アスティとスプマンテの明確な違い!マスカットの甘口か、イタリアの泡全般か

アスティとスプマンテ、どちらもイタリア産のスパークリングワイン(泡モノ)として、特にお祝いの席やデザートのシーンで人気ですよね。

名前が似ているため、「アスティ・スプマンテ」と続けて呼ばれることも多く、この二つの違いや関係性を正確に理解している方は少ないかもしれません。

実はこの二つ、「スプマンテ」はイタリアのスパークリングワイン全体の「総称」であり、「アスティ」はそのスプマンテの中でも、特定のブドウ品種と製法で造られる「甘口ワインの固有名詞」を指します。

つまり、すべてのアスティはスプマンテですが、すべてのスプマンテがアスティというわけではないのです。

この記事を読めば、二つの明確な関係性から、味わいの違い、選び方までスッキリと理解できます。もうワインショップで迷うことはありませんよ。

それでは、両者の違いを詳しく見ていきましょう。

結論|アスティとスプマンテの違いを一言でまとめる

【要点】

最も決定的な違いは、その「言葉の範囲」と「味わい」です。スプマンテ(Spumante)は、イタリア語で「スパークリングワイン」を意味する「総称」であり、辛口から甘口まで、イタリア産の泡モノ全般を指します。一方、アスティ(Asti)は、スプマンテの一種であり、ピエモンテ州アスティ県周辺で「モスカート・ビアンコ」種を100%使用して造られる、マスカットの香りが特徴の「甘口(Dolce)」D.O.C.G.ワインを指す固有名詞です。

例えるなら、「乗用車」という総称(スプマンテ)の中に、「特定のメーカーの特定の車種(例:トヨタのカローラ)」があるような関係性ですね。

「アスティ」は、スプマンテという大きな枠組みの中で、最も有名で分かりやすい「甘口」の代表格なのです。

アスティとスプマンテの定義と関係性(総称 vs 固有名詞)

【要点】

スプマンテは「イタリア産スパークリングワイン」の総称です。アスティは、そのスプマンテの中でも、法律(D.O.C.G.)で定められた特定の産地・ブドウ・製法で造られる「甘口スパークリングワイン」の固有の名称です。

スプマンテ(Spumante)とは?

「スプマンテ」は、イタリア語で「泡の立つ」という意味の形容詞 “spumante” に由来します。

法律上、ガス圧が3.0バール(bar)以上のイタリア産スパークリングワインを指す「総称」です。

ブドウ品種や製法、味わい(辛口・甘口)は問われません。

例えば、以下はすべて「スプマンテ」の仲間です。

  • プロセッコ(Prosecco):グレラ種で造る辛口〜やや甘口の主流スプマンテ。
  • フランチャコルタ(Franciacorta):シャンパンと同じ製法で造る高級辛口スプマンテ。
  • アスティ(Asti):モスカート種で造る甘口スプマンテ。
  • ランブルスコ(Lambrusco):赤の微発泡(フリッツァンテ)が有名ですが、スプマンテもあります。

アスティ(Asti)とは?

「アスティ」または「アスティ・スプマンテ」は、スプマンテの中でも最も厳格な格付けであるD.O.C.G.(統制保証原産地呼称)に認定されている、特定のワインを指す「固有名詞」です。

イタリア北西部のピエモンテ州、アスティ県周辺の丘陵地帯で造られる必要があります。

その最大の特徴は、「モスカート・ビアンコ(マスカット)」というブドウ品種を100%使用すること。これにより、マスカット特有の非常に華やかで甘いアロマが生まれます。

二つの関係性:アスティはスプマンテの「一種」

この二つの関係は非常に明確です。

「スプマンテ」という大きなカテゴリの中に、「プロセッコ」「フランチャコルタ」「アスティ」といった具体的な銘柄(D.O.C.やD.O.C.G.)が存在します。

「アスティ・スプマンテ」という名前は、「アスティ(という産地・製法)のスプマンテ(スパークリングワイン)」という意味なのです。

原材料と製造工程の決定的な違い

【要点】

スプマンテは総称なので製法も様々です。一方、アスティは厳格に定義されており、主原料ブドウは「モスカート・ビアンコ」100%、製法は「シャルマ方式(タンク内二次発酵)」を用います。特に、発酵を途中で止めてブドウの自然な甘みを残す点が特徴です。

ブドウ品種の違い(モスカート・ビアンコ100%)

スプマンテ(総称)は、国際品種であるシャルドネやピノ・ノワール(フランチャコルタなど)、あるいはイタリア土着品種のグレラ(プロセッコなど)、その他様々なブドウから造られます。

一方、アスティが使用できるブドウは、法律で「モスカート・ビアンコ(マスカット)」100%と定められています。

このブドウが持つ、マスカットや白い花、ハチミツのような非常にアロマティックで甘い香りこそが、アスティのアイデンティティです。

製法の違い(シャルマ方式・発酵停止)

スプマンテの製法は、シャンパンと同じ瓶内二次発酵(メトド・クラシコ)から、タンク内で二次発酵させるシャルマ方式まで様々です。

アスティは、この「シャルマ方式(タンク方式)」を用いて造られます。

ただし、アスティの造り方はさらにユニークです。

ブドウ果汁を発酵させる途中で、アルコール度数が7〜9%程度になった時点で急激に冷却し、酵母の活動を強制的に停止させます。

これにより、ブドウ果汁に含まれていた糖分がすべてアルコールに変わらず、天然のブドウ由来の「甘み」がワインの中にそのまま残るのです。

この「発酵を途中で止める」製法が、アスティ特有の低アルコールと甘口の味わいを生み出しています。

味・香り・アルコール度数の違いを徹底比較

【要点】

アスティは、マスカットの華やかな香りと、ハチミツのようなはっきりとした甘みが特徴です。アルコール度数も7〜9%と低めです。スプマンテは総称であるため、プロセッコのような「辛口・フルーティー」なものから、フランチャコルタのような「辛口・複雑・高価格」なものまで、味わいは多様です。

比較表|アスティとスプマンテの違い一覧

項目アスティ (Asti)スプマンテ (Spumante)
分類固有名詞(D.O.C.G. / スプマンテの一種)総称(イタリアのスパークリング)
主な産地ピエモンテ州アスティ県周辺イタリア全土
主なブドウモスカート・ビアンコ 100%様々(グレラ、シャルドネ、ピノ・ノワールなど)
主な製法シャルマ方式(発酵途中で停止シャルマ方式、メトド・クラシコなど多様
味わい甘口 (Dolce)辛口 (Brut) から 甘口 (Dolce) まで多様
香りマスカット、ハチミツ、白い花フルーティーなものから、トースト香まで様々
アルコール度数低い(約7~9%)低いもの(アスティ)から高いもの(約12%)まで様々

味わいと香り(マスカットの甘口 vs 多様性)

アスティの個性は非常に明確です。

「マスカットの芳醇な香り」と「砂糖や酵母ではない、ブドウ本来のフレッシュな甘み」

口当たりは優しく、泡も細やかで、アルコールの刺激が少ないため、ジュースのように感じられるほどの飲みやすさが特徴です。

一方、「スプマンテ」は、前述の通り味わいを一言で表せません。

レストランで「スプマンテをください」と頼んだ場合、辛口の「プロセッコ」が出てくることもあれば、甘口の「アスティ」が出てくることもあります。

「辛口のスプマンテ(スプマンテ・ブリュット)」や「甘口のスプマンテ(スプマンテ・ドルチェ)」、あるいは「プロセッコ」や「フランチャコルタ」と、具体的な種類を指定するのが確実ですね。

アルコール度数の違い(低アルコール)

アスティは発酵を途中で止めるため、アルコール度数は7%〜9%程度と、一般的なワイン(12%前後)に比べてかなり低く抑えられています。

これも、アスティがお酒の弱い人や女性にも愛される理由の一つです。

プロセッコやフランチャコルタといった他の多くのスプマンテは、11%〜12.5%程度が主流です。

飲み方・温度・シーン別の楽しみ方

【要点】

アスティは、その明確な甘みとマスカットの香りから、食後酒としてフルーツやケーキなどのデザートと合わせるのに最適です。また、食前酒としても人気があります。4〜6℃程度によく冷やして飲むのが基本です。

アスティの楽しみ方(デザート・食前酒)

アスティの甘みと香りを活かすには、以下のシーンが最適です。

  • デザートワインとして:フルーツタルト、ショートケーキ、フルーツポンチなど、果物を使ったデザートと抜群の相性です。ワインの甘さがデザートの甘さと調和します。
  • 食前酒として:乾杯の一杯として。その華やかな香りと優しい甘さが、食事への期待感を高めてくれます。
  • お祝いの席で:クリスマスや誕生日パーティーなど、華やかな場にもぴったりです。

必ず、4〜6℃の低温にしっかりと冷やしてください。温度が上がると、甘さがくどく感じられてしまいます。

他のスプマンテ(プロセッコやフランチャコルタ)の楽しみ方

アスティ以外のスプマンテは、主に辛口が多いため、楽しみ方が異なります。

  • プロセッコ(辛口):アペリティーボ(食前酒)として、生ハムやオリーブと合わせたり、魚介のマリネなど前菜と合わせたりするのが定番です。
  • フランチャコルタ(辛口):シャンパン同様、食前酒からメインディッシュ(魚料理や鶏肉料理)まで幅広く合わせられる、格の高いスプマンテです。

このように、「スプマンテ」という総称の中でも、種類によって最適なシーンは全く異なります。

体験談|「スプマンテ=甘い」の誤解が解けた日

僕がまだワインを飲み始めたばかりの頃、お祝いの席で飲んだ「アスティ・スプマンテ」の味が強烈に記憶に残っていました。

「マスカットのなんて良い香りなんだ!」「こんなに甘くて美味しいスパークリングがあるのか!」と。

その結果、僕の中では「スプマンテ = アスティ = 甘いマスカットのお酒」という図式が完全に出来上がってしまったのです。

そんなある日、イタリアンバルで「とりあえず泡モノを」と思い、自信満々に「スプマンテをグラスでください」と注文しました。

当然、頭の中ではあのアスティの甘い香りを想像しています。

しかし、出てきたスプマンテを一口飲んで、僕は固まりました。

「……甘くない!というか、キリッと辛口だ!」

そのお店がその日のグラススプマンテとして提供していたのは、アスティではなく「プロセッコ」だったのです。

青リンゴのような爽やかな香りと、ドライな飲み口。これはこれで非常に美味しく、前菜のカルパッチョには最高でしたが、僕の頭は「???」でいっぱいでした。

その経験から、「スプマンテ」はあくまでイタリアのスパークリングワインの「総称」に過ぎず、甘口の「アスティ」もあれば、辛口の「プロセッコ」も、さらに高級な「フランチャコルタ」も、全部まとめて「スプマンテ」なのだと知りました。

それ以来、注文するときは「甘いスプマンテ(アスティ)はありますか?」や「辛口のスプマンテ(プロセッコ)をください」と、具体的に指定するようになりましたね。

アスティとスプマンテに関するよくある質問

アスティとスプマンテについて、よくある疑問をまとめました。

アスティと「モスカート・ダスティ」の違いは何ですか?

「泡の強さ(ガス圧)」が違います。

どちらも同じピエモンテ州で、同じモスカート・ビアンコ種100%から造られる甘口ワインで、兄弟のような関係です。

アスティ・スプマンテは、ガス圧3.0バール以上の「しっかりとした泡立ち(スプマンテ)」です。

モスカート・ダスティは、ガス圧が1.0〜2.5バールの「微発泡(フリッツァンテ)」です。アルコール度数も5.5%前後と、アスティよりさらに低く、よりブドウジュースに近いフレッシュ感が特徴です。

シャンパンやプロセッコとの違いは何ですか?

シャンパン(フランス)は、瓶内二次発酵で造られる「辛口」が主流の高級スパークリングワインです。

プロセッコ(イタリア)は、タンク方式で造られる「辛口〜やや甘口」が主流の、フレッシュ&フルーティーなスパークリングワインです。

アスティ(イタリア)は、タンク方式で発酵を止めて造る「甘口」のスパークリングワインです。

詳しくは「スプマンテとプロセッコの違い」の記事も参考にしてみてください。

「スプマンテ」と「フリッツァンテ」の違いは何ですか?

「泡の強さ(ガス圧)」が違います。

スプマンテはガス圧が3.0バール以上の「しっかりとした泡立ち」のスパークリングワインです。

フリッツァンテはガス圧が1.0〜2.5バールの「微発泡」ワインです。

どちらもイタリアのスパークリングワインの分類名です。

まとめ|アスティとスプマンテ、どう選ぶべきか?

アスティとスプマンテの違い、明確にご理解いただけたでしょうか。

・スプマンテ = イタリアのスパークリングワインの「総称」(辛口〜甘口まで様々)

・アスティ = スプマンテの一種。「モスカート種」で造る「甘口」のD.O.C.G.ワイン。

この関係性を理解すれば、もう選び方に迷うことはありませんね。

あなたの好みやシーンに合わせて、以下のように選ぶのがおすすめです。

  • デザートワインとして、またはお酒が苦手な方との乾杯に:
    「アスティ・スプマンテ」を選びましょう。その華やかなマスカットの香りと優しい甘みが最適です。
  • 食前酒や食事(特に魚介類や前菜)と合わせてスッキリ飲みたい時:
    スプマンテの中でも「プロセッコ(Prosecco)」(辛口:Brut)と指定するのがおすすめです。
  • 特別な日のお祝いや、メインディッシュと合わせる高級な泡が飲みたい時:
    スプマンテの中でも「フランチャコルタ(Franciacorta)」と指定しましょう。

お酒は適量を守ることが大切です。厚生労働省の示す栄養・食生活に関する情報なども参考に、健康的に楽しみましょう。

当サイト「違いラボ」では、他にも様々な飲み物・ドリンクの違いについて詳しく解説しています。ぜひご覧ください。