スーパーの野菜売り場で、ししとうのパックの隣に、よく似た緑色の青唐辛子が並んでいること、ありますよね。
見た目がそっくりなので、「どちらも同じようなもの?」「ししとうも唐辛子だから辛いの?」と迷った経験はありませんか。
この二つ、植物学的には近い仲間ですが、料理の世界では全くの別物です。
この記事では、ししとうと青唐辛子の明確な違いから、辛さの見分け方、栄養価、そして最適な料理での使い分けまで、詳しく解説していきます。これを読めば、もう二つの違いに迷うことはありませんよ。
それでは、二つの違いを詳しく見ていきましょう。
結論|ししとうと青唐辛子の最も重要な違い
ししとうと青唐辛子の最も重要な違いは、「辛さのレベル」と「品種(分類)」です。「ししとう(獅子唐)」は、ナス科トウガラシ属の「甘味種(あまみしゅ)」に分類される特定の品種名です。基本的に辛みはなく、野菜として食べられます。
一方、「青唐辛子(あおとうがらし)」は、辛みを持つ「辛味種(からみしゅ)」の総称です。未熟な緑色の状態で収穫された辛い唐辛子全般を指し、主に香辛料として使われます。
定義と分類|ししとうと青唐辛子は同じ「トウガラシ」の仲間
ししとうも青唐辛子も、植物分類上は同じナス科トウガラシ属の野菜です。ししとうは「甘味種(甘とうがらし)」に分類される特定の品種名(獅子唐辛子)を指します。一方、「青唐辛子」は、辛みを持つ唐辛子を完熟前に収穫したもの全般を指す「総称」です。
まず、ししとうと青唐辛子がどのような野菜なのか、その基本的な定義から確認していきましょう。
驚くかもしれませんが、植物分類学上、ししとうも青唐辛子も同じナス科トウガラシ属に分類されます。どちらも中南米が原産の野菜です。
しかし、園芸上や食卓では、その「辛み」によって明確に区別されています。
ししとう(獅子唐)とは?
ししとうは、日本で古くから栽培されている「甘味種(あまみしゅ)」、いわゆる「甘とうがらし」の代表的な品種です。
その名前は、先端部分が獅子の口に似ていることから「獅子唐辛子(ししとうがらし)」と名付けられました。
基本的に辛みはなく、特有の風味とわずかな苦みを「野菜(具材)」として楽しみます。ピーマンやパプリカも、この甘味種の仲間にあたります。
青唐辛子(あおとうがらし)とは?
青唐辛子は、特定の品種名ではありません。
トウガラシ属の中でも辛みを持つ「辛味種(からみしゅ)」(例:鷹の爪、ハラペーニョ、プリッキーヌなど)を、緑色の未熟な状態(完熟前)で収穫したものを指す総称です。
これらは完熟すると赤くなるものが多く、その場合は「赤唐辛子」と呼ばれます。青唐辛子は、料理に刺激的な辛みを加える「香辛料(薬味)」として扱われます。
辛さ・味・香りの違い
最大の違いは辛さです。ししとうはカプサイシンの含有量が少なく、基本的に辛くありません(まれに辛いものがある)。一方、青唐辛子はカプサイシンを非常に多く含み、強い刺激的な辛さを持っています。
この二つを使い分ける上で、最も重要なのが「辛さ」と「風味」の違いです。
最大の違いは「辛さ」
ししとう
辛み成分であるカプサイシンの含有量はごくわずかです。そのため、野菜としてそのまま食べられます。
ただし、生育環境のストレス(水分不足や高温、乾燥など)によって、まれにカプサイシンが多く生成され、「当たり」と呼ばれる辛い個体が出現することがあります。これについては後ほど詳しく解説しますね。
青唐辛子
品種にもよりますが、カプサイシンを豊富に含みます。その辛さは舌を刺すような刺激的なもので、風味付けというよりは「辛み付け」として使われます。品種によっては、触っただけで手が痛くなるほどのものもあります。
風味と香りの比較
ししとう
独特の爽やかな青臭さと、ほのかな苦みが特徴です。加熱することで苦みが和らぎ、甘みも感じられます。この風味が、焼き物や揚げ物のアクセントになります。
青唐辛子
品種によりますが、辛さとともに青々とした強い香りがあります。日本の「柚子こしょう」に使われるように、その爽やかな香りが柑橘類とも非常に相性が良いです。
見た目・食感の違い
見た目では、ししとうの先端が「獅子の口」のようにくびれてデコボコしているのに対し、青唐辛子の多くは先端が滑らかで真っ直ぐ、または尖っています。また、ししとうは皮が薄く柔らかいですが、青唐辛子は皮が硬めでしっかりしているものが多いです。
スーパーで見分ける際は、先端の形に注目するのが一番分かりやすいでしょう。
| 項目 | ししとう | 青唐辛子 |
|---|---|---|
| 見た目(先端) | 獅子の口のようにデコボコ・くびれている | 滑らかで尖っているものが多い |
| 見た目(表面) | 表面に凹凸があり、やや細長い | 表面がツルッとしており、品種により形状様々 |
| 食感(皮) | 皮が薄く、柔らかい | 皮が比較的硬め・しっかりしている |
| 食感(種) | 種が少なく、食べても気になりにくい | 品種によるが、種やワタに辛みが集中している |
栄養・成分・健康面の違い
どちらもビタミンCやβ-カロテンが豊富ですが、青唐辛子(生)はししとう(生)よりもビタミンCを約2倍多く含んでいます。また、青唐辛子は辛み成分であるカプサイシンを豊富に含み、これが最大 mimics 科学的な成分の違いとなります。
どちらも緑黄色野菜として優秀ですが、辛味種である青唐辛子には特徴的な成分が含まれています。
文部科学省の「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」によると、可食部100gあたりの主な栄養素は以下の通りです。
| 栄養素(100gあたり) | ししとう(生) | 青唐辛子(生) |
|---|---|---|
| エネルギー | 25 kcal | 37 kcal |
| ビタミンC | 57 mg | 120 mg |
| β-カロテン | 530 µg | 730 µg |
| カプサイシン | ごく微量(個体差あり) | 豊富 |
どちらも抗酸化作用のあるβ-カロテンやビタミンCを含みます。特に青唐辛子はビタミンCが豊富ですね。
青唐辛子のカプサイシンは、適量であれば食欲増進やエネルギー代謝の促進などの効果が期待されますが、過剰摂取は胃腸の粘膜を傷つける可能性があるため注意が必要です。
使い方・料理での扱い方の違い
ししとうは、それ自体を「野菜(具材)」として食べます。焼き物や揚げ物が定番です。一方、青唐辛子は、料理に辛みを加える「香辛料(薬味)」として使います。刻んで使ったり、柚子こしょうなどの調味料の原料にします。
ここが実用面での最大の違いです。ししとうは「具材」、青唐辛子は「薬味」と覚えると分かりやすいですね。
ししとうが活きる料理
ししとうは、加熱することで甘みと風味が増します。油との相性も抜群です。
- 焼きししとう:網焼きやフライパンで焼き目をつけ、鰹節と醤油をかけるシンプルな料理。
- 天ぷら:衣をつけて揚げることで、ほのかな苦みと甘みが引き立ちます。
- 煮浸し:だし汁でさっと煮て、味を含ませます。
- 炒め物:ピーマンの代わりに野菜炒めやきんぴらに加えると、風味が変わります。
青唐辛子が活きる料理
青唐辛子は非常に辛いため、取り扱いには注意が必要です。調理の際は手袋をしたり、触った手で目や粘膜をこすらないようにしましょう。
- 薬味:そばやうどん、鍋物の薬味として少量刻んで使用します。
- 柚子こしょう:青唐辛子と柚子の皮、塩をすり合わせて作る九州地方発祥の調味料。
- 辛味オイル・酢:刻んだ青唐辛子を油や酢に漬け込み、辛みを移します。パスタや中華料理に便利です。
- エスニック料理:タイのグリーンカレー(プリッキーヌ)や、メキシコのサルサ(ハラペーニョ)など、世界の辛い料理に欠かせません。
旬・産地・保存・価格の違い
ししとうはハウス栽培により通年流通していますが、旬は夏(6月〜8月)です。高知県が全国一の産地です。青唐辛子も夏が旬ですが、様々な品種があるため旬は多様です。保存はどちらも乾燥を避けて冷蔵庫の野菜室が基本です。
ししとう
主な産地は高知県や千葉県、和歌山県などです。ハウス栽培技術の進歩により一年中スーパーで見かけますが、本来の旬は夏です。価格は比較的安価で、パック売りされているのが一般的ですね。
青唐辛子
鷹の爪(未熟)やハラペーニョ、韓国唐辛子など品種が多様です。旬はししとうと同じく夏ですが、用途が専門的なため、ししとうほど一般的に流通していない場合もあります。価格は品種や量によります。
保存方法
どちらも乾燥が大敵です。キッチンペーパーなどで包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存すると長持ちします。青唐辛子は刻んで冷凍したり、オイルや酢に漬けて保存するのもおすすめです。
なぜししとうは時々辛い?「当たり」が出る理由
ししとうは基本的に辛くない「甘味種」ですが、まれに辛い「当たり」が出ることがあります。これは、生育中に水分不足、高温、乾燥、肥料不足といったストレスがかかると、ししとうが防御反応として辛み成分(カプサイシン)を通常より多く生成してしまうためです。
ししとうを食べていて、突然激辛の「当たり」に遭遇したことはありませんか?
これは、ししとうが育つ環境が大きく影響しています。同じ株から採れたししとうでも、例えば日当たりが強すぎたり、水が足りなかったりした場所の実は辛くなることがあります。
残念ながら、辛いししとうを見た目で確実に見分ける方法はありません。「種が少ない」「形がいびつ」「緑色が薄い」「ヘタが曲がっている」ものは辛い可能性があると言われることもありますが、科学的な根拠は不十分です。
こればかりは、少しロシアンルーレットのようなつもりで楽しむのが良いかもしれませんね。
体験談|青唐辛子とししとうを間違えた苦い記憶
僕も昔、バーベキューでししとうだと思って青唐辛子を丸ごと焼いて食べてしまった苦い記憶があります。
見た目がよく似ていたので、仲間が「ししとう買ってきたよ」と言うのを鵜呑みにして、豪快に串に刺して焼いたんです。先端が少し尖っている気はしましたが、「まあ、ししとうだろう」と。
焼き上がったものを一口食べた瞬間、想像を絶する激痛が口の中に走りました。ししとう特有のあの風味豊かな甘みを想像していただけに、そのギャップは凄まじかったです。水をいくら飲んでも辛さは消えず、バーベキューの後半は味覚が麻痺してしまいました。
後で確認すると、それは「ししとう」ではなく、京都の「伏見甘長」という甘とうがらしの品種だったのですが、その中に交雑したのか、いくつかの激辛の青唐辛子が混入していたようでした。
この体験から、「先端がデコボコしていない唐辛子は、まず疑ってかかる」という教訓を得ましたね。特に青唐辛子を扱う際は、必ず少量で辛さを確認することが重要だと痛感しました。
ししとうと青唐辛子に関するFAQ(よくある質問)
ピーマン、ししとう、青唐辛子の違いは何ですか?
A. ピーマンとししとうは辛みのない「甘味種」で、青唐辛子は辛みのある「辛味種」の総称です。ピーマンは肉厚で苦みがあり、ししとうは皮が薄く風味が良いのが特徴ですよ。
辛いししとう(当たり)を引かない方法はありますか?
A. 確実な見分け方は難しいですが、一般的に種が少ないものや、形がいびつなものは辛い可能性が高いと言われることがあります。こればかりは運試しの要素もありますね。
青唐辛子を触ったら手が痛いです。どうすればいいですか?
A. カプサイシンは油に溶けやすい性質があります。すぐに石鹸や食器用洗剤で洗うか、食用油(オリーブオイルなど)を手になじませてから洗い流してみてください。次回からは手袋を着用するのが一番ですよ。
まとめ|ししとうと青唐辛子 目的別の選び方
ししとうと青唐辛子の違い、スッキリ整理できたでしょうか。
最後に、目的別にどちらを選ぶべきかをまとめます。
【ししとうを選ぶべき時】
- 野菜(具材)として、焼いたり揚げたりして食べたい時
- ピーマンに似た、ほのかな苦みと加熱した時の甘みを楽しみたい時
- チンジャオロースや煮浸しなどの和食・中華の具材として使いたい時
【青唐辛子を選ぶべき時】
- 料理に刺激的な「辛み」を加えたい時
- 香辛料・薬味として使いたい時(刻んで使用)
- 柚子こしょうや辛味オイルなど、調味料の材料にしたい時
「具材か、薬味か」という視点で使い分ければ、もう間違うことはありませんね。
食材・素材の違いについてさらに詳しく知りたい方は、ぜひ野菜・果物の違いカテゴリトップもご覧ください。