ブランデーとウイスキーの違いとは?原料が「果実」か「穀物」かを徹底比較

ブランデーとウイスキー、どちらも美しい琥珀色をした、アルコール度数の高いお酒ですよね。

バーのカウンターに並んでいると、見た目が似ているため「何が違うんだろう?」と疑問に思ったことがあるかもしれません。

最も決定的な違いは「原材料」です。ブランデーはブドウなどの「果実」から造られるのに対し、ウイスキーは大麦やトウモロコシなどの「穀物」から造られます。

どちらも「蒸留」と「木樽熟成」という工程を経る点は共通していますが、原料が全く異なるため、味わいや香りも対照的な個性を持っています。

この記事を読めば、この二つの高貴な蒸留酒の違いが明確になり、自信を持って選べるようになりますよ。

それでは、詳しく見ていきましょう。

結論|ブランデーとウイスキーの違いを一言でまとめる

【要点】

ブランデーとウイスキーの最大の違いは「原材料」です。ブランデーはブドウなどの「果実」を原料にした醸造酒(ワインなど)を蒸留し、木樽で熟成させた蒸留酒です。一方、ウイスキーは「穀物」(大麦、トウモロコシなど)を原料に発酵・蒸留させ、木樽で熟成させた蒸留酒です。

まずは、この二つの違いを表で比較してみましょう。

項目ブランデー (Brandy)ウイスキー (Whisky/Whiskey)
分類(酒税法)蒸留酒類蒸留酒類
主な原材料果実(主に白ブドウ、リンゴ、サクランボなど)穀物(大麦、ライ麦、トウモロコシなど)
製造工程果実酒(ワイン)を蒸留し、木樽で熟成穀物を糖化・発酵・蒸留し、木樽で熟成
味わい・香り原料の果実由来のフルーティーで華やかな香り原料の穀物と樽由来の香ばしさ、スモーキーさ(ピート使用時)
琥珀色(木樽熟成に由来)琥珀色(木樽熟成に由来)
主な度数約40%約40%~45%
糖質ほぼゼロほぼゼロ
主な飲み方ストレート、ロック、水割り、ソーダ割りハイボール(ソーダ割り)、ロック、ストレート

決定的な違い:原料が「果実」か「穀物」か

【要点】

ブランデーは「ブドウ」や「リンゴ」などの果実が原料です。一方、ウイスキーは「大麦」や「トウモロコシ」などの穀物が原料です。これが、味わいや香りの根本的な違いを生み出しています。

ブランデーとは?(果実原料の蒸留酒)

ブランデーは、オランダ語の「焼いたワイン(ブランデウェイン)」が語源と言われています。

その名の通り、基本的にはブドウを原料とした醸造酒(白ワイン)を蒸留し、木樽で熟成させて造られます。フランスの「コニャック」や「アルマニャック」が有名ですよね。

また、ブドウ以外の果実から造られるブランデーも多くあります。リンゴが原料なら「カルヴァドス」(フランス)、サクランボが原料なら「キルシュヴァッサー」(ドイツ)と呼ばれます。

ウイスキーとは?(穀物原料の蒸留酒)

ウイスキーは、大麦、ライ麦、トウモロコシなどの穀物を原料として造られる蒸留酒です。

スコットランドの「スコッチウイスキー」、アイルランドの「アイリッシュウイスキー」、アメリカの「バーボンウイスキー」、カナダの「カナディアンウイスキー」、そして日本の「ジャパニーズウイスキー」が世界5大ウイスキーとして知られています。

原料とする穀物の種類や配合比率、製造方法の違いによって、それぞれの産地に個性的な味わいが生まれます。

製造工程の違い(糖化の有無)

【要点】

どちらも「発酵→蒸留→熟成」という工程は共通です。しかし、ウイスキーは原料の穀物のデンプンを糖分に変える「糖化」という工程(麦芽の酵素を使用)が必須です。ブランデーは原料の果実自体に糖分が含まれているため、糖化の必要がありません。

どちらも「蒸留酒」であり、「木樽熟成」を行う点は共通していますが、発酵前のプロセスに大きな違いがあります。

ブランデーの製法(ワインを蒸留・熟成)

ブランデーの原料であるブドウやリンゴなどの果実には、最初から糖分(果糖)が含まれています。

そのため、果実を破砕して酵母を加えるだけで、すぐにアルコール発酵が始まります。この発酵液(ワインやシードル)を蒸留し、木樽で熟成させることでブランデーが完成します。

ウイスキーの製法(穀物を糖化・蒸留・熟成)

ウイスキーの原料である大麦やトウモロコシなどの穀物は、主成分がデンプンであり、糖分を含んでいません。

そのため、酵母がアルコール発酵できるように、まずデンプンを糖分に変える「糖化」という工程が必須です。この糖化のために、大麦を発芽させた「麦芽(モルト)」の酵素が使われます。

糖化させてできた甘い麦汁(ばくじゅう)を発酵させ、蒸留し、木樽で熟成させることでウイスキーが完成します。

味・香り・色の違いを比較

【要点】

ブランデーは、原料の果実由来のフルーティーで華やかな香りが特徴です。ウイスキーは、穀物と樽に由来する香ばしい香りや、スモーキーな香り(ピート香)が特徴です。色はどちらも熟成による琥珀色ですが、その香りの系統が全く異なります。

味わいと香り(ブランデー:フルーティー/ウイスキー:スモーキー・樽香)

この二つの最大の違いは「香り」にあります。

ブランデー
原料がブドウやリンゴなどの果実であるため、非常にフルーティーで、甘く華やかな香りが特徴です。木樽で熟成させることで、まろやかさと深いコクが加わりますが、香りの根底にあるのはあくまで果実の芳香です。

ウイスキー
原料の穀物と、熟成させる木樽に由来する香りが主体です。樽由来のバニラのような甘い香り、香ばしい香り(トースト香)が感じられます。特にスコッチウイスキーなどは、麦芽を乾燥させる際にピート(泥炭)を焚くことがあり、それによって薬品や煙のような独特の「スモーキーな香り(ピート香)」が付与されます。

色の違い(どちらも木樽由来の琥珀色)

蒸留したてのブランデー(オー・ド・ヴィー)もウイスキー(ニューポット)も、どちらも無色透明の液体です。

私たちが目にする美しい琥珀色は、どちらも木樽での長期熟成によって、樽の成分が溶け出して付いた色なのです。

つまり、見た目の色は似ていますが、その液体に含まれる香りの成分(果実由来か、穀物・ピート由来か)が全く異なるわけですね。

アルコール度数と健康面(糖質・プリン体)の違い

【要点】

アルコール度数は、ブランデーもウイスキーも40%程度が主流です。どちらも蒸留酒であるため、製造工程で糖分やプリン体は除去され、糖質・プリン体はほぼゼロです。ただし、アルコール自体のカロリーは含まれます。

アルコール度数
どちらもアルコール度数が高いお酒です。日本の酒税法上、どちらも上限はありませんが、市販されている製品は40%程度のものが主流です。

健康面(糖質・プリン体)
ブランデーもウイスキーも、蒸留の過程で糖質やプリン体は取り除かれます。そのため、どちらも糖質はほぼゼロです。

健康志向で糖質を控えている方にとっては、どちらも選びやすいお酒と言えます。ただし、アルコール度数が高い分、カロリーは高めなので、飲み過ぎには注意が必要です。

飲み方・シーン別の楽しみ方

【要点】

ウイスキーは「ハイボール(ソーダ割り)」で食中酒として楽しまれるのが人気ですが、ブランデーは「ストレート」や「ロック」で、食後にその華やかな香りをじっくりと楽しむのが伝統的なスタイルです。

ブランデーの飲み方(ストレート、ロック、水割り)

ブランデーは、そのフルーティーで華やかな香りを最大限に楽しむため、ストレートロックで飲むのが伝統的なスタイルです。特にコニャックなどは、手のひらでグラスを温めながら、立ち上る香りをゆっくりと楽しみます。

もちろん、水割りやソーダ割り(ブランデー・ハイボール)にしても美味しく、近年ではその飲み方も広がっています。

ウイスキーの飲み方(ハイボール、ロック、ストレート)

ウイスキーは非常に多彩な飲み方ができるのが魅力です。

  • ハイボール(ソーダ割り):日本では最もポピュラーな飲み方です。炭酸がウイスキーの香りを引き立て、爽快な飲み口で食中酒として最適です。
  • ロック:氷で冷やすことで香りが引き締まり、氷が溶けるにつれて味わいが変化します。
  • ストレート:ウイスキー本来の個性(スモーキーさや樽の香り)をダイレクトに楽しむ飲み方です。

法律(酒税法)上の区分

【要点】

日本の酒税法では、ウイスキーもブランデーも同じ「蒸留酒類」に分類されます。その中での明確な違いは、ウイスキーが「穀類」を原料とし、ブランデーが「果実」を原料とする点です。

日本の酒税法において、ウイスキーとブランデーは、どちらも「蒸留酒類」に分類されています。

法律上も、その定義は原材料によって明確に分けられています。

  • ウイスキー:発芽させた「穀類」及び水を原料として糖化させて、発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの…
  • ブランデー:「果実」若しくは果実及び水を原料として発酵させたアルコール含有物…を蒸留したもの…

(※詳細は国税庁「酒のしおり」などでご確認いただけます。)

体験談|コニャックとスモーキーなスコッチを飲み比べて

僕がまだ20代の頃、バーで「格好つけて」どちらもロックで飲み比べたことがあります。

まず注文したのは「ウイスキー(スモーキーなスコッチ)」。グラスを傾けると、薬品や正露丸にも例えられる、強烈な「煙の香り(ピート香)」が鼻を突きました。味わいはドライで、アルコールの刺激と共に香ばしさとスモーキーさが口に広がりました。まさに「荒々しい大人の味」という印象でした。

次に注文したのは「ブランデー(コニャック)」。先ほどのウイスキーと同じ琥珀色ですが、香りは全くの別物。グラスから立ち上るのは、マスカットやレーズンのような、甘く、うっとりするような果実の香りでした。口に含むと、アルコールの強さは同じはずなのに、驚くほどまろやかで、口当たりが柔らかく感じました。

「同じ蒸留酒で、同じ色なのに、こんなにも香りが違うのか!」と衝撃を受けました。

ウイスキーが「大地の恵み(穀物)と火(ピート)と時間の芸術」だとすれば、ブランデーは「太陽の恵み(果実)と時間の芸術」だと感じました。この体験以来、スッキリしたい時はウイスキーのハイボール、ゆったりと香りを楽しみたい時はブランデーのロック、というように使い分けています。

ブランデーとウイスキーに関するよくある質問

結局、どっちが格上(高級)なんですか?

どちらが格上ということはありません。どちらにも手頃な価格のものから、非常に高価な高級品まで存在します。ウイスキーは熟成年数(12年、18年など)が価格に反映されやすく、ブランデーは産地(コニャックやアルマニャック)や等級(VSOP、XOなど)が価格に大きく影響します。

アルコール度数が高いのはどっちですか?

どちらも40%程度のものが主流で、大きな差はありません。ただし、ウイスキーには「カスクストレングス」と呼ばれる、樽から出した原酒そのままの60%近い度数のものもあり、製品ラインナップの幅としてはウイスキーの方が高アルコールのものが多いと言えます。

ハイボールはブランデーでも作れますか?

はい、作れます。ブランデーを炭酸水で割ったカクテルは「ブランデー・ソーダ」や「フレンチ・ハイボール」と呼ばれます。ウイスキーのハイボールとは異なり、ブランデー特有のフルーティーで華やかな香りが炭酸によって引き立ち、非常に爽やかで飲みやすいカクテルになります。

まとめ|ブランデーとウイスキー、どちらを選ぶべきか?

ブランデーとウイスキーの違い、スッキリ整理できたでしょうか。

見た目の色は似ていますが、その中身は全くの別物です。

ブドウやリンゴなどの果実由来の、フルーティーで華やかな香りをじっくりと楽しみたい時は「ブランデー」。

大麦やトウモロコシなどの穀物由来の、香ばしい樽の香りやスモーキーな個性を、ハイボールやロックで楽しみたい時は「ウイスキー」。

このように覚えておけば、気分やシーンに合わせて最適なお酒を選べますよ。

どちらも「蒸留酒」という奥深い飲み物・ドリンクの世界です。ぜひ様々なアルコール類を試して、あなた好みの一杯を見つけてみてください。