「バームクーヘン」と「バウムクーヘン」。
お店によって表記が違うけれど、この二つは一体何が違うのでしょうか? もしかして、違うお菓子なの?と疑問に思ったことはありませんか。
結論から言うと、この二つは「同じお菓子」です。最も決定的な違いは、「バウムクーヘン」がドイツ語の原音に近い表記であるのに対し、「バームクーヘン」は日本で一般的に広まった長音符号(ー)を使った表記である、という点に尽きます。
この記事を読めば、二つの表記が混在する理由、どちらが正しいのか、そして日本と本場ドイツでの定義の違いまで、スッキリと理解できます。
それでは、まず二つの違いを一覧表で比較してみましょう。
結論|「バームクーヘン」と「バウムクーヘン」の違いを一言で
「バームクーヘン」と「バウムクーヘン」は、どちらも「木のケーキ(年輪ケーキ)」を意味するドイツの伝統菓子「Baumkuchen」を指しており、お菓子自体に違いはありません。「バウムクーヘン」は、ドイツ語の原音「Baum(バウム=木)」+「Kuchen(クーヘン=ケーキ)」に忠実な表記です。
「バームクーヘン」は、長音符号「ー」を用いた、より日本で一般的に普及している表記・発音 です。
【徹底比較】バームクーヘンとバウムクーヘンの違い一覧表
製品としての違いはなく、純粋に「ドイツ語の原音に近い表記(バウム)」か、「日本で広く普及した長音表記(バーム)」かの違い です。
両者の特徴を一覧表で分かりやすく比較してみましょう。
| 項目 | バームクーヘン (Bāmu Kūhen) | バウムクーヘン (Baumkuchen) |
|---|---|---|
| 分類 | 表記・発音のバリエーション | 表記・発音のバリエーション |
| 語源 | ドイツ語「Baumkuchen」 | ドイツ語「Baumkuchen」 |
| 表記・発音 | 日本語(英語)風の長音表記 | ドイツ語の原音に近い表記 |
| 意味 | 木のケーキ(年輪ケーキ) | 木のケーキ(年輪ケーキ) |
| 主な使用例 | 多くの洋菓子店、コンビニ、スーパー | ユーハイム、無印良品、本場志向の店 |
| 製品自体 | 同じもの(違いなし) | 同じもの(違いなし) |
バームクーヘン(Bāmu Kūhen)とは?
「バームクーヘン」は、ドイツ語の「Baumkuchen」が日本語化する過程で定着した、長音符号「ー」を用いた表記です。日本では「バウムクーヘン」よりも広く一般的に使用されており、製品自体は同じものです。
特徴:日本語で一般的に使われる長音表記
「バームクーヘン」という表記は、ドイツ語の「Baum」の発音を、日本語の長音符号「ー」を使って表記したものです。英語の「Balm(バーム=香油)」などの発音に引かれた、あるいは単純に「バウム」よりも「バーム」の方が日本人にとって発音しやすく、馴染みがあったため広まったと考えられています。
現代の日本では、コンビニエンスストアや多くの洋菓子店でこの「バームクーヘン」という表記が主流となっており、最も一般的な呼び名と言えます。
バウムクーヘン(Baumkuchen)とは?
「バウムクーヘン」は、ドイツ語の原語「Baumkuchen」に、より忠実な発音と表記を採用したものです。ドイツ語で「Baum(バウム)」は「木」、「Kuchen(クーヘン)」は「ケーキ」を意味します。
特徴:ドイツ語の原音に近い表記
「バウムクーヘン」は、このお菓子の発祥地であるドイツの言葉に、より忠実な表記です。
- Baum(バウム):「木」を意味します。
- Kuchen(クーヘン):「ケーキ」を意味します。
直訳すると「木のケーキ」。焼き上がった断面が、木の「年輪(ねんりん)」のように見えることから、この名前が付きました。
日本でこのお菓子を広めた老舗ブランド「ユーハイム(Juchheim)」 や、無印良品など、本場ドイツの製法や呼称をリスペクトするメーカーが、この「バウムクーヘン」という表記を好んで使用する傾向があります。
【核心】「バーム」と「バウム」表記・発音の決定的な違い
二つの間に、お菓子そのものの違いはありません。唯一の違いは、「木」を意味するドイツ語「Baum」を、「バーム」と表記するか、「バウム」と表記するかの「表記ゆれ(発音の違い)」 です。
結論として、「バームクーヘン」と「バウムクーヘン」は、同じものを指す言葉です。
どちらが正しいかと言われれば、原語であるドイツ語の発音に近いのは「バウムクーヘン」 ですが、「バームクーヘン」も日本語として広く定着しているため、間違いとは言えません。
例えるなら、「v」の音を「バイオリン」と書くか「ヴァイオリン」と書くか、「e」の音を「コンピューター」と書くか「コンピュータ」と書くかの違いに似ています。どちらも同じものを指していますよね。
【豆知識】日本と本場ドイツの「バウムクーヘン」の定義は違う
表記の違いよりも知っておきたいのが、本場ドイツと日本での「定義」の違いです。ドイツでは国立ドイツ菓子協会により、ベーキングパウダー不使用、バターの使用、芯棒で焼くなど、厳格な製法基準 があります。一方、日本は「年輪模様」があれば「バウムクーヘン」と表示可能 なため、多様な食感が存在します。
実は、表記の違いよりも、本場ドイツと日本とでは、「バウムクーヘン」と名乗るための「定義」が異なります。
本場ドイツの厳格な定義
ドイツでは、国立ドイツ菓子協会によって「バウムクーヘン」の定義が厳しく定められています。主な基準は以下の通りです。
- ベーキングパウダー(膨張剤)を使用しないこと。
- 油脂はバターのみを使用し、マーガリンなどは不可。
- 小麦粉に対し、バター、卵の比率が決められている。
- 必ず芯棒(しんぼう)に生地をかけながら、回転させて一層ずつ焼くこと。
日本の「公正競争規約」における定義
一方、日本の「洋生菓子の表示に関する公正競争規約」 では、ドイツほど厳格な製法上の縛りはありません。
「生地を芯棒に層状に焼き付けたもの」とされており、特徴的な「年輪模様」 さえあれば、ベーキングパウダーやマーガリンの使用も認められています。
そのため、日本ではドイツの伝統的な硬めの食感のものから、ふんわり・しっとりとした食感のものまで、多種多様なバウムクーヘンが発展しているのです。
【体験談】「バーム」か「バウム」かより、食感の違いが重要
僕は昔、「バウムクーヘン」(バウム表記)は、ユーハイム のような老舗が作る、少し硬めでしっかりした伝統的なもの。「バームクーヘン」(バーム表記)は、コンビニや「ねんりん家」のようなお店が売っている、日本人向けにアレンジされた「しっとり・ふわふわ」なもの、というイメージを漠然と持っていました。
しかし、調べてみると、この「表記」と「食感」に明確な相関関係はありませんでした。例えば、「クラブハリエ」は「バームクーヘン」表記ですが、食感はしっとり・ふわふわ系です。逆に「無印良品」は「バウムクーヘン」表記ですが、手軽な商品です。
結局のところ、消費者である私たちにとって大事なのは、「バーム」か「バウム」かという表記の違いではなく、その商品が「伝統的な(クラシックな)食感」なのか、「現代的な(しっとりした)食感」なのか、という点なのだと気づきました。
ドイツの厳格な定義 で作られたものが「バウムクーヘン」で、日本で自由に作られたものが「バームクーヘン」というわけでもないのです。表記は、あくまでそのメーカーの「呼び方」の違いでしかありませんでした。
バームクーヘンとバウムクーヘンに関するよくある質問(FAQ)
結局、どっちの表記が正しいのですか?
どちらも間違いではありません。ドイツ語の原音に忠実なのは「バウムクーヘン」 ですが、日本語として広く普及しているのは「バームクーヘン」 です。どちらの表記でも、同じ年輪模様のケーキを指します。
「ユーハイム」はなぜ「バウムクーヘン」表記なのですか?
日本でバウムクーヘンを広めた創業者カール・ユーハイムがドイツ人であり、本場ドイツの製法と呼称を大切にしているためです。国立ドイツ菓子協会の厳格な基準 を守り、添加物(ベーキングパウダーなど)を使わない伝統的な製法を日本に伝えたのがユーハイムです。
日本とドイツの定義はどう違いますか?
最も大きな違いは、ドイツではベーキングパウダー(膨張剤)の使用が禁止されており、油脂はバターのみと定められている点です。日本の規約ではそれらの使用が認められているため、より「ふんわり・しっとり」とした食感のバウムクーヘンを作ることが可能です。
まとめ|バームクーヘンとバウムクーヘンは「同じお菓子」
「バームクーヘン」と「バウムクーヘン」の違い、これでスッキリしましたね。
二つの違いを最後にシンプルにまとめます。
- バームクーヘン:日本語で普及した長音表記(Bāmu Kūhen)。
- バウムクーヘン:ドイツ語の原音に近い表記(Baumkuchen)。
結論として、どちらも「年輪模様のケーキ」という同じお菓子を指しており、製品自体に違いはありません。「バーム」と「バウム」は、単なる「表記ゆれ」なのです。
表記の違いを気にするよりも、その商品が「しっとり系」なのか「しっかり系」なのか、食感や風味の違いに注目して選ぶ方が、きっとあなたの好みに合った美味しいバウムクーヘンに出会えますよ。
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