最近よく耳にする「ダルゴナ」と、昔懐かしい縁日の「カルメ焼き」。
どちらも砂糖と重曹で作るお菓子ですが、この二つの違いを正確にご存知ですか?
結論から言うと、「カルメ焼き」は日本の伝統的な砂糖菓子であり、「ダルゴナ」は韓国語でカルメ焼きを指す言葉で、特に薄く伸ばして型抜きするスタイルを指すことが多いです。
さらにややこしいのが、世界的に流行した「ダルゴナコーヒー」の存在ですよね。
この記事を読めば、お菓子の「ダルゴナ」と「カルメ焼き」の製法や文化的な違い、そして「ダルゴナコーヒー」との関係性まで、すべてスッキリと理解できます。
それでは、詳しく見ていきましょう。
結論|ダルゴナとカルメ焼きの違いが一目でわかる比較表
最大の違いは「言葉」と「文化」です。「カルメ焼き」は日本の砂糖菓子(総称)であり、大きく膨らませるのが特徴です。一方、「ダルゴナ」は韓国語でカルメ焼きを意味し、特に薄く伸ばして「型抜き(カッタヌキ)」を楽しむ文化が根付いています。主原料はどちらも砂糖と重曹で、ほぼ同じものと言えます。
まずは、ダルゴナとカルメ焼きの違いを一覧表で比較してみましょう。流行した「ダルゴナコーヒー」は別物として扱います。
| 項目 | ダルゴナ(お菓子) | カルメ焼き(カルメラ焼き) | 
|---|---|---|
| 分類 | 砂糖菓子(韓国語での呼称) | 砂糖菓子(日本語での呼称) | 
| 主な国 | 韓国 | 日本 | 
| 主な原材料 | 砂糖、重曹(ベーキングソーダ) | 砂糖(ザラメ)、水、重曹(卵白も使う場合あり) | 
| 製法の特徴 | 薄く平らに潰し、型を押す | 大きく膨らませる | 
| 食感 | カリカリ、硬い(べっこう飴に近い) | サクサク、カリカリ、軽い | 
| 主な楽しみ方 | 型抜き(カッタヌキ)で遊ぶ | 縁日のおやつ、理科の実験 | 
このように、原材料はほぼ同じでも、製法と楽しみ方(文化)に大きな違いがあることがわかりますね。
「ダルゴナ」と「カルメ焼き」の違いとは?呼び名と文化
「カルメ焼き(カルメラ焼き)」は、砂糖、水、重曹(炭酸水素ナトリウム)を加熱して膨らませた日本の伝統菓子です。語源はポルトガル語の「caramelo(カラメル)」とされます。「ダルゴナ」は韓国語でカルメ焼きを指す言葉ですが、日本では薄く伸ばして型抜きする韓国のスタイルを指すことが多いです。
「カルメ焼き(カルメラ焼き)」は日本の伝統的な砂糖菓子
「カルメ焼き」は、ザラメ(グラニュー糖)と水を火にかけてシロップ状にし、そこに重曹(炭酸水素ナトリウム)を加えて急激に膨らませた、日本の伝統的な砂糖菓子です。
語源はポルトガル語の「caramelo(カラメル)」が訛ったものとされています。
主に縁日やお祭りの屋台で、職人が大きく膨らませる様子を見るのも含めて楽しまれてきました。また、家庭や学校の理科の実験で作られることもあります。
「ダルゴナ」は韓国版カルメ焼き(型抜き菓子)
「ダルゴナ(Dalgona)」は、韓国語で「カルメ焼き」を意味する言葉です。もともとは「달다(タルダ=甘い)」から来た言葉とも言われています。
基本的な材料は砂糖と重曹(ベーキングソーダ)でカルメ焼きと同じです。
ただし、韓国における「ダルゴナ」は、カルメ焼きのように大きく膨らませるものよりも、薄く平らに伸ばして、星やハートなどの型を押した「型抜き(カッタヌキ)」として親しまれているのが大きな特徴です。
【注意】「ダルゴナコーヒー」との違い
「ダルゴナ(菓子)」と「ダルゴナコーヒー」は全くの別物です。ダルゴナコーヒーは、インスタントコーヒー、砂糖、お湯を泡立ててクリーム状にし、牛乳に乗せた飲み物です。2020年頃にSNSで流行し、この飲み物によって「ダルゴナ」という言葉が世界的に知られるようになりました。
日本で「ダルゴナ」という言葉が有名になったのは、お菓子ではなく「ダルゴナコーヒー」がきっかけでした。
これは、2020年頃にSNSを中心に世界的に大流行した飲み物です。インスタントコーヒー、砂糖、お湯を同量ずつ加え、ハンドミキサーなどでフワフワのクリーム状になるまで泡立て、それを冷たい牛乳や温かい牛乳の上に乗せたものを指します。
この飲み物が「ダルゴナコーヒー」と呼ばれるようになったのは、泡立てたクリームの色や味わいが、韓国のお菓子「ダルゴナ(カルメ焼き)」に似ていることから名付けられたと言われています。
お菓子のダルゴナが材料として入っているわけではなく、全くの別物ですので、混同しないように注意が必要ですね。
【核心】原材料と製法の違い
主原料はどちらも「砂糖」と「重曹」でほぼ同じです。ただし、日本の「カルメ焼き」はザラメと水を煮詰め、卵白を加える製法もあり、大きく膨らませることを目指します。一方、韓国の「ダルゴナ」は、お玉などで砂糖を直火で溶かし、少量の重曹を加えて混ぜ、平らに潰して型を押すのが特徴です。
どちらも「砂糖+重曹」というシンプルな材料ですが、その作り方(目指す形)が異なります。
カルメ焼き:ザラメと重曹で大きく膨らませる
日本のカルメ焼きは、「いかに大きく膨らませるか」が重要視されます。
1. 鍋にザラメ(グラニュー糖)と水を入れ、煮詰めてシロップを作ります。
 2. 適切な温度になったら、重曹(炭酸水素ナトリウム)を溶かした水(または卵白を混ぜたもの)を加え、激しくかき混ぜます。
 3. 重曹が熱で分解されて二酸化炭素が発生し、一気に膨らみます。
卵白を加えるのは、メレンゲの泡が二酸化炭素の泡を包み込み、より大きく膨らみやすくするためと言われています。
ダルゴナ:砂糖と重曹で薄く伸ばし型抜きする
韓国のダルゴナ(型抜き)の製法は、より簡易的でスピーディーです。
1. お玉や専用の小さなフライパンに砂糖(と少量の水)を入れ、直火で加熱して溶かし、カラメル状にします。
 2. 火から下ろし、ごく少量の重曹(ベーキングソーダ)を加えて素早く混ぜます。
 3. 膨らみ始めたら、すぐに油を塗った平らな板や鉄板の上に流します。
 4. 固まる前に、押し具で薄く円盤状に潰し、中央に型を押して完成です。
こちらは、カルメ焼きほど大きく膨らませることを目的としていません。
味・食感・見た目の違い
カルメ焼きは、気泡が多く、サクサク・カリカリとした非常に軽い食感が特徴です。見た目も大きく膨らんだ塊状です。ダルゴナは、薄く伸ばして固めるため、気泡は少なく、カリカリとした「べっこう飴」に近い硬い食感です。
カルメ焼き:サクサク、カリカリ、軽い食感
日本のカルメ焼きは、製法上、内部に無数の大きな気泡を含んでいます。
そのため、見た目は大きく膨らんだ塊状(ドーム型など)になり、色は薄い茶色です。
食感は非常に軽く、サクサク、あるいはカリカリとした歯触りが特徴です。口溶けも早いですね。
ダルゴナ:カリカリ、べっこう飴に近い硬さ
韓国のダルゴナは、膨らんだものをすぐに潰して固めるため、気泡はカルメ焼きほど多くありません。
見た目は薄い円盤状で、表面に星やハート、傘といった模様の型が押されています。
食感は、「べっこう飴」やカラメルによく似た、カリカリとした硬い歯ごたえが特徴です。
文化・楽しみ方の違い
カルメ焼きは、主に縁日のおやつとして、または家庭で理科の実験(重曹の熱分解)として楽しまれます。一方、ダルゴナは、型抜き(カッタヌキ)という「遊び」とセットになっている点が最大の違いです。型を割らずにくり抜くスリルが楽しまれます。
カルメ焼き:縁日のおやつ、理科の実験
カルメ焼きは、日本では主にお祭りの縁日の屋台で買うおやつとして親しまれてきました。職人が目の前で膨らませるパフォーマンスを見るのも楽しみの一つです。
また、家庭や学校の理科の授業では、重曹(炭酸水素ナトリウム)が熱によって分解され、二酸化炭素(泡)が発生する化学反応を学ぶための「理科の実験」としても非常に人気があります。
ダルゴナ:型抜き(カッタヌキ)を楽しむ遊び
韓国におけるダルゴナの最大の特徴は、それが「遊び」の文化と強く結びついている点です。
「カッタヌキ(型抜き)」と呼ばれ、薄く伸ばされたダルゴナに押された型(星、ハート、傘、動物など)を、針や爪楊枝を使って周りの部分を割りながら、中心の型をキレイにくり抜くゲームとして親しまれています。
もし型を割らずに上手にくり抜けたら、お店からもう一つダルゴナがもらえる、といったルールがあることも多いです。
この文化は、世界的ヒットとなった韓国ドラマ『イカゲーム』(2021年配信)の劇中にも重要なアイテムとして登場し、ダルゴナ(お菓子)そのものの知名度を世界的に押し上げるきっかけとなりました。
体験談|ダルゴナコーヒーブームと本家ダルゴナ
僕が「ダルゴナ」という言葉を初めて意識したのは、やはり2020年の「ダルゴナコーヒー」のブームでした。
在宅時間が増えたこともあり、SNSで流れてくるフワフワのコーヒークリームの写真を見て、「これは面白そうだ」と挑戦しました。インスタントコーヒーと砂糖、お湯をボウルに入れ、ハンドミキサーで必死に泡立てたのを覚えています。
牛乳に乗せた時のグラデーションは美しく、味も美味しかったですが、その時は「これがダルゴナか…」と、完全に「飲み物」として認識していましたね。
その認識が変わったのが、翌年の『イカゲーム』でした。
劇中で登場人物たちが、お玉で作ったべっこう飴のようなお菓子を、必死の形相で型抜きしているのを見て、「え?こっちがダルゴナなの?」と衝撃を受けました。
調べてみると、僕が知っていた飲み物の方が「お菓子のダルゴナに似ているから」という理由で名付けられた後発組だと知り、文化の伝わり方の面白さを感じました。
よく見れば、そのお菓子は、子供の頃に縁日で食べた「カルメ焼き」とそっくりです。
日本では「膨らませるのを楽しむ」お菓子が、韓国では「型抜きを楽しむ」お菓子として発展していた。同じルーツ(砂糖と重曹)を持ちながら、異なる文化をまとった二つの存在は非常に興味深いと感じた体験でした。
「ダルゴナ」「カルメ焼き」に関するよくある質問(FAQ)
ダルゴナとカルメ焼きに関して、よくある疑問にお答えします。
ダルゴナとカルメ焼きは、結局同じものですか?
はい、主原料(砂糖と重曹)と基本的な製法(加熱して膨らませる)は同じなので、ダルゴナは「韓国版カルメ焼き」と言えます。
ただし、日本ではカルメ焼きは「大きく膨らませたお菓子」として、ダルゴナは「薄く潰して型抜きするお菓子」として、その形状や文化で呼び分けられることが多いです。
ダルゴナコーヒーとカルメ焼きは関係ありますか?
直接の関係はありません。
ダルゴナコーヒー(飲み物)は、インスタントコーヒー、砂糖、お湯を泡立てて作ったクリームを牛乳に乗せたものです。その色や風味が、お菓子の「ダルゴナ(カルメ焼き)」に似ていることから名付けられました。
カルメ焼きを作るのが難しいのはなぜですか?
温度管理と重曹を入れるタイミングが非常にシビアだからです。
砂糖水を煮詰める温度(125℃~130℃程度)が正確でないと、重曹を加えても上手く膨らみません。また、卵白を入れるレシピと入れないレシピがあり、家庭で安定して大きく膨らませる(特に縁日の屋台のように)には、かなりの熟練が必要です。
まとめ|ほぼ同じものだが、楽しみ方に違いあり
「ダルゴナ」と「カルメ焼き」の違い、スッキリしましたでしょうか?
- カルメ焼き:日本の伝統的な砂糖菓子。ザラメと重曹(+卵白)で大きく膨らませる。縁日のおやつや理科の実験として親しまれる。
 - ダルゴナ(お菓子):韓国版のカルメ焼き。砂糖と重曹をお玉などで溶かし、薄く潰して型を押す。「型抜き(カッタヌキ)」という遊びの文化が最大の特徴。
 - ダルゴナコーヒー:上記二つとは全く別の「飲み物」。
 
つまり、お菓子の「ダルゴナ」と「カルメ焼き」は、国は違えどルーツはほぼ同じですが、日本では「膨らませる」方向へ、韓国では「型抜きで遊ぶ」方向へと、独自の進化を遂げたと言えますね。
どちらも砂糖と重曹が織りなす素朴で懐かしい味わいです。見かけたら、ぜひその文化の違いにも思いを馳せながら味わってみてください。
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