「since」と「for」の違いは?期間の起点か長さかで使い分け

英語で期間を表すとき、「since」と「for」の使い分けに迷うことはありませんか?

特に現在完了形と一緒に使うことが多いので、混乱しやすいですよね。

でも大丈夫です。この二つの単語は、時間の「起点」を示すか、「期間の長さ」を示すかという明確な違いで使い分けられるんです。この記事を読めば、「since」と「for」の基本的な意味の違いから、具体的な使い方、完了形との関係、似た表現との区別までスッキリ理解でき、自信を持って使いこなせるようになります。それでは、まず最も重要な違いから見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「since」と「for」の最も重要な違い

【要点】

基本的には、「since」は過去の特定の「起点」を示し、「for」は時間の「長さ(期間)」を示すと覚えるのが簡単です。「since」の後には時点(例: last year, 10 o’clock)が、「for」の後には期間(例: two years, three hours)が続きます。

まず、結論からお伝えしますね。

「since」と「for」の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。

項目 since for
中心的な意味 〜以来、〜から(過去の特定の起点 〜の間(時間の長さ・期間
焦点 いつ始まったか どのくらいの期間続いた(続いている)か
後に続く語句 特定の時点
(例: 2020, last month, yesterday, 9 AM, I was a child)
期間の長さ
(例: five years, two weeks, ten minutes, a long time)
主な使われ方 主に現在完了形・過去完了形と共に使われる 現在完了形、過去形、未来形など様々な時制で使われる
例文(現在完了形) I have lived here since 2010. (2010年からここに住んでいます。) I have lived here for ten years. (ここに10年間住んでいます。)
例文(過去形) × I lived here since 2010. I lived here for ten years. (ここに10年間住んでいました。)

一番大切なポイントは、「since」は始まりの点、「for」は時間の線(長さ)を表すというイメージですね。現在完了形と一緒に使うことが多い「since」に対して、「for」は過去形など他の時制でも使える点も大きな違いです。

なぜ違う?「起点」と「期間」のイメージ

【要点】

「since」は過去のある一点を指し示し、そこから現在までの継続を表す「点」のイメージです。一方、「for」は具体的な時間の幅、つまり始まりから終わりまでの「線」のイメージを持っています。このイメージの違いが、使い分けの根本的な理由です。

なぜ英語では、期間を表すのに「since」と「for」という二つの言葉を使い分けるのでしょうか?それぞれの言葉が持つ、時間の捉え方のイメージに注目してみましょう。

「since」のイメージ:過去の特定の「時点」からの継続

「since」の核心的なイメージは、過去のある特定の「点」(時点)です。そして、その「点」から現在に向かって、何らかの状態や動作が継続していることを示します。

矢印で表すと、「過去の特定の点 → 現在」という感じです。重要なのは、あくまでスタート地点がどこかを示すことであり、期間の長さそのものではありません。

例えば、「since yesterday(昨日から)」、「since last week(先週から)」、「since 2005(2005年から)」、「since I met you(あなたに会ってから)」のように、具体的な過去の時点や出来事が後に続きます。現在完了形(have/has + 過去分詞)と一緒に使われることが多いのは、この「過去から現在までの継続」というニュアンスと相性が良いためです。

「for」のイメージ:時間の「長さ・期間」

一方、「for」の核心的なイメージは、時間の「線」(期間の長さ)です。ある動作や状態が、どのくらいの時間続いたのか、あるいは続く予定なのか、その具体的な時間の幅を示します。

線分で表すと、「始まりの点 —– 終わりの点」という感じです。重要なのは、その線の長さがどのくらいかということであり、いつ始まったか、いつ終わったかは直接示しません。

例えば、「for three days(3日間)」、「for two weeks(2週間)」、「for ten years(10年間)」、「for a long time(長い間)」のように、具体的な時間の長さが後に続きます。「for」は特定の時制に縛られず、過去形(例: I studied for two hours.)、現在完了形(例: I have studied for two hours.)、未来形(例: I will study for two hours.)など、様々な時制で使うことができます。

このように、「since」が「いつから?」という起点(点)に焦点を当てるのに対し、「for」は「どのくらい?」という期間(線)に焦点を当てる、というイメージの違いが、使い分けの根本にあるんですね。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

「since last summer(去年の夏から)」のように特定の時点なら「since」、「for three months(3ヶ月間)」のように期間の長さなら「for」を使います。現在完了形では両方使えますが、過去形では基本的に「for」のみを使います。

理屈がわかったら、次は具体的な例文で使い方を確認しましょう。「since」と「for」がどのような文脈で使われるのか、しっかり見ていきましょう。

「since」を使う場合(過去の起点を示す)

主に現在完了形や過去完了形で、動作や状態が始まった「過去の特定の時点」を示します。

  • I have known her since we were children. (私たちは子供の頃から彼女を知っています。)
  • He has been sick since last Friday. (彼は先週の金曜日から病気です。)
  • They haven’t seen each other since 2018. (彼らは2018年からお互いに会っていません。)
  • How long has it been raining? – It has been raining since this morning. (どのくらい雨が降っていますか? – 今朝からずっと降っています。)
  • She had wanted to visit Paris ever since she saw the movie. (彼女はその映画を見て以来、ずっとパリを訪れたいと思っていました。) ※過去完了形

「since」の後には、「last year」「10 o’clock」「the accident」「主語 + 述語(過去形)」など、過去の特定の時を表す語句が来ます。

「for」を使う場合(期間の長さを示す)

様々な時制で、動作や状態が続く「期間の長さ」を示します。

  • We waited for thirty minutes. (私たちは30分間待ちました。) ※過去形
  • She has been studying English for five years. (彼女は5年間英語を勉強しています。) ※現在完了形
  • I will stay in London for two weeks. (私はロンドンに2週間滞在する予定です。) ※未来形
  • They have been married for a long time. (彼らは長い間結婚しています。) ※現在完了形
  • How long did you live in Osaka? – I lived there for about three years. (大阪にはどのくらい住んでいましたか? – 3年ほど住んでいました。) ※過去形

「for」の後には、「ten minutes」「three weeks」「six months」「many years」など、時間の長さを表す語句が来ます。

これはNG!間違えやすい使い方

起点と期間を混同すると、不自然な文になってしまいます。

  • 【NG】 I have been waiting here since two hours. (私はここに2時間から待っています。)
  • 【OK】 I have been waiting here for two hours. (私はここに2時間の間待っています。)
  • 【OK】 I have been waiting here since 2 o’clock. (私はここに2時から待っています。)

「two hours」は期間の長さなので「for」を使います。起点の「2 o’clock」なら「since」です。

  • 【NG】 She studied Japanese since three years in college. (彼女は大学で3年間から日本語を勉強しました。)
  • 【OK】 She studied Japanese for three years in college. (彼女は大学で3年間日本語を勉強しました。)

「three years」は期間の長さです。また、過去形「studied」と共に使う場合、継続の起点を示す「since」は通常使いません。

  • 【NG】 How long have you known him? – Since a long time. (どのくらい彼を知っていますか? – 長い時間から。)
  • 【OK】 How long have you known him? – For a long time. (どのくらい彼を知っていますか? – 長い。)

「a long time」は期間の長さなので「for」を使います。

【応用編】似ている言葉「during」「while」との違いは?

【要点】

「during」は「〜の間(特定の期間)」を示す前置詞で、後ろには名詞(例: during the summer vacation)が来ます。「while」は「〜する間」を示す接続詞で、後ろには「主語 + 動詞」を含む文(例: while I was sleeping)が続きます。「for」が期間の長さに焦点を当てるのに対し、「during」は特定の期間内で何かが起こったかに焦点を当てます。

期間を表す表現には、「since」「for」以外にも「during」と「while」があります。これらとの違いも整理しておきましょう。

「during」

「during」は前置詞で、「〜の間(に)」という意味です。特定の出来事や期間を示す名詞が後ろに続きます。期間の長さ(How long?)ではなく、その期間内に何かが起こったか(When?)に焦点を当てます。

  • We visited the museum during our stay in Paris. (パリ滞在中に私たちはその美術館を訪れた。)
  • Please remain seated during the performance. (上演中は座ったままでいてください。)
  • He fell asleep during the movie. (彼は映画の間に寝てしまった。)

「for」との違いを見てみましょう。

  • He stayed there for three days. (彼はそこに3日間滞在した。) ※期間の長さ
  • He got sick during the three days. (彼はその3日間に病気になった。) ※期間内の出来事

「while」

「while」は接続詞で、「〜する間(に)」という意味です。後ろには「主語 + 動詞」を含む文(節)が続きます。二つの出来事が同時に起こっている状況を表します。

  • My phone rang while I was taking a shower. (シャワーを浴びている間に電話が鳴った。)
  • Please don’t talk while you are eating. (食事中は話さないでください。)
  • She studied English while she lived in London. (彼女はロンドンに住んでいる間、英語を勉強した。)

まとめると、

  • since: 〜から(起点を示す前置詞・接続詞)
  • for: 〜の間(期間の長さを示す前置詞)
  • during: 〜の間に(特定の期間を示す前置詞 + 名詞)
  • while: 〜する間に(同時性を示す接続詞 + 主語 + 動詞)

このように区別できますね。

「since」と「for」の違いを言語学的に解説

【要点】

言語学的に、「since」は特定の時間的アンカーポイント(起点)を確立し、そこからの継続や関連性を示す標識(marker)として機能します。主に完了相(perfect aspect)と共起し、継続の意味合いを強めます。「for」は時間的な範囲(span)や量(duration)を示す標識であり、特定の時制や相に限定されず、過去、現在、未来の様々な期間を表すことができます。この「点」対「線」という時間認識の違いが、文法的な振る舞いの差を生んでいます。

「since」と「for」の使い分けは、英語が時間をどのように捉え、表現するかという言語学的な側面からも説明できます。

「since」は、言語学的には、過去のある特定の時間的アンカーポイント(起点)を設定し、その時点から発話時(または基準となる別の時点)までの継続または関連性を示す標識(marker)として機能します。この「起点」は、具体的な時刻(10 AM)、日付(last Monday)、出来事(the war ended)、あるいは過去の時点を表す節(I arrived here)など、明確に特定可能なものでなければなりません。

「since」が特に完了相(Perfect Aspect)、とりわけ現在完了形(Present Perfect)と強く結びつくのは、完了相が「過去の出来事や状態が現在に影響・関連を持っている」ことを示すため、「since」が示す「過去の起点からの継続」という概念と意味的に親和性が高いためです。つまり、「since」は完了相の持つ継続的な意味合いを補強・明確化する役割を担っていると言えます。

一方、「for」は、時間的な範囲(span)や量(duration)を示す標識として機能します。特定の起点を問題にするのではなく、ある状態や行為が継続した、あるいは継続するであろう「時間の長さ」そのものを定量的に示します。「for three hours」「for many years」のように、後に続く名詞句が時間の計量を表します。

「for」は特定の時制や相に強く束縛されません。単純過去形(Simple Past)と共に使えば過去のある期間を示し(例: worked for 8 hours)、未来形(Future Tense)と共に使えば未来のある期間を示し(例: will work for 8 hours)、現在完了形と共に使えば過去から現在にわたる期間を示します(例: have worked for 8 hours)。このように、「for」は様々な時間軸上の「線分の長さ」を表現できる、より汎用性の高い期間表現と言えます。

まとめると、「since」は時間軸上の「点(起点)」をマークし、そこからの継続性(特に完了相との関連で)を前景化するのに対し、「for」は時間軸上の「線分(期間)」の長さをマークし、様々な時制・相の中でその計量的な側面を前景化します。この「点」対「線」という時間認識と表現方法の違いが、「since」と「for」の文法的な振る舞いや意味合いの差を生み出している根源的な理由と言えるでしょう。

僕が英語学習で「since」と「for」を混同したエピソード

英語を学び始めたばかりの頃、僕も「since」と「for」の使い分けには本当に苦労しました。特に現在完了形と一緒に使う場面で、よく混乱していましたね。

忘れもしないのは、英会話のクラスで自己紹介をした時のことです。日本からカナダに来てどのくらい経つのかを説明しようとして、僕は自信満々にこう言いました。

「I have lived in Canada since six months.」 (私はカナダに6ヶ月から住んでいます。)

自分の中では、「6ヶ月前から今まで住んでいる」という継続の意味を込めたつもりでした。現在完了形だから「since」だろう、と安易に考えてしまったんですね。

すると、先生(ネイティブスピーカー)が優しくもはっきりと指摘してくれました。

「Ah, Kenji, ‘since’ needs a starting point, like ‘since June’ or ‘since last year’. If you’re talking about the length of time, you should use ‘for’. So, ‘I have lived in Canada for six months’.」 (ああ、ケンジ、「since」の後には起点の時点が必要だよ、例えば「6月から」とか「去年から」とかね。期間の長さについて話すなら、「for」を使うべきだ。だから、「私はカナダに6ヶ月の間住んでいます」だね。)

その瞬間、「しまった!」と思いました。「six months」は期間の長さであって、過去の特定の時点ではありません。まさに「for」を使うべき典型的な場面だったのです。クラスメートの前で基本的な間違いを指摘され、顔が赤くなったのを覚えています。

先生は続けて、「Think of it this way: ‘since’ is like pointing to a specific date on the calendar, and ‘for’ is like measuring a length of time with a ruler.(カレンダーの特定の日付を指差すのが『since』で、定規で時間の長さを測るのが『for』、という風に考えるといいよ)」と分かりやすい例えで教えてくれました。

この「since=カレンダーの点」「for=定規の線」というイメージは、僕にとって非常にしっくりきました。それ以来、期間について話すときには、常に「これは起点(点)の話か?それとも期間(線)の話か?」と自問自答するようになりました。

あの時のちょっとした恥ずかしい経験と、先生の的確なアドバイスのおかげで、「since」と「for」の使い分けに対する苦手意識を克服できたように思います。あなたも、もし迷ったらこの「点」と「線」のイメージを思い出してみてくださいね。

「since」と「for」に関するよくある質問

Q1: 現在完了形以外でも「since」や「for」は使えますか?

A1: 「for」は様々な時制で使えます。過去形(例: I lived there for 2 years.)、未来形(例: I will stay for a week.)、現在進行形(例: I am staying for a week.)など、期間の長さを示したいときに広く使えます。一方、「since」は主に現在完了形や過去完了形と一緒に使われます。これは「since」が「過去の起点から現在(または過去のある時点)までの継続」を示すため、完了相との相性が良いためです。「It is ten years since I graduated.」(卒業してから10年になる)のように、現在形と共に使う構文もありますが、頻度は完了形ほど高くありません。

Q2: 「ago」と「for」はどう違いますか?

A2: 「ago」は「(現在から)〜前に」という過去の特定の時点を示す副詞です。必ず過去形と共に使われます(例: I met him three years ago.)。一方、「for」は「〜の間」という期間の長さを示す前置詞で、過去形、現在完了形、未来形など様々な時制で使えます。

  • I lived in London for two years. (私はロンドンに2年間住んでいた。) ※期間の長さ
  • I moved to London two years ago. (私は2年前にロンドンに引っ越した。) ※過去の時点

Q3: 「since」の後には、時点だけでなく「主語+動詞」の文も続けられますか?

A3: はい、続けられます。「since」は前置詞として特定の時点(名詞句)をとるだけでなく、接続詞として、過去の出来事を表す文(節)を続けることができます。この場合、「〜してから以来」という意味になります。

  • I have been much happier since I changed my job. (仕事を変えてから、ずっと幸せです。)
  • She hasn’t contacted me since she moved to another city. (彼女が他の都市に引っ越してから、私に連絡してきていません。)

この場合の「since節」の中の動詞は、通常過去形になります。

「since」と「for」の違いのまとめ

「since」と「for」、これで自信を持って使い分けられますね!

最後に、この記事の重要なポイントをもう一度おさらいしましょう。

  1. 核心は「起点」vs「期間」:「since」は過去の特定の【起点】(いつから?)。「for」は時間の【長さ・期間】(どのくらい?)。
  2. 後に続く語句:「since」の後には【時点】(例: last year, 8 PM, I arrived)。「for」の後には【期間】(例: 3 days, 5 months, a while)。
  3. 時制との関係:「since」は主に【完了形】(現在完了・過去完了)と共に使う。「for」は【様々な時制】(過去形、現在完了形、未来形など)で使える。
  4. イメージ:「since」は時間軸上の【点】から現在への矢印。「for」は時間軸上の【線】(長さ)。
  5. 似た表現:「during」は特定の期間内の出来事(前置詞+名詞)。「while」は同時に起こる出来事(接続詞+文)。

特に現在完了形を習うときにセットで登場することが多いので混同しがちですが、「since」と「for」の根本的な意味(起点か期間か)を理解すれば、他の時制での使い方にも応用できます。

英語で時間について話したり書いたりする際に、ぜひこの「起点」と「期間」の違いを意識してみてください。より正確で自然な表現ができるようになりますよ。

さらに他の英単語の使い分けを知りたくなったら、カタカナ語・外来語の違いをまとめたページが役立つかもしれません。覗いてみてくださいね。