タルタルソースと卵サンドの具材(卵サラダ)、どちらも「ゆで卵」と「マヨネーズ」をベースに作られることが多いため、見た目が似ていて混同しやすいですよね。
「結局、卵サンドの具をフライにかけたらタルタルソースになるんじゃないの?」そんな疑問を持ったことがあるかもしれません。
しかし、この二つは、発祥から目的、そして決定的な材料まで、まったく異なるものです。
この記事では、タルタルソースと卵サンドの具材の根本的な違いを、材料、作り方、そして最も重要な「用途」の観点から徹底的に比較・解説します。これを読めば、二度とこの二つを混同することなく、それぞれの魅力を正しく理解できますよ。
結論|タルタルソースと卵サンド(具)の違いが一目でわかる比較表
最大の違いは「目的」と「必須材料」です。タルタルソースは「ソース(調味料)」であり、マヨネーズにピクルスや玉ねぎなどの香味野菜を加えるのが必須です。一方、卵サンドの具は「フィリング(具材)」であり、ゆで卵が主役で、香味野菜は必須ではありません。ゆで卵はタルタルソースにも入ることがありますが、必須ではありません。
まずは、二つの違いを一覧表で比較してみましょう。
| 項目 | タルタルソース | 卵サンド(具材)/ 卵サラダ | 
|---|---|---|
| 分類・目的 | ソース(調味料) 料理(フライなど)にかける  | フィリング(具材) パンに挟む  | 
| ベース | マヨネーズ | マヨネーズ | 
| 必須の主役 | 香味野菜・ピクルス | ゆで卵 | 
| ゆで卵の扱い | みじん切りにして加えることが多い(必須ではない) | 粗く刻むか潰して、主材料として使用 | 
| その他の材料 | 玉ねぎ、パセリ、ケッパー、ディルなど | 塩、こしょう、砂糖、マスタード(好みで) | 
| 味の系統 | 酸味が強く、爽やか。具材感が強い。 | 卵の風味が主役。クリーミーでマイルド。 | 
| 主な用途 | 魚介類のフライ、チキン南蛮、カキフライなど | サンドイッチ、コッペパン、サラダのトッピング | 
タルタルソースと卵サンド(具)とは?定義と目的の違い
タルタルソースは、マヨネーズにピクルスや香味野菜を刻んで加えた「ソース」です。一方、卵サンドの具(卵サラダ)は、ゆで卵をマヨネーズで和えた「サンドイッチ用の具材(フィリング)」です。
タルタルソース(Sauce Tartare)とは?
タルタルソースは、マヨネーズをベースに、ピクルス、ケッパー、玉ねぎ、パセリ、ディルなどの香味野菜やハーブをみじん切りにして混ぜ合わせた、冷たいソースの一種です。
日本では、ゆで卵のみじん切りを加えるのが一般的ですが、本場フランスの伝統的なレシピでは卵黄のみ(または卵なし)で作ることもあり、ゆで卵は必須要素ではありません。
その目的は、揚げ物などの料理に酸味とコク、具材の食感をプラスする「調味料」としての役割です。
卵サンド(の具材)とは?
卵サンドの具材は、一般的に「卵サラダ(Egg Salad)」や「卵スプレッド」と呼ばれるものです。
これは、「ゆで卵」を主役とし、それをフォークなどで粗く潰すか刻み、マヨネーズ、塩、こしょうで和えて作られます。日本の喫茶店などでは、隠し味に少量の砂糖やマスタードを加えることもあります。
その目的は、パンに挟んで「卵サンドイッチ」という一つの「料理」を完成させるための「具材(フィリング)」としての役割です。
「ソース(脇役)」と「フィリング(主役)」という明確な違い
ここが最も重要ですね。
タルタルソースは、あくまでエビフライやアジフライといった主役の料理を引き立てるための「脇役(ソース)」です。
一方、卵サンドの具材は、それ自体がサンドイッチの味と食感の中心を担う「主役(具材)」です。
ゆで卵が「入ることもある脇役」なのか、「無くてはならない主役」なのか、という点で根本的に異なります。
主な材料と調理法の違い
タルタルソースは、ピクルスやケッパーの酸味と、玉ねぎやパセリの香味が味の核となります。卵サンドの具材は、ゆで卵の風味と食感をマヨネーズが包み込む、シンプルな構成が基本です。
決定的違いは「卵」の役割と「酸味/香味野菜」の有無
二つのレシピを比べると、その違いは明確です。
タルタルソースに必須なもの:ピクルス、ケッパー、玉ねぎなどの酸味・香味野菜。これらがないと、ただのマヨネーズソースになってしまいます。
卵サンドの具材に必須なもの:ゆで卵。これがないと卵サンドになりません。
卵サンドの具材に、みじん切りにしたピクルスや玉ねぎを入れることは稀ですよね。もし入れたとしても、主役はあくまで卵です。
逆に、タルタルソースはゆで卵を入れなくても、ピクルスや玉ねぎ、ハーブ類が入っていれば成立します。
タルタルソースの主な材料と作り方
一般的な日本のタルタルソースのレシピです。
- ゆで卵、玉ねぎ、ピクルス(または、らっきょう)をみじん切りにします。
 - 玉ねぎは水にさらして辛味を抜きます。
 - (1)と(2)の材料、刻みパセリ、マヨネーズ、レモン汁、塩、こしょうを混ぜ合わせます。
 
ポイントは、ピクルスの酸味と玉ねぎのシャキシャキとした食感です。
卵サンド(具材)の主な材料と作り方
日本の喫茶店などで定番の「卵サラダ」のレシピです。
- ゆで卵を作り、白身と黄身に分けます(分けない場合もあります)。
 - 白身はみじん切りに、黄身はボウルに入れてフォークなどで潰します。
 - 黄身にマヨネーズ、塩、こしょう(好みで砂糖少々)を加えて滑らかに混ぜます。
 - (3)に白身を加えて和えれば完成です。
 
ポイントは、卵のゴロゴロとした食感と黄身のクリーミーさを活かすことです。
味・食感・用途の違い
タルタルソースはピクルスの酸味が効いた「爽やかで具材感のある味」で、揚げ物と相性抜群です。卵サンドの具は、卵の風味がメインの「マイルドでクリーミーな味」で、パンと最高の相性を見せます。
味と食感の比較
タルタルソースは、マヨネーズのコクに加え、ピクルスや玉ねぎ由来の強い酸味とシャキシャキとした食感が特徴です。ゆで卵が入ることでマイルドさが加わりますが、あくまで味の主軸は「酸味」と「香味」です。
卵サンドの具材は、ゆで卵の優しい風味と黄身のコクが全てです。マヨネーズはそれらをまとめる「つなぎ」の役割であり、味は非常にマイルドでクリーミー。ゴロゴロとした白身の食感がアクセントになります。
用途(使い道)の違い
この違いが、二つの存在意義を決定づけています。
タルタルソースの主な用途:
 揚げ物をさっぱりと、かつ濃厚に味わうためのソースです。
- 魚介のフライ(エビフライ、カキフライ、アジフライ)
 - チキン南蛮
 - フライドチキン
 - 野菜のフライ(アスパラガス、ブロッコリーなど)
 
卵サンド(具材)の主な用途:
 パンのフィリング(具材)として使われるのがほぼ全てです。
- サンドイッチ(食パン)
 - コッペパン、ロールパン
 - サラダのトッピング(ポテトサラダに混ぜるなど)
 
卵サンドの具をエビフライにかけても、ピクルスの酸味や香味野菜のパンチがないため、物足りなく感じるでしょう。逆に、タルタルソースをパンに挟むと、ピクルスや玉ねぎの主張が強すぎて、卵の風味が負けてしまいます。
文化的背景・歴史の違い
タルタルソースのルーツはヨーロッパの「タタール族」にあり、フランス料理で確立された歴史あるソースです。一方、卵サンドの具(卵サラダ)は、サンドイッチ文化が発展する中で生まれた、比較的近代的なフィリング(具材)です。
タルタルソースの「タルタル」とは、中央アジアの遊牧民「タタール族」が語源とされています。彼らが食べていた生肉料理(タルタルステーキ)に添えられていたソース、あるいは、その料理のように「細かく刻んだ具材が入った」ソース、という意味で名付けられたと言われています。フランス料理のソースとして確立された、長い歴史を持つ調味料です。
一方、卵サンドの具材である「卵サラダ」は、マヨネーズが一般家庭に普及し、サンドイッチ文化が花開いた19世紀後半から20世紀にかけて発展したと考えられます。特に日本では、喫茶店文化とともに独自の進化を遂げ、マイルドな味わいが好まれるようになりました。
体験談|ゆで卵とマヨネーズを使っても、目指すゴールが全く違う
僕も昔は、この二つを「ゆで卵とマヨネーズの親戚」くらいに思っていました。
ある日、家でアジフライを揚げることになり、冷蔵庫にあった卵サンドの残りで「即席タルタルソース」を作ろうとしたことがあるんです。卵サンドの具に、慌てて刻んだ玉ねぎとレモン汁を足してみたんですが…。
結果は、まったくの別物でした。フライの油っぽさに、卵サンドの具の「卵のまろやかさ」が完全に負けてしまったんです。ピクルスやケッパー特有の、あの突き抜けるような「酸味」と「香り」がないと、フライの相棒にはなれないんだと痛感しました。
逆に、タルタルソースをパンに塗って食べたこともありますが、今度は玉ねぎやピクルスの主張が強すぎて、パンの風味を楽しめませんでした。
同じ「ゆで卵+マヨネーズ」という要素を持っていても、タルタルソースは「酸味で料理を切る」のが仕事、卵サンドは「卵のまろやかさでパンを包む」のが仕事。目指しているゴールが全く違うんだと、失敗から学びましたね。
タルタルソースと卵サンドに関するFAQ(よくある質問)
タルタルソースにゆで卵は絶対必要ですか?
いいえ、必須ではありません。日本ではゆで卵を入れるのが非常に一般的ですが、本場フランスの伝統的なレシピや、イギリスのフィッシュ・アンド・チップスに添えられるタルタルソースは、ゆで卵が入っていないことも多いです。マヨネーズにピクルス、ケッパー、ハーブ類だけでも成立します。
卵サンドの具材にピクルスを入れるのはアリですか?
もちろん、アレンジとしてはアリです!ピクルスを細かく刻んで加えれば、食感と酸味がアクセントになります。ただし、それを「日本の喫茶店風の卵サンド」と呼ぶかは別問題ですね。どちらかというと、アメリカの「エッグサラダサンド」に近い味わいになるかもしれません。
結局、一番の違いは何ですか?
「ピクルス(またはケッパーなどの酸味・香味野菜)が入っているかどうか」が、最も分かりやすい違いです。ピクルスが入っていればタルタルソース、入っておらず卵が主役なら卵サンドの具材(卵サラダ)と判断して、ほぼ間違いないでしょう。
まとめ|タルタルソースと卵サンドの違いを理解して使い分けよう
タルタルソースと卵サンド(具材)の違い、これでスッキリしましたでしょうか。
- タルタルソース:ソース(調味料)。主役は「ピクルス」や「香味野菜」の酸味と食感。揚げ物(魚介フライなど)の味を引き立てる。
 - 卵サンド(具材):フィリング(具材)。主役は「ゆで卵」のマイルドな風味とコク。パンに挟んで食べる。
 
「ゆで卵+マヨネーズ」は共通要素になることがありますが、料理としての目的と、味の核となる必須材料が全く異なります。
フライには酸味の効いたタルタルソースを、パンにはまろやかな卵サンドの具を。それぞれのベストパートナーを理解して、毎日の食卓をより豊かに楽しんでくださいね。
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