お餅をあんこで包んだ、シンプルで美味しい「あんころ餅」。
そして、伊勢土産の定番として絶大な人気を誇る「赤福」。
この二つ、同じものだと思っていませんか?「赤福=あんころ餅」ではありますが、実は明確な違いがあります。
結論から言うと、「あんころ餅」はお餅とあんこを使った和菓子の「総称(カテゴリ名)」であり、「赤福」は株式会社赤福が製造・販売する特定の「商品名(登録商標)」なんです。
この記事を読めば、二つの言葉の違い、赤福ならではの特徴、そして伊勢で赤福のライバルとされる「御福餅」との違いまで、スッキリと理解できます。
それでは、詳しく見ていきましょう。
結論|あんころ餅と赤福の違いが一目でわかる比較表
最大の違いは「言葉の範囲」です。「あんころ餅」は、お餅をあんこで包んだ和菓子全般を指す一般名称です。一方、「赤福」は三重県伊勢市の「株式会社赤福」が作る特定の商品名であり、あんこに「三筋」と呼ばれる模様があるのが特徴です。
「あんころ餅」と「赤福」の基本的な違いを、比較表で確認しましょう。
| 項目 | あんころ餅(一般名称) | 赤福(商品名) | 
|---|---|---|
| 分類 | 一般名称(和菓子の分類) | 固有名詞(商品名・登録商標) | 
| 主な製造元 | 全国の和菓子店、メーカー | 株式会社赤福 | 
| 主な販売場所 | 全国各地 | 三重県伊勢市(本店)ほか、全国の百貨店など | 
| 形状・特徴 | お餅をあんこで包んだもの(形状は多様) | お餅の上にあんこを乗せ、「三筋」の模様がある | 
| あんの種類 | こしあん、つぶあん等(多様) | こしあん | 
| 日持ち | 商品による(一般的に短い) | 非常に短い(夏期2日、冬期3日) | 
つまり、「赤福」は数ある「あんころ餅」の中で、圧倒的な知名度と独自の特徴を持つブランド商品である、ということですね。
「あんころ餅」と「赤福」の違いとは?一般名称と商品名
「あんころ餅」は、お餅(求肥など)を餡で包んだり、上から餡をかけたりした和菓子の総称です。一方、「赤福」は株式会社赤福が製造する特定のあんころ餅の商品名を指します。
この二つの言葉の決定的な違いは、その言葉が指し示す範囲にあります。
「あんころ餅(あんころもち)」は和菓子の「総称」
「あんころ餅(餡餅)」とは、柔らかいお餅(餅米や求肥)を、こしあんや粒あんで包んだり、上からかけたりした和菓子全般を指す一般名称です。
日本全国の和菓子店で古くから作られており、地域によって様々なバリエーションが存在します。伊勢で古くから参拝客に「餡餅」が振る舞われていたのも、この文化の一つです。
「赤福(あかふく)」は伊勢名物の「商品名(登録商標)」
一方、「赤福」は、三重県伊勢市に本店を構える「株式会社赤福」が製造・販売する特定の商品名です。
1707年(宝永4年)創業という非常に長い歴史を持ち、伊勢神宮の参拝土産として不動の人気を誇ります。
「赤福」という名前は、創業者が「赤心慶福(せきしんけいふく)」という言葉(まごころを尽くして人の幸せを願うという意味)から二文字をとって名付けたとされています。
【核心】赤福の最大の特徴とは?
赤福の最大の特徴は、あんこに付けられた「三筋(さんすじ)」と呼ばれる3本のスジ模様です。これは伊勢神宮の神域を流れる「五十鈴川の清流」を表現しています。
「赤福」が他のあんころ餅と一線を画す、最大の特徴について解説します。
五十鈴川の清流を表す「三筋(さんすじ)」
「赤福」の最も象徴的な特徴は、お餅の上に乗せられたこしあんの表面にある3本のスジ模様です。
これは「三筋(さんすじ)」と呼ばれ、伊勢神宮(内宮)の神域を流れる「五十鈴川(いすずがわ)の清流」を表しています。また、あんこの形全体は五十鈴川の川底の小石を表現していると言われています。
他のあんころ餅には見られない、この独特の形状こそが「赤福」のアイデンティティです。
独自の製法とこだわりの原材料
赤福は、お餅(もち米)をこしあんで包むのではなく、お餅の上にあんこを乗せるという独特のスタイルをとっています。
原材料にもこだわりがあり、あんこに使用する小豆はすべて北海道産。お餅は国産のもち米を使用し、時間が経っても硬くなりにくいものが厳選されています。
また、鮮度を非常に重視しており、賞味期限(日持ち)は夏期(5月中旬~10月中旬)は製造日を含め2日間、冬期(10月中旬~5月中旬)は3日間と非常に短いのも大きな特徴です。
赤福と伊勢のライバル「御福餅」との違い
伊勢には赤福のライバルとして「御福餅(おふくもち)」があります。赤福のあんこが「三筋」なのに対し、御福餅は「二見浦の波」を表現した波型になっています。また、御福餅の方が賞味期限が長い(7日間)という違いもあります。
「あんころ餅 赤福 違い」で検索した方が混同している可能性のある、もう一つの伊勢名物が「御福餅(おふくもち)」です。この二つは、伊勢で人気を二分するライバル的存在です。
形状の違い:「三筋」 vs 「二見浦の波」
最大の違いは、あんこの形状です。
- 赤福:前述の通り、五十鈴川の清流を表す「三筋」です。
 - 御福餅:伊勢神宮参拝の前に訪れる二見浦(ふたみうら)に打ち寄せる「波の形」を表現しています。赤福よりも少し色が褐色がかっているのも特徴です。
 
歴史と場所:「内宮」の赤福 vs 「二見浦」の御福餅
発祥の地と本店も異なります。
- 赤福:1707年創業。伊勢神宮「内宮」前の「おかげ横丁」に本店があります。
 - 御福餅:1738年創業。夫婦岩で有名な「二見浦」の二見興玉神社近くに本店があります。
 
日持ち(賞味期限)の違い
お土産選びで最も重要なのが日持ちです。
- 赤福:非常に短い(2〜3日)。
 - 御福餅:リニューアルにより、比較的長い(7日間)。
 
お土産として持ち帰る日数に余裕がない場合は、御福餅を選ぶという選択肢もありますね。
体験談|伊勢神宮で味わう、できたての「赤福」
僕が初めて伊勢神宮を訪れた際、多くの人に勧められるがままに「おかげ横丁」の赤福本店に立ち寄りました。
それまでもお土産として箱入りの赤福は食べたことがありましたが、「本店で食べる出来立ては別格」という言葉の意味が、一口食べて分かりました。
お餅が、信じられないくらい柔らかいんです。
作りたてのお餅は温かみを保っており、それが滑らかなこしあんと絶妙に絡み合います。五十鈴川のせせらぎをBGMに、番茶と共にいただく赤福は、まさに「あんころ餅」というカテゴリを超えた一つの「体験」でした。
あんこで川の流れを、お餅で川底の小石を表現するというストーリー を知ってから食べると、そのシンプルな姿に伊勢の自然と歴史の深みを感じずにはいられません。
「赤福」が単なる「あんころ餅」ではなく、伊勢神宮という場所と強く結びついた唯一無二のブランドである理由が、あの本店でよく分かりました。
「あんころ餅」「赤福」に関するよくある質問(FAQ)
あんころ餅と赤福に関して、よくある疑問にお答えします。
「赤福」という名前の由来は何ですか?
「赤心慶福(せきしんけいふく)」という言葉に由来します。「赤心」はまごころ、「慶福」は幸せを喜ぶという意味で、「まごころを尽くして人の幸せを願う」という創業者の想いが込められています。
伊勢で赤福と似たお菓子は「御福餅」だけですか?
「赤福」と「御福餅」が二大巨頭として有名ですが、他にも似たお菓子は存在します。
例えば「伊賀福(いがふく)」という、伊賀上野の名物もあります。また、神奈川県の寒川神社には「八福餅(はちふくもち)」という八角形のあんころ餅があり、こちらも伊勢のお餅と混同されることがあります。
お土産として買うなら、赤福と御福餅はどちらがおすすめですか?
知名度とブランド力で選ぶなら、間違いなく「赤福」です。ただし、賞味期限が2~3日と非常に短いため注意が必要です。
お土産を渡すまでに数日かかる場合は、賞味期限が7日間ある「御福餅」が便利です。どちらも伊勢を代表する銘菓ですので、両方買って食べ比べるのも楽しいですよ。
まとめ|赤福は「あんころ餅」の最高峰ブランドの一つ
「あんころ餅」と「赤福」の違い、明確になりましたでしょうか?
「あんころ餅」は、お餅をあんこでくるんだ和菓子の「総称」です。
「赤福」は、その「あんころ餅」カテゴリの中で、伊勢神宮の五十鈴川を模した「三筋」という独自のデザインと、300年以上の歴史を持つ、特定の「商品名(ブランド)」でした。
すべての「赤福」は「あんころ餅」ですが、すべての「あんころ餅」が「赤福」ではありません。
伊勢を訪れた際は、ぜひ赤福本店でその歴史と出来立ての味を体験してみてください。そして、もし二見浦まで足を伸ばすなら、「御福餅」との食べ比べもおすすめです。
「食べ物の違い」カテゴリでは、他にも様々なスイーツ・お菓子の違いについて詳しく解説しています。ぜひご覧になってください。