リキュールと焼酎、どちらもアルコール度数が高めのお酒で、カクテルの材料としても使われることがありますよね。
ですが、この二つは法律上も、味わいの点でも、全く異なるカテゴリーに属するお酒です。
最大の違いは、焼酎が「蒸留酒」というお酒の“種類そのもの”であるのに対し、リキュールは蒸留酒(焼酎やウォッカなど)をベースに、果実やハーブの風味、そして“砂糖(糖類)”を加えて造られる「混成酒(こんせいしゅ)」である点です。
つまり、「焼酎」はお酒のベース(土台)であり、「リキュール」はベースのお酒に甘みと香りを加えた完成品(あるいはカクテルの材料)なのです。
この記事を読めば、その根本的な違いから、味、糖質の有無、カクテルでの役割までスッキリと理解できますよ。
結論|リキュールと焼酎の違いを一言でまとめる
リキュールと焼酎の最大の違いは「糖類が加えられているか」です。焼酎は、穀物や芋などを発酵・蒸留して造る「蒸留酒」であり、それ自体に糖分は(ほぼ)含まれません。一方、リキュールは、焼酎やウォッカなどの蒸留酒をベースに、果実やハーブの風味と「糖類」を加えて造られる「混成酒」であり、必ず甘みがあります。
まずは、この二つの違いを一覧表で比較してみましょう。
| 項目 | リキュール (Liqueur) | 焼酎 (Shochu) |
|---|---|---|
| 分類(酒税法) | 混成酒類 | 蒸留酒類 |
| 主な原材料 | ベースの蒸留酒 + 糖類 + 果実、ハーブ、クリーム等 | 穀類(米、麦)、芋類(さつまいも)、そば、黒糖など |
| 製造工程 | 蒸留酒に、香味原料と糖類を添加・浸漬する | 原料を発酵させ、蒸留する |
| 糖質(甘み) | 必ず含まれる(甘い) | ほぼゼロ(甘くない) |
| アルコール度数 | 15%~55%程度と幅広い | 20%~25%が主流(45%以下) |
| 主な用途 | カクテルの味付け、食後酒 | お湯割り、水割り、ソーダ割り(チューハイ)のベース |
決定的な違い:「混成酒」と「蒸留酒」という法律上の分類
日本の酒税法において、焼酎は「蒸留酒類」に分類されます。一方、リキュールは「混成酒類」に分類されます。混成酒とは、蒸留酒や醸造酒に、糖類や他の原料(果実、ハーブなど)を加えて造られるお酒です。
リキュールとは?(お酒+糖+香味)
「リキュール」は、日本の酒税法上「混成酒類」に分類されます。
その定義は、「酒類と糖類その他の物品(酒類を含む。)を原料とした酒類でエキス分が2度以上のもの」とされています。
少し分かりにくいですが、要するに「ベースとなるお酒(蒸留酒や醸造酒)」に、「糖類(砂糖やシロップ)」と「その他の物品(果実、ハーブ、クリーム、スパイスなど)」を加えて風味付けしたお酒、ということです。
エキス分が2度以上という規定が重要で、これは主に糖分を指します。つまり、リキュールは必ず甘みが含まれるお酒なのです。
焼酎とは?(原料を蒸留したお酒)
「焼酎」は、酒税法上「蒸留酒類」に分類されます。
その定義は、穀類や芋類などを原料として発酵させ、その「もろみ」を「蒸留」して造ったお酒です。蒸留によってアルコール分を凝縮させるため、アルコール度数が高くなります。
リキュールと違い、製造工程で糖類を加えることはありません。そのため、糖質は(ほぼ)ゼロとなります。
原材料と製造工程の違い
焼酎は「芋」「麦」「米」などの原料を発酵・蒸留し、原料の風味を引き出すお酒です。リキュールは、完成した焼酎やウォッカなどの蒸留酒に、果実やハーブ、砂糖などを足す(加える)お酒です。
リキュール(ベースは多彩、糖と香りを「足す」)
リキュールの製造は「足し算」のイメージです。
- ベース:まず、焼酎(甲類)、ウォッカ、ラム、ジン、ブランデーなど、クセのない蒸留酒(スピリッツ)を用意します。
- 香味付け:ベースのお酒に、果実(カシス、オレンジなど)、種子(コーヒー、カカオなど)、ハーブ、クリームなどを浸漬(しんし)したり、香りを抽出したりします。
- 甘み付け:最後に、砂糖やシロップを加えて甘みを調整し、完成です。
カシスリキュール、梅酒(リキュールの一種)、カルーア(コーヒーリキュール)など、その風味は無限大です。
焼酎(原料は穀物・芋、風味を「引き出す」)
焼酎の製造は「引き算」と「凝縮」のイメージです。
- 原料:米、麦、さつまいも、そばなどの穀類・芋類を使います。
- 糖化:原料のデンプンを「麹(こうじ)」の力で糖分に変えます。
- 発酵・蒸留:糖分を酵母で発酵させて「もろみ」を造り、それを蒸留器で加熱し、アルコール分を凝縮(抽出)します。
この蒸留の仕方によって、風味も分かれます。
- 甲類焼酎(連続式蒸留):何度も蒸留を繰り返すため、純度の高いアルコールになり、クセのないクリアな味わいになります。
- 乙類焼酎(単式蒸留):一度(または二度)しか蒸留しないため、芋や麦といった原料の風味が強く残ります。「本格焼酎」とも呼ばれます。
味・香り・アルコール度数の違いを比較
リキュールは必ず甘く、原料(カシスやコーヒーなど)の香りがそのままします。焼酎(乙類)は甘くなく(糖質ゼロ)、芋や麦などベース原料の素朴な香りがします。度数はリキュール(15%~)の方が幅広いです。
味(リキュール:甘い/焼酎:ドライ、または素材の甘み)
リキュールは、酒税法の定義通り、エキス分(糖分)を含むため、必ず甘いです。カシスリキュールやピーチリキュールなど、果実の甘さが際立ちます。
焼酎は、蒸留酒なので甘くありません(糖質ゼロ)。味わいはドライです。ただし、芋焼酎(乙類)などは、サツマイモ由来の「甘い香り」がするため、味わいも甘いと錯覚することがありますが、糖分としての甘さではありません。
香り(リキュール:多彩な原料香/焼酎:麹と原料香)
リキュールの香りは、加えられた香味原料(果実、ハーブ、ナッツなど)の香りがストレートにします。非常に華やかで多彩です。
焼酎(特に乙類)の香りは、麹(こうじ)由来の香ばしさや、主原料(さつまいも、麦、米など)の素朴で力強い香りです。
アルコール度数と糖質の違い
アルコール度数:
焼酎は、私たちが普段飲むものは20%または25%に調整されているものが大半です。
リキュールは、製品によって非常に幅広く、梅酒のように10%台のものから、カシスリキュール(20%程度)、カンパリ(25%程度)、シャルトリューズ(55%)まで様々です。
糖質:
これが健康面での最大の違いです。
焼酎(甲類・乙類ともに)は蒸留酒なので、糖質はゼロです。
リキュールは製造工程で砂糖やシロップが必須なため、糖質を多く含みます。
飲み方とカクテルでの役割の違い
焼酎とリキュールは、カクテルにおいて正反対の役割を持ちます。焼酎は「チューハイ」や「サワー」の「ベース(土台)」となり、アルコール感を加えます。リキュールは「カシスオレンジ」などの「味付け(香味と甘み)」そのものを担当します。
リキュール(カクテルの「味付け役」)
リキュールは、そのものが「甘み」と「特定の風味」を持っているため、カクテルの味わいを決定づける主役(味付け役)として使われます。
- カシスリキュール + オレンジジュース = カシスオレンジ
- コーヒーリキュール + 牛乳 = カルーアミルク
- ピーチリキュール + ウーロン茶 = ピーチウーロン(レゲエパンチ)
また、その甘さから、デザート代わりの食後酒としてロックやストレートで楽しまれることも多いです。
焼酎(カクテルの「ベース役」)
焼酎(特に甲類)は、無味無臭に近いクリアな味わいのため、カクテルの「ベース(土台)」としてアルコール感を加える役割を担います。
- 焼酎(甲類) + 炭酸水 = チューハイ(焼酎ハイボール)
- 焼酎(甲類) + 炭酸水 + レモン + シロップ = レモンサワー
- 焼酎(甲類) + ウーロン茶 = ウーロンハイ
また、芋焼酎や麦焼酎(乙類)は、それ自体の風味が強いため、お湯割り、水割り、ロック、ソーダ割りなどで、焼酎そのものの味と香りを楽しむのが主流です。
文化・歴史的背景(リキュール:薬酒/焼酎:大衆酒)
リキュールは、中世ヨーロッパの錬金術師や修道院で、ハーブなどを使った「薬酒」として生まれたものが起源です。一方、焼酎は日本や東アジアで、米や麦、芋など身近な原料から造られる「大衆の酒」として発展してきました。
リキュールのルーツは、中世ヨーロッパの修道院などで造られていた「薬酒」にあります。薬草やハーブをアルコールに漬け込み、薬として飲まれていましたが、その苦味を和らげるために砂糖が加えられるようになり、嗜好品(しこうひん)として多様化していきました。
焼酎のルーツは、14世紀~15世紀頃にアジア大陸から蒸留技術が伝わったとされています。日本では、米、麦、芋など、その土地で豊富に採れる原料を使って造られる「地酒」として、古くから庶民の生活に根付いてきました。
体験談|カシスリキュールと芋焼酎、ベースとしての違い
僕がまだお酒を飲み始めた頃、「カシスオレンジ」が大好きでした。甘くてジュースみたいで、でもちゃんと酔える。その正体が「リキュール」というお酒だと知りました。
ある日、自宅で「最強のカシスオレンジ」を作ろうと思い、ベースのお酒(この場合はカシスリキュール)の割合をどんどん増やしていきました。すると、アルコール度数が上がるにつれて、強烈な「甘さ」も一緒に増していき、最後は甘すぎて飲めなくなってしまいました。
対照的に、居酒屋で「芋焼酎のお湯割り」を飲んだ時のことです。これは「焼酎」を「お湯」で割っただけのシンプルなもの。飲んでみると、芋の香りはすごいのに、味は全く甘くないことに驚きました。糖質ゼロだと知ったのは後のことですが、甘くないのに香りが甘い、という不思議な体験でした。
この二つの体験から、
- リキュール = 甘みと香りの「塊(かたまり)」
- 焼酎 = 甘くないアルコールと香りの「ベース」
という役割の違いをはっきりと実感しました。カシスオレンジが「甘い」のはカシスの糖分であり、レモンサワーが「甘い」のは焼酎ではなく後から入れたシロップの糖分なのだと、ようやく理解できたのです。
リキュールと焼酎に関するよくある質問
結局、焼酎はリキュールの一種ではないのですか?
違います。焼酎は「蒸留酒」というカテゴリーです。リキュールは、その焼酎やウォッカなどの蒸留酒を「原料(ベース)」として使い、糖分を加えて造る「混成酒」です。焼酎はリキュールの「親」や「材料」になることはあっても、リキュールという「子」の仲間ではありません。
韓国のチャミスル(フレーバー)は焼酎ですか?リキュールですか?
良い質問ですね。ベースは韓国の焼酎(ソジュ)ですが、マスカットやすももなどの果汁(香味)と糖類が加えられています。そのため、日本の酒税法上は「リキュール」に分類されます。まさに、焼酎をベースにしたリキュールの一例です。
健康志向で選ぶならどっちですか?
糖質を気にするなら、圧倒的に「焼酎」です。焼酎(甲類・乙類)は糖質ゼロです。リキュールは、その定義上、必ず糖質(エキス分)を含みます。ウーロンハイ(焼酎+ウーロン茶)は糖質ゼロですが、カシスウーロン(カシスリキュール+ウーロン茶)は糖質が含まれます。
まとめ|リキュールと焼酎、どちらを選ぶべきか?
リキュールと焼酎の違い、スッキリ整理できたでしょうか。
「焼酎」は、芋や麦などの風味を活かした、糖質ゼロの「蒸留酒」そのもの。
「リキュール」は、その蒸留酒に果実やハーブの風味と「甘み」を加えた「混成酒」。
この二つは、カクテルにおける役割が全く異なります。
- お酒のベースとして、スッキリ飲みたい時(お湯割り、水割り、チューハイ) → 焼酎
- カクテルの甘さや果実の風味を楽しみたい時(カシスオレンジ、カルーアミルク) → リキュール
このように覚えておけば、バーでも自宅でも、あなたの飲みたい味を正確に選ぶことができますよ。