御座候と今川焼きの違い!実は「御座候」は姫路発祥のブランド名だった

寒い日に食べたくなる、あの丸い形のあんこが入った焼き菓子。

あなたは「今川焼き」と呼びますか?それとも「大判焼き」、「回転焼き」、あるいは「御座候(ござそうろう)」と呼びますか?

結論から言うと、「今川焼き」は江戸時代発祥の和菓子の「総称」であり、「御座候」は兵庫県姫路市発祥の特定の「会社名」であり「商品名」です

つまり、「御座候」は「今川焼き」の一種(特定のブランド)ということになります。しかし、そのこだわりと知名度から、特に関西地方では「今川焼き=御座候」として固有名詞のように愛されています。

この記事を読めば、二つの言葉の正しい関係性、歴史、そして地域による様々な呼び方の違いまで、スッキリと理解できますよ。

それではまず、二つの違いを一覧表で比較してみましょう。

結論|御座候と今川焼きの違いが一目でわかる比較表

【要点】

「今川焼き」は、小麦粉ベースの生地であんこを包んで円形の型で焼いた和菓子の「総称」です。一方、「御座候」は、兵庫県姫路市に本社を置く株式会社御座候が製造・販売する「特定の商品名」であり、「会社名」でもあります。

二つの言葉が指す範囲と特徴を比較しました。

項目 御座候(ござそうろう) 今川焼き(いまがわやき)
分類 商品名・会社名(固有名詞) 和菓子の名称(一般名詞)
発祥地 兵庫県姫路市(1950年創業) 江戸・神田「今川橋」付近(江戸時代中期)
主な中身 赤あん(つぶあん)・白あんの2種類 あんこ(つぶ・こし)、カスタード、その他
生地の特徴 薄皮で、あんこがぎっしり お店により様々(比較的厚めでふっくら)
主な呼び名 御座候 今川焼き(関東)、大判焼き、回転焼き(関西・九州)など

「御座候」は商品名、「今川焼き」は菓子の総称

【要点】

「今川焼き」は、江戸時代の今川橋で売られたことがルーツとされる菓子の種類(一般名詞)です。「御座候」は、その今川焼き(回転焼き)を製造販売する姫路の企業名であり、その看板商品の名前(商標)です。

この二つの言葉の関係性は、例えるなら「サランラップ」と「食品用ラップフィルム」の関係に似ています。「今川焼き」がカテゴリ全体を指す総称で、「御座候」はそのカテゴリの中で最も有名なブランドの一つ、ということです。

御座候(ござそうろう)とは?

「御座候」とは、兵庫県姫路市に本社を置く「株式会社御座候」が製造・販売する「回転焼き」の「商品名」です。

兵庫県内では「回転焼きください」とは言わず、「御座候ください」と商品名で注文することが通じるほど、地域に根付いたブランドとなっています。

名前の由来は、創業者が「お買い上げ有難う御座候(ござそうろう)」と感謝を伝えていたことから、「御座候」という言葉が店名・商品名になったとされています。

今川焼き(いまがわやき)とは?

「今川焼き」とは、小麦粉を主原料とした生地であんこを包み、円形の専用の型で焼いた和菓子の「総称」です。

その歴史は古く、江戸時代中期の安永年間(1772年~1781年頃)、江戸の神田にあった「今川橋(いまがわばし)」の近くの店で売り出されたことから、その名が付いたとされています。

地域によって呼び名が違う?(大判焼き・回転焼き)

【要点】

「今川焼き」は、日本全国で100以上もの呼び名があると言われています。発祥地の関東では「今川焼き」、関西や九州では鉄板を回転させながら焼く製法から「回転焼き」、全国的には「大判焼き」と呼ばれることが多いです。

あなたがこのお菓子を何と呼ぶかで、出身地が分かるかもしれません。今川焼きには、非常に多くの地域別呼称が存在します。

  • 今川焼き:関東地方で主流の呼び名。江戸の今川橋という発祥地の名残です。
  • 大判焼き:全国的に広く使われる呼び名。昭和30年頃に愛媛県のメーカーが、従来より大きいサイズを「大判」と名付けて売り出したのが始まりとも言われています。
  • 回転焼き:関西地方や九州地方で主流の呼び名。円形の焼き型を回転させながら焼く工程に由来します。
  • 御座候:兵庫県など、関西の一部では商品名がそのまま総称のように使われています。
  • その他の呼び名:北海道の「おやき」、広島の「二重焼き」など、地域ごとに様々な愛称が存在します。

製法・味・食感の違い

【要点】

「御座候」は、職人が高温の鉄板で「薄皮」にパリッと焼き上げる技術が特徴です。皮が薄い分、北海道十勝産小豆を使ったあんこがぎっしり詰まっており、小豆の風味をダイレクトに感じられます。一般的な今川焼きは、御座候に比べると生地が厚めで、ふっくら・もっちりした食感のお店が多い傾向にあります。

御座候の特徴(薄皮・ぎっしりあんこ)

御座候の最大のこだわりは「あんこ」です。北海道十勝産の小豆を使用し、粒の大きさを揃えて最短時間で煮ることで、小豆の風味を最大限に残しています。

そして、そのあんこを引き立てるのが「薄皮」です。職人が高温の鉄板で手際よく焼き上げることで、皮はパリッと香ばしく、それでいて主張しすぎず、主役のあんこをぎっしりと包み込みます。

中身は「赤あん(つぶあん)」と「白あん(てぼう豆という白いんげん豆を使用)」の2種類のみというシンプルさも特徴です。

今川焼き(一般的な大判焼き)の特徴

一方、「今川焼き(大判焼き)」は、お店によって個性が出やすいお菓子です。

生地は小麦粉・卵・砂糖が基本ですが、配合によって、御座候よりも厚手でふっくら・もっちりとした、パンケーキに近い食感の生地も多いです。</p

中身も伝統的なあんこ(つぶ・こし)だけでなく、カスタードクリーム、チョコレート、チーズ、白あんなど、バリエーションが豊富なのも特徴です。

歴史と発祥地の違い

【要点】

「今川焼き」は江戸時代中期、江戸・神田の「今川橋」付近で誕生した、200年以上の歴史を持つ菓子です。対して「御座候」は、戦後の1950年(昭和25年)に兵庫県姫路市で創業した、比較的歴史の新しいブランドです。

御座候の歴史(姫路発祥)

株式会社御座候の創業は1950年(昭和25年)、兵庫県姫路市です。創業者が、感謝の言葉「お買い上げ有難う御座候」から名前を取り、一代で全国に店舗を展開する人気ブランドとなりました。

今川焼きの歴史(江戸発祥)

今川焼きの歴史はさらに古く、江戸時代中期の安永年間(1772年~1781年頃)まで遡ります。江戸・神田にあった今川橋の近くの店で売られたのが始まりとされ、200年以上にわたって庶民のお菓子として愛され続けています。

体験談|姫路で知った「御座候」という文化

僕が初めて「御座候」という言葉を強く意識したのは、姫路駅を訪れた時でした。駅の構内に行列ができており、その先には「御座候」と書かれた看板。ガラス張りのブースでは、職人さんたちが猛烈なスピードで生地を流し込み、あんこを乗せ、焼き上げています。

関東出身の僕は「ああ、今川焼きのことか」と思いながらも、その行列と活気に圧倒され、一つ購入してみました。

受け取った瞬間に「アツッ!」となるほどの焼きたて。そして一口食べて、その違いに驚きました。皮が想像以上に薄く、パリッとしているんです。その薄い皮の中に、これでもかというほどあんこが詰まっていて、小豆の風味が口いっぱいに広がりました。

僕が知っていた「ふっくら・もっちり」した今川焼きとは、明らかに違う「あんこが主役」のバランスでした。

後で、これが「御座候」という一つのブランド名であり、姫路が誇るソウルフードのような存在だと知りました。今川焼きや大判焼きという「総称」とは別に、これほどまでに一つの「商品名」が地域文化として定着していることに、深く感動したのを覚えています。

御座候と今川焼きに関するFAQ(よくある質問)

Q1. 結局、「御座候」と「今川焼き」と「大判焼き」と「回転焼き」の違いは何ですか?

A1. 「御座候」だけが「商品名(ブランド名)」です。
「今川焼き」「大判焼き」「回転焼き」は、すべて同じお菓子を指す「総称(呼び名)」であり、地域によって主流の呼び方が異なります。「御座候」は、その総称で呼ばれるお菓子の一種であり、兵庫県姫路市発祥の有名なブランド名です。

Q2. 御座候の中身は、つぶあんですか?こしあんですか?

A2. 「赤あん」と「白あん」の2種類です。
「赤あん」は北海道十勝産小豆を使用した「つぶあん」です。一方、「白あん」は「てぼう豆(白いんげん豆)」を使用した「白つぶあん」で、こちらも豆の風味を活かした上品な甘さが特徴です。

Q3. なぜ地域によって「今川焼き」「大判焼き」「回転焼き」と呼び名が違うのですか?

A3. 発祥や普及の経緯が異なるためです。
「今川焼き」は江戸の今川橋という発祥地が由来です。「回転焼き」は鉄板を回転させて焼く製法が由来。「大判焼き」は昭和期に従来より大きいサイズで売り出された際の商品名が広まったとされています。

まとめ|御座候と今川焼き、違いを理解して楽しもう

「御座候」と「今川焼き」の違い、スッキリ整理できたでしょうか。

二つの関係は、「今川焼き」という大きなカテゴリの中に、「御座候」という超人気ブランドが含まれている、というものでした。

  • 今川焼き:江戸発祥の和菓子の総称。地域によって「大判焼き」「回転焼き」など呼び名が多数あり、店によって皮の厚さや中身も様々。
  • 御座候:姫路発祥の会社名・商品名。薄皮であんこがぎっしり詰まっているのが特徴で、中身は赤あん(つぶあん)と白あんの2種類。

関東で「今川焼き」を買うのと、姫路で「御座候」を買うのは、同じジャンルのお菓子を買いながらも、異なるブランド体験をしていることになります。

ぜひ、お近くの「今川焼き」と「御座候」を食べ比べて、そのこだわりの違いを楽しんでみてくださいね。

当サイト「違いラボ」では、他にもたくさんの「スイーツ・お菓子」に関する違いを解説しています。ぜひ、そちらもご覧になってみてくださいね。