「another」と「other」の違いとは?単数と複数を使い分け!

英語で「別の」「他の」と言いたいとき、「another」と「other」、どっちを使うべきか迷うこと、ありますよね。

感覚で使ってしまいがちですが、実はこの二つ、指し示すものが「不特定の単数」なのか、それとも「複数」や「特定のもの」なのかで明確に使い分けられるんです。

この記事を読めば、「another」と「other」の基本的な意味の違いから、具体的な使い分け、「the other」や「others」との違いまでスッキリ理解でき、英文メールや英会話で迷うことはもうありません。自信を持って使い分けられるようになりますよ。それでは、まず最も重要な違いから見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「another」と「other」の最も重要な違い

【要点】

基本的には、「another」は「もう1つの(不特定の単数)」、「other」は「他の(複数または特定できない場合)」と覚えるのが簡単です。「another」は必ず単数名詞と、「other」は主に複数名詞や不可算名詞と結びつきます。

まず、結論からお伝えしますね。

この二つの言葉の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。

項目 another other
中心的な意味 もう1つの (追加の1つ、種類は問わない不特定の単数) 他の (複数、または種類を問わない漠然としたもの)
対象 単数の可算名詞 複数の可算名詞、または不可算名詞
冠詞との関係 an + other (既に an が含まれている) the other (特定の残り), other + 名詞, others (代名詞)
ニュアンス 追加の一つ、どれでも良い別の一つ それ以外のもの、別の種類の(複数の)もの
例文 (可算名詞) Would you like another cup of coffee? (コーヒーをもう一杯いかがですか?) There are other ways to solve the problem. (その問題を解決する他の方法があります。)
例文 (不可算名詞) (通常使わない) Do you have any other information? (何か他の情報はありますか?)

一番大切なポイントは、「another」は単数形とセット、「other」は複数形(または数えられない名詞)とセットになる、ということですね。

「another = an + other」と考えると、「an」が単数を表すので分かりやすいでしょう。

なぜ違う?「another」と「other」の成り立ち(語源)からイメージを掴む

【要点】

「another」は文字通り「an(1つの)」と「other(他の)」が結合した言葉で、「追加のもう1つ」という単数の意味合いが強いです。一方、「other」は古英語から存在し、「2番目の、残りの、別の」といった意味を持ち、複数や単数でも特定・不特定の幅広い「他のもの」を指す言葉として使われてきました。

なぜこの二つの言葉に違いが生まれたのか、その成り立ちを見るとイメージが掴みやすくなりますよ。

「another」の成り立ち:「an + other」が示す単数のイメージ

「another」という単語は、比較的シンプルです。中英語の時代に、不定冠詞の “an” と “other” がくっついて一つの単語になりました。

つまり、文字通り「an other」=「もうひとつの(不特定の)他のもの」という意味がそのまま成り立ちに表れているんですね。

だからこそ、「another」は必ず単数の可算名詞と一緒に使われるわけです。「もう一つカップをください (Give me another cup.)」のように、同種のものが複数ある中から、特定しない「追加の1つ」を指すイメージですね。

「other」の成り立ち:複数や特定を示すイメージ

一方、「other」はもっと古く、古英語の “ōther” に由来します。この言葉は元々「2番目の」「残りの」「別の」といった幅広い意味を持っていました。

ゲルマン語派の言語に共通して見られる言葉で、単数・複数、特定・不特定を問わず、「それ以外のもの」を指す基本的な単語として使われてきた歴史があります。

このため、現代英語でも「other」は、複数名詞 (other books)、不可算名詞 (other information)、そして冠詞 “the” と結びついて特定の残りを示す (the other book / the other books) など、「another」よりもずっと多様な使われ方をするんですね。

この成り立ちの違いを知っておくと、「another は単数限定!」、「other は複数や特定・不特定など幅広く使える!」という感覚が自然に身につくでしょう。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

ビジネスメールで「別の提案」なら “another proposal”(追加の提案)、”other proposals”(他の複数の提案)。会議で「他の意見」なら “other opinions”。日常で「もう一杯コーヒー」なら “another cup of coffee”、「他の人たち」なら “other people”。必ず名詞の単複と特定・不特定を意識しましょう。

言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。僕も最初はよく間違えましたが、例文でパターンを掴むのが効果的でした。

ビジネスと日常、そして間違いやすいNG例を見ていきましょう。

ビジネスシーンでの使い分け

追加の「もう一つ」なのか、それ以外の「他のもの」なのかを意識すると、使い分けは簡単ですよ。

【OK例文:another】(不特定の単数)

  • Could you give me another example? (別の例を挙げていただけますか?) – 追加の例を1つ
  • We need to find another supplier. (我々は別の供給業者を見つける必要がある) – 今の業者とは違う、不特定の業者を1社
  • Let’s schedule another meeting next week. (来週、もう一つ会議を予定しましょう) – 追加の会議を1つ

【OK例文:other】(複数または不可算名詞)

  • Do you have any other questions? (何か他の質問はありますか?) – 複数の質問
  • There are several other options to consider. (検討すべき他の選択肢がいくつかあります) – 複数の選択肢
  • Please provide any other relevant information. (何か他の関連情報を提供してください) – 不可算名詞の情報

このように、指し示すものが単数か複数か、数えられる名詞か数えられない名詞かで明確に使い分けられますね。

日常会話での使い分け

日常会話でも、考え方は同じです。

【OK例文:another】(不特定の単数)

  • I’ll have another glass of wine. (ワインをもう一杯いただきます) – 追加の1杯
  • She bought another pair of shoes. (彼女はもう一足靴を買った) – 追加の1足(※pair は単数扱い)
  • Let’s try another restaurant tonight. (今夜は別のレストランに行ってみよう) – 今考えている所以外の、不特定のレストラン1軒

【OK例文:other】(複数または不可算名詞)

  • I invited some other friends to the party. (パーティーには何人か他の友人も招待した) – 複数の友人
  • Are there any other people coming? (他の人たちも来ますか?) – 複数の人々
  • Do you need other help? (何か他の手伝いは必要ですか?) – 不可算名詞の手伝い

これはNG!間違えやすい使い方

特に、単数名詞に “other” を付けてしまう間違いが多いので注意しましょう。

  • 【NG】 Can I have other chance?
  • 【OK】 Can I have another chance? (もう一度チャンスをもらえますか?)
  • 【OK】 Are there any other chances? (他のチャンスはありますか?)

“chance” は可算名詞(数えられる名詞)の単数形なので、「もう一つ」なら “another” を使います。「他の(複数の)チャンス」なら “other chances” となります。

また、複数名詞に “another” を使ってしまうのも間違いです。

  • 【NG】 I need another informations.
  • 【OK】 I need other information. (他の情報が必要です)
  • 【OK】 I need another piece of information. (もう一つ情報が必要です)

“information” は不可算名詞(数えられない名詞)なので、複数形にはなりません。そのため “other” を使います。「もう一つの情報」と言いたい場合は “another piece of information” のように単位を表す言葉を使います。

この単数・複数、可算・不可算の区別が、「another」と「other」を使い分ける最大の鍵ですね!

【応用編】似ている言葉「the other」や「others」との違いは?

【要点】

「the other」は2つのうちの「残りの1つ」、または特定されたグループの「残りの複数」を指します。冠詞の “the” が特定を示すのがポイントです。「others」は「他の(不特定の)人々・もの」を指す代名詞です。

「another」と「other」の基本がわかったところで、よく似た「the other」と「others」についても見ていきましょう。これらを区別できると、表現力がさらにアップしますよ。

「the other」との違い:「残り(特定)の1つ・複数」

“other” に定冠詞の “the” が付くと、意味が「特定」されます。具体的には、以下の2つのケースで使われます。

  1. 2つのうちの「残り1つ」を指す場合 (単数)例:I have two bags. One is black, and the other is brown. (私はバッグを2つ持っています。1つは黒で、もう片方は茶色です。)

    → 2つしかないうちの、一方を除いた「特定された残り1つ」なので “the other” になります。

  2. 特定のグループの「残りの複数」を指す場合 (複数)例:Some students went home, but the other students stayed in the classroom. (帰宅した生徒もいましたが、残りの(他の)生徒たちは教室に残りました。)

    → ある集団(生徒たち)の中で、一部(帰宅した生徒)を除いた「特定された残りの全員」なので “the other students” となります。名詞を省略して “the others” と言うこともできます。

ポイントは “the” が持つ「特定する力」ですね。「another」が不特定の「もう一つ」、「other」が不特定の「他の複数(または不可算)」だったのに対し、「the other」は「特定された残り」を指します。

「others」との違い:「不特定の複数」

「others」は、「other people」や「other things」のように、「他の(不特定の)人々・もの」を意味する代名詞です。名詞の代わりとして単独で使われます。

  • Some people like cats, while others prefer dogs. (猫が好きな人もいれば、犬を好む他の人たちもいる。) – other people の代わり
  • You can take this pen, but please leave the others. (このペンは持って行っていいですが、他のものは残してください。) – other pens の代わり

“other” が形容詞的に名詞を修飾する(例:other people)のに対し、「others」はそれ自体が名詞(代名詞)として機能する点が異なります。「the others」が「特定の残り全て」を指したのに対し、「others」はあくまで「不特定の複数」を指します。

まとめると以下のようになりますね。

  • another + 単数名詞: 不特定のもう一つ
  • other + 複数名詞 / 不可算名詞: 不特定の他の複数 / 他のもの
  • the other + 単数名詞: 特定の残り一つ
  • the other + 複数名詞: 特定の残り複数
  • others (代名詞): 不特定の他の人々・もの
  • the others (代名詞): 特定の残りの人々・もの

「another」と「other」の違いを英語学的に解説

【要点】

品詞の観点から見ると、「another」は主に限定詞(名詞の前に置く)や代名詞として使われます。「other」は限定詞、代名詞、形容詞としてより幅広く使われます。特に「another」は単数可算名詞にのみ付き、「other」は複数可算名詞や不可算名詞に付くという文法的な制約が、使い分けの基本となります。

最後に、文法的な観点、特に品詞の働きから「another」と「other」の違いを整理してみましょう。

品詞(限定詞・代名詞・形容詞)としての違い

another:

  • 限定詞 (Determiner): 単数可算名詞の前に置かれます。これが最も一般的な使い方です。
    例:I need another pen.
  • 代名詞 (Pronoun): 文脈から明らかな場合、名詞を省略して単独で使われます。
    例:This cake is delicious. Can I have another? (=another cake)

other:

  • 限定詞 (Determiner): 複数可算名詞や不可算名詞の前に置かれます。
    例:There are other problems. / Do you have other luggage?
  • 代名詞 (Pronoun): 単独で「他のもの・人」を指します。複数形は “others”、特定する場合は “the other” や “the others” となります。
    例:One is mine, and the other is yours. / Ask the others.
  • 形容詞 (Adjective): 名詞を修飾します。特に比較級や最上級と共起することがあります。
    例:This method is better than any other method.

このように、「other」の方が多様な品詞として機能することがわかりますね。

可算名詞・不可算名詞との組み合わせ

使い分けの核心は、やはり名詞の種類との組み合わせです。

  • another単数可算名詞 (another book, another chance)
  • other複数可算名詞 (other books, other chances)
  • other不可算名詞 (other information, other advice)

この文法的な制約を理解することが、「another」と「other」を正しく使い分けるための最も確実な方法と言えるでしょう。

僕が「another」と「other」で混乱した苦い思い出

英語を学び始めたばかりの中学生の頃、僕は「another」と「other」の違いが全く分かっていませんでした。テストで “Give me ( ) pen.” という問題が出たんです。

「えーっと、『他のペンをください』だよな。『他の』は other だ!」と思い込み、自信満々に “other” と書きました。もちろん答えは “another”。バツをもらって、なんで!?と悔しかったのを覚えています。

当時の僕には、「pen」が単数形だから “an other” = “another” になる、という理屈が全くピンと来ていなかったんです。単純に日本語訳だけで判断してしまっていたんですね。先生に解説してもらっても、「え、なんで other pen じゃダメなの?」と食い下がって、ちょっと困らせてしまった記憶があります。

後になって、”another” が “an + other” であること、そして英語では単数と複数を厳密に区別することの重要性を理解して、ようやく腑に落ちました。日本語の感覚だけで英語を捉えようとすると、思わぬ落とし穴があるということを学んだ最初の経験かもしれません。

あの時の悔しさがあるからこそ、今では名詞の単複には人一倍気を付けるようになりました。皆さんも、単語の成り立ちや文法的なルールを意識すると、きっとスムーズに使い分けられるようになりますよ!

「another」と「other」に関するよくある質問

Q1: “another two weeks” のように、”another” の後に複数形が来るのはなぜですか?

A: 良い質問ですね!これは例外的な使い方で、”another” の後に期間や距離、金額などを表す「数詞 + 複数名詞」が来ることがあります。この場合、「追加の~」という意味合いになります。
例:I need another three days to finish this. (これを終えるのにあと3日必要です)
例:We walked another two miles. (私たちはさらに2マイル歩いた)
これは、「3日間という期間」や「2マイルという距離」を一つのまとまりとして捉え、それが「もう一つ(追加で)必要だ」というニュアンスから来ています。

Q2: 「他の種類」と言いたいときは “other” ですか?

A: はい、その通りです。「another」は基本的に同種のものの「追加の一つ」を指しますが、「異なる種類の他のもの」を指す場合は「other」を使います。
例:I don’t like this shirt. Do you have any other kinds? (このシャツは好きではありません。何か他の種類はありますか?)
例:This method didn’t work. Let’s try other methods. (この方法はうまくいかなかった。他の方法を試してみよう。)

Q3: 結局、迷ったらどっちを使えば自然に聞こえますか?

A: 迷ったときは、まず指し示す名詞が単数か複数か、可算か不可算かを確認するのが最も確実です。単数可算名詞なら「another」、複数可算名詞や不可算名詞なら「other」を選ぶのが基本ルールです。このルールに従えば、文法的な誤りは避けられます。ニュアンスの違い(不特定か特定か、追加か別種かなど)は文脈によりますが、まずはこの基本ルールを押さえることが、自然な英語に近づく第一歩ですよ。

「another」と「other」の違いのまとめ

「another」と「other」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. 基本は名詞の種類で使い分け:「another」は単数の可算名詞に、「other」は複数の可算名詞または不可算名詞に使う。
  2. 意味合いの違い:「another」は「追加のもう1つ(不特定)」、「other」は「それ以外のもの(複数または漠然)」。
  3. 成り立ちをイメージ:「another = an + other」で単数を意識。「other」はより古く、幅広い「他のもの」を指す。
  4. 応用編も重要:「the other」は「特定された残り」、「others」は「不特定の他の人々・もの(代名詞)」。
  5. 文法的な違い:「another」は限定詞・代名詞、「other」は限定詞・代名詞・形容詞として機能する。

言葉の成り立ちや文法的なルールを理解すると、単なる丸暗記ではなく、なぜそうなるのかという理由と共に使い分けが身につきますね。

これからは英文作成や英会話の際に、自信を持って「another」と「other」を使い分けて、より正確で自然な英語表現を目指しましょう。言葉の使い分けについてさらに知りたい方は、カタカナ語・外来語の違いをまとめたページもぜひご覧ください。