どぶろくと甘酒の違いとは?アルコール・製法・味を徹底比較

「どぶろく」と「甘酒」、どちらも米から造られる、白く濁った飲み物ですよね。

見た目がとても似ているため、同じものだと思っている方や、違いがよく分からないという方も多いのではないでしょうか。

結論から言うと、この二つは全くの別物です。最大の違いは、「どぶろく」がアルコールを含む「お酒(酒類)」であるのに対し、「甘酒」はアルコールを含まない(または1%未満の)「ソフトドリンク(清涼飲料水)」である点です。

この記事を読めば、その決定的な違いから、製法、味わい、そして法律上の注意点(自家醸造)まで、スッキリと理解できます。

似ているようで全く違う、二つの伝統飲料の世界を見ていきましょう。

結論|どぶろくと甘酒の違いを一言でまとめる

【要点】

どぶろくと甘酒の最大の違いは「アルコールの有無」です。どぶろくは、米、米麹、酵母を発酵させて造る「お酒(酒類)」であり、アルコール度数は10%以上あります。一方、甘酒は、主に米と米麹を発酵(糖化)させて造る「ソフトドリンク(清涼飲料水)」で、アルコール度数は0%(または1%未満)です。

まずは、この二つの違いを表で比較してみましょう。

項目どぶろく甘酒(米麹タイプ)
分類(酒税法)お酒(その他の醸造酒)清涼飲料水(アルコール1%未満)
アルコール度数10% ~ 17%程度(高い)0%
主な原材料米、米麹、水、酵母米、米麹、水
製造工程アルコール発酵糖化発酵(アルコール発酵なし)
味わい甘酸っぱい、アルコール感、微発泡米由来の自然な甘みが強い、とろみ
自家醸造(家庭で造る)違法(酒税法違反)合法(OK)

※甘酒には「酒粕(さけかす)タイプ」もあり、そちらは微量のアルコールを含みます。詳細は後述します。

決定的な違い:「アルコール」の有無と「法律上の分類」

【要点】

どぶろくは、米、米麹、水に「酵母」を加えてアルコール発酵させた「お酒」です。法律上「その他の醸造酒」に分類されます。甘酒(米麹タイプ)は、「酵母」を使わず麹の酵素で米のデンプンを糖に変えたもので、アルコール発酵が起きないため「清涼飲料水」となります。

どぶろくとは?(アルコール飲料=お酒)

どぶろくは、炊いた米、米麹、水、そして「酵母」を加えて発酵させて造ります。

酵母が麹の造った糖分を食べることで、アルコールと炭酸ガスが発生します。これが「アルコール発酵」です。日本酒(清酒)と違うのは、発酵が終わった「もろみ」を一切「こさない(ろ過しない)」点です。

米粒や麹がそのまま残った、白く濁った状態の「お酒」であり、日本の酒税法上は「その他の醸造酒」に分類されます。

甘酒とは?(ソフトドリンク=甘味飲料)

一方、私たちが一般的に「甘酒」と呼ぶものの多くは、「米麹(こめこうじ)タイプ」を指します。

これは、炊いた米(またはおかゆ)と米麹、水を混ぜ、酵母を加えずに50℃~60℃程度で保温して造ります。

この温度帯では酵母は活動できず、代わりに麹菌の「アミラーゼ」という酵素が活発に働きます。この酵素が、米のデンプンをブドウ糖(糖分)に変えます。これを「糖化」と呼びます。

つまり、アルコール発酵をさせずに、米の甘みを最大限に引き出したものが米麹の甘酒です。砂糖を一切加えていないのに非常に甘いのはこのためです。アルコール度数は0%(または1%未満)のため、法律上は「清涼飲料水」に分類されます。

甘酒の「2種類」の製法(米麹 vs 酒粕)

【要点】

「甘酒」には2種類あります。①「米麹甘酒」はアルコール0%で、米と麹の自然な甘みが特徴。「飲む点滴」とも呼ばれます。②「酒粕甘酒」は、日本酒の搾りかすである「酒粕」を湯で溶かし、砂糖を加えて甘みを付けたものです。こちらは微量のアルコール(1%未満)を含みます。

甘酒と聞いて、二つのタイプを思い浮かべる方がいるかもしれません。その通り、甘酒には製法が異なる2種類が存在します。

米麹(こめこうじ)で造る甘酒

前述した通り、米と米麹を発酵(糖化)させて造るタイプです。

  • アルコール:0%(子供や妊婦さん、運転前でも安心)
  • 甘み:米のデンプンが分解されたブドウ糖の自然な甘み
  • 特徴:「飲む点滴」と呼ばれるほど、ブドウ糖、ビタミンB群、アミノ酸が豊富。

初詣などで神社で振る舞われる甘酒の多くは、この米麹タイプです。

酒粕(さけかす)で造る甘酒

こちらは、日本酒を造る際に出る「酒粕(さけかす)」(もろみを搾った残り)を湯で溶かし、「砂糖」を加えて甘みを付けたものです。

  • アルコール:微量に含む(酒粕にアルコールが残っているため。通常は1%未満に調整されますが、敏感な方や運転前は注意が必要)。
  • 甘み:後から加えた砂糖の甘み。
  • 特徴:酒粕由来の芳醇な酒の香りが楽しめます。

味・香り・見た目(色)の違いを比較

【要点】

どちらも白く濁っていますが、味わいは対照的です。どぶろくは「アルコールの刺激」と「酵母や乳酸菌由来の酸味」があり、甘酸っぱく爽快です。甘酒は「アルコール感がなく」、米と麹由来の「濃厚な甘み」と「とろみ」が特徴です。

どぶろくの味わい(酸味・アルコール感・濁り)

見た目:甘酒と同様に白く濁っていますが、酵母が生きているため、発泡している(シュワシュワしている)ことが多いです。

香り:日本酒に近いアルコールのツンとした香りと、米の香り、そして酵母や乳酸菌由来のヨーグルトのような爽やかな香りが混ざります。

味わいアルコール度数が高いため、ピリッとした刺激があります。麹の甘みもありますが、それ以上に発酵による酸味(甘酸っぱさ)が際立っているのが特徴です。舌触りは米の粒感が残っており、濃厚です。

甘酒の味わい(自然な甘み・とろみ・粒感)

見た目:白く濁っており、米や麹の粒(つぶつぶ)がそのまま残っていることが多いです。とろりとした粘度があります。

香り:米と麹が糖化された、甘く香ばしい香りがします。お粥やご飯の甘い香りに近いです。

味わいアルコール感は全くありません(米麹タイプの場合)。ブドウ糖由来の、濃厚で自然な甘みがガツンと来ます。「飲む」というより「食べる」に近いような、とろみと満足感があります。

アルコール度数と法律上の違い

【要点】

どぶろくはアルコール度数10%以上の「お酒」です。家庭で造ると酒税法違反(密造)になります。甘酒(米麹)はアルコール0%の「清涼飲料水」であり、炊飯器などで家庭でも合法的に造れます。

アルコール度数の違い(お酒 vs 1%未満)

どぶろく
酒税法上の「お酒」です。アルコール発酵させているため、度数は日本酒(清酒)とあまり変わらず、10%~17%程度のものが一般的です。飲むと当然酔いますし、飲酒運転になります。

甘酒
酒税法上、アルコール度数1%未満のものは「お酒」ではなく「清涼飲料水」に分類されます。
米麹タイプ:アルコール発酵をしないため0%です。
酒粕タイプ:微量のアルコール(通常1%未満)を含みます。

酒税法上の分類と自家醸造(密造)のリスク

この法律上の違いが非常に重要です。

どぶろく
アルコール度数1%以上の「お酒」を製造するには、酒税法に基づく「製造免許」が必要です。免許を持たずにどぶろくを造ることは「密造(みつぞう)」と呼ばれ、重い犯罪(10年以下の懲役または100万円以下の罰金)となります。

甘酒(米麹タイプ)
アルコール発酵を伴わず、度数1%未満の「清涼飲料水」扱いとなるため、家庭で自由に造っても全く問題ありません。炊飯器の保温機能を使って手軽に作れるため、自家製甘酒は非常に人気があります。

体験談|初詣の甘酒と民宿の「どぶろく」、その衝撃

僕はずっと、「どぶろく=甘酒」だと思い込んでいました。

毎年、初詣に行くと神社の境内で振る舞われる、あの白くて温かくて、粒々感のある「甘酒」が大好きでした。飲むと体がポカポカ温まり、米の自然な甘さに癒されます。アルコールは入っていないので、運転する父も普通に飲んでいました。

そんなイメージを持ったまま、数年前に旅行で訪れた白川郷の民宿で、「自家製どぶろく」が食前酒として出されたんです。(※白川郷は「どぶろく特区」として、特定の民宿での自家醸造・提供が許可されています)

見た目は、まさしくあの甘酒。白く濁っていて、とろりとしています。「ああ、食前酒に甘酒か、珍しいな」と思い、一口飲んで衝撃を受けました。

「甘酸っぱい!そして、辛い!」

僕の知っている「甘酒」の濃厚な甘さとは全く違い、ヨーグルトのようなキリッとした酸味と、喉がカッと熱くなる強烈なアルコール感。そして舌先にはピリピリとした微発泡感がありました。

これが本物の「お酒」としての「どぶろく」かと。その時初めて、初詣で飲んでいたのはアルコールのない「甘酒」であり、今飲んでいるこれは米が発酵した「お酒」なのだと、頭ではなく舌で理解しました。

どぶろくと甘酒に関するよくある質問

どぶろくとマッコリの違いは何ですか?

どちらも「お酒」で、製法も非常に近いです(発酵させたもろみを粗くこす)。最大の違いは使われる「麹(こうじ)」です。どぶろくは日本の「米麹(黄麹など)」を使うのに対し、マッコリは韓国の「ヌルク」という、乳酸菌や酵母が共存する麹を使います。そのため、マッコリの方が乳酸菌由来の酸味が強く、ヨーグルトに近い風味になる傾向があります。

甘酒は運転前に飲んでも大丈夫ですか?

「米麹」タイプの甘酒はアルコール0%なので、飲んでも大丈夫です。しかし、「酒粕」タイプの甘酒はアルコールを1%未満含みます。ごく微量ですが、アルコールに非常に敏感な方や、大量に飲んだ場合は、呼気検査で検出される可能性がゼロではありません。運転前は、原材料表記を確認し「米麹」と書かれたものを選ぶのが最も安全です。

「飲む点滴」と呼ばれるのはどっちですか?

「米麹」タイプの甘酒です。米麹が米のデンプンを分解して造り出すブドウ糖は、病院で使われる点滴の主成分と同じです。加えて、ビタミンB群やアミノ酸も豊富に含むため、江戸時代から夏バテ防止の栄養ドリンクとして「飲む点滴」と呼ばれ親しまれてきました。

まとめ|どぶろくと甘酒、どちらを選ぶべきか?

どぶろくと甘酒の違い、スッキリ整理できたでしょうか。

見た目は似ていますが、その正体は全くの別物です。

アルコールの刺激と、米本来の甘酸っぱさを「お酒」として楽しみたい時、法的に許可されたお店や特区で飲む場合は「どぶろく」。

米の自然な甘みと栄養を、アルコールゼロの「ソフトドリンク」として楽しみたい時、運転前や子供と一緒に飲む場合は「甘酒(米麹タイプ)」。

このように覚えておけば、もう間違えることはありませんね。

どちらも日本の米文化が育んだ素晴らしい飲み物・ドリンクです。ぜひソフトドリンクとしての甘酒と、アルコール類としてのどぶろく、それぞれの個性を楽しんでみてください。