とうもろこしひげ茶とコーン茶、どちらも韓国で人気の健康茶として日本でもすっかりお馴染みになりましたよね。
見た目が似ているので「何が違うの？」と思うかもしれませんが、実はこの二つ、原料となる「部位」が全く異なります。
一言でいえば、最大の違いは「使用する部位」です。「コーン茶」はとうもろこしの「実」を焙煎して作るのに対し、「とうもろこしひげ茶」は「ひげ（絹糸）」の部分を乾燥・焙煎して作られます。
この原料の違いが、味わいや香り、期待される健康効果にも大きな差を生んでいます。
この記事を読めば、両者の明確な違いから、カフェインの有無、成分（カリウムなど）、そしてシーン別の最適な使い分けまでスッキリと理解できますよ。
まずは、両者の違いを一覧表で比較してみましょう。
結論｜とうもろこしひげ茶とコーン茶の違いを一言でまとめる
「コーン茶」と「とうもろこしひげ茶」の最も大きな違いは、原料として使用する部位です。「コーン茶」は、とうもろこしの「実」を乾燥・焙煎したもので、ポップコーンのような強い香ばしさと甘みが特徴です。一方、「とうもろこしひげ茶」は、「ひげ（絹糸）」を乾燥・焙煎したもので、香ばしさは穏やかで、ほのかな甘みとすっきりした飲み口が特徴です。どちらもカフェインは含まれていません。
使用する部位が違うため、風味や含まれる成分の傾向も異なります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
| 項目 | コーン茶（実） | とうもろこしひげ茶（ひげ） |
|---|---|---|
| 使用部位 | とうもろこしの「実」 | とうもろこしの「ひげ（絹糸）」 |
| 主な特徴 | 強い香ばしさ、甘み | ほのかな甘み、すっきりした後味 |
| 韓国語 | オクスク茶（옥수수차） | オクスクスヨム茶（옥수수수염차） |
| カフェイン | 含まない（ゼロ） | 含まない（ゼロ） |
| 注目成分 | 食物繊維、ビタミンE、鉄分など（実由来） | カリウム（ひげ由来） |
| 健康イメージ | 美容、便秘対策など | むくみ対策、デトックスなど |
| 色（液体） | 濃い黄金色、褐色 | やや薄い黄金色 |
※現在、日本では「とうもろこしひげ茶」として販売されている商品にも、飲みやすさや香ばしさを出すために「実」をブレンドしている製品（ひげと実のブレンド茶）が非常に多いです。
「とうもろこしひげ茶」と「コーン茶」の定義・原材料の違い
「コーン茶（オクスク茶）」は、収穫したとうもろこしの実を乾燥させ、深く焙煎（ロースト）したものです。「とうもろこしひげ茶（オクスクスヨム茶）」は、とうもろこしの雌しべである「ひげ（絹糸）」の部分を集め、天日干しなどで乾燥させてから焙煎したものです。
「コーン茶」とは？｜とうもろこしの「実」を焙煎
コーン茶は、韓国語で「オクスク茶（옥수수차）」と呼ばれ、韓国では麦茶（ポリ茶）と並んで非常にポピュラーな家庭のお茶です。
原料は、私たちがおやつや料理で食べる、あのとうもろこしの黄色い「実」の部分です。
実を収穫後に乾燥させ、香ばしさが出るまで深く焙煎（ロースト）して作られます。この強い焙煎が、ポップコーンにも似た独特の香ばしい風味を生み出します。
「とうもろこしひげ茶」とは？｜とうもろこしの「ひげ」を乾燥・焙煎
とうもろこしひげ茶は、韓国語で「オクスクスヨム茶（옥수수수염차）」と呼ばれます。「スヨム」が「ひげ」を意味します。
原料は、とうもろこしの先端から出ている、あのフサフサとした「ひげ」の部分です。これは植物学的には雌しべ（絹糸：けんし）にあたります。
この「ひげ」の部分だけを集め、丁寧に洗浄し、天日干しなどで乾燥させた後、飲みやすくするために軽く焙煎して作られます。
古くから漢方や民間療法でも、この「ひげ」の部分は「南蛮毛（なんばんもう）」と呼ばれ、利尿作用などが期待できる生薬として用いられてきた歴史があります。
味・香り・カフェイン・色の違い
「コーン茶」は焙煎した実の強い香ばしさと、穀物由来のしっかりした甘みが特徴です。「ひげ茶」は、香ばしさは穏やかで、独特のほのかな甘みと、クセのないすっきりとした後味が特徴です。どちらも穀物由来のお茶であるため、カフェインは一切含まれていません。
味と香り｜香ばしさの「実」 vs ほのかな甘みの「ひげ」
コーン茶（実）
封を開けた瞬間から、焙煎されたとうもろこしの力強い香ばしさが広がります。味わいは、その香ばしさと共に、とうもろこしの実が持つデンプン由来のしっかりとした甘みを感じるのが特徴です。飲みごたえがあり、満足感の高い味わいですね。
とうもろこしひげ茶（ひげ）
香ばしさはありますが、コーン茶（実）ほど強くはありません。香りはより繊細で、ほのかに甘い香りがします。味わいは、クセがなく非常にすっきりしており、後味にとうもろこし由来の優しい甘みがふわりと残ります。コーン茶に比べると、ライトで飲みやすいと感じる方が多いでしょう。
ただし、注意点があります。
日本で市販されている「とうもろこしひげ茶」のペットボトルやティーバッグの多くは、飲みやすさや香ばしさを加えるために、「ひげ」だけでなく「実」もブレンドしている製品が主流です。そのため、製品によってはコーン茶に近い香ばしさを感じることもあります。
カフェインの有無｜どちらもカフェインゼロ
これは両者に共通する最大のメリットです。
「コーン茶」も「とうもろこしひげ茶」も、原料は100%とうもろこし（穀物）です。緑茶、紅茶、烏龍茶、コーヒーなどに含まれるカフェインは一切含まれていません（カフェインゼロ）。
そのため、飲む時間帯を選びません。就寝前のリラックスタイムや、妊娠中・授乳中の方、小さなお子様の水分補給としても安心して選ぶことができます。
色の比較
どちらも美しい黄金色をしていますが、比較すると違いがあります。
コーン茶（実）は、実を強く焙煎しているため、色が濃く出やすく、しっかりとした黄金色～薄い褐色になります。
とうもろこしひげ茶（ひげ）は、焙煎が浅いことが多く、やや薄い、透明感のある黄金色になる傾向があります。（ただし、ブレンドの場合は濃くなります）
健康イメージ・成分・効能の違い
どちらもカフェインゼロ・カロリーゼロ（※無糖の場合）で健康的な飲料です。「コーン茶（実）」は、実の部分に含まれる食物繊維やビタミンE、鉄分、リノール酸などが注目されます。「ひげ茶」は、ひげの部分に豊富なカリウムが含まれることから、特に「むくみ対策」やデトックスのイメージと結びついています。
※医薬品ではないため、特定の効能・効果を保証するものではありません。あくまで一般的な健康茶としての成分特徴です。
コーン茶（実）の主な特徴｜食物繊維やビタミン
コーン茶は、とうもろこしの実をまるごと使っているため、実が持つ栄養素が含まれます。
- 食物繊維：腸内環境を整えるサポート。
- ビタミンE：抗酸化作用を持つとされるビタミン。
- 鉄分：特に女性に不足しがちなミネラル。
- リノール酸：血中コレステロール値への良い影響が期待される不飽和脂肪酸。
香ばしい風味を楽しみながら、これらの栄養素も補給できる（※浸出液に含まれる量は限られます）のが魅力です。
とうもろこしひげ茶（ひげ）の主な特徴｜カリウム
とうもろこしの「ひげ」は、古くから漢方（南蛮毛）として利用されてきた歴史があり、特に「水分の排出」に関連する健康イメージが強いです。
- カリウム：ひげ茶の最も特徴的な成分です。カリウムは、体内の余分なナトリウム（塩分）を排出し、水分バランスを整える働きがあるとされています。
このカリウムの働きから、「むくみが気になる時」や「塩分の多い食事のお供」として、美容や健康意識の高い層から特に支持されていますね。
飲み方・シーン別の使い分け
どちらも煮出し・水出しが可能で、ホットでもアイスでも美味しく飲めます。しっかりとした香ばしさと甘みを食事と合わせたい時は「コーン茶」、すっきりとした味わいとカリウム補給を期待する時は「とうもろこしひげ茶」がおすすめです。
どちらもカフェインゼロなので、基本的にはいつでも誰でも楽しめますが、風味や成分の特徴によって最適なシーンが異なります。
コーン茶がおすすめのシーン
- 香ばしさを楽しみたい時：ポップコーンのような香ばしい香りでリラックスしたい時に。
- 食事のお供に：麦茶のように、しっかりした味わいが食事（特に韓国料理や焼肉など）とよく合います。
- 甘みが欲しい時：砂糖不使用でも、穀物由来の自然な甘みを感じやすいため、甘い飲み物が欲しい時にも。
とうもろこしひげ茶がおすすめのシーン
- むくみが気になる時：カリウムの補給として、立ち仕事が続いた日の夜や、朝起きた時に。
- 塩分の多い食事の時に：外食や濃い味付けの料理のお供として。
- すっきりしたい時：クセがなく後味がさっぱりしているので、リフレッシュしたい時に。
- 就寝前の水分補給：カフェインゼロで体に優しく染み渡ります。
文化・歴史｜韓国で愛飲される「オクスク茶」
とうもろこし茶の文化は、特に韓国で深く根付いています。
韓国では、コーン茶（オクスク茶）は麦茶（ポリ茶）と並ぶ「国民的なお茶」として、家庭や飲食店で日常的に飲まれています。食堂に入ると、無料の水代わりに出されることも多いですよね。
これは、朝鮮半島では米が貴重であった時代から、米の代わりにとうもろこしや大麦などの雑穀を炒ってお茶にして飲む文化が発展したためと言われています。
一方、とうもろこしひげ茶（オクスクスヨム茶）は、どちらかというと伝統的な健康茶・美容茶としての側面が強く、その健康イメージ（特に“Vライン”＝小顔・むくみ解消のイメージ）から、近年になって美容意識の高い層を中心に爆発的な人気となりました。
体験談｜香ばしさと優しい甘さ、飲み比べた印象
僕がこの二つのお茶の違いをはっきりと意識したのは、韓国料理店での体験がきっかけです。
あるお店では、水代わりに「コーン茶」が出されました。一口飲んだ瞬間、焙煎されたとうもろこしの力強い香ばしさが口いっぱいに広がり、「美味しい！」と感動しました。脂っこいサムギョプサルとも相性抜群で、すっかりファンになりました。
別のお店では、「とうもろこしひげ茶」のティーバッグがポットで出てきました。コーン茶の強烈な香ばしさを想像して飲むと、拍子抜けするほど「すっきり」していたんです。
香ばしさは控えめ。その代わり、舌の上にふわっと広がる、砂糖とは全く違う「ほのかな甘み」が非常に印象的でした。刺激が全くなく、水のようにゴクゴク飲めるのに、後味に優しい甘さが残る。「これは癒やされる味だ…」と感じました。
それ以来、僕は家で常備するお茶として、この二つを使い分けています。
食事中や、パンチのある香ばしさが欲しい時は「コーン茶（実）」を。夜、リラックスしたい時や、むくみが気になる朝には「とうもろこしひげ茶（ひげ）」を。どちらもカフェインゼロなので、生活からカフェインを減らしたい僕にとって、欠かせない存在になっています。
とうもろこしひげ茶とコーン茶に関するよくある質問
とうもろこし茶に関する、よくある疑問にお答えしますね。
質問1：どちらもカフェインは本当にゼロですか？
回答：はい、どちらもカフェインゼロです。原料はとうもろこし（穀物）のみであり、緑茶や紅茶、コーヒーの原料（チャノキやコーヒー豆）とは異なるため、カフェインは一切含まれていません。妊娠中・授乳中の方やお子様、就寝前でも安心してお飲みいただけます。
質問2：とうもろこしアレルギーの人は飲めますか？
回答：飲めません。どちらも「とうもろこし」を100%原料としています。とうもろこしに対してアレルギーをお持ちの方は、アレルギー反応を引き起こす可能性がありますので、摂取は絶対に避けてください。
質問3：「ひげ茶」と「実」のブレンドが多いのはなぜですか？
回答：「ひげ」だけでは、私たちが飲み慣れたお茶としての「香ばしさ」や「コク」が出にくい場合があります。そのため、多くの市販製品では、「ひげ」の持つ健康イメージ（カリウムなど）と、「実」の持つ美味しい「香ばしさ」と「甘み」を両立させるために、両方をバランス良くブレンドしているのです。
まとめ｜とうもろこしひげ茶とコーン茶、どちらを選ぶべきか？
「とうもろこしひげ茶」と「コーン茶」の違い、明確になりましたでしょうか。
どちらもカフェインゼロで飲みやすい健康茶ですが、その個性は「使用部位」によって大きく異なります。
- ポップコーンのような強い香ばしさと、穀物の甘みをしっかり楽しみたい時
- 食事（特に脂っこいもの）に合わせる満足感が欲しい時
→ コーン茶（実） がおすすめです。
- すっきりとした飲み口と、ほのかな優しい甘みでリラックスしたい時
- カリウム補給や、むくみ対策を意識したい時
- 就寝前や起床時の一杯として
→ とうもろこしひげ茶（ひげ） がおすすめです。
もちろん、両方をブレンドしたお茶も、香ばしさとすっきり感を両立できる良い選択肢です。
ぜひ、あなたの好みや飲むシーンに合わせて、最適な一杯を見つけてくださいね。
飲み物の違いについてもっと知りたい方は、飲み物・ドリンクの違いカテゴリのまとめ記事もぜひご覧ください。お茶の成分については、農林水産省の食育に関するページなども参考になりますよ。