「飲む点滴」として人気の甘酒ですが、いざ作ろうとしたり、選ぼうとしたりした時に、「もち米」と「白米(うるち米)」のどちらを使っているかで、味わいが全く異なることをご存知ですか?
この二つの違いは、仕上がりの甘さと食感に決定的な差を生み出します。
一言でいえば、最大の違いは「デンプンの質」です。「もち米」はアミロペクチン100%のため、麹菌によって糖化されると非常に強い甘みと、とろりとした濃厚な粘りを生み出します。一方、「白米」はアミロースを含むため、糖化が比較的穏やかで、すっきりとした上品な甘さと、さらりとした飲み口になるのが特徴です。
この記事を読めば、米の種類が甘酒の味にどう影響するのか、その科学的な理由から、栄養価の違い、そしてシーン別の最適な使い分けまで、すべてが明確になりますよ。
まずは、両者の違いを一覧表で見ていきましょう。
結論|甘酒における「もち米」と「白米」の違いを一言でまとめる
甘酒の原料として使われる「もち米」と「白米(うるち米)」の最大の違いは、デンプンの主成分です。もち米は粘り気の強い「アミロペクチン」100%で構成されているため、非常に甘く、とろりと濃厚な食感に仕上がります。一方、白米は「アミロペクチン」と粘り気の少ない「アミロース」の両方を含むため、上品ですっきりとした甘さと、さらりとした飲みやすい口当たりになります。
どちらも米麹甘酒の原料として使われますが、目指す「甘みの強さ」や「飲み方」によって最適な米が変わってきます。
| 項目 | もち米(で作った甘酒) | 白米(うるち米)(で作った甘酒) |
|---|---|---|
| デンプン主成分 | アミロペクチン 100% | アミロペクチン(約80%)+アミロース(約20%) |
| 甘みの強さ | 非常に強い(濃厚) | 上品ですっきりしている |
| 食感・粘り | 非常に強い(とろとろ、ドロリ) | 弱い(さらり、シャバシャバ) |
| カロリー傾向 | 糖化効率が高く、高くなりがち | もち米に比べると低め |
| おすすめの用途 | ・砂糖代わりの調味料 ・デザート、ジャムとして ・濃厚な「食べる甘酒」として | ・そのまま飲む(ストレート) ・豆乳や生姜で割る ・毎朝すっきり飲みたい時 |
甘酒の基本|米麹甘酒と酒粕甘酒の違い
まず前提として、甘酒には2種類あります。「米麹甘酒」は米と米麹を発酵させて作り、アルコール0%で自然な甘みが特徴です。「酒粕甘酒」は酒粕(日本酒の搾りかす)を水で溶き、砂糖を加えて作ります。この記事で扱う「もち米」と「白米」の違いは、主に「米麹甘酒」を作る際の原料の米の違いを指します。
「甘酒」と一口に言っても、スーパーの棚には大きく分けて2つのタイプが並んでいます。
- 米麹甘酒(こめこうじあまざけ)
米(もち米や白米)を米麹の力で発酵(糖化)させて作ります。麹菌の酵素(アミラーゼ)が米のデンプンをブドウ糖に変えることで、砂糖を一切使わなくても強い甘みが生まれます。アルコール分は0%(※)で、「飲む点滴」と呼ばれるのは主にこちらです。 - 酒粕甘酒(さけかすあまざけ)
日本酒を作った後の搾りかすである「酒粕」を水で溶かし、砂糖を加えて甘みをつけたものです。酒粕には微量のアルコール(10%未満)が含まれるため、加熱してもアルコール分が残ることがあります。
※米麹甘酒も発酵の過程でごく微量のアルコール(1%未満)が生成される場合がありますが、酒税法上はアルコール飲料に含まれません。
今回比較する「もち米」と「白米」の違いは、主に「米麹甘酒」を手作りする際や、市販の米麹甘酒の原料としてどちらが使われているか、という文脈での違いになります。
原材料としての「もち米」と「白米」の特性の違い
私たちが普段「白米」として食べているのは「うるち米」です。一方、「もち米」は餅やおこわに使われます。この二つの米の決定的な違いはデンプンの構造にあります。白米(うるち米)は「アミロース」と「アミロペクチン」の2種類のデンプンで構成されていますが、「もち米」は「アミロペクチン」100%でできています。
甘酒の味が変わる根本的な理由は、この2種類の米が持つデンプンの性質の違いにあります。
「白米(うるち米)」とは?|アミロースとアミロペクチン
私たちが日常的に「ご飯」として食べているお米は、品種改良された「うるち米」を精米した「白米」です。
うるち米のデンプンは、約20%の「アミロース」と約80%の「アミロペクチン」という、2種類のデンプンから構成されています。
- アミロース:ブドウ糖が直線状につながった構造。粘りが少なく、冷めると硬くなりやすい性質があります。
- アミロペクチン:ブドウ糖が枝分かれした複雑な構造。粘りが強く、もちもち感のもとになります。
このバランスのおかげで、うるち米は炊きあがりに適度な粘りと硬さを持つ、私たちがよく知る「ご飯」になるわけです。
「もち米」とは?|アミロペクチン100%
一方、お餅やおこわ、赤飯に使われる「もち米」は、デンプンの成分が「うるち米」とは全く異なります。
もち米のデンプンは、ほぼ100%が「アミロペクチン」で構成されています。「アミロース」は含まれていません。
このアミロペクチン100%という構造こそが、もち米を蒸したり炊いたりした時に、非常に強い粘りと、とろけるような食感を生み出す秘密なんですね。
もち米甘酒と白米甘酒|味・香り・食感(粘り)の違い
もち米(アミロペクチン100%)で作った甘酒は、麹の酵素によって非常に効率よく糖化が進むため、白米よりも格段に甘く、濃厚な味わいになります。また、アミロペクチンの特性により、非常に強い粘り(とろみ)が出るのが特徴です。白米で作った場合は、糖化が穏やかで、上品ですっきりとした甘さと、さらりとした飲み口に仕上がります。
デンプン構造の違いが、そのまま甘酒の仕上がり(甘みと食感)に直結します。
もち米甘酒の特徴|濃厚な甘みと強い粘り
もち米(アミロペクチン100%)を米麹で発酵させると、麹菌の酵素(アミラーゼ)がアミロペクチンを効率よく分解し、大量のブドウ糖(甘みの主成分)を生成します。
その結果、砂糖を加えていないにもかかわらず、まるでシロップや水飴のような、非常に濃厚で強い甘みが生まれます。
食感も、アミロペクチンが持つ強い粘性により、とろりとした、あるいはドロリとした重厚感のある口当たりになります。まさに「食べる甘酒」といった表現がぴったりです。
白米甘酒の特徴|すっきりした甘さとさらりとした飲み口
白米(うるち米)にはアミロースが含まれているため、もち米に比べると麹菌による糖化が穏やかです。
もちろん米麹の力で十分に甘くはなりますが、その甘みは「すっきり」「上品」「さっぱり」と表現されることが多いです。ガツンとくる甘さではなく、自然でマイルドな甘みが特徴です。
食感も、アミロースの影響で粘りが弱く、比較的さらりとした、飲み物として適した口当たりに仕上がります(もちろん、お粥の水分量にもよりますが)。
香りは、どちらも米麹由来の発酵した香りが基本ですが、もち米の方が甘い香りを強く感じる傾向があります。
栄養・健康効果・カロリーの違い
米麹甘酒の基本的な栄養価(ビタミンB群、アミノ酸、オリゴ糖など)は、もち米でも白米でも共通しており、どちらも「飲む点滴」と呼ばれます。ただし、もち米甘酒は白米甘酒よりも糖化効率が高く、ブドウ糖の含有量が多くなるため、同じ量で比較するとカロリーや糖質は高くなる傾向にあります。
共通する栄養価|「飲む点滴」の理由
米麹甘酒が「飲む点滴」と呼ばれる理由は、原料が米であっても共通しています。
- ブドウ糖:米のデンプンが分解されてできる主要なエネルギー源。素早く体内に吸収されます。
- ビタミンB群:代謝を助け、疲労回復をサポートします。
- 必須アミノ酸:体内で生成できない重要なアミノ酸を網羅しています。
- 食物繊維・オリゴ糖:腸内環境を整えるのに役立ちます。
これらの栄養素がバランス良く含まれている点が、米麹甘酒の最大の健康メリットですね。
カロリーと糖質の違い
栄養価のベースは似ていますが、カロリーと糖質には差が出ます。
前述の通り、もち米は白米よりもデンプンが糖に変わりやすい(糖化効率が高い)性質があります。
そのため、同じ量のご飯と米麹を使って甘酒を作った場合、もち米甘酒の方がブドウ糖の生成量が多くなり、結果として「高糖質・高カロリー」になる傾向があります。
ダイエット中や糖質を気にしている方が毎日飲むのであれば、甘みがマイルドでカロリーも比較的抑えられる「白米甘酒」の方が管理しやすいかもしれませんね。
作り方・シーン別の使い分け
甘酒の基本的な作り方(米麹と炊いた米を混ぜ、60℃前後で6〜10時間保温する)は、もち米でも白米でも同じです。ただし、仕上がりの特性が異なるため、「飲む」なら白米甘酒、「調味料(砂糖代わり)やデザート」として使うならもち米甘酒、という使い分けが最適です。
どちらの米を使うかによって、完成した甘酒のポテンシャルが全く変わってきます。
もち米甘酒のおすすめの使い方
その強い甘みと粘りを活かした使い方が向いています。
- 砂糖代わりの調味料として:煮物や照り焼き、酢の物などに加えると、自然な甘みとコク、とろみがプラスされます。
- デザートソースとして:ヨーグルトやアイスクリーム、トーストにかけるジャム代わりに。
- 濃厚な「食べる甘酒」として:少量で満足感が得られるため、そのままスプーンで。
ストレートで飲むには甘すぎたり、濃厚すぎたりする場合があるため、飲料として使うなら豆乳や水でかなり薄める必要があります。
白米甘酒のおすすめの使い方
すっきりとした飲み口は、飲料としての用途に最適です。
- そのままストレートで:毎朝の栄養補給としてゴクゴク飲めます。
- アレンジドリンクのベースに:豆乳、牛乳、アーモンドミルクなどで割ったり、生姜汁やレモン汁を加えたりしても、甘さがくどくなりません。
- スムージーの甘み足しに:野菜や果物と一緒にミキサーにかけても、全体の味を邪魔しません。
もちろん料理にも使えますが、もち米甘酒ほどの強い甘みやコクは出にくいです。料理にも使いたいけれど、そのまま飲むのがメイン、という方には白米甘酒がバランスが良いでしょう。
体験談|自家製甘酒で飲み比べた「甘み」と「粘り」の衝撃
僕は数年前から、健康のために自家製甘酒を作るのにハマっています。ヨーグルトメーカー(保温機)を使って、米麹と炊いたご飯を混ぜて保温するだけなので、とても簡単なんです。
最初は、いつも家で食べている普通の「白米(うるち米)」の残りご飯で作っていました。出来上がった甘酒は、市販のものよりずっと美味しく、お米の粒が感じられる、すっきりとした甘さ。「これなら毎日飲めるな」と満足していました。
そんなある日、お正月に使った「もち米」が少しだけ余っていることに気づきました。「これで甘酒を作ったら、どうなるんだろう?」と。
いつもの白米と同じ分量、同じ時間で仕込んでみました。そして8時間後、保温機のフタを開けて、僕は本当に驚きました。
白米の時は「さらっとしたお粥」のような状態だったのに、もち米で作ったものは、見た目からして「水飴」か「糊(のり)」のようだったのです。スプーンですくうと、とろ〜り糸を引くほどの強い粘り。米粒はほとんど溶けてペースト状になっていました。
一口食べて、さらに衝撃が走りました。「甘い!砂糖を入れてないのに、ジャム並みの甘さだ!」と。
白米の甘酒が「上品なジュース」だとしたら、もち米の甘酒は「凝縮されたシロップ」でした。そのまま飲むには濃厚すぎましたが、試しにヨーグルトにかけてみると、これが絶品でした。
この経験から、僕は「飲む用」には白米を、「料理やデザート用」にはもち米を、と明確に使い分けるようになりました。米の種類だけでこれほど味が変わるのかと、麹菌のパワーとデンプンの化学を実感した出来事です。
甘酒のもち米と白米に関するよくある質問
甘酒の原料米に関する、よくある疑問にお答えしますね。
質問1:玄米でも甘酒は作れますか?
回答:はい、作れます。玄米は白米やもち米に比べて、外皮(糠)の部分が多いため、麹菌の酵素が中のデンプンに届きにくいという性質があります。そのため、糖化に時間がかかり、甘みは白米やもち米よりもかなり控えめになります。その代わり、ビタミンやミネラル、食物繊維が非常に豊富な、栄養価の高い甘酒に仕上がりますよ。プチプチとした食感が残るのも特徴です。
質問2:もち米甘酒が甘すぎる場合、どうすれば良いですか?
回答:そのまま飲むには甘すぎると感じたら、水や豆乳、牛乳などで2~3倍に薄めると、ちょうど良い甘さで飲みやすくなります。また、甘味料として料理に使う量を調整したり、無糖のヨーグルトと混ぜたりするのもおすすめです。
質問3:市販の甘酒は、もち米と白米どちらが多いですか?
回答:製品によりますが、飲料として販売されているストレートタイプの甘酒は、「うるち米(白米)」を使用していることが多いです。すっきりとした飲み口が好まれるためです。一方、調味料用や濃縮タイプの甘酒、あるいは「濃厚」をウリにした商品には、「もち米」が使われていることもあります。パッケージの「原材料名」欄を見れば「もち米」か「うるち米」か記載されているので、ぜひチェックしてみてください。
まとめ|もち米甘酒と白米甘酒、どちらを選ぶべきか?
「もち米」と「白米(うるち米)」、どちらが甘酒の原料として優れているかではなく、あなたの「目的」によって選ぶべき米が変わってきます。
- 濃厚な甘みと、とろりとした食感が欲しい場合
- 砂糖の代わりに料理やデザートに使いたい場合
→ もち米 がおすすめです。
- 毎日飲むために、すっきりとした自然な甘さが欲しい場合
- さらりとした飲み口で、アレンジ(豆乳割りなど)も楽しみたい場合
→ 白米(うるち米)がおすすめです。
どちらの米で作ったものでも、米麹甘酒であれば「飲む点滴」としての素晴らしい栄養価は共通しています。麹菌がデンプンを分解して甘みを引き出すという、日本の伝統的な発酵技術は本当にすごいですよね。
あなたの好みに合わせて米を選び、自家製甘酒に挑戦してみるのも楽しいですよ。
飲み物の違いについてもっと知りたい方は、ぜひ飲み物・ドリンクの違いカテゴリのまとめ記事もご覧ください。甘酒の栄養については、厚生労働省のe-ヘルスネット(健康21)などで発酵食品の情報を確認するのも参考になりますよ。