北海道の銘菓として知られる「新倉屋(にいくらや)」のお団子。
札幌と小樽、どちらの街にも「新倉屋」という名前のお店があり、どちらも「花園だんご」を看板商品にしています。同じお店だと思っている方も多いのではないでしょうか?
結論から言うと、「札幌新倉屋」と「小樽新倉屋」は、現在はまったくの別会社です。
もともとは小樽の老舗からの「暖簾分け」という関係でしたが、現在は経営も製造工場も異なります。そのため、看板商品の「花園だんご」も、味や食感、こだわりが微妙に異なるんです。
この記事を読めば、札幌と小樽の新倉屋の歴史的な関係性から、看板商品の違い、それぞれのおすすめ銘菓まで、その違いがスッキリと分かります。
それではまず、二つの「新倉屋」の決定的な違いを一覧表で見ていきましょう。
結論|札幌「新倉屋」と小樽「新倉屋」の違いが一目でわかる比較表
「札幌新倉屋」と「小樽新倉屋」は、現在は全くの別会社(別経営)です。歴史的には小樽が本家で、札幌は1960年(昭和35年)に暖簾分けして創業しました。看板商品の「花園だんご」も、小樽はコシのある食感、札幌は柔らかい食感といった違いがあります。
二つの「新倉屋」の主な違いを一覧表にまとめました。
| 項目 | 札幌新倉屋 | 小樽新倉屋 |
|---|---|---|
| 経営 | 別会社(株式会社 札幌新倉屋) | 別会社(株式会社 新倉屋) |
| 創業 | 1960年(昭和35年) | 1895年(明治28年) |
| 関係性 | 小樽新倉屋から暖簾分け | 本家 |
| 花園だんごの食感 | 柔らかい | コシがあり、もちもち感が強い |
| だんごの味(餡) | (比較として)甘さ控えめ | 甘さがしっかり感じられる |
| 店舗の特徴 | 札幌市中心部(狸小路、テレビ塔など) | 小樽市内(花園本店、駅前など) |
| だんご以外の銘菓 | 札幌タイムズスクエア(カスタードケーキ) | 小樽の女(ひと)(カスタードケーキ)、どらやき等 |
「札幌新倉屋」と「小樽新倉屋」は別会社
札幌と小樽の「新倉屋」は、経営も製造工場も異なる「完全な別会社」です。そのため、看板商品である「花園だんご」やその他の和菓子も、それぞれ独自に製造・販売しており、味やパッケージが異なります。
旅行者や地元の人でも混同しがちですが、最も重要なポイントは、「札幌新倉屋」と「小樽新倉屋」は別法人であるという点です。
歴史的には小樽の「新倉屋」が本家であり、札幌の「新倉屋」はそこから暖簾分け(のれんわけ)という形で独立して創業した経緯があります。
現在では製造工場も別々になっており、それぞれが独自の味を追求しています。そのため、同じ「花園だんご」という名前の商品でも、両社には違いが生まれているのです。
看板商品「花園だんご」の製法・味・食感の違い
どちらの「花園だんご」も北海道産うるち米(上新粉)を使用し、保存料不使用で賞味期限が当日中である点は共通しています。しかし、食感と餡の味付けに違いがあり、小樽は「コシのある餅感」と「しっかりした甘さ」、札幌は「柔らかさ」が特徴とされています。
両社の看板商品である「花園だんご」。その名前は、かつて小樽の花園公園で売られていたことに由来します。どちらも串に刺さったお団子ですが、食べ比べてみると細かな違いがあります。
小樽新倉屋の「花園だんご」
本家である小樽新倉屋のだんごは、「山型一刀流」と呼ばれる独特な餡の盛り付け方が最大の特徴です。これは二代目が考案したもので、刀の形にも似た美しい流線型にあんが塗られています。
食感は「コシのあるもちもち感」が特徴で、だんごそのものの米の風味を強く感じられます。餡の甘さも比較的しっかりしていると評されることが多いです。
種類は「黒あん」「白あん」「抹茶あん」「正油」「胡麻」の全5種類。賞味期限は添加物不使用のため製造日当日中です。
札幌新倉屋の「花園だんご」
札幌新倉屋のだんごは、小樽の「山型一刀流」とは異なり、あんは丸く、だんご全体を覆うようにたっぷりと乗せられています。
食感は、小樽のものと比較すると「柔らかい」と評されることが多いです。甘さも(小樽に比べて)やや控えめと感じる人もいるようです。
小樽の味を守りつつも、「札幌の人々にも味わってほしい」という想いのもと、札幌の地で独自の進化を遂げていると言えるでしょう。
歴史と背景の違い|「本家」と「暖簾分け」
歴史は小樽新倉屋が古く、1895年(明治28年)に食料品商として創業しました。和菓子店となったのは昭和初期で、「花園だんご」は1936年(昭和11年)頃から製造されています。札幌新倉屋は、1960年(昭和35年)に小樽から暖簾分けして創業しました。
小樽新倉屋(本家)の歴史
小樽新倉屋の歴史は古く、1895年(明治28年)に米や味噌などを扱う食料品商「丸サ大阪屋」として創業したのが始まりです。
その後、大正時代に駄菓子屋を経て、昭和初期より「菓匠 小樽新倉屋」として和菓子店を構えるようになりました。看板商品の「花園だんご」は、1936年(昭和11年)頃に別の店と合併したことを機に製造が始まりました。120年以上の歴史を持つ、北海道を代表する老舗です。
札幌新倉屋(暖簾分け)の歴史
札幌新倉屋は、小樽の老舗「新倉屋」からの暖簾分けとして、1960年(昭和35年)に創業しました。
小樽銘菓である「花園だんご」の味を札幌の人にも届けたいという想いで始まり、札幌の狸小路商店街や札幌テレビ塔など、札幌市民や観光客に身近な場所で営業を続けています。
だんご以外の人気商品・銘菓の違い
両社はそれぞれ、カスタードクリームをスポンジ生地で包んだ、似た特徴を持つ銘菓を販売しています。札幌新倉屋は「札幌タイムズスクエア」、小樽新倉屋は「小樽の女(ひと)」です。食べ比べてみると、生地の食感やクリームの風味に違いがあります。
だんごが看板商品であることは共通していますが、それ以外の銘菓にもそれぞれの特徴があります。特に興味深いのが、両社が販売するカスタードケーキです。
小樽新倉屋の銘菓
小樽新倉屋では、「花園だんご」以外にも「どらやき」や「石倉くるみ餅」、「一茶もなか」など、多くの和菓子を製造しています。
中でも特徴的なのが「小樽の女(おたるのひと)」です。これはしっとりしたスポンジ生地でカスタードクリームを包んだ洋風和菓子です。
札幌新倉屋の銘菓
札幌新倉屋でも、小樽の「小樽の女」によく似た「札幌タイムズスクエア」というカスタードケーキを主力商品として販売しています。
食べ比べた人の感想によれば、「札幌タイムズスクエア」は生地がふわふわと軽く、「小樽の女」は生地が薄めでしっとりしているなど、食感やクリームの風味に違いがあるようです。
体験談|札幌と小樽、だんごを食べ比べてみた
僕も以前、札幌観光でテレビ塔の地下にある札幌新倉屋さんに立ち寄り、花園だんごをいただきました。その時は「柔らかくて美味しいな」という印象でした。
後日、小樽を訪れた際に、花園本店で小樽新倉屋のだんごを食べる機会がありました。そこで驚いたのが、だんごの食感です。
「あれ?札幌で食べただんごより、コシが強くて、もち米の味が濃い!」
札幌のものが「柔らかいお団子」だとしたら、小樽のものは「しっかりとしたお餅」に近い弾力を感じました。餡の甘さも、小樽の方がやや強く、だんごの風味に負けない存在感があったように思います。
その時はじめて「札幌と小樽は別のお店なんだ」と知り、同じ名前、同じ商品名でも、それぞれの土地で独自の進化を遂げていることに感動しました。どちらも美味しいことに変わりはありませんが、この「違い」を知ってから、両方の街を訪れる楽しみが一つ増えましたね。
新倉屋(札幌・小樽)に関するFAQ(よくある質問)
Q1. 「花園だんご」は日持ちしますか?お土産にできますか?
A1. 小樽新倉屋の「花園だんご」(黒あん・白あん・抹茶・正油・胡麻)は、添加物不使用のため賞味期限が製造日当日中です。そのため、遠方へのお土産には不向きです。札幌新倉屋のだんごも同様に日持ちしません。
ただし、小樽新倉屋にはお土産用として日持ちのする「花園三色だんご」(粒あんを求肥で包んだもの)があり、こちらは通信販売も可能です。
Q2. 札幌新倉屋と小樽新倉屋、どっちが「ゴールデンカムイ」に出てきましたか?
A2. 作品の舞台として登場したのは「小樽」の花園公園(現:小樽公園)で売られていた団子です。
モデルとなったのは「小樽新倉屋」の「花園だんご」です。作中では主人公が「うまい」と言って食べるシーンが描かれています。札幌新倉屋も「人気まんがにも登場した」として紹介されることがありますが、聖地巡礼としては小樽が本家となります。
Q3. 札幌駅や大通で買えるのはどっちの新倉屋ですか?
A3. 「札幌新倉屋」です。
札幌新倉屋は、札幌駅や大通など、札幌市中心部に店舗を構えています。小樽新倉屋の店舗は小樽市内にあります。
まとめ|札幌と小樽の新倉屋、どちらを選ぶべきか?
「札幌新倉屋」と「小樽新倉屋」、二つの違いを解説してきました。
どちらも「花園だんご」を看板に掲げる美味しい和菓子店ですが、別会社であり、歴史や商品の特徴が異なります。
- 創業120年以上の歴史ある本家の味、コシの強いだんごと「山型一刀流」のあんを楽しみたい時 = 小樽新倉屋
- 札幌市内で手軽に、柔らかめのだんごや「札幌タイムズスクエア」を楽しみたい時 = 札幌新倉屋
このように、背景を知って使い分けるのがおすすめです。
もし札幌と小樽の両方を訪れる機会があれば、ぜひ両方の「花園だんご」を食べ比べて、その食感や餡の風味の違いをご自身の舌で確かめてみてくださいね。
当サイト「違いラボ」では、他にもたくさんの「スイーツ・お菓子」に関する違いを解説しています。ぜひ、そちらもご覧になってみてくださいね。