「ウィークエンドシトロン」と「レモンケーキ」、どちらもレモンを使った爽やかなお菓子ですが、この二つの違いをご存知でしょうか?
名前は似ていますが、実は見た目も食感も、そして発祥も異なるお菓子なんです。
結論から言うと、「ウィークエンドシトロン」はフランス発祥のパウンドケーキ型で、表面がシャリシャリした砂糖のアイシング(グラスアロー)で覆われているのが特徴です。
一方、日本で「レモンケーキ」と呼ばれるものは、レモンの形をしたスポンジやバターケーキに、ホワイトチョコレートやレモン風味のチョコレートでコーティングされているものを指すことが多いです。
この記事では、二つのお菓子の具体的な違いから、名前の由来、楽しみ方まで詳しく解説します。
結論|ウィークエンドシトロンとレモンケーキの違いを一言でまとめる
「ウィークエンドシトロン」はフランス発祥の伝統菓子で、パウンド型のレモン風味ケーキに、砂糖衣(グラスアロー)をかけたもの。シャリっとした食感が特徴です。一方、日本で「レモンケーキ」と呼ばれるものは、レモン型のケーキをレモン風味のチョコレートでコーティングしたものを指す場合が一般的です。
広い意味では、ウィークエンドシトロンも「レモンケーキ(レモンを使ったケーキ)」の一種と言えますが、日本ではこの二つは異なるお菓子として認識されていますね。
| 項目 | ウィークエンドシトロン | レモンケーキ(日本の主流) | 
|---|---|---|
| 発祥 | フランス | 日本(昭和期に人気) | 
| 主な形状 | パウンド型(長方形) | レモン型 | 
| コーティング | グラスアロー(砂糖衣、アイシング) | レモンチョコレート(ホワイトチョコ) | 
| 食感(表面) | シャリシャリ | パリッ(チョコの食感) | 
| 主な風味 | レモンの酸味と香りが強い | チョコのミルキーな甘さとレモン風味 | 
ウィークエンドシトロンとレモンケーキとは?定義と語源の違い
「ウィークエンドシトロン(Week-end Citron)」はフランス語で「週末のレモン」という意味を持つ伝統菓子です。「レモンケーキ」はレモン風味のケーキの総称ですが、日本では特にレモン型でチョコがけの焼き菓子を指す固有名詞のように使われています。
ウィークエンドシトロン (Week-end Citron) |フランスの伝統菓子
「ウィークエンドシトロン」は、フランス語で「週末のレモン」という意味を持つ、伝統的な焼き菓子です。
その名前の由来には諸説ありますが、「週末に大切な人と食べるためのお菓子」や、「日持ちがするので週末に作って週明けまで食べるから」といった素敵なストーリーが込められています。
フランスの家庭やパティスリーで古くから愛されており、レモン風味のバターケーキ(パウンドケーキ)に甘酸っぱいアイシング(グラスアロー)をかけたものが基本形です。
レモンケーキ (Lemon Cake) |日本で愛されるレモン型のお菓子
「レモンケーキ」は、その名の通り「レモン風味のケーキ」全般を指す広い言葉です。
しかし、日本で単に「レモンケーキ」と言うと、多くの人が昭和時代から愛され続けている、あの独特なレモンの形をした焼き菓子を思い浮かべるのではないでしょうか。
広島県の瀬戸内地方がレモンの産地として有名なことから、お土産としても定番となっています。
原材料・製法・仕上げ(見た目)の違い
最大の違いはコーティングです。ウィークエンドシトロンは、粉糖とレモン果汁で作る「グラスアロー(砂糖衣)」で仕上げます。日本のレモンケーキは、「レモン風味のチョコレート」で全体を覆います。
最大の違いは「形状」と「コーティング」
二つのお菓子を並べれば、その違いは一目瞭然です。
- 形状
ウィークエンドシトロン:パウンド型(長方形)で焼かれるのが一般的です。
レモンケーキ:レモン型(紡錘形)の専用型で焼かれます。 
- コーティング
ウィークエンドシトロン:粉糖にレモン果汁や水を加えて作る「グラスアロー(Glaçage à l’eau)」という砂糖衣で表面を白く化粧します。乾くとシャリシャリとした食感になるのが特徴です。
レモンケーキ:ホワイトチョコレートをベースにしたレモン風味のチョコレートで、ケーキ全体をコーティングします。冷えて固まるとパリッとした食感になります。 
原材料と製法の違い
生地自体は、どちらも小麦粉、バター、卵、砂糖、そしてレモン果汁やレモンピールを使ったバターケーキやスポンジケーキが基本です。
ウィークエンドシトロンの伝統的な製法では、焼き上がった熱いケーキにアンズ(アプリコット)ジャムを塗り、その上からグラスアローをかけることで、保湿と風味付けを行うことが多いです。
日本のレモンケーキは、スポンジ生地を型で焼き、冷ました後にチョコレートでコーティングする、という工程が一般的ですね。
味・食感・香りの違い
ウィークエンドシトロンは、グラスアローのシャリシャリした食感と、レモン果汁のストレートな酸味・香りが特徴です。日本のレモンケーキは、チョコのパリッとした食感と、ホワイトチョコのミルキーな甘さがレモン風味を包み込む、優しい味わいです。
ウィークエンドシトロンは、レモン果汁をふんだんに使った生地と、仕上げのグラスアローの両方から、レモンの酸味と香りをダイレクトに感じられます。砂糖衣のシャリシャリとした歯ざわりと、中のしっとりとした生地の対比が楽しいお菓子です。
レモンケーキは、コーティングがチョコレートであるため、ミルキーな甘さとコクが先に立ちます。レモンの風味は、その甘さの中で爽やかに香る、といった印象です。生地はスポンジ系ならふんわり、バターケーキ系ならしっとりとしています。
文化・季節・贈答シーンの違い
ウィークエンドシトロンは「週末に大切な人と食べる」というストーリー性を持ち、パティスリーの高級なギフトとして扱われます。日本のレモンケーキは、昭和レトロな雰囲気を持つ親しみやすいお土産菓子として定着しています。
ウィークエンドシトロンは、その名前の由来から、「週末のご褒美」や「大切な人への手土産」といった、少し特別感のあるシーンが似合います。フランス菓子店(パティスリー)で、洗練されたギフトとして扱われることが多いですね。
日本のレモンケーキは、どこか懐かしさを感じる「レトロスイーツ」としての側面があります。広島・瀬戸内をはじめ、各地のお土産物屋さんや昔ながらの洋菓子店で見かける、親しみやすいおやつです。
どちらもレモンが旬の季節(冬~春)や、爽やかな味わいが好まれる夏場に特に人気が高まります。
体験談|「酸味」のシトロンと「甘さ」のレモンケーキ
僕にとって「レモンケーキ」といえば、子供の頃に食べた、銀紙に包まれた黄色いレモン型のあのお菓子です。表面のレモンチョコをパリパリと先に食べて、中のスポンジを後から食べるのが好きでした。あのホワイトチョコのミルキーな甘さが、懐かしい思い出です。
一方、「ウィークエンドシトロン」を初めて知ったのは、大人になってからです。
おしゃれなパティスリーで「週末のケーキ」として売られているのを見て、最初は「ただのレモン味のパウンドケーキ?」と思いました。しかし、一切れ食べてみて衝撃を受けました。
表面のアイシングが「シャリッ!」と音を立てるほどの硬さで、そこからレモンの強烈な酸味がガツンと来たんです。生地もしっとりしていて、レモンケーキの「優しい甘さ」とは対極にある「キリッとした酸味」が主役でした。
同じレモンを使ったお菓子でも、ウィークエンドシトロンは「酸味と食感を楽しむ大人の味」、レモンケーキは「甘さと懐かしさを楽しむ優しい味」と、僕の中では明確に使い分けられていますね。
ウィークエンドシトロンとレモンケーキに関するFAQ(よくある質問)
結局、ウィークエンドシトロンはレモンケーキの一種ですか?
はい、広い意味では「レモンを使ったケーキ」なので、「レモンケーキ」のカテゴリに含まれます。ただし、日本では「レモンケーキ」という言葉が、レモン型でチョコがけの特定のお菓子を指すことが多いため、「ウィークエンドシトロンとは別物」として扱われるのが一般的です。
なぜ「ウィークエンド(週末)」という名前なんですか?
フランス語で「週末のレモン」という意味です。由来は「週末に大切な人と食べるお菓子」だから、「日持ちがするので週末に作って週明けまで食べるから」、「週末のピクニックに持っていくから」など、諸説あります。
グラスアローとアイシングは同じものですか?
グラスアローはアイシングの一種です。「アイシング」が砂糖と水分(卵白、水、牛乳など)で作る砂糖衣の総称であるのに対し、「グラスアロー(Glaçage à l’eau)」は特に粉糖と水またはレモン果汁で作る、透明感のあるシャリシャリしたアイシングを指します。
まとめ|ウィークエンドシトロンとレモンケーキ、どちらを選ぶ?
ウィークエンドシトロンとレモンケーキ、二つの違いを解説してきました。
どちらもレモンの魅力が詰まった美味しいお菓子ですが、個性は全く異なります。
- ウィークエンドシトロン:パウンド型+シャリシャリの砂糖衣(グラスアロー)。レモンの酸味が主役。
 - レモンケーキ(日本):レモン型+パリパリのチョココーティング。ミルキーな甘さが主役。
 
キリッとした酸味と上品な味わいを楽しみたい時は「ウィークエンドシトロン」を、懐かしく優しい甘さに癒されたい時は「レモンケーキ」を選ぶのがおすすめです。
その日の気分や、贈る相手の好みに合わせて、二つの「レモンのお菓子」を使い分けてみてくださいね。
ほかにも様々な「スイーツ・お菓子の違い」を紹介していますので、ぜひご覧ください。
お菓子の歴史や文化に興味がある方は、農林水産省の「食育」に関するページなども参考になりますよ。