「ピンス」と「かき氷」、どちらも夏の定番冷たいスイーツですよね。
見た目も似ていて、どちらも削った氷に甘いものをかけて食べるスタイルですが、実はこの二つ、似て非なるものなのです。
結論から言うと、最大の違いは「氷の原料」と「トッピング」です。
「ピンス」は牛乳や練乳などで味付けした氷を削る韓国のスイーツで、トッピングが非常に豪華なのが特徴です。一方、「かき氷」は味のない水氷を削り、後からシロップをかける日本古来の氷菓です。
この記事を読めば、韓国の「ピンス」と日本の「かき氷」の決定的な違いから、それぞれの歴史、食感、楽しみ方まで、スッキリと理解できますよ。
それでは、まず二つの違いを一覧で比較してみましょう。
結論|ピンスとかき氷の違いを一言で
「ピンス」は、牛乳や豆乳、練乳などで味付けした氷を削り、フルーツやアイス、餅などを豪華に盛り付けた韓国のスイーツです。「かき氷」は、味のない水(純水など)の氷を削り、後からシロップをかけて食べる、日本古来の氷菓です。
氷自体に味があるかないか、それが最大の違いですね。
この原料の違いが、食感の「ふわふわ」と「シャリシャリ」の違いにも直結しています。
「ピンス」と「かき氷」の違い 比較一覧表
| 項目 | ピンス | かき氷 | 
|---|---|---|
| 発祥地 | 韓国 | 日本 | 
| 氷の原料 | 牛乳・練乳・豆乳など(味付き) | 水(純水・ミネラルウォーター)(味なし) | 
| 味付け | 氷自体に味がついている | 削った後にシロップをかける | 
| 食感 | ふわふわ、サラサラ、雪のよう | シャリシャリ、ガリガリ(伝統的) | 
| トッピング | 豪華絢爛(フルーツ、アイス、餅、小豆など) | シンプル(シロップ、練乳、小豆など) | 
| 代表例 | パッピンス、マンゴーピンス、インジョルミピンス | 宇治金時、いちごミルク、みぞれ | 
ピンスとかき氷の定義と発祥地の違い
ピンスは韓国語で「氷水(ピンス)」を意味する韓国のデザートです。元々は小豆を乗せた「パッピンス」が主流でした。かき氷は日本発祥で、その歴史は非常に古く、平安時代の『枕草子』にも「削り氷(けずりひ)」として登場します。
ピンスとは?【韓国のスイーツ】
「ピンス」は、韓国語で「氷水」を意味する、韓国を代表する冷たいスイーツです。
元々は「パッピンス(Patbingsu)」と呼ばれる「パッ(小豆)」を乗せたかき氷が主流でした。これは、日本の宇治金時に近いものですね。
しかし、時代と共に進化し、現在では小豆(パッ)の乗っていない、豪華なトッピングのものが増えたため、単に「ピンス」と呼ばれることが多くなりました。
氷自体も、単なる水氷ではなく、牛乳や豆乳、ヨーグルトなどを凍らせたものが主流となっています。
かき氷とは?【日本の氷菓】
「かき氷」は、日本発祥の伝統的な氷菓。
その歴史は驚くほど古く、平安時代、清少納言の『枕草子』に「削り氷(けずりひ)」として登場します。当時は氷自体が非常に貴重なもので、貴族しか口にできない高級品でした。
一般庶民に広まったのは、明治時代に製氷機が登場してからです。1869年(明治2年)に横浜で日本初のかき氷屋が開業したとされています。
味のない純水な氷を削り、後からシロップで味を付けるというスタイルが、日本のかき氷の伝統です。
最大の違い:「氷」の原料と「トッピング」の豪華さ
ピンスは氷自体に牛乳や練乳で味がついています。かき氷は味のない水氷を使います。また、ピンスはトッピングが「豪華絢爛」 で、かき氷は比較的シンプルという違いもあります。
この二つのスイーツを決定的に分けているのが、この2つの要素です。
① 氷の原料(ミルク氷 vs 水氷)
ピンス
 最大の特徴は、氷自体に味がついていることです。牛乳や練乳、豆乳、ヨーグルトなどを凍らせた「ミルク氷」(またはフレーバー氷)を専用の機械で削って作ります。そのため、氷そのものにまろやかな甘みとコクがあります。
かき氷
 純水やミネラルウォーターなど、味がついていない「水氷」を削ります。味付けは、削った氷の上からシロップや練乳を「後がけ」して行います。氷の純粋な冷たさや食感と、シロップの味のコントラストを楽しむスタイルです。
② トッピング(豪華絢爛 vs シンプル)
ピンス
 トッピングが非常に豪華で多彩です。元祖の小豆(パッ) や餅、きな粉(インジョルミ) といった伝統的なものから、山盛りのカットフルーツ(マンゴーやイチゴ)、アイスクリーム、ナッツ、コーンフレーク、さらにはチーズケーキまで乗せることもあります。見た目も「豪華絢爛」 で、パフェに近い感覚ですね。
かき氷
 伝統的には、イチゴやメロン、レモン、抹茶(宇治)などの色鮮やかなシロップと、練乳(ミルク)が基本です。トッピングとしては、小豆(金時)や白玉、アイスクリームを乗せた「宇治金時」などが定番ですが、ピンスに比べると構成は比較的シンプルです。
味・食感・見た目の違いを徹底比較
ピンスはミルク氷を使うため、食感が「ふわふわ」「サラサラ」で雪のようです。味も氷自体が甘くまろやかです。かき氷は水氷を使うため、伝統的には「シャリシャリ」「ガリガリ」とした食感で、シロップのかかった部分の味を楽しみます。
ピンスの味と食感(ふわふわ・サラサラ)
牛乳などを凍らせた氷を専用の機械で削るため、氷の結晶が非常にきめ細かくなります。
その結果、口に入れると「ふわふわ」「サラサラ」と溶ける、パウダースノー(雪)のような食感が特徴です。
氷自体に甘みとコクがあるため、豪華なトッピングと混ざり合うことで、全体として濃厚なパフェのような味わいになります。
かき氷の味と食感(シャリシャリ・ガリガリ)
水氷を削るため、伝統的な屋台などで見られるかき氷は、「シャリシャリ」「ガリガリ」とした氷の粒感が特徴です。
氷自体に味がないため、シロップがかかっている部分の甘さと、氷だけの部分のさっぱりとした冷たさのコントラストを楽しみます。
もちろん、最近では日本でも、氷の温度管理や削り方を工夫し、ピンスのようにふわふわとした食感に仕上げた「純氷かき氷」や、台湾風のミルク氷を使ったかき氷も大人気ですが、日本の伝統的な「かき氷」は、あくまでも水氷の清涼感を楽しむものでした。
文化的な位置づけと楽しみ方
かき氷は平安時代から続く日本の「涼」を取るための夏の風物詩です。ピンスは、元々は小豆が主役の「パッピンス」 でしたが、現代韓国では若者を中心に、カフェでシェアして楽しむ「豪華なスイーツ」へと進化しています。
かき氷(日本)
 日本では、かき氷は「夏の風物詩」です。夏祭りや縁日の屋台、海の家などで食べられ、「涼」を取るための食べ物として古くから親しまれてきました。
ピンス(韓国)
 韓国では、ピンスはカフェで提供される定番スイーツの一つです。一人で一つ食べるというよりは、友人やカップルで大きな器のピンスをシェアして食べるのが一般的です。季節を問わず、豪華な見た目と味を楽しむ「ご馳走スイーツ」として定着しています。
【体験談】韓国で食べた「ピンス」と日本の夏祭りの「かき氷」
僕にとって、この二つの違いは、その「体験」と強く結びついています。
日本の「かき氷」と聞くと、まず思い浮かぶのは子供の頃に行った夏祭りです。浴衣を着て、屋台で色鮮やかなシロップをかけてもらう。プラスチックの器に入った「シャリシャリ」の氷を、舌が真っ赤になるのも構わずに頬張る。あの「夏の涼」そのものを味わう感覚が、かき氷の原体験です。
一方、「ピンス」は、数年前にソウルのカフェで初めて食べました。運ばれてきて驚いたのは、その「大きさ」と「豪華さ」です。器から溢れんばかりに盛られたマンゴーと、雪のように「ふわふわ」の氷。まさに「豪華絢爛」 という言葉がぴったりでした。
スプーンですくって口に入れると、氷がシャリシャリ言わずに、サラッと溶けていくことに衝撃を受けました。しかも氷自体がほんのり甘いミルク味。これはもう、僕の知っている「かき氷」ではありませんでした。
トッピングのマンゴーやアイスクリームとミルク氷を混ぜながら食べる体験は、もはや「涼」を取るというより、「高級なパフェ」を食べている感覚でしたね。この体験から、ピンスとかき氷は、似ているようで全く異なる食文化なのだと実感しました。
ピンスとかき氷に関するよくある質問(FAQ)
ピンスの「パッピンス」とは何ですか?
「パッピンス」は、ピンスの元祖とも言える種類です。「パッ」は韓国語で「小豆」を意味し、その名の通り、氷の上に小豆や餅、きな粉などを乗せた、伝統的なピンスのことを指します。
かき氷の歴史はいつからですか?
非常に古く、平安時代まで遡ります。清少納言の『枕草子』の中に「削り氷(けずりひ)」という記述があり、これが日本のかき氷の原型とされています。
ピンスとかき氷、どっちがフワフワですか?
一般的には「ピンス」の方が「ふわふわ・サラサラ」な食感です。これは牛乳などを混ぜた氷を削るためです。日本のかき氷は伝統的には「シャリシャリ」ですが、近年は日本でも氷の質や削り方を工夫した「ふわふわ系かき氷」が専門店を中心に大人気です。
まとめ|ピンスとかき氷、どちらを選ぶべき?
「ピンス」と「かき氷」の違い、これで明確になりましたね。
- ピンス:韓国発。ミルク氷 を使う。ふわふわ食感で、トッピングが豪華。パフェ感覚のスイーツ。
 - かき氷:日本発。水氷 を使う。シャリシャリ食感(伝統的)で、後からシロップ。涼を取るための氷菓。
 
「豪華なトッピングと、ふわふわのミルク氷でパフェのように楽しみたい時」は「ピンス」を。
「氷の冷たさとシロップのシンプルな味わいで、さっぱりと涼みたい時」は「かき氷」を選ぶのがおすすめです。
どちらもそれぞれの国の文化が生んだ素晴らしい冷たいデザートです。ぜひ、その日の気分で選んでみてください。他のスイーツ・お菓子の違いを知ることも、あなたのデザート選びをさらに豊かにしてくれるでしょう。