アペロールとカンパリの違いとは?味・色・度数で選ぶイタリアンリキュール

アペロールとカンパリ、どちらもイタリア生まれの鮮やかなリキュールですよね。

バーの棚で、美しいオレンジ色のアペロールと、情熱的な赤色のカンパリが並んでいるのを見たことがある方も多いでしょう。

最大の違いは、アペロールが「アルコール度数が低く(約11%)、甘みが主体」であるのに対し、カンパリは「アルコール度数が高く(約25%)、ハーブの複雑な苦味」が特徴である点です。

この記事を読めば、この二つのリキュールの個性、代表的なカクテル、そして歴史的な背景までスッキリと理解できます。

その日の気分や好みに合わせて、完璧な一杯を選べるようになりますよ。それでは、詳しく見ていきましょう。

結論|アペロールとカンパリの違いを一言でまとめる

【要点】

アペロールとカンパリは、どちらもイタリアを代表する「ビターリキュール(苦味酒)」の一種です。最も大きな違いは「アルコール度数」「味のバランス」にあります。アペロールは度数が低く(約11%)甘みが強いのが特徴で、カンパリは度数が高く(約25%)シャープな苦味が際立っています。

まずは、この二つのリキュールの違いを一覧表で比較してみましょう。これを見るだけで、個性が全く違うことが一目でわかりますよね。

項目アペロール (Aperol)カンパリ (Campari)
分類ビターリキュール(食前酒)ビターリキュール(食前酒)
発祥イタリア・パドヴァ(1919年)イタリア・ミラノ(1860年)
鮮やかなオレンジ色鮮やかな赤色
アルコール度数約11%(低い)約25%(高い)
主な風味ビターオレンジ、スイートオレンジ、ハーブビターハーブ、スパイス、柑橘類の皮
味のバランス甘み > 苦味(甘く軽やか)苦味 > 甘み(シャープで複雑)
代表的なカクテルアペロール・スプリッツネグローニ、カンパリ・ソーダ

どちらも「食前酒(アペリティーボ)」として愛されていますが、そのキャラクターは対照的です。

決定的な違い:色・アルコール度数・味わい

【要点】

アペロールは「オレンジ色」でアルコール度数「約11%」。味わいは甘みが強く、オレンジの風味が際立ち、苦味はマイルドです。一方、カンパリは「赤色」でアルコール度数「約25%」。味わいは甘さよりもシャープな苦味が特徴で、ハーブの香りが複雑に絡み合います。

アペロール(Aperol):オレンジ色の甘く軽やかなリキュール

アペロールの最大の特徴は、その鮮やかなオレンジ色約11%という低いアルコール度数です。

味わいは、ビターオレンジやスイートオレンジ、ルバーブ(ダイオウ)などが主原料とされており、甘みが主体。その中にハーブの香りと心地よい苦味が感じられます。

カンパリに比べると苦味は非常にマイルドで、アルコール度数も低いため、お酒があまり強くない人でも飲みやすいのが特徴です。

カンパリ(Campari):赤色のビターで複雑なリキュール

カンパリの象徴は、その鮮やかな赤色(カンパリレッド)と、約25%という比較的高めのアルコール度数です。

味わいは、アペロールとは対照的に、甘さよりもシャープで明確な苦味が前面に出ています。様々なハーブやスパイス、柑橘類の皮などが使われており、そのレシピは現在も秘密にされています。

一口飲むと、強い苦味と共に、ハーブの複雑な香りが広がり、後味はドライでキレがあります。まさに「大人の味わい」と言えるリキュールです。

原材料と製造方法の違い(リキュールとしての共通点)

【要点】

どちらも薬草や香草、果皮などをアルコールに浸漬して成分を抽出し、砂糖やシロップを加えて造られる「ビターリキュール」です。アペロールはオレンジやルバーブが主体ですが、カンパリは数十種類のハーブやスパイスが使われているとされ、どちらも正確なレシピは秘伝となっています。

どちらも「ビターリキュール」という仲間

アペロールもカンパリも、製造方法のカテゴリーとしては「リキュール」に分類されます。具体的には、ハーブやスパイス、果皮などの苦味成分を特徴とする「ビターリキュール(苦味酒)」の仲間です。

どちらもベースとなるスピリッツ(中性アルコール)に、それぞれのボタニカル(ハーブ、スパイス、果皮など)を浸漬(しんし)して成分を抽出し、その後、シロップ(砂糖水)や着色料(天然由来)を加えて完成します。

原材料(アペロール:オレンジ/カンパリ:ハーブ)

両者の決定的な違いを生み出しているのが、浸漬するボタニカルです。

アペロールの主な原材料は、ビターオレンジ、スイートオレンジ、ルバーブ(ダイオウ)、キナ(キニーネの原料)など、比較的マイルドなハーブや果実が中心です。これが、あの軽やかでフルーティーな味わいを生み出しています。

カンパリの原材料は、現在も正確なレシピが公開されていません。一説には60種類以上ものハーブやスパイスが使われていると言われています。この複雑なボタニカルの組み合わせが、カンパリにしか出せない独特の深い苦味と香りを生み出しているのです。

味・香り・甘さ・苦味の違いを比較

【要点】

アペロールは「甘み > 苦味」で、オレンジのフルーティーな香りが特徴です。カンパリは「苦味 > 甘み」で、ハーブの複雑な香りとシャープな苦味が特徴です。アペロールの方が圧倒的に甘く、飲みやすいと言えます。

実際に飲む際に感じる違いを、もう少し具体的に比較してみましょう。

アペロールの味わい:甘くフルーティー

アペロールをストレートで少量舐めてみると、まずオレンジキャンディのようなはっきりとした甘みを感じます。その後に、ビターオレンジの皮のような、非常にマイルドで心地よい苦味が追いかけてきます。

香りは、まさに「オレンジ」そのもの。非常にフルーティーで、軽快な印象です。炭酸で割ると、その甘さと香りが一層引き立ち、非常に飲みやすいカクテルになります。

カンパリの味わい:シャープな苦味と複雑なハーブ香

カンパリをストレートで舐めると、アペロールとは対照的に、まずガツンとシャープな苦味が舌を刺激します。甘みは控えめで、味わいの土台を苦味がしっかりと支えています。

香りは、単純なオレンジ香ではなく、様々なハーブ、スパイス、木の皮などが混ざり合った、薬草酒のような複雑で奥深い香りがします。炭酸で割っても、この「苦味」と「ハーブ香」は全く薄れず、強い個性を放ち続けます。

飲み方・代表的なカクテルの違い

【要点】

アペロールは、白ワインやスパークリングワイン(プロセッコ)で割る「アペロール・スプリッツ」が世界的に有名です。一方、カンパリは「カンパリ・ソーダ」や「カンパリ・オレンジ」のほか、ジンとベルモットで割る「ネグローニ」というカクテルの主役としても知られています。

どちらも食前酒として愛されていますが、その代表的なカクテルは全く異なります。

アペロールの代表格「アペロール・スプリッツ」

アペロールといえば、「アペロール・スプリッツ」です。これはアペロールの消費量の多くを占めると言われるほど、世界的に人気のカクテルです。

【作り方】
アペロール、スパークリングワイン(主にプロセッコ)、ソーダ(炭酸水)を「3:2:1」の割合で氷の入ったグラスに注ぎ、オレンジスライスを飾ります。

アペロールの甘みとプロセッコのフルーティーさ、炭酸の爽快感が組み合わさり、アルコール度数も低めで非常に飲みやすいのが特徴です。

カンパリの代表格「ネグローニ」「カンパリ・ソーダ」

カンパリは、その強い個性を生かしたカクテルが数多く存在します。

  • カンパリ・ソーダ:カンパリを炭酸水で割るだけのシンプルなカクテル。カンパリ本来の苦味と香りをスッキリと楽しめます。
  • カンパリ・オレンジ:カンパリをオレンジジュースで割ったカクテル。カンパリの苦味とオレンジの甘酸っぱさが見事に調和します。
  • ネグローニ:カンパリ、ジン、スイートベルモットを「1:1:1」で合わせる、非常に有名なクラシックカクテル。濃厚で、苦味・甘み・ハーブ感が一体となった複雑な味わいが特徴です。

文化・歴史・発祥の違い(イタリア)

【要点】

どちらもイタリアの食前酒(アペリティーボ)文化を代表するリキュールです。先に誕生したのはカンパリ(1860年・ミラノ)で、その独特の赤色と苦味で世界に広まりました。アペロールは1919年にパドヴァで生まれ、戦後にスプリッツの流行と共に人気が爆発しました。現在、両ブランドは同じカンパリグループの傘下にあります。

アペロールの歴史(1919年・パドヴァ)

アペロールは、1919年にイタリア北東部の都市パドヴァで、バルビエリ兄弟によって生み出されました。

「アペロール」という名前は、食前酒を意味するフランス語の俗語「アペロ(Apero)」に由来しています。当初から食前酒として設計されており、特に第二次世界大戦後、ヴェネト州の「スプリッツ」(白ワインのソーダ割り)と組み合わさることで、その人気がイタリア全土、そして世界へと広がりました。

カンパリの歴史(1860年・ミラノ)

カンパリの歴史はさらに古く、1860年にミラノ近郊のノヴァーラで、ガスパーレ・カンパリによって発明されました。

ミラノのドゥオーモ広場に「カフェ・カンパリ」を開店すると、その鮮烈な赤色と独特の苦い味わいは、芸術家や知識人たちの間で瞬く間に人気となりました。

20世紀初頭にはソーダと組み合わせた「カンパリ・ソーダ」が、その後「ネグローニ」が誕生するなど、カクテル文化の発展と共に世界的なリキュールとしての地位を確立しました。

ちなみに、2003年にカンパリグループがアペロールを買収したため、現在はこの二つのリキュールは同じ会社のブランドとなっています。

体験談|アペロールスプリッツとカンパリソーダを飲み比べて

僕もイタリアンバールで、この二つを飲み比べるのが大好きです。特に、夏の暑い日の夕方にテラス席で飲む一杯は格別ですよね。

ある日、友人と「今日はアペリティーボ(食前酒)を楽しもう」と決め、僕は「アペロール・スプリッツ」を、友人は「カンパリ・ソーダ」を注文しました。

僕のアペロール・スプリッツは、夕焼けのような美しいオレンジ色。一口飲むと、プロセッコの泡と共にオレンジの甘みがふわっと広がり、後から本当にわずかな苦味が味を引き締めます。アルコールも軽く、まるで「飲む前菜」のように、会話を弾ませながらゴクゴク飲めてしまいます。

次に、友人のカンパリ・ソーダを一口もらいました。こちらは鮮やかなルビーレッド。グラスを近づけただけで、ハーブや薬草のような複雑な香りがします。口に含むと、甘さはほとんど感じず、舌の奥を「キュッ」と刺激するようなシャープな苦味が駆け抜けました。これはゴクゴク飲むというより、一口ずつ、その苦味で味覚を目覚めさせるような感覚です。

「なるほど、これが本場の食前酒か」と納得しました。

アペロールが「楽しい時間の始まり」を告げる飲みやすい一杯なら、カンパリは「これから始まる食事への準備」を整える、ビターなスイッチのような存在だと感じました。どちらも最高ですが、僕はその日の気分で、甘くリラックスしたい時はアペロール、キリッとしたい時はカンパリ、と使い分けています。

アペロールとカンパリに関するよくある質問

結局、どっちが苦いですか?

圧倒的にカンパリの方が苦いです。アペロールは甘みが主体で苦味はマイルドですが、カンパリはシャープで複雑な苦味が最大の特徴です。苦いお酒が苦手な方は、まずアペロールから試してみることをお勧めします。

アルコール度数が高いのはどっちですか?

カンパリの方が高いです。カンパリが約25%なのに対し、アペロールは約11%と、カンパリの半分以下のアルコール度数です。お酒に弱い方でも、アペロール・スプリッツなら比較的安心して楽しめるでしょう。

お互いをカクテルで代用できますか?

例えば、「ネグローニ」のカンパリをアペロールに代えることは可能ですが、味わいは全く別物になります。苦味が減り、甘みが強くなるため、軽やかで飲みやすいカクテルになりますが、本来のネグローニが持つビターで重厚な味わいは失われます。代用は可能ですが、全く違うカクテルになると理解しておくと良いでしょう。

まとめ|アペロールとカンパリ、どちらを選ぶべきか?

アペロールとカンパリの違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。

どちらもイタリアの「アペリティーボ(食前酒)」文化を象徴する素晴らしいリキュールですが、その個性は全く異なります。

アルコール度数が低めで、甘くフルーティー、飲みやすい食前酒を楽しみたい時は「アペロール」。(特に「アペロール・スプリッツ」がおすすめです)

アルコール度数が高めで、ハーブの効いたシャープな苦味、複雑な大人の味わいを楽しみたい時は「カンパリ」。(「カンパリ・ソーダ」や「ネグローニ」でどうぞ)

このように覚えておけば、あなたの好みやシーンに合わせて完璧な一杯を選べます。

どちらも素晴らしい飲み物・ドリンクの世界です。ぜひ様々なアルコール類を試して、イタリアの豊かな食前酒文化を楽しんでみてください。