「may」と「might」、どちらも「~かもしれない」という意味で使われる助動詞ですよね。
でも、「この場面ではどっちを使うのが自然なんだろう?」と迷ったことはありませんか?実はこの二つ、基本的な意味は似ていますが、可能性の度合いや丁寧さ(フォーマルさ)でニュアンスが異なるんです。
この記事を読めば、「may」と「might」の微妙な違いから、具体的な使い分け、さらには「can」や「could」との比較までスッキリ理解でき、英会話や英文作成で自信を持って使いこなせるようになります。それでは、まず最も重要な違いから見ていきましょう。
結論:一覧表でわかる「may」と「might」の最も重要な違い
基本的には、可能性が高い場合やフォーマルな場面では「may」、可能性が低い場合やカジュアルな場面では「might」と覚えるのが簡単です。「may」の方がやや確信度が高く、丁寧な響きを持ちます。許可を求める際も「may」の方がより丁寧です。
まず、結論からお伝えしますね。
「may」と「might」の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。
| 項目 | may | might | 
|---|---|---|
| 中心的な意味 | ~かもしれない(可能性)、~してもよい(許可) | ~かもしれない(可能性、mayより低い)、~してもよい(許可、mayより控えめ) | 
| 可能性の度合い | 比較的高い(例:50%程度) | 低い(例:30%以下程度)、より不確か | 
| フォーマル度 | ややフォーマル、丁寧 | カジュアル寄り、控えめ | 
| 許可 | 「~してもよい」と許可を与える・求める(丁寧) | 「~してもよい」と許可を求める(mayより控えめ、やや間接的) | 
| 過去形 | 基本的には持たない(過去の推量はmight haveを使用) | mayの過去形として使われることもあるが、現代では主に可能性の低さを示す | 
| 迷ったとき | 丁寧さや確実性を少し出したい場合 | 自信がない、控えめに言いたい場合 | 
一番大切なポイントは、「may」の方が可能性がやや高く、よりフォーマルで、「might」の方が可能性が低く、カジュアル寄りであるということですね。
どちらを使うかで、話者の確信度や相手への丁寧さが微妙に伝わるわけです。
なぜ違う?核心的な意味とイメージ(可能性・推量)を掴む
「may」と「might」はどちらも「~かもしれない」という可能性を表しますが、「may」の方が起こる確率が高い(五分五分くらい)イメージ、「might」はそれよりも確率が低い(ひょっとしたら~かも)イメージです。また、「may」はフォーマルな響き、「might」はややカジュアルで控えめな響きを持ちます。
なぜこの二つの言葉にニュアンスの違いが生まれるのか、その核心的な意味とイメージを探ってみましょう。
共通の意味:「~かもしれない」という可能性
まず、「may」と「might」に共通するのは、未来のことや現在の不確かなことについて「~かもしれない」と可能性や推量を表す点です。
どちらも助動詞なので、動詞の原形の前に置いて使いますね。
- It may rain tomorrow. (明日は雨が降るかもしれない。)
- He might be busy now. (彼は今、忙しいかもしれない。)
ここまでは、学校で習った通りかもしれませんね。
違いの核心①:可能性の度合い(may > might)
では、何が違うのか?一つ目の核心は、話者が感じている「可能性の度合い」です。
一般的に、「may」の方が「might」よりも起こる可能性が高いと考えられています。
- may: 起こる可能性が五分五分くらいあるかな、と感じているイメージ。「(結構)~かもしれない」
- might: 起こる可能性はあまり高くないけれど、ゼロではないな、と感じているイメージ。「(ひょっとしたら)~かもしれない」「(もしかしたら)~かもしれない」
例えば、空を見上げて「It may rain.」と言えば、「雲行きが怪しいし、降る可能性は結構あるな」というニュアンスです。一方、「It might rain.」と言えば、「今は晴れてるけど、天気予報で言ってたし、一応降る可能性も考えておくか」くらいの、より低い可能性を示唆します。
ただし、これは絶対的なルールではなく、特に現代の英会話では、可能性の度合いに関わらず「might」がより頻繁に使われる傾向もあります。これは、「might」の方が響きが柔らかく、断定を避ける控えめな表現として好まれるためと考えられます。
違いの核心②:フォーマルさと丁寧さ(may > might)
二つ目の核心は、フォーマルさや丁寧さの度合いです。
「may」の方が「might」よりもフォーマルで、丁寧な響きを持ちます。
これは特に、許可を求めたり与えたりする際に顕著になります。
- May I come in? (入ってもよろしいでしょうか?) ← 丁寧
- You may enter. (入ってよろしい。) ← フォーマルな許可
一方、「might」も許可を求める際に使えますが、「may」よりも控えめで、やや間接的な響きになります。「(もし差し支えなければ)~してもよろしいでしょうか?」といったニュアンスです。
- Might I ask a question? (質問してもよろしいでしょうか?) ← 非常に丁寧・控えめ
可能性を表す場合でも、ビジネス文書や学術的な文章など、フォーマルな文脈では「may」が好まれる傾向があります。
具体的な例文で使い方をマスターする
可能性の度合い:「It may rain.」(降りそう) vs 「It might rain.」(降るかもね)。許可:「May I use this?」(使ってもよろしいですか?) vs 「Might I suggest…?」(提案してもよろしいでしょうか? – 控えめ)。過去の推量:「He might have forgotten.」(忘れたのかもしれない)。
言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。
様々なシチュエーションでの使い方と、間違えやすいポイントを見ていきましょう。
可能性・推量を表す使い方
話者の確信度合いによって使い分けます。
【OK例文:may(可能性が比較的高い)】
- Look at those dark clouds. It may rain soon. (あの黒い雲を見て。もうすぐ雨が降るかもしれない。)
- She didn’t answer the phone. She may be in a meeting. (彼女は電話に出なかった。会議中なのかもしれない。)
- This medicine may cause drowsiness. (この薬は眠気を引き起こす可能性があります。)
【OK例文:might(可能性が低い、より不確か)】
- I might go to the party, but I’m not sure yet. (パーティーに行くかもしれないけど、まだ分からないんだ。)
- He looked pale. He might be sick. (彼は顔色が悪かった。病気なのかもしれない。)
- It’s a long shot, but we might win the lottery. (可能性は低いけど、宝くじに当たるかもしれない。)
繰り返しますが、現代英会話では可能性が高くても「might」を使うことも多いです。迷ったら文脈や相手との関係性で判断しましょう。
許可を求める・与える使い方(丁寧さの違い)
フォーマルさ、丁寧さが求められる度合いで使い分けます。
【OK例文:may(丁寧な許可)】
- May I ask your name? (お名前を伺ってもよろしいでしょうか?)
- You may leave the room if you have finished the exam. (試験が終わった方は退室して結構です。)
- Students may use the library during lunch break. (生徒は昼休みに図書館を利用してもよい。)
【OK例文:might(控えめな許可要請)】
- Might I borrow your pen for a moment? (少しの間ペンをお借りしてもよろしいでしょうか?) ← May I…? より控えめ
- I was wondering if I might take a day off next week. (来週1日お休みをいただけないかと思いまして。) ← 非常に丁寧な伺い
許可を与える場合に「might」を使うことは通常ありません。「You might leave.」と言うと、「退出するかもしれないね」という推量の意味になってしまいます。
過去の推量を表す使い方(might have)
過去の出来事について「~だったかもしれない」と推量する場合は、「might have + 過去分詞」の形を使います。「may have + 過去分詞」も使えますが、「might have」の方が一般的です。
【OK例文:might have + 過去分詞】
- He is late. He might have missed the train. (彼は遅刻だ。電車に乗り遅れたのかもしれない。)
- I can’t find my keys. I might have left them at the office. (鍵が見つからない。オフィスに置いてきたのかもしれない。)
- She looked upset. You might have said something wrong. (彼女、怒っていたよ。君が何か間違ったことを言ったのかもしれないね。)
これはNG!間違えやすい使い方
意味が通じにくい、あるいは不自然に聞こえる使い方を見てみましょう。
- 【NG】 You might start now. (許可を与えているつもり)
- 【OK】 You may start now. (始めてよろしい。)
許可を与える際には「may」を使います。「might」を使うと推量の意味になります。
- 【NG】 He said he may come tomorrow. (彼が明日来る可能性は低い、と伝えたい)
- 【OK】 He said he might come tomorrow. (彼は明日来るかもしれないと言っていた。)
可能性が低いことを伝えたい場合は「might」がより適切です。ただし、文法的にはNGではありませんが、ニュアンスが異なります。
- 【不自然】 Might it rain tomorrow? (明日は雨が降るでしょうか?と聞きたい)
- 【一般的】 May it rain tomorrow? (丁寧すぎる) / Will it rain tomorrow? / Is it likely to rain tomorrow?
可能性を尋ねる疑問文で「Might…?」を使うことは稀です。「May…?」も少し堅苦しく、「Will…?」や「Is it likely to…?」などが一般的です。
似ている言葉「can」「could」との違いは?
「can」「could」も可能性や許可を表しますが、「can」は能力や一般的な可能性、「could」は過去の能力や控えめな推量・許可要請に使われます。「may」「might」は主に「推量(〜かもしれない)」や「許可(〜してもよい)」に焦点が当たります。「Could I…?」は「May I…?」と同様に丁寧な許可要請ですが、「May I…?」の方がよりフォーマルです。
「may」「might」と似た使われ方をする助動詞に「can」「could」がありますね。これらの違いも整理しておきましょう。
| 助動詞 | 主な意味 | 可能性 | 許可 | フォーマル度 | 
|---|---|---|---|---|
| can | ~できる(能力)、~ありうる(可能性)、~してもよい(許可) | 一般的な可能性、理論上の可能性(It can get cold here.) | カジュアルな許可(You can go.) | カジュアル | 
| could | ~できた(過去の能力)、~かもしれない(控えめな推量)、~してもよいですか(丁寧な依頼) | may/mightより低い可能性、仮定の話(It could rain.) | 丁寧な許可要請(Could I ask…?) | 丁寧 | 
| may | ~かもしれない(推量)、~してもよい(許可) | 比較的高い可能性(It may rain.) | フォーマルな許可(You may go. / May I…?) | フォーマル | 
| might | ~かもしれない(低い推量)、~してもよいですか(控えめな依頼) | 低い可能性(It might rain.) | 非常に丁寧・控えめな許可要請(Might I ask…?) | (mayより)カジュアル・控えめ | 
ポイントは以下の通りです。
- 可能性: 「can」は「そういうこともありうる」という一般的な可能性、「could」は「may」「might」に近いですが、より仮定的な響きや低い可能性を示します。確信度は can > may > could ≒ might の順で低くなるイメージです。
- 許可: 許可を求める場合、「Can I…?」が最もカジュアル、「Could I…?」「May I…?」の順で丁寧になります。「May I…?」が最もフォーマルです。「Might I…?」はさらに控えめな表現です。許可を与える場合は、「You can…」(カジュアル)、「You may…」(フォーマル)が一般的です。
これらの助動詞はニュアンスが重なる部分も多いですが、中心的な意味とフォーマル度を意識すると使い分けやすくなりますね。
ビジネスや論文での使い分け:よりフォーマルなのは「may」
ビジネス文書、レポート、論文などのフォーマルな書き言葉では、可能性を示す場合も許可を示す場合も、「might」より「may」を使うのが一般的です。「might」は口語的、あるいは仮定法的な響きを持つため、客観性や断定を避けたい意図がない限り、「may」の方が適切とされます。
ビジネスメールやレポート、学術論文など、フォーマルな文章を書く際には、「may」と「might」のどちらを選ぶべきでしょうか?
結論から言うと、フォーマルな書き言葉では「may」を使うのが一般的です。
理由はいくつかあります。
- 丁寧さと客観性: 「may」は「might」よりもフォーマルで丁寧な響きを持ち、客観的な可能性を示すのに適しています。論文などで「This may suggest…」(これは~を示唆するかもしれない)のように、断定を避けつつ可能性を提示する際によく使われます。
- 「might」の口語的響き: 前述の通り、「might」は口語的でカジュアルな響きを持つことがあります。そのため、改まった文章では不適切と見なされる場合があります。
- 仮定法のニュアンス: 「might」は仮定法(現在の事実に反する仮定や、未来の実現可能性が低い仮定)で使われることが多いため、「ひょっとしたら~かもしれないが、実際は違うだろう」といったニュアンスを含むことがあります。客観的な事実や可能性を述べたいフォーマルな文脈では、誤解を招く可能性があります。
もちろん、意図的に控えめな表現を使いたい場合や、過去の推量を表す「might have」の形はこの限りではありませんが、基本的なスタンスとして、フォーマルな文章では迷ったら「may」を選ぶと覚えておくと良いでしょう。
このような言語の使い分けは、学術的なガイドラインなどでも言及されていることがあります。信頼できる情報源として、例えば大学のライティングセンターのウェブサイトなどを確認するのも有効です。
僕が英語面接で「might」を使って冷や汗をかいた話
フォーマルな場面での「may」と「might」の使い分け、僕にも苦い経験があります。
転職活動中のこと。第一志望の外資系企業との最終面接(もちろん英語)での出来事です。面接官から将来のキャリアパスについて聞かれ、僕は自分の意欲を伝えようとしました。
「将来的には、アジア地域のマーケティング戦略にも関わっていきたいと考えています」と伝えたかったのですが、少し控えめに言おうとしたのか、とっさに口から出たのは…
“I might be interested in working on marketing strategies for the Asian region in the future.”
言ってから、「しまった!」と思いました。「might」を使ったことで、「(あまり自信はないけど、ひょっとしたら)興味を持つかもしれません」というような、非常に弱気で他人行儀なニュアンスになってしまったのです。熱意を伝えたかったのに、逆効果ですよね。
面接官は特に表情を変えませんでしたが、僕の中では冷や汗が止まりませんでした。咄嗟に「いや、もちろん非常に興味があります!」(I mean, I am definitely interested!)と付け加えましたが、後の祭りだったかもしれません。
この経験から、特にビジネスのようなフォーマルな場面で自分の意志や可能性を伝えるときは、安易に「might」を使わない方が良いと痛感しました。自信のなさや、意欲の低さとして受け取られかねません。少し可能性をぼかしたい場合でも、「may」を使うか、”I think I will be interested…” のように別の表現を選ぶべきでした。
言葉の持つ丁寧さや確信度のニュアンスは、本当に難しいですよね。でも、こうした失敗から学ぶことで、より適切なコミュニケーションが取れるようになるのだと思います。
「may」と「might」に関するよくある質問
結局、どちらを使えばいいですか?
場面によりますが、迷ったら可能性の度合いとフォーマルさで判断しましょう。比較的可能性が高い、または少し丁寧な場面では「may」を、可能性が低い、自信がない、またはカジュアルな場面では「might」を選ぶのが基本です。ただし、現代英会話では「might」がより広く使われる傾向もあります。
「may」の過去形が「might」ではないのですか?
文法的には「might」は「may」の過去形ですが、現代英語では、「might」が過去を表すことは稀です。主に、現在の可能性の低さや、仮定法(もし~なら…かもしれない)で使われます。過去の推量を表す場合は、「may have + 過去分詞」または「might have + 過去分詞」(こちらがより一般的)を使います。
疑問文や否定文ではどう使いますか?
可能性を尋ねる疑問文では、「May…?」は少し堅苦しく、「Might…?」は稀です。「Will…?」や「Is it likely to…?」などが一般的です。許可を求める疑問文では「May I…?」(丁寧)や「Might I…?」(非常に丁寧・控えめ)が使われます。否定文では、「may not」「might not」(~ないかもしれない)という形で使われます。
「may」と「might」の違いのまとめ
「may」と「might」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。
最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。
- 基本の意味は同じ:「~かもしれない」という可能性・推量を表す。
- 可能性の度合い:「may」の方がやや高く(五分五分程度)、「might」の方が低い(ひょっとしたら程度)。
- フォーマル度:「may」の方がややフォーマルで丁寧、「might」はカジュアル寄り・控えめ。
- 許可:「May I…?」は丁寧な許可要請、「Might I…?」はさらに控えめ。「You may…」はフォーマルな許可。
- 過去の推量:「might have + 過去分詞」が一般的。
- 迷ったら:フォーマルな場面や確信度を少し示したいなら「may」、自信がない・控えめに言いたいなら「might」。現代会話では「might」が広く使われる傾向も。
微妙なニュアンスの違いですが、これを意識することで、あなたの英語表現はより豊かで正確になりますね。特にフォーマルな場面では、適切な言葉選びが相手に与える印象を大きく左右します。
これからは自信を持って、「may」と「might」を使い分けていきましょう。言葉の使い分けについてさらに知りたい方は、カタカナ語・外来語の違いをまとめたページもぜひご覧ください。