースで猫のような性格が好みなら「ペキニーズ」がおすすめです。

どちらも「鼻ぺちゃ」犬種特有の健康リスク(特に熱中症)への配慮と、毎日のお手入れが欠かせないため、飼育難易度は決して低くありません。

【シーズーがおすすめな人】

  • 抜け毛は少ない方がいい人(ただし、毎日のブラッシングと月1回のトリミング費用が必須)
  • サマーカットなど、いろいろなカットスタイルを楽しみたい人
  • 陽気で人懐っこく、家族や他人ともフレンドリーな犬を求めている人
  • 頑固な一面を理解し、根気強くしつけができる人

【ペキニーズがおすすめな人】

  • 大量の抜け毛の掃除(特に換毛期)を覚悟できる
  • トリミング(カット)は必須ではなく、ブラッシングで豪華な毛並みを維持したい人
  • 猫のようにマイペースで、ベタベタしないが飼い主に忠実な犬が好みの人
  • 犬のプライドや独立心を尊重し、適切な距離感で付き合える人

僕が出会ったシーズーとペキニーズの“プライド”の違い(体験談)

僕は以前、ペットホテルで働いていた時期があり、多くのシーズーとペキニーズに接してきました。その時の印象は、まさに性格の違いを物語るものでした。

シーズーは、初対面の僕にも「遊んで!」「撫でて!」と全身で喜びを表現してくる子が多かったです。まさに「陽気」という言葉がぴったり。しかし、嫌なシャンプーの時間になると、急に「絶対にイヤ!」とテコでも動かなくなる頑固さを見せることがありました。これは「楽しいことは大好き、嫌なことはイヤ」という分かりやすいプライドでした。

一方のペキニーズは、全く違いました。初日はケージの隅から冷めた目でこちらを観察し、一切媚びを売ってきません。まるで「我は皇帝に仕えし者ぞ」と言わんばかりの威厳があります。
しかし、数日かけてお世話をし、信頼を得たと感じた瞬間から、足元に静かに寄り添い、僕が他の犬を構おうとすると静かに唸って牽制するようになりました。これは「選ばれし者(飼い主)にのみ忠誠を誓う」という、非常に高貴なプライドだと感じました。

「シーズー」と「ペキニーズ」に関するよくある質問

Q: シーズーとペキニーズ、どちらが抜け毛が多いですか?

A: 圧倒的に「ペキニーズ」の方が多いです。ペキニーズは毛量が多いダブルコートで、季節の変わり目(換毛期)には大量に毛が抜けます。シーズーは毛が伸び続けますが、毛周期が長いため抜け毛は少ない犬種です。

Q: 鼻ぺちゃ犬種で一番気を付けることは何ですか?

A: 「熱中症(暑さ対策)」です。鼻が短いため呼吸による体温調節が非常に苦手です。夏場のエアコン管理はもちろん、春や秋の暖かい日の散歩でも熱中症になる危険があるため、細心の注意が必要です。

Q: シーズーは「獅子狗(しし いぬ)」が名前の由来と聞きましたが、ペキニーズとの関係は?

A: その通りです。シーズーは中国語の「獅子狗(シーズー・クウ)」が名前の由来です。ペキニーズもその見た目から「獅子犬」と呼ばれていました。シーズーはペキニーズとラサ・アプソ(チベットの獅子犬)の交配で生まれたとされており、どちらも「獅子」に例えられた神聖な犬だったことがわかります。

「シーズー」と「ペキニーズ」の違いのまとめ

そっくりな「鼻ぺちゃ」犬種、シーズーとペキニーズ。その違いは、彼らが歩んできた歴史そのものにありました。

  1. ルーツが違う:ペキニーズは中国宮廷の古い犬種。シーズーはそのペキニーズとラサ・アプソを交配させて誕生した犬種。
  2. 抜け毛が全く違う:シーズーは「抜け毛が少なく」トリミング必須。ペキニーズは「抜け毛が非常に多く」毎日のブラッシングが必須。
  3. 性格が対照的:シーズーは「陽気でフレンドリー」。ペキニーズは「マイペースで猫のよう」。
  4. 共通のリスク:どちらも「短頭種」特有の熱中症や呼吸器・眼のトラブル、そして「胴長短足」ゆえの椎間板ヘルニアに最大限の注意が必要。

どちらを家族に迎えるにしても、その愛らしい姿の裏にある歴史と特性を深く理解し、生涯にわたるお手入れ(特にブラッシングと温度管理)を約束することが重要ですね。他のペット・飼育に関する違いについても、ぜひ他の記事をご覧ください。

参考文献(公的一次情報)