ピーマンとパプリカの違いとは?栄養、味、使い方を徹底比較!

ピーマンとパプリカ、見た目は似ていますが、料理で使う際にはどちらを選ぶべきか迷うことはありませんか?

同じ野菜売り場に並んでいることも多く、緑色のピーマンに対して赤や黄色のパプリカは「カラーピーマン」と呼ばれることもあり、混乱してしまいますよね。

結論から言うと、ピーマンとパプリカは植物学的には同じ仲間ですが、主に「収穫時期(熟度)」と「品種」が異なり、それによって「味」「食感」「栄養価」が大きく異なります。ピーマンは特有の苦味があり、パプリカはフルーティーな甘味が特徴です。

この記事では、ピーマンとパプリカの根本的な違いから、栄養価、料理での具体的な使い分け、さらには保存方法や歴史的背景まで、専門的に徹底比較します。

読み終える頃には、両者の違いを明確に理解し、自信を持って使い分けられるようになっているでしょう。それでは、まず両者の最も重要な違いから見ていきましょう。

結論|ピーマンとパプリカの違いを一言でまとめる

【要点】

ピーマンとパプリカは植物学的には同じナス科トウガラシ属の仲間です。しかし、一般的にピーマンは未熟な状態で収穫され特有の苦味があるのに対し、パプリカは完熟させて収穫するため甘味が強く肉厚である点に明確な違いがあります。

ピーマンとパプリカは、どちらも私たちの食卓を彩る身近な野菜ですが、その特性は大きく異なります。スーパーマーケットでは隣に並べられていることも多いですが、料理における役割は全く別物です。

まずは、両者の違いを比較表で整理してみましょう。

項目ピーマン(緑)パプリカ(赤・黄)
植物分類ナス科 トウガラシ属ナス科 トウガラシ属
品種群中型種(シシ群など)大型種(ベル群)
収穫時期未熟(緑色の状態)完熟(赤・黄・橙などに着色後)
主な味特有の苦味、わずかな甘味フルーティーな甘味、苦味はほぼない
香り青臭さ(ピラジン類)甘くフルーティーな香り
食感肉薄、シャキシャキ肉厚、ジューシー
主な栄養(100gあたり)ビタミンC (76mg)、β-カロテン (400µg)ビタミンC (170mg)、β-カロテン (1100µg) ※赤パプリカ
主な用途炒め物、煮物、揚げ物(加熱調理)サラダ、マリネ(生食)、グリル、煮込み
価格帯比較的安価(袋単位)比較的高価(1個単位)

※栄養価は「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」の「ピーマン(青、生)」と「パプリカ(赤、生)」の数値を参照。

このように、植物学的なルーツは同じでも、品種や収穫方法によって、味わいから適した調理法まで大きく異なることがわかりますね。

ピーマンとパプリカの定義・分類・栽培の違い

【要点】

ピーマンとパプリカは、どちらも中南米原産のナス科トウガラシ属の植物です。ピーマンは一般的に中型で緑色の「シシ群」と呼ばれる品種群で、未熟な状態で収穫されます。一方、パプリカは大型で肉厚な「ベル群」に属し、完熟させて収穫されるため甘味が強くなります。

植物学的には同じ「トウガラシ属」の仲間

まず押さえておきたいのは、ピーマンもパプリカも、そして「ししとう」や「唐辛子」さえも、植物分類学上は同じナス科トウガラシ属の植物であるという点です。

辛味成分である「カプサイシン」の有無やその量によって、辛味種(唐辛子など)と甘味種(ピーマン、パプリカなど)に大別されます。ピーマンとパプリカは、この甘味種に属する仲間なのです。

農林水産省の分類でも、ピーマンやパプリカは「甘味種」として扱われています。

ピーマンは「未熟」、パプリカは「完熟」

両者を分ける最も大きな違いの一つが、収穫するタイミング(熟度)です。

私たちが普段目にする緑色のピーマンは、実は未熟な状態で収穫されたものです。ピーマンもそのまま育て続ければ、赤や黄色に色づき、完熟します(赤ピーマンとして売られることもあります)。しかし、未熟なうちに収穫する方が、株への負担が少なく、次々と実をつけるため、収穫量を増やす目的で緑色の状態で収穫されるのが一般的です。

一方、パプリカは、実が十分に大きくなり、赤・黄・橙などに色づいた「完熟」の状態で収穫されます。完熟するまで待つため、ピーマンに比べて栽培に手間と時間がかかりますが、その分、糖度が増して甘くなります。

品種群による形状と果肉の違い

一般的に「ピーマン」と呼ばれるものは、中型の「シシ群」や「カリフォルニア・ワンダー群」などの品種が多いです。これらは比較的、果肉が薄く、細長い形やベル型でも小ぶりなのが特徴です。

対して「パプリカ」は、大型で釣鐘型(ベル型)の「ベル群」という品種群が主流です。これは果肉が非常に厚く、大きいのが特徴です。

ただし、最近では「ジャンボピーマン」と呼ばれる、パプリカのように肉厚で甘いピーマンや、「こどもピーマン」のように苦味を抑えた品種も登場しており、両者の境界は品種改良によって多様化しています。

味・香り・食感・見た目の違い

【要点】

最大の違いは「味」です。ピーマンには「ピラジン」という香り成分による特有の苦味があります。パプリカは完熟収穫されるため糖度が高く、フルーティーな甘味が特徴です。食感も、ピーマンは薄くシャキシャキしているのに対し、パプリカは肉厚でジューシーです。

味と香りの違い:「ピラジン」の苦味と糖度の甘味

ピーマンの最も顕著な特徴は、あの独特の青臭い香りと苦味ですよね。

この香りの正体は「ピラジン」という成分(正確にはピラジン類)で、ピーマンのヘタやワタの部分に特に多く含まれています。この苦味が、ピーマンが苦手な子どもが多い理由の一つでもあります。

対照的に、パプリカは完熟しているため糖度が非常に高く、苦味はほとんどありません。その味わいは「フルーティー」と表現されるほどで、野菜というより果物に近い甘さを持っています。

食感と見た目の違い:果肉の「厚み」と「色彩」

食感の違いは、品種群の違い(果肉の厚み)から生まれます。

ピーマンは果肉が薄いため、加熱してもシャキシャキとした食感が残りやすいのが特徴です。これが炒め物などで好まれます。

パプリカは果肉がピーマンの2〜3倍も厚いことが多く、非常にジューシーです。生で食べればパリッとした食感、加熱すればトロリとした食感が楽しめます。

見た目の違いは一目瞭然ですね。ピーマンは緑色が主流ですが、パプリカは赤、黄、橙(オレンジ)が基本で、最近では紫や白、茶色といった珍しい色のものも見かけるようになりました。この鮮やかな色彩が、料理の彩りとして重宝される理由です。

栄養・成分・健康面の違い

【要点】

ピーマンとパプリカはどちらも栄養価が高いですが、特にパプリカ(赤・黄)はビタミンCとビタミンA(β-カロテン)が豊富です。特に赤パプリカのビタミンC含有量はピーマンの2倍以上。ピーマンには抗酸化作用のあるクロロフィルや苦味成分ピラジンが含まれます。

ピーマンもパプリカも、非常に栄養価の高い緑黄色野菜です。しかし、その熟度の違いから、栄養素の含有量には大きな差があります。

ビタミンCとA(β-カロテン)の含有量

文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)」によると、100gあたりのビタミンC含有量は、ピーマン(青、生)が76mgであるのに対し、赤パプリカ(生)は170mgと、2倍以上も含まれています。これは野菜の中でもトップクラスの含有量です。

また、体内でビタミンAに変換されるβ-カロテンも、ピーマンが400µgに対し、赤パプリカは1100µgと豊富です。

これらの栄養素は油と一緒に摂ると吸収率が上がるため、油を使った調理法は理にかなっていると言えますね。

ピーマン特有の栄養素

ピーマンの緑色は、葉緑素(クロロフィル)によるものです。クロロフィルには抗酸化作用が期待されています。

また、あの独特の香り成分「ピラジン」には、血液をサラサラにする効果が期待できるとも言われており、健康面でも注目されています。

パプリカ特有の栄養素(色別)

パプリカの鮮やかな色は、カプサンチン(赤色)やゼアキサンチン(黄色)といったカロテノイド系色素によるものです。

  • 赤パプリカ: 強い抗酸化作用を持つカプサンチンが豊富です。ビタミンCとEも非常に多く含まれます。
  • 黄パプリカ: ビタミンCが豊富で、肌の健康維持に役立つルテインも含まれています。
  • 橙パプリカ: 赤と黄の中間的な性質を持ち、β-カロテンとビタミンCがバランス良く含まれます。

使い方・料理での扱い方の違い

【要点】

ピーマンの苦味と香りは、炒め物や煮物(例:青椒肉絲、きんぴら)でアクセントになります。一方、パプリカの甘味と肉厚な食感は、サラダやマリネなどの生食、またはグリルやパスタ(例:ラタトゥイユ)で彩りとボリュームを出すのに適しています。

栄養や味の違いを理解すると、料理での使い分けも明確になります。

ピーマンが活きる料理(苦味と香り)

ピーマンの最大の持ち味は、加熱したときの香りの良さとシャキシャキ感、そして適度な苦味です。

油との相性が抜群で、油通しをしたり、強火でさっと炒めたりすることで、色鮮やかに仕上がります。

  • 青椒肉絲(チンジャオロース):細切りにしたピーマンの食感と香りが、全体の味を引き締めます。
  • ピーマンの肉詰め:ピーマンの苦味が、ジューシーな肉だねと合わさることで絶妙なバランスになります。
  • きんぴら・チャンプルー:他の食材と炒め合わせることで、風味豊かなアクセントとして機能します。

パプリカが活きる料理(甘味と彩り)

パプリカは、その甘味と鮮やかな色、肉厚な食感を活かす料理に向いています。

苦味がほとんどないため、生食でも美味しく食べられるのがピーマンとの大きな違いです。

  • サラダ・マリネ:生でスライスして加えるだけで、彩りと甘味、パリパリとした食感がプラスされます。
  • ラタトゥイユ・煮込み料理:じっくり加熱することで、パプリカから甘い水分が出て、料理全体にコクと旨味を与えます。肉厚なので煮崩れしにくいのも利点です。
  • グリル(焼き野菜):オーブンなどで焼くと、甘味がさらに凝縮され、トロリとした食感になります。
  • ムニエルやステーキの付け合わせ:彩りとして添えるだけで、一皿が華やかになります。

旬・産地・保存・価格の違い

【要点】

ピーマンの旬は夏(6月〜9月)ですが、ハウス栽培により通年流通しています。主な産地は茨城県や宮崎県です。パプリカも通年流通しますが、旬は夏で、国内産(宮城県、茨城県など)のほか、韓国やオランダからの輸入品も多く市場に出回っています。

旬と主な産地(国産と輸入品)

ピーマン、パプリカともにナス科の野菜であり、本来の旬は夏(6月〜9月頃)です。

ただし、現在ではどちらもハウス栽培(施設栽培)が主流となっており、一年中安定して市場に流通しています。

ピーマンの主な産地は、茨城県、宮崎県、高知県、鹿児島県などです。

パプリカは、宮城県、茨城県、熊本県などで生産されていますが、市場に流通しているものの多くは輸入品です。特に韓国産やオランダ産、ニュージーランド産などが多く見られます。

価格の違いと正しい保存方法

価格は、一般的にピーマンの方が安価です。ピーマンは1袋(4〜5個入り)単位で販売されることが多いのに対し、パプリカは1個単位で販売され、1個あたりの価格もピーマンより高価な傾向があります。

これは、パプリカが完熟するまで栽培に時間がかかることや、輸入品が多いことが理由として考えられます。

保存方法については、両者とも基本的に同じです。乾燥と低温に弱いため、キッチンペーパーなどで水気を拭き取り、ポリ袋や保存袋に入れて口を軽く閉じ、冷蔵庫の野菜室で保存するのが最適です。

ピーマンとパプリカの起源・歴史・文化的背景

【要点】

ピーマンとパプリカの原産地は中南米の熱帯地方です。コロンブスによってヨーロッパに持ち込まれたトウガラシが原型です。ピーマンは辛味のない品種が明治時代に日本に伝わり、戦後に普及しました。パプリカはハンガリーで品種改良が進み、1990年代に日本市場に広く普及しました。

ピーマンとパプリカのルーツは、中南米の熱帯地方に自生していたトウガラシ属の植物です。大航海時代、コロンブスがこれをヨーロッパに持ち帰り、世界中に広まりました。

ヨーロッパに伝わったトウガラシは、各地で品種改良が進められます。ピーマンの原型となる辛味のない品種は、明治時代に日本に伝来しました。しかし、当時はその青臭さが敬遠され、本格的に普及したのは第二次世界大戦後、食生活の洋食化が進んでからです。

一方、パプリカは特にハンガリーで品種改良が進み、同国の代表的な香辛料(粉末パプリカ)や料理(グヤーシュなど)に欠かせない食材となりました。「パプリカ」という名前自体がハンガリー語に由来します。

日本で現在のようなカラフルで肉厚なパプリカが一般的に食べられるようになったのは比較的最近で、1990年代にオランダなどからの輸入が本格化してからです。

体験談|ピーマン嫌いを克服したパプリカの衝撃

僕も子どもの頃は、ピーマンの苦味が本当に苦手でした。

特に食卓に「ピーマンの肉詰め」が出た日は、少し憂鬱だったのを覚えています。なんとか肉の部分だけを食べて、残ったピーマンをどうしようかと悩んだものです。あの独特の青臭さと苦味は、子どもにとって強烈な「敵」でしたよね。

ところが、大学生になって初めて一人暮らしをし、自炊をするようになったある日、スーパーで色鮮やかな赤パプリカに出会いました。「カラフルなピーマンだな」くらいの認識で、彩りになればとサラダに入れてみたんです。

一口食べて、衝撃を受けました。

「甘い!これは野菜なのか?」

苦味や青臭さは一切なく、むしろ果物のようなフルーティーな甘味と、パリッとしたジューシーな食感。ピーマンと同じ仲間だとは到底信じられませんでした。

それ以来、パプリカは僕の冷蔵庫の常連になりました。ラタトゥイユに入れてじっくり煮込むと、その甘さがトマトソースに溶け出して、全体の味を格段に引き上げてくれることにも気づきました。

不思議なもので、パプリカを好きになってから、あれほど苦手だったピーマンの苦味も「これはこれでアクセントになるな」と受け入れられるようになりました。今では青椒肉絲のシャキシャキしたピーマンの食感と香りが大好きです。

「未熟な苦味」と「完熟した甘味」。両者は違うからこそ、それぞれの良さがあり、料理の世界を広げてくれるのだと、あの日のサラダが教えてくれました。

ピーマンとパプリカに関するよくある質問

ピーマンとパプリカは、栄養的にどっちが優れていますか?

どちらも非常に栄養価が高いですが、特にビタミンCやビタミンA(β-カロテン)を効率よく摂取したい場合は、パプリカ(特に赤色)が優れています。赤パプリカのビタミンCはピーマンの2倍以上です。ただし、ピーマンには特有のピラジンなど、パプリカにはない利点もありますよ。

緑色のパプリカも見かけますが、あれはピーマンと違うのですか?

良い質問ですね。緑色のパプリカは、パプリカの品種を未熟なうちに収穫したものです。ピーマン(未熟)とパプリカ(完熟)の中間のような存在ですが、ピーマンよりも苦味が少なく、パプリカ(完熟)よりも甘味が控えめなのが特徴です。

ピーマンの苦味を消す方法はありますか?

苦味成分「ピラジン」は油に溶けやすい性質があります。そのため、油通しをしたり、先に油でコーティングするように炒めたりすると、苦味が和らぎます。また、繊維を断ち切るように「縦切り」ではなく「横切り」にすると、細胞が壊れて苦味を感じやすくなるため、「縦切り」にするのも一つの方法です。

まとめ|ピーマンとパプリカ、どちらを選ぶべきか?

ピーマンとパプリカの違い、お分かりいただけたでしょうか。

両者は植物学的には近縁ですが、品種、収穫の熟度、そしてその結果としての味、食感、栄養価、調理法において、明確に異なる野菜です。

どちらを選ぶべきか迷った時は、以下を基準にしてみてください。

  • ピーマンを選ぶべき時:料理に特有の苦味や香りでアクセントを加えたい時。青椒肉絲やきんぴら、炒め物など、シャキシャキした食感と風味を活かしたい場合。
  • パプリカを選ぶべき時:料理に彩りとフルーティーな甘味を加えたい時。サラダやマリネなどの生食、またはラタトゥイユやグリルなど、肉厚な食感と甘さを楽しみたい場合。

それぞれの栄養価についてさらに詳しく知りたい場合は、文部科学省の「日本食品標準成分表」で詳細なデータを確認するのも良いでしょう。

ピーマンやパプリカのように、似ている野菜や果物の違いは他にもたくさんあります。それぞれの特徴を知って、料理のレパートリーを広げてみてはいかがでしょうか。

この違いを理解して使い分けるだけで、いつもの料理が一段と美味しく、華やかになるはずです。ぜひ、両方の個性を楽しんでみてくださいね。