コンフィチュールとジャムの違いは?果肉感と製法で分かる使い分け

パンに塗ったり、ヨーグルトに入れたりする「ジャム」。

最近では、おしゃれな瓶に入った「コンフィチュール」という言葉もよく見かけますよね。

どちらも果物を砂糖で煮詰めたもののように見えますが、一体何が違うのでしょうか?

結論から言うと、言葉の由来が違う(ジャムは英語、コンフィチュールはフランス語)だけで、本来は同じものを指します。

しかし、日本では「コンフィチュール」を、より果物の原型や果肉感が残っているものとして、一般的なジャムと区別して呼ぶ傾向が強いんです。

この記事では、二つの言葉の本来の意味と、日本での使い分け、それぞれの魅力について詳しく解説していきます。

結論|コンフィチュールとジャムの違いを一言でまとめる

【要点】

本来、「コンフィチュール(Confiture)」はフランス語で「ジャム」や「砂糖漬け」を意味し、「ジャム(Jam)」は英語という言語の違いだけです。しかし、日本では「ジャム」が果物を煮崩してゼリー化させたものを指すことが多いのに対し、「コンフィチュール」は果物の形や果肉感を残して仕上げたものとして差別化される傾向があります。

フランスでは、ジャム、マーマレード、ゼリーなどをすべて含めて「コンフィチュール」と呼ぶのに対し、日本では独自のニュアンスが加わっているのが面白い点ですね。

項目コンフィチュール (日本でのイメージ)ジャム (日本でのイメージ)
言語フランス語英語
果物の状態原型や果肉感が残っている(プレザーブスタイル)煮崩れている(ゼリー化)
食感サラッとしたシロップ状、果肉ゴロゴロねっとり、トロリとしたゼリー状
付加要素スパイス、ハーブ、お酒など果実と砂糖が主体
規格特になしJAS規格(ジャム類)あり

コンフィチュールとジャムとは?言語と定義の違い

【要点】

「ジャム」は日本ではJAS規格によって「果実等を砂糖類と煮詰めてゼリー化させたもの」と定義されています。一方、「コンフィチュール」はフランス語で「砂糖で煮詰めたもの」全般を指す広義の言葉であり、日本にはその定義規格はありません。

ジャム (Jam) |英語圏での定義と日本のJAS規格

「ジャム(Jam)」は英語圏の言葉です。

日本では、JAS規格(日本農林規格)によって「ジャム類」が定義されています。それによると、「ジャム」とは「果実等(果実、野菜又は花弁)を砂糖類、糖アルコール又ははちみつとともにゼリー化するようになるまで加熱したもの」であり、かつ「果実等の割合が33%以上」のものである必要があります。

この「ゼリー化」がポイントで、果物が持つペクチンと砂糖、酸が反応して、あのトロリとした状態になることを指します。

コンフィチュール (Confiture) |フランス語での広義の意味

「コンフィチュール(Confiture)」はフランス語で、「砂糖漬け」や「砂糖で煮詰めたもの」を意味する言葉です。

フランスでは、ジャムだけでなく、マーマレードやゼリーなど、果物を砂糖で煮詰めた保存食全般を指す、非常に広い意味の言葉として使われています。

日本では「コンフィチュール」に関する公的な定義や規格は特にありません。

日本独自の使い分け|原材料・製法・仕上げの違い

【要点】

日本では、ジャムが果物を潰して煮詰めるのに対し、コンフィチュールは果物を丸ごと、または大きくカットして煮詰めることで、果肉感を残す製法を指すことが多いです。また、コンフィチュールはスパイスやハーブ、お酒などで風味付けしたものも多く見られます。

言葉の定義は上記のとおりですが、日本の市場やパティスリーでは、この二つは明確に使い分けられている傾向があります。

製法と果肉感の違い:「煮崩す」ジャムと「形を残す」コンフィチュール

日本で「ジャム」というと、JAS規格の定義にもあるように、果物をペースト状になるまで煮崩したり、細かく刻んだりして、ペクチンの力でゼリー化させたものをイメージしますよね。

それに対し、「コンフィチュール」として販売されている商品は、果物の形をあえて残した(プレザーブスタイル)ものが多いのが特徴です。

果物を丸ごと、あるいは大きくカットした状態で、砂糖に漬け込むなどして浸透圧で水分を出し、その水分(シロップ)で煮詰めていくイメージです。そのため、ジャムよりもサラッとしたシロップ状で、果肉がゴロゴロしている製品が多く見られます。

原材料の違い:スパイスやハーブを加えるコンフィチュール

ジャムは基本的に「果物と砂糖」というシンプルな構成です。

一方、コンフィチュールは、その果物と相性の良いスパイス(シナモン、バニラなど)やハーブ(ローズマリー、ミントなど)、お酒(ワイン、リキュールなど)を加えて、風味に複雑なアクセントをつけたものが多くあります。

「イチゴとバルサミコ酢」「リンゴとシナモン」のように、複数の素材を組み合わせた、パティシエのセンスが光るような独創的なものが多いのもコンフィチュールの特徴ですね。

味・食感・香りの違い

【要点】

ジャムはトロリ、ねっとりとしたゼリー状の食感で、果物の風味が均一に広がります。コンフィチュールは、サラッとしたシロップと、ゴロっとした果肉の食感の両方を楽しめます。スパイスやハーブの香りがアクセントになっているものも多いです。

この製法と原材料の違いが、そのまま食感と風味の違いに直結します。

ジャムは、果物が煮崩れて全体が均一にゼリー化しているため、「ねっとり」「トロリ」とした食感が特徴です。パンに塗り広げやすいのも、この粘度があるからですね。

コンフィチュールは、果物の形が残っているため、「サラッ」としたシロップ部分と、「ゴロっと」した果肉部分という、異なる食感を同時に楽しむことができます。香りは、果物そのもののフレッシュな香りに加え、スパイスやお酒の複雑な香りが加わることが多いです。

食べ方・シーン別の使い分け

【要点】

ジャムは主にパンに塗るのが定番です。コンフィチュールは、果肉感を活かしてヨーグルトやアイスクリームのトッピング、炭酸水やお湯で割ってドリンクに、さらには肉料理のソースとして使うなど、多彩な楽しみ方ができます。

どちらもパンに塗って美味しいのは共通ですが、その特徴から得意分野が少し異なります。

ジャムの得意分野
均一なペースト状なので、パンやトースト、クラッカーなどに「塗る」のに最適です。

コンフィチュールの得意分野
果肉感とサラッとしたシロップが特徴なので、「かける・添える・混ぜる」のに向いています。

  • ヨーグルト、アイスクリーム、パンナコッタなどデザートのトッピング
  • 炭酸水やお湯で割って、フルーツドリンクとして
  • 紅茶に入れて、フレーバーティーとして
  • チーズ(特にブルーチーズやカマンベール)に添えてお酒のお供に
  • 肉料理(鴨肉や豚肉のローストなど)のソースとして

スパイスやハーブが効いているものは、料理の隠し味としても活躍しますね。

体験談|手作りコンフィチュールとジャムの魅力

僕はどちらも手作りすることがありますが、作り方(意識)を明確に変えています。

「ジャム」を作るときは、イチゴやブルーベリーを潰しながら、ペクチンがしっかり出るようにレモン汁を加え、鍋底を焦がさないようにひたすら木べらで練り続けます。「塗る」ための、ねっとり感を出すのが目標です。

一方、「コンフィチュール」を作るときは、全く違います。

例えばリンゴなら、大きめのくし切りにして、砂糖をまぶして一晩置きます。(ここがポイント!)こうすると、浸透圧でリンゴから水分(シロップ)が出てきます。これを火にかけ、シナモンスティックやバニラビーンズと一緒に、果物を潰さないように優しく煮ていきます。

出来上がりは、煮崩れたジャムとは全く違い、リンゴのシャキシャキ感が残ったシロップ煮のようになります。これをバニラアイスにかけると、もう最高ですよ。

「煮崩す」か「形を残す」か、この意識の違いがジャムとコンフィチュールを分ける最大のポイントだと感じています。

コンフィチュールとジャムに関するFAQ(よくある質問)

コンフィチュールはジャムより高級なんですか?

必ずしもそうとは限りません。しかし、日本では「コンフィチュール」という名前で売られるものは、果肉感を残すために手間のかかる製法をとっていたり、スパイスやリキュールなど複数の素材を組み合わせたりと、付加価値が高いものが多いため、結果的にジャムより高価になる傾向がありますね。

JAS規格のジャムに「プレザーブスタイル」と書かれているものは何ですか?

これはJAS規格の分類の一つで、「いちご類(ベリー類)は全形」「いちご類以外はスライス(薄切り)またはハーフ(1/2割り)」で、果実の形が残っているジャムを指します。日本でいう「コンフィチュール」のイメージに最も近いのが、この「プレザーブスタイル」のジャムと言えますね。

マーマレードやゼリーとの違いは何ですか?

JAS規格では、これらも「ジャム類」の仲間です。「マーマレード」は、かんきつ類の果実を原料としたもので、果皮(皮)が入っているもの。「ゼリー」は、果実の搾り汁を原料にしたものです。

まとめ|コンフィチュールとジャム、どちらを選ぶ?

コンフィチュールとジャムの違い、スッキリしましたでしょうか?

もともとは同じものを指す言葉でも、日本ではその製法や楽しみ方に異なるニュアンスが生まれています。

  • ジャム「塗る」のが得意。果物が煮崩れた、とろりとした食感。
  • コンフィチュール「乗せる・添える」のが得意。果肉感が残り、スパイスやハーブが香るものも多い。

パンに塗るならジャム、ヨーグルトや料理に合わせるならコンフィチュール、といったように、用途に合わせて使い分けるのがおすすめです。

スーパーや専門店で瓶詰を選ぶとき、ぜひ「ジャム」と「コンフィチュール」の表示や、中の果肉の状態を見比べてみてください。その違いが分かると、選ぶ楽しみがもっと広がりますよ。

ほかにも様々な「スイーツ・お菓子の違い」を紹介していますので、ぜひご覧ください。

ジャム類のより詳細な定義については、農林水産省のJAS規格のページも参考にしてみてくださいね。