ミネラルウォーターと水道水、私たちは毎日当たり前のように水を使っていますが、この二つの違いを正確に説明できるでしょうか?
「水道水は安全だけど、塩素のニオイが気になる…」「ミネラルウォーターは美味しいけれど、コストがかかる…」そんなイメージをお持ちの方も多いかもしれませんね。
一言でいえば、最も大きな違いは「水質基準(法律)」「ミネラル含有量」「コスト」そして「塩素の有無」です。
どちらも日本の基準では非常に安全に飲めますが、それぞれに明確な特徴とメリット・デメリットが存在します。
この記事を読めば、法的な定義から成分、味、コストパフォーマンス、そして最適な使い分けまで、ミネラルウォーターと水道水の違いがすべて明確になります。もう、どちらを選ぶべきか迷うことはありませんよ。
まずは、両者の全体像を比較表で見ていきましょう。
結論|ミネラルウォーターと水道水の違いを一言でまとめる
「ミネラルウォーター」と「水道水」の最も大きな違いは、適用される法律(水質基準)と製造・供給プロセスです。「水道水」は水道法に基づき、病原菌を殺菌するための塩素消毒が義務付けられています。「ミネラルウォーター」は食品衛生法に基づき、殺菌・除菌処理の有無やミネラル分の状態によって4種類に分類されます。一般的に水道水は安価で便利、ミネラルウォーターは味が良く備蓄にも向いています。
日本においては、どちらの水も世界的に見て非常に高い安全基準をクリアしています。そのため、選択の基準は「安全性」よりも「味の好み」「コスト」「用途(飲む、料理、備蓄など)」になってくるんですね。
| 項目 | ミネラルウォーター類 | 水道水 |
|---|---|---|
| 適用法律 | 食品衛生法 | 水道法 |
| 水質基準 | 製造基準(40項目程度) | 水質基準項目(51項目) |
| 塩素消毒 | 原則なし(※殺菌方法による) | 必須(蛇口時点で一定濃度要) |
| 味・香り | 無臭。ミネラル分による味の違い(軟水・硬水) | 塩素臭(カルキ臭)がすることがある |
| コスト | 比較的高い(購入・配送料) | 圧倒的に安い |
| 主な用途 | 飲用、備蓄、赤ちゃんのミルク(軟水) | 飲用、料理、生活用水全般 |
定義・分類・基準の違い
「水道水」は水道法により、蛇口から供給される水の安全性を一元的に管理されています。一方、「ミネラルウォーター」は農林水産省のガイドラインに基づき、「ナチュラルウォーター」「ナチュラルミネラルウォーター」「ミネラルウォーター」「ボトルドウォーター」の4種類に分類されます。
私たちが「ミネラルウォーター」と呼んでいるものには、実は4つの種類があることをご存知でしたか?
「ミネラルウォーター」とは?|農林水産省の品質表示ガイドライン
市販されている飲用の水は、農林水産省が定める「ミネラルウォーター類の品質表示ガイドライン」によって、原水や処理方法に基づき以下の4種類に厳密に分類されています。
- ナチュラルウォーター(天然水)
特定の水源から採水した地下水で、ろ過・沈殿・加熱殺菌以外の処理をしていないもの。ミネラル分がほとんど溶け込んでいない水です。 - ナチュラルミネラルウォーター(天然鉱泉水)
ナチュラルウォーターのうち、地層中のミネラル分(無機塩類)が溶け込んだ地下水。私たちが一般的に「ミネラルウォーター」としてイメージするのは、これが多いですね。 - ミネラルウォーター(鉱水)
ナチュラルミネラルウォーターと同じ原水を使用し、品質安定のためにミネラル分の調整、オゾン殺菌、複数の原水の混合などを行ったものです。 - ボトルドウォーター(飲料水)
上記3つ以外の飲用水。水道水や純水、蒸留水など、処理方法に限定がないもので、「飲用水」「ピュアウォーター」などと表示されます。水道水をろ過してボトル詰めしたものも、ここに分類されます。
つまり、「ミネラルウォーター」という名称で販売されていても、その中身は採水したままの天然水から、水道水をろ過したものまで様々なのです。
「水道水」とは?|水道法の水質基準
「水道水」は、水道事業者(自治体など)が河川やダム、地下水などから取水し、浄水場でろ過や消毒処理を行い、水道管を通じて各家庭や施設に供給する水です。
その安全性は「水道法」という法律によって厳しく管理されています。厚生労働省が定める「水質基準項目(51項目)」に基づき、健康に関する項目(ヒ素、鉛、シアン化物など31項目)や、色、濁り、味、においなど生活利用に関する項目(20項目)について、定期的な検査が義務付けられています。
最大の特徴は、病原菌による汚染を防ぐため、「塩素消毒」が義務付けられていることです。蛇口から出る水(給水栓水)において、一定の「遊離残留塩素」(0.1mg/L以上)を保持することが水道法で定められています。
安全性・成分・味の違い
日本の「水道水」は水道法(51項目)により世界最高水準の安全性が保証されていますが、塩素消毒が義務のため「カルキ臭」がすることがあります。「ミネラルウォーター」は食品衛生法に基づき管理され、塩素臭はありません。採水地によってミネラル含有量が異なり、味が変わります。
安全性と水質基準の比較
「水道水は安全じゃないから、ミネラルウォーターを買う」という方がいますが、これは現代の日本では少し誤解が含まれているかもしれません。
水道水:水道法に基づく51項目の水質基準に加え、水質管理目標設定項目(農薬など27項目)など、非常に多くの項目で厳しく管理されています。水道の蛇口から出る水をそのまま飲める国は、世界でもごくわずかであり、日本の水道水の安全性は世界トップクラスです。
ミネラルウォーター:食品衛生法に基づく「食品、添加物等の規格基準」で成分規格や製造基準が定められています。水道水ほど項目数は多くありませんが、こちらも安全に飲めるよう厳しく管理されています。
ただし、水道水には「貯水槽」の問題があります。浄水場から送られる水は安全でも、ビルやマンションの貯水槽(タンク)の管理が不十分だと、水質が劣化する可能性はゼロではありません。この点が不安で、ミネラルウォーターを選ぶ方も多いですね。
成分(ミネラル分)と硬度の違い
「硬度」とは、水に含まれるカルシウムとマグネシウムの量を表す数値で、水の「味」を大きく左右します。
- 軟水:硬度が低い水。口当たりがまろやかで、クセがない。
- 硬水:硬度が高い水。飲みごたえがあり、ミネラル特有の風味(わずかな苦味や重さ)を感じる。
ミネラルウォーターは、商品によって硬度が全く異なります。ヨーロッパ産(例:エビアン、コントレックス)は硬水が多く、日本の国産ミネラルウォーター(例:サントリー天然水、い・ろ・は・す)はほとんどが軟水です。
水道水は、水源の地質によりますが、日本の水道水のほとんどは「軟水」に分類されます。そのため、日本人は軟水に慣れ親しんでいると言えますね。
ミネラル補給を目的とするなら硬水のミネラルウォーター、飲みやすさや料理に使うなら軟水や水道水、という使い分けができます。
(「鉱水と硬水の違い」の記事も参考にしてみてください。)
味・香り・においの違い(塩素の有無)
両者の味における最大の違いは、「塩素(カルキ臭)」です。
水道水は、安全性を担保するために塩素消毒が必須です。この残留塩素が、水道水特有の「カルキ臭」の原因となります。特に朝一番の水や、浄水場から近い地域では、においを強く感じることがあります。これが苦手で水道水を飲まない、という方も多いでしょう。
ミネラルウォーターは、塩素消毒を行いません(※ボトルドウォーターの一部を除く)。そのためカルキ臭は一切なく、無臭です。その代わり、含まれるミネラル分のバランスによって「味」が異なります。軟水はまろやかでほのかに甘く感じ、硬水はしっかりとした飲みごたえとミネラル感があります。
コスト・利便性・環境負荷の違い
「水道水」はコストが圧倒的に安く、蛇口をひねるだけで使える利便性が魅力です。一方、「ミネラルウォーター」は購入費用や配送料がかかりますが、長期保存(備蓄)が可能というメリットがあります。ただし、ペットボトルの環境負荷は大きな課題です。
コストパフォーマンスの比較
コストの差は歴然です。
水道水の価格は地域差がありますが、東京都水道局の場合、1リットルあたりの単価は約0.24円(基本料金含む目安)です。ほぼ無料と言っても過言ではありません。
ミネラルウォーターは、500mlのペットボトル1本で100円程度、2リットルでも150円以上することが多いです。1リットルあたり50円~75円以上となり、水道水の200倍以上のコストがかかります。
ウォーターサーバーも、レンタル料やメンテナンス料、水の配送料を考えると、水道水に比べてコストは高くなります。
利便性と保存性(賞味期限)
利便性は、蛇口をひねれば無限に出てくる水道水が圧勝です。料理で大量に使っても、お風呂に使っても問題ありません。
ミネラルウォーターは、ペットボトルを「買う」「運ぶ」「保管する」「ゴミを捨てる」という手間がかかります。ウォーターサーバーもボトルの交換や注文の手間があります。
ただし、保存性(賞味期限)の観点では逆転します。
水道水は、残留塩素があるため汲み置きも可能ですが、雑菌の繁殖リスクから長期保存には向きません(冷蔵で3日、常温で1日程度が目安)。
ミネラルウォーター(ペットボトル)は、未開封であれば製造から2年~5年程度の長期保存が可能です。そのため、災害用の備蓄水として非常に優れています。
環境負荷(ペットボトル問題)
近年、SDGsの観点から環境負荷も重要な選択基準になっています。
水道水は、既存のインフラを使い、容器も不要なため、環境負荷は非常に低いです。
ミネラルウォーターは、ペットボトルの製造、採水地からの輸送、使用後の廃棄・リサイクルというプロセス全体で多くのエネルギーを消費し、CO2を排出します。プラスチックごみ問題も深刻であり、環境負荷は高いと言わざるを得ません。
シーン別の使い分け|飲む・料理・備蓄
「水道水」はコストを気にせず使えるため、米研ぎ、野菜洗いやパスタを茹でるなど、水を大量に使う料理に最適です。「ミネラルウォーター」は、そのまま飲む飲用や備蓄用、また赤ちゃんのミルク(軟水)やコーヒー・お茶(軟水)など、味や成分にこだわりたい用途に向いています。
どちらが優れているかではなく、それぞれの特性を活かして賢く使い分けることが大切です。
ミネラルウォーターのおすすめの使い方
- そのまま飲む(常温・冷水):味やミネラルにこだわりたい時。
- 赤ちゃんのミルク作り:ミネラルが少ない「軟水」のミネラルウォーター(または純水)が必須です。硬水は赤ちゃんの体に負担をかけるため使えません。
- コーヒーやお茶:日本の緑茶や紅茶、コーヒーには、風味を邪魔しない「軟水」が適しています。
- 炊飯:「軟水」で炊くと、お米がふっくらと炊き上がると言われています。
- 災害用の備蓄:長期保存が可能なペットボトルは、ローリングストックに最適です。
- スポーツ時のミネラル補給:「硬水」を選ぶと、汗で失われたミネラルを補給できます。
水道水のおすすめの使い方
水道水の塩素(カルキ臭)は、加熱(沸騰)によって簡単に除去できます。
- 料理全般(特に加熱調理):煮物、汁物、パスタや野菜を茹でる際など、大量に水を使う場面ではコストを気にせず使えます。加熱すれば塩素臭も飛びます。
- 米研ぎ、野菜洗い:飲用と同様、安全な水で安心して食材を洗えます。
- 白湯(さゆ)として飲む:一度沸騰させて塩素を飛ばし、冷まして飲めば、カルキ臭のない美味しい飲料になります。
- 浄水器の利用:蛇口直結型やポット型の浄水器を通すだけで、塩素や微細な不純物が除去され、ミネラルウォーターに近い美味しい水を手軽に作れます。
特に和食の出汁(だし)は、塩素臭が風味を妨げることがあるため、一度沸騰させた水道水(湯冷まし)か、浄水器を通した水、あるいは軟水のミネラルウォーターを使うのがおすすめですよ。年々水質が低下しているという話もあるため、浄水器で不純物を除去すると安心です。
体験談|我が家がウォーターサーバーを選んだ理由
僕自身、結婚当初は水道水に蛇口直結型の浄水器をつけて生活していました。日本の水道水は安全ですし、浄水器さえあれば塩素臭も気にならず、コストも安いので満足していたんです。
転機が訪れたのは、第一子が生まれた時でした。
赤ちゃんのミルクを作る際、「水道水を一度沸騰させて、それを冷まして…」という作業が、想像以上に手間がかかることに気づきました。特に夜中の授乳では、その手間が大きな負担になったんです。
そこで、安全な水をすぐに使える「ウォーターサーバー」の導入を検討し始めました。
ペットボトルのミネラルウォーター(軟水)を備蓄して使うことも考えましたが、毎回の購入や大量に出るペットボトルのゴミ処理、保管場所を考えると、ライフスタイルに合わないと感じました。
最終的に、「軟水のナチュラルミネラルウォーター」が定期配送され、かつ「お湯と冷水がすぐに出る」タイプのウォーターサーバーを契約しました。
結果は大正解でしたね。ミルク作りが劇的に楽になっただけでなく、自分たちが飲むコーヒーやお茶もすぐに入れられますし、何より水そのものが美味しい。そして、常にボトルの備蓄があるので、災害時の安心感にも繋がっています。
現在は、米研ぎや野菜洗い、パスタを茹でる時などは「水道水」、飲用や炊飯、汁物など味にこだわりたい時は「ウォーターサーバーの水」と、自然に使い分けるようになりました。コストは上がりましたが、それ以上に「利便性」と「味」、「安心感」という価値を得られたと感じています。
ミネラルウォーターと水道水に関するよくある質問
ミネラルウォーターと水道水の違いについて、よくある疑問にお答えします。
質問1:日本の水道水は本当にそのまま飲んでも安全ですか?
回答:はい、安全です。日本の水道水は、水道法に基づき51項目の厳しい水質基準をクリアしており、世界でも最高水準の安全性を誇ります。蛇口からそのまま飲んでも健康上の問題はありません。ただし、塩素のにおいが気になる場合や、古いマンションなどで貯水槽や水道管の状態が不明な場合は、浄水器の使用や一度煮沸することをおすすめします。
質問2:ミネラルウォーターの「硬水」と「軟水」はどう違いますか?
回答:水1リットルあたりに含まれるカルシウムイオンとマグネシウムイオンの量(硬度)によって区別されます。WHO(世界保健機関)の基準では、硬度が120mg/L未満を「軟水」、120mg/L以上を「硬水」とすることが多いです。軟水はまろやかで飲みやすく、和食や緑茶に適しています。硬水はミネラル補給に適していますが、独特の重い口当たりがあり、お腹が緩くなる人もいます。
質問3:赤ちゃんのミルク作りに水道水は使えますか?
回答:使えますが、注意が必要です。日本の水道水は軟水なので成分的には問題ありませんが、塩素や微量な不純物を除去するために、一度しっかりと沸騰(煮沸)させたものを使用するのが原則です。沸騰させた後は、人肌程度に冷ましてからミルクを溶かしてください。あるいは、調乳用として販売されている軟水のミネラルウォーターや、ウォーターサーバー(軟水)を利用するのが便利で安心です。
まとめ|ミネラルウォーターと水道水、どちらを選ぶべきか?
ミネラルウォーターと水道水、それぞれの違いが明確になりましたね。
水道水は、「水道法」に守られた「安全・安価・便利」な水。塩素臭が弱点ですが、浄水器や煮沸で簡単に対策できます。
ミネラルウォーターは、「食品衛生法」で管理され、「美味しさ・成分の選択肢・備蓄性」が魅力。ただし、コストや環境負荷が課題です。
どちらも安全に飲める日本だからこそ、どちらが優れているかではなく、ご自身のライフスタイルに合わせて賢く選択することが重要です。
- コストと利便性、環境負荷を重視するなら → 水道水(+浄水器)
- 味や成分(ミネラル)、備蓄の安心感を重視するなら → ミネラルウォーター
- 利便性と美味しさ、ミルク作りなどを両立したいなら → ウォーターサーバー(軟水)
あなたの生活に最適な「水」を選んで、健康的で豊かな毎日を送ってくださいね。
飲み物の違いについてもっと知りたい方は、飲み物・ドリンクの違いカテゴリのまとめ記事もぜひご覧ください。水道水の詳しい基準については、厚生労働省の水道水質基準のページが参考になりますよ。