英語で「詳細」を表すとき、「detail」と「details」、単数形と複数形のどちらを使うべきか、迷うことはありませんか?
一見単純な単複の違いに見えますが、実は文脈によって使い分けが必要な、少し厄介な言葉ですよね。
基本的には具体的な「個々の詳細事項」を指すなら複数形、抽象的な「詳細さ」を指すなら単数形と考えられますが、「in detail」のように慣用句では単数形が使われたりもします。この記事を読めば、「detail」と「details」のニュアンスの違いから具体的な使い分け、さらには類似表現との比較までスッキリ理解でき、英文メールや資料作成で自信を持って使いこなせるようになります。それでは、まず最も重要な違いから見ていきましょう。
結論:一覧表でわかる「detail」と「details」の最も重要な違い
基本的には、具体的な個々の詳細事項を複数示す場合は「details」(複数形)、詳細さという概念や一つの細部、または慣用句(in detailなど)では「detail」(単数形)を使います。迷ったら具体的な情報項目が複数あるか考えてみましょう。
まず、結論からお伝えしますね。
「detail」と「details」の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。
| 項目 | detail (単数形) | details (複数形) |
|---|---|---|
| 中心的な意味 | 個々の細部、詳細な点、些細なこと | 具体的な複数の詳細事項、細目、詳細情報全体 |
| 名詞の種類 | 可算名詞 (a detail) 不可算名詞的に使うことも (attention to detail) |
可算名詞の複数形 |
| ニュアンス | 一つの細かい点、詳細さという性質・概念、取るに足らないこと | 具体的な情報や項目が複数ある状態 |
| よく使われる場面 | ・一つの細部を指す時 ・「in detail」(詳細に) ・「attention to detail」(細部への注意) ・「go into detail」(詳細に立ち入る) |
・具体的な情報提供を求める/与える時 (例: Please give me the details.) ・複数の項目や手順を説明する時 |
| 動詞として | 詳しく述べる、詳細に計画する (他動詞) 細部を仕上げる (自動詞) |
- (動詞の複数形ではない) |
一番大切なポイントは、具体的な「詳細情報」や「細かい項目」が複数あることを意識する場合は「details」を使うということですね。
一方で、「詳細に」「細部へのこだわり」といった抽象的な意味合いや、慣用的なフレーズでは単数形の「detail」が使われる、と覚えておきましょう。
なぜ違う?言葉の核心的な意味からイメージを掴む
「detail」の語源は「切り分けること」にあり、全体から切り離された「個々の細部」を指すのが基本です。複数形の「details」は、それらが集まった具体的な「情報群」というイメージになります。
なぜこの二つの形が使い分けられるのか、言葉の成り立ち(語源)を紐解くと、そのイメージが掴みやすくなりますよ。
「detail」の核心:個々の細部・詳細な情報(不可算的な側面も)
「detail」は、フランス語の「détailler(細かく切り分ける)」、さらに遡るとラテン語の「de-(分離)」と「taliare(切る)」に由来します。
つまり、「detail」の元々のイメージは、全体から「切り分けられた」個々の細かい部分です。
この「一つひとつの細かい部分」という核心的な意味から、「a small part of something (何かの小さな部分)」(Cambridge Dictionaryより) という基本的な意味が生まれます。これが可算名詞としての「a detail」ですね。
さらに、「細部への注意 (attention to detail)」のように、個々の部分に注目する「詳細さ」という抽象的な性質・概念を表す場合もあり、このときは不可算名詞のように扱われます。
「details」の核心:複数の具体的な細部・詳細な情報群
複数形の「details」は、単に「detail」が複数ある状態を示すだけでなく、多くの場合、ある事柄に関する「具体的な情報一式」や「詳細な説明全体」を指すニュアンスで使われます。
例えば、「Please tell me the details.」と言った場合、「詳細な点をいくつか教えてください」というよりも、「その件に関する詳しい情報を一通り教えてください」という意味合いが強いですよね。
個々の「点」としてのdetailが集まって、具体的な「面」としての情報群を形成しているイメージ、それが「details」と考えると分かりやすいでしょう。
具体的な例文で使い方をマスターする
プロジェクトの計画(複数の項目)は「details」、報告書の誤字脱字(一つの細部)は「a detail」です。慣用句「in detail」は単数形を使います。
言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。
ビジネスと日常、そして間違いやすいNG例を見ていきましょう。
ビジネスシーンでの使い分け
報告、メール、会議などで頻繁に登場しますね。情報の具体性や数に注目しましょう。
【OK例文:detail (単数形)】
- Let’s discuss this plan in detail later. (この計画については後で詳細に議論しましょう。) ※慣用句
- Her presentation was good, but lacked attention to detail. (彼女のプレゼンは良かったが、細部への注意が欠けていた。) ※抽象的な性質
- There is just one minor detail I’d like to confirm. (確認したい些細な点が一つだけあります。) ※個々の細部
- Could you detail the steps required for this process? (このプロセスに必要な手順を詳しく説明していただけますか?) ※動詞
【OK例文:details (複数形)】
- Please send me the details of the meeting schedule. (会議スケジュールの詳細を送ってください。) ※具体的な情報一式
- We need to finalize the contract details by tomorrow. (明日までに契約の詳細を最終決定する必要がある。) ※複数の具体的な項目
- The manager asked for more details about the budget overrun. (部長は予算超過についてさらなる詳細情報を求めた。) ※具体的な説明
- The technical details are explained in Appendix A. (技術的な細目については付録Aで説明されています。) ※複数の具体的な項目
情報を求める・提供する文脈では、具体的な内容を示す「details」が圧倒的に多く使われる印象ですね。
日常会話での使い分け
日常会話でも考え方は同じですが、「details」の方がよく耳にするかもしれません。
【OK例文:detail (単数形)】
- Don’t worry about every little detail. (そんな細かいこと一つひとつを心配しないで。) ※個々の細部
- He explained the rules in detail. (彼はルールを詳細に説明した。) ※慣用句
- The beauty is in the detail. (美は細部に宿る。) ※抽象的な性質
【OK例文:details (複数形)】
- I need the details of your trip plan. (あなたの旅行計画の詳細が必要だ。) ※具体的な情報一式
- She told me all the juicy details about the party. (彼女はパーティーについての面白い詳細をすべて話してくれた。) ※具体的な複数の話
- Check the website for further details. (さらなる詳細はウェブサイトを確認してください。) ※具体的な情報群
これはNG!間違えやすい使い方
単数と複数を混同すると、不自然な英語に聞こえてしまいます。
- 【NG】 Please give me the detail of the event.
- 【OK】 Please give me the details of the event. (イベントに関する具体的な情報一式を求めるので複数形)
イベントに関する様々な情報(日時、場所、内容など)をまとめて求めているので、「details」が自然です。「detail」だと、何か一つの細かい点だけを求めているように聞こえかねません。
- 【NG】 He explained it in details.
- 【OK】 He explained it in detail. (「詳細に」は慣用句で単数形)
「in detail」は「詳細に」という意味の副詞句として定着しているため、複数形にはしません。これはもう、そういうものだと覚えるのが早いですね。
- 【NG】 We need to discuss one more details.
- 【OK】 We need to discuss one more detail. (「もう一つの」細かい点なので単数形)
「one more」とあるように、ここでは「一つの追加の細部」について話しているので、単数形の「detail」を使います。
【応用編】似ている言葉「information」「specifics」「particulars」との違いは?
「information」は一般的な「情報」で不可算名詞。「specifics」や「particulars」は「details」と同様に具体的な詳細情報を指す複数形の名詞で、よりフォーマルな響きを持ちます。
「詳細」を意味する言葉は他にもあります。ニュアンスの違いを知っておくと、より適切な表現ができますよ。
- information: 一般的な「情報」全般を指す不可算名詞。具体的・個別的な細部というより、知識や事実の集まり。(例:Could you give me some information about the hotel? ホテルに関する情報をいくつかいただけますか?)
- specifics: (通常複数形で)特定の、具体的な詳細事項。「details」と非常に似ているが、より正確さや明確さが求められる文脈で使われることがある。(例:Let’s get down to the specifics of the contract. 契約の具体的な詳細に入りましょう。)
- particulars: (通常複数形で)特定の事柄に関する詳細な情報。特に、名前、住所、日時などの個別の事実やデータを指すことが多い。「details」や「specifics」よりもフォーマルな響き。(例:The police officer took down the particulars of the accident. 警察官は事故の詳細な情報を書き留めた。)
大まかに言えば、「information」>「details」≒「specifics」>「particulars」の順に、より具体的で細かい個別の情報を指す度合いが強くなると言えるかもしれませんね。「specifics」と「particulars」は「details」の類義語として覚えておくと良いでしょう。
「detail」と「details」の違いを言語学的に解説
名詞「detail」は基本的に可算名詞ですが、「attention to detail」のように抽象的な質を表す際には不可算名詞的に振る舞います。複数形「details」は、具体的な個々の細部が集まった情報群を指すのが一般的です。文脈によって単数・複数が選択されます。
言語学的に見ると、「detail」の単数形と複数形の使い分けは、可算名詞と不可算名詞の境界、そして慣用表現の影響を受けています。
名詞「detail」は、辞書的には「a small individual fact or item」(Oxford Learner’s Dictionariesより) などと定義されるように、基本的には一つひとつ数えられる可算名詞(countable noun)です。そのため、「a detail」「one detail」「many details」のように、単数形・複数形が存在します。
しかし、「pay attention to detail」(細部に注意を払う)や「an eye for detail」(細部を見る目)のような表現では、個々の細部そのものというより、「詳細さ」「綿密さ」といった抽象的な質や概念を表しており、この文脈では不可算名詞(uncountable noun)のように機能しています。これは、「work」(仕事)や「experience」(経験)など他の多くの名詞にも見られる現象ですね。
慣用句「in detail」で単数形が使われるのは、この「詳細さ」という抽象的な概念が副詞的に機能しているためと考えられます。「詳細さ(という状態)において」といったニュアンスでしょう。
一方、複数形の「details」は、単に「detail」が複数ある場合(例:two important details)に加え、「the facts or pieces of information about something」(Oxford Learner’s Dictionariesより)のように、特定の主題に関する具体的な情報群全体を指す場合によく用いられます。これは、個々の「点」(detail)が集まって、より具体的な「面」(details)を形成しているイメージです。「Give me the details.」が「詳細な情報を(一通り)教えて」となるのはこのためです。
このように、「detail」と「details」の使い分けは、単なる文法的な単複の違いだけでなく、それが指す対象の具体性や抽象性、そして慣用的な用法によって決まる、と言えるでしょう。
英語メールで赤面!「detail」と「details」を間違えた体験談
僕も駆け出しの翻訳者だった頃、「detail」と「details」の使い分けで、クライアントに指摘されて赤面した苦い経験があります…
ある企業の製品マニュアルの日本語から英語への翻訳を担当したときのこと。「製品のさらに詳しい情報については、ウェブサイトをご覧ください」という一文を訳す必要がありました。
当時の僕は、「詳しい情報=detail」という単純な知識しかなく、さらに「情報ってたくさんあるだろうから複数形かな?」くらいの浅い考えで、こう訳してしまったんです。
“Please see our website for further detail.” (←惜しい!)
自分としては、「further information」と同じような感覚で使っていました。しかし、納品後のクライアントチェックで、真っ赤な修正が入って戻ってきました。
「’further detail’ は一般的ではありません。ここは『further details』が自然です。ウェブサイトには具体的な製品仕様や機能説明など、複数の詳細情報が載っているはずですよね? そういう具体的な情報群を示す場合は複数形を使います」
まさにその通りでした…。ウェブサイトには、スペック表、機能一覧、使い方ガイドなど、具体的な「詳細情報」が複数掲載されていました。それを指すなら、まさに「details」を使うべき場面だったのです。「further information」(不可算名詞)と同じ感覚で「further detail」(可算名詞)を使ってしまったのが間違いの原因でした。
単数か複数か、ただそれだけの違いですが、ネイティブにとっては不自然に聞こえる、あるいは意図が正確に伝わらない可能性があるのだと痛感しましたね。「詳細」という日本語に惑わされず、それが指す英語のニュアンス(個々の点か、具体的な情報群か)をしっかりイメージすることの大切さを学びました。
それ以来、「details」を使う場面では、「具体的な項目が複数あるかな?」と自問自答するようになりましたし、「in detail」のような慣用句はしっかり覚えるようにしています。
「detail」と「details」に関するよくある質問
Q1: 「詳細」と言いたいときは、基本的に「details」を使っておけば間違いないですか?
多くの場合、特に具体的な情報や複数の項目について話している場合は「details」(複数形)を使うのが自然です。「詳細を教えてください (Please give me the details.)」や「詳細はウェブサイトで (See the website for details.)」のように、情報を求める・示す文脈では「details」が一般的ですね。ただし、「in detail (詳細に)」や「attention to detail (細部への注意)」のような決まった言い方では単数形を使うので、注意が必要です。
Q2: 「detail」を単数形で使うのは、どんな場合ですか?
主に3つの場合があります。①「a detail」のように、数ある中の「一つの細部」や「些細な点」を指す場合 (例: This is just a minor detail.)。②「attention to detail」のように、「詳細さ」という抽象的な性質や概念を表す場合。③「in detail」や「go into detail」のような慣用句の中で使われる場合です。
Q3: 動詞としての「detail」は単数形ですか?
動詞として使う場合は、主語に合わせて形が変わります。例えば、「He detailed his plan. (彼は計画を詳しく述べた)」のように、過去形になったり、「The report details the findings. (その報告書は調査結果を詳述している)」のように三単現のsが付いたりします。名詞の単複とは別の話ですね。
「detail」と「details」の違いのまとめ
「detail」と「details」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。
最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。
- 基本は具体性と数:具体的な情報や項目が「複数」ある場合は「details」。
- 単数形「detail」の主な用法:①一つの細部 (a detail)、②詳細さという抽象概念 (attention to detail)、③慣用句 (in detail)。
- 迷ったら「details」:具体的な情報を指す文脈では「details」が使われることが多い。
- 「be comprised of」に注意:「comprise」の用法として、「is comprised of」は非推奨とされることが多い。
- 類語も活用:「information」は一般情報、「specifics」「particulars」はよりフォーマルな詳細情報。
言葉の成り立ちにある「切り分ける」というイメージを掴むと、「detail」が個々の点、「details」が具体的な情報群というニュアンスが理解しやすくなりますね。慣用句はそのまま覚えるのが確実です。
これからは自信を持って、的確な言葉を選んでいきましょう。言葉の使い分けについてさらに知りたい方は、カタカナ語・外来語の違いをまとめたページもぜひご覧ください。