パンナコッタとババロアの違い!味・食感から作り方まで徹底解説

カフェやレストランのデザートメニューでよく見かける「パンナコッタ」と「ババロア」。

見た目がどちらも白くてプルプルしているので、違いがよくわからないと感じたことはありませんか?

パンナコッタは生クリームが主役の濃厚なミルク風味、ババロアは卵黄を使ったカスタード風味のふわっとした食感が特徴です。

この記事を読めば、それぞれの定義、原材料、製法、味、歴史的背景の違いが明確になり、もう二度と注文で迷うことはありません。

それでは、両者の決定的な違いから見ていきましょう。

結論|パンナコッタとババロアの違いを一言で

パンナコッタとババロアの最も大きな違いは、「卵黄(カスタードベース)を使うかどうか」「食感」にあります。

パンナコッタ (Panna cotta) は、イタリア発祥で「煮詰めたクリーム」という意味です。その名の通り、生クリーム、牛乳、砂糖を温め、ゼラチンで冷やし固めて作ります。卵黄を使わないため、真っ白で、クリーム本来の濃厚なミルク感と、つるんとしたなめらかな食感が特徴です。

一方、ババロア (Bavarois) は、フランス発祥のデザートです。卵黄、牛乳、砂糖で作る「アングレーズソース(カスタードソース)」をベースに、ゼラチンを加え、さらに泡立てた生クリームを混ぜ合わせて冷やし固めます。卵黄が入るため薄い黄色をしており、ムースのようにふわっとした軽い食感と、カスタードのまろやかな風味が特徴です。

この二つの違いを、以下の比較表にまとめました。

項目 パンナコッタ ババロア
発祥国 イタリア(ピエモンテ州) フランス(起源はドイツ説あり)
主な原材料 生クリーム、牛乳、砂糖、ゼラチン 卵黄、牛乳、砂糖、泡立てた生クリーム、ゼラチン
ベース 生クリーム(加熱) アングレーズソース(卵黄+牛乳)
真っ白 薄い黄色(カスタード色)
食感 つるん、ぷるん、なめらか、濃厚 ふわふわ、ムース状、軽い
風味 ミルキー、クリームのコク カスタード風味、まろやか

パンナコッタは「ミルクプリン(ゼラチン版)」、ババロアは「カスタードムース」とイメージすると、違いが分かりやすいかもしれませんね。

パンナコッタとババロアの定義・主な原材料と製法の違い

【要点】

パンナコッタは生クリーム、牛乳、砂糖をゼラチンで固めるシンプルな製法です。一方、ババロアは卵黄、牛乳、砂糖でアングレーズソースを作り、そこにゼラチンと「泡立てた」生クリームを混ぜ込む、より複雑な製法を取ります。

どちらも冷菓ですが、その作り方(製法)と材料が決定的に異なります。

パンナコッタ (Panna cotta)

パンナコッタは、イタリア語で「Panna(生クリーム)」と「cotta(煮た、調理した)」を意味します。

主な材料は、生クリーム、牛乳、砂糖です。作り方は非常にシンプルで、これらの材料を鍋に入れて火にかけ、砂糖を溶かしながら温めます。火から下ろした後、水でふやかしたゼラチンを加えて溶かし、型に流し入れて冷蔵庫で冷やし固めます。

ポイントは、卵を使わないこと、そして生クリームを泡立てないことです。クリームのコクと風味をダイレクトに味わうデザートですね。

ババロア (Bavarois)

ババロアは、フランス語で「バイエルンの」という意味を持つデザートです。その製法はパンナコッタよりも少し複雑です。

まず、卵黄、砂糖、牛乳を丁寧に混ぜ合わせて加熱し、「アングレーズソース(カスタードソース)」を作ります。このソースがババロアの味の土台となります。

このソースにゼラチンを加えて溶かした後、粗熱を取ります。そして、ここが重要なポイントですが、七分立て~八分立てに「泡立てた」生クリームを加え、ふんわりと混ぜ合わせます。これを型に流し入れて冷やし固めます。

卵黄を使う点、そして生クリームを泡立てて加える点が、パンナコッタとの最大の違いと言えるでしょう。

パンナコッタとババロアの味・食感・香り・見た目の違い

【要点】

パンナコッタは真っ白で、クリームの濃厚なコクとミルキーな風味、つるんとした食感が特徴です。ババロアは卵黄由来の薄い黄色で、カスタードのまろやかな風味と、泡立てた生クリームによる「ふわふわ」とした軽い食感が特徴です。

原材料と製法が違うため、当然ながら味や食感、見た目にも明確な差が生まれます。

味と香り

パンナコッタは、卵黄が入らないため、生クリームと牛乳の風味がストレートに感じられます。非常にミルキーで、濃厚なコクのある味わいです。バニラの香りを加えることもありますが、基本は乳製品の香りが主体です。

ババロアは、アングレーズソースがベースにあるため、卵黄由来のカスタード風味がしっかりと感じられます。パンナコッタに比べると、よりまろやかで優しい甘みが特徴です。多くの場合、風味付けにバニラビーンズや洋酒(キルシュなど)が使われ、華やかな香りがします。

食感と見た目

パンナコッタは、生クリームを泡立てずにそのまま固めるため、密度が高くなります。「つるん」「ぷるん」とした弾力がありつつも、口に入れると非常になめらかに溶けていく食感です。見た目は真っ白で、清潔感があります。

ババロアは、泡立てた生クリームを混ぜ込むため、気泡を含んだ「ふわふわ」とした軽い食感が特徴です。ムースによく似た口当たりですね。見た目は、卵黄の色が反映された薄いクリーム色(黄色)をしています。

パンナコッタとババロアの起源・歴史・文化的背景の違い

【要点】

パンナコッタはイタリアのピエモンテ州発祥とされる家庭的なデザートです。一方、ババロアはフランスで19世紀初頭に生まれたデザートで、ドイツのバイエルン王国に由来するという説が有力です。

見た目が似ている二つですが、生まれた国も背景も全く異なります。

パンナコッタの起源(イタリア)

パンナコッタは、イタリアのピエモンテ州が発祥の地とされています。ピエモンテ州は酪農が盛んな地域で、豊富な乳製品を使ったデザートとして生まれました。

正確な起源は定かではありませんが、比較的歴史は新しく、伝統的な家庭菓子として親しまれてきたものが、後にレストランのデザートとして洗練され、世界中に広まったと言われています。

ババロアの起源(フランス)

ババロアは、フランスで生まれたデザートですが、その名前「Bavarois(バヴァロワ)」は「バイエルンの」という意味を持ちます。これは、ドイツのバイエルン王国(バヴァリア)に由来するとされています。

19世紀初頭、バイエルン王国のヴィッテルスバッハ家の貴族がフランスを訪れた際に、彼らのためにフランスのシェフが考案した、あるいはドイツの冷たい飲み物をデザートに応用した、など諸説あります。当時の高名なシェフ、アントナン・カレームによって完成されたとも言われており、パンナコッタに比べると、より宮廷料理やレストランのデザートとしての側面が強い歴史を持っています。

パンナコッタとババロアの保存方法・賞味期限・日持ちの違い

【要点】

パンナコッタもババロアも、生クリームや牛乳(ババロアはさらに卵黄)を使用するため、必ず冷蔵保存が必要です。日持ちはせず、製造日を含めて1日~2日が賞味期限の目安となります。

どちらもデリケートな乳製品を使ったデザートであり、保存には注意が必要です。

保存方法(共通)

パンナコッタもババロアも、主原料は生クリームや牛乳です。特にババロアは加熱が不十分な場合がある卵黄も使用します。そのため、雑菌が繁殖しやすく、常温での保存は絶対にできません

必ず冷蔵庫(10℃以下)で保存し、持ち運ぶ際も保冷剤を使用する必要があります。

賞味期限・日持ち

日持ちは非常に短いです。お店で購入した場合でも、「本日中」または「翌日まで」とされていることがほとんどでしょう。

手作りした場合も同様で、作った日を含めて1日~2日が限度です。特にババロアは、パンナコッタ(材料を一度沸騰近くまで加熱することが多い)と比べて、アングレーズソースの加熱が低温(約80℃)であることや、生の卵黄を使う(製法による)場合もあるため、より足が早い傾向にあります。

どちらも、作った(または購入した)ら、できるだけ早く食べるのが一番ですね。

体験談|パンナコッタとババロア、作ってみた難易度の違い

僕はデザート作りが趣味なのですが、この二つは「似ているようで全く違う」ことを身をもって体験しました。

初めてパンナコッタを作った時、「こんなに簡単でいいのか?」と驚いたのを覚えています。材料を鍋に入れて温め、ゼラチンを溶かして冷やすだけ。失敗する要素がほとんどありませんでした。生クリームの比率を上げるだけで、お店のような濃厚な味に仕上がる手軽さも魅力です。

一方で、ババロアには苦戦しました……。

最大の難関は、ベースとなる「アングレーズソース」です。卵黄に火を通しすぎると、一瞬でダマになって「そぼろ状」になってしまいます。かといって加熱が足りないと、ゼラチンが固まらなかったり、卵臭さが残ったりするんですよね。

温度計とにらめっこしながら慎重にソースを作り、さらに泡立てた生クリームと混ぜ合わせる工程も、「混ぜすぎると泡が消えて固くなり、混ぜ足りないと分離する」という繊細さが求められます。

見た目は似ていても、パンナコッタが「入門編」なら、ババロアは「中級編」といったところでしょうか。ババロアが上手に作れた時の「ふわっ」とした食感は、格別なものがありますけどね!

パンナコッタとババロアに関するFAQ(よくある質問)

パンナコッタとババロアに関してよくある質問をまとめました。

質問1:ムースとの違いは何ですか?

答え:ババロアとムースは非常によく似ています。主な違いは凝固剤です。ババロアはゼラチンで固めるのが基本ですが、ムースは泡立てた卵白(メレンゲ)や生クリームの泡の力だけで固めることが多く、ゼラチンを使わないレシピも多くあります。そのため、ムースの方がババロアよりもさらに軽く、儚い口溶けになる傾向があります。

質問2:プリンとの違いは何ですか?

答え:プリン(カスタードプリン)との最大の違いは「固め方」です。プリンは卵の力(熱を加えると固まる性質=熱凝固)で固めます。一方、パンナコッタとババロアはゼラチンの力(冷やすと固まる性質)で固めます。食感も、プリンは「ぷるん」としつつも卵の弾力がありますが、パンナコッタやババロアはより滑らか、またはふわっとしています。

質問3:イタリアンのお店でよく見るのはどっちですか?

答え:圧倒的にパンナコッタです。パンナコッタはイタリア発祥のデザート(ドルチェ)の代表格であり、イタリアンレストランのメニューでは定番です。一方、ババロアはフランス菓子なので、フレンチレストランや洋菓子店で提供されるのが一般的です。

まとめ|パンナコッタとババロア どちらを選ぶべきか?

パンナコッタとババロアの違い、明確にご理解いただけたでしょうか。

どちらを選ぶべきか、シーン別にまとめます。

  • パンナコッタがおすすめな人
    • 牛乳や生クリームの、濃厚でミルキーな味が好きな人。
    • 「つるん」「ぷるん」とした、なめらかな食感を求めている人。
    • イタリア料理の食後のデザート(ドルチェ)として楽しみたい人。
    • 手軽に冷たいデザートを作りたい人。
  • ババロアがおすすめな人
    • 卵黄を使ったカスタードのまろやかな風味が好きな人。
    • ムースのような「ふわふわ」とした軽い食感を求めている人。
    • フランス菓子の上品な味わいを楽しみたい人。
    • 少し手間をかけてでも、本格的なデザート作りに挑戦したい人。

濃厚なミルク感を味わいたいなら「パンナコッタ」、優しいカスタードと軽い食感を楽しみたいなら「ババロア」と覚えておけば、もう迷うことはありませんね。

どちらも適度な量であれば、間食(おやつ)として生活に潤いを与えてくれます。厚生労働省のe-ヘルスネットによると、間食は1日のエネルギー摂取量のうち、おおよそ200kcal程度が目安とされていますので、食べ過ぎには注意しつつ、上手に楽しみたいですね。

ぜひ、この違いを知った上で、次のおやつの時間や食後のデザートを選んでみてください。違いがわかると、それぞれの美味しさがより一層際立つはずです。

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