スーパーで「新生姜」と「生姜」、どちらも見かけるけれど、どう使い分ければいいか迷ったことはありませんか?
お寿司屋さんの「ガリ」は新生姜で作りますが、煮魚に使うのはいつもの生姜ですよね。
実は、「新生姜」と私たちが呼ぶ「生姜(ひね生姜)」は、同じ植物から収穫されるタイミングと、その後の処理が違うだけなんです。
最大の違いは、新生姜が「早採りでみずみずしく、辛味が穏やか」なのに対し、生姜(ひね生姜)は「貯蔵して水分を抜き、辛味と香りを凝縮」させている点にあります。
この記事では、新生姜と生姜(ひね生姜)の根本的な違いから、栄養価、辛味の違い、そして料理での最適な使い分け、保存方法まで詳しく比較解説します。
それぞれの個性を理解して、料理の風味を最大限に引き出しましょう。
結論|新生姜と生姜の違いとは?
新生姜と生姜(ひね生姜)は、同じショウガ科の植物の「根茎」であり、収穫時期と貯蔵期間が異なるものを指します。「新生姜」は初夏に収穫され、貯蔵せずすぐに出荷されるため、白っぽくみずみずしく、辛味が穏やかです。一方、「生姜(ひね生姜)」は、新生姜を2ヶ月以上貯蔵・乾燥させたもので、皮が濃い褐色になり、繊維質で辛味と香りが非常に強いのが特徴です。
薬味や香味野菜として欠かせない「生姜」。私たちが一年中スーパーで見かける濃い茶色の生姜は、専門的には「ひね生姜」と呼ばれます。
そして、初夏になると出回る白っぽい「新生姜」。この二つの関係性を、まずは一覧表で比較してみましょう。
| 項目 | 新生姜(しんしょうが) | 生姜(ひね生姜) |
|---|---|---|
| 分類 | ショウガ科(早採り・未貯蔵) | ショウガ科(完熟・貯蔵品) |
| 別名 | 新ショウガ、谷中生姜(葉付きのもの) | ひね生姜、古根生姜(こねしょうが) |
| 収穫時期 | 初夏〜夏(6月〜8月頃) | 秋(10月〜11月頃) |
| 旬・出荷時期 | 初夏〜夏(収穫後すぐ出荷) | 通年(貯蔵して順次出荷) |
| 見た目 | 全体に白っぽく、皮が薄い。茎の付け根が赤み(ピンク色)を帯びている。 | 濃い褐色。皮が硬く、ゴツゴツしている。 |
| 味・辛味 | 水分が多く、辛味が穏やかで爽やか。 | 水分が少なく、辛味と香りが非常に強い。 |
| 食感 | シャキシャキしてみずみずしい。繊維が柔らかい。 | 繊維質で硬い。 |
| 主な用途 | 生食(ガリ、甘酢漬け、千切り、薬味、サラダ) | 加熱・香味野菜(炒め物、煮魚、生姜湯、すりおろし薬味) |
「新生姜」と「生姜」は収穫時期と貯蔵期間が違う
新生姜は、秋に収穫する生姜を早い時期(初夏)に収穫したものです。一方、生姜(ひね生姜)は、秋に収穫した新生姜を、温度・湿度が管理された貯蔵庫で2ヶ月以上寝かせ、皮がアメ色になるまで乾燥・熟成させたものを指します。
この二つの違いは、シンプルに「収穫タイミング」と「収穫後の処理」の違いです。
新生姜(しんしょうが)とは?
新生姜は、秋に本格的な収穫を迎える前の、早い時期(初夏〜夏)に収穫(早採り)された生姜のことです。
収穫したてのものを、貯蔵・乾燥させずにすぐに出荷します。そのため、皮が非常に薄く、白っぽく、水分を豊富に含んでいます。
茎の付け根に近い部分は、光に当たることで「アントシアニン」という色素が生成され、きれいな赤み(ピンク色)を帯びているのが特徴です。この赤みが、甘酢漬け(ガリ)をほんのりピンク色に染めます。
また、葉が付いたまま出荷される「葉生姜」や「谷中生姜(やなかしょうが)」も、新生姜の一種です。
生姜(ひね生姜)とは?
私たちが一般的に「生姜」と呼んでいるのは、専門的には「ひね生姜(ひねしょうが)」または「古根生姜(こねしょうが)」と呼ばれます。
これは、初夏に収穫した新生姜をそのまま植え続け、秋(10月〜11月頃)になって根茎が十分に肥大化してから収穫したものです。
さらに、収穫後すぐに出荷するのではなく、温度と湿度が管理された貯蔵庫で2ヶ月以上寝かせる「貯蔵・乾燥」の工程を経ます。この「ひねる(古くなる)」という過程で、水分が適度に抜け、皮が濃い褐色になり、辛味と香りが凝縮されます。
通年流通しているのは、この貯蔵された「ひね生姜」なんですね。
見た目・味・辛味・食感の決定的な違い
新生姜は白っぽく皮が薄く、食感はシャキシャキと瑞々しいです。辛味は非常に穏やか。一方、ひね生姜は皮が濃い褐色で硬く、食感は繊維質でゴリゴリしています。辛味と香りは非常に強く、刺激的です。
貯蔵と乾燥のプロセスを経るかどうかで、見た目から味わいまで全てが異なります。
見た目(色と皮)
店頭で見分けるのは非常に簡単です。
新生姜は、全体が白っぽく、皮が薄くて滑らかです。スプーンでこそげるだけで皮がむけるほどです。茎の付け根部分が鮮やかな赤(ピンク)色をしているのが最大の特徴です。
生姜(ひね生姜)は、濃い褐色(土色)をしており、皮は厚く、ゴツゴツとしています。表面にはシワが寄り、乾燥しているのが分かります。
味と辛味の違い
新生姜とひね生姜の最も大きな違いが「辛味」です。
新生姜は、水分量が非常に多いため、辛味が穏やかで、爽やかな香りが特徴です。辛味の中にもほんのりとした甘みを感じられます。
生姜(ひね生姜)は、貯蔵・乾燥によって水分が飛び、成分が凝縮されています。そのため、辛味と香りが非常に強く、刺激的です。少量すりおろすだけで、料理全体に強烈な風味を与えます。
食感の違い
食感も対照的です。
新生姜は、繊維がまだ柔らかく、水分が豊富なので、シャキシャキ、サクサクとした瑞々しい歯ごたえが楽しめます。
生姜(ひね生姜)は、繊維が発達して硬くなっており、ゴリゴリ、ガリガリとした食感です。すりおろしても繊維が残ります。
新生姜と生姜の栄養と成分の違い
辛味成分「ジンゲロール」はどちらにも含まれますが、生姜(ひね生姜)は貯蔵や加熱によって「ショウガオール」という成分が増加します。ショウガオールは体を芯から温める効果がより強いとされています。新生姜は水分が多い分、カロリーはひね生姜より低めです。
同じ植物ですが、収穫時期と貯蔵期間の違いは、含まれる成分にも影響を与えます。
共通する辛味・香り成分(ジンゲロール・ショウガオール)
生姜の健康効果の源泉である辛味成分は、主に以下の二つです。
- ジンゲロール:生の生姜に最も多く含まれる辛味成分。強い殺菌作用や、吐き気を抑える作用、血行促進作用(手足の末端を温める)があるとされます。
- ショウガオール:ジンゲロールが貯蔵(乾燥)や加熱によって変化して生成される成分。胃腸を刺激して血流を高め、体を芯から温める効果がジンゲロールよりも強いと言われています。
新生姜は、生のまますぐ出荷されるため、ジンゲロールが主体の味わいです。
生姜(ひね生姜)は、貯蔵プロセスを経ることでショウガオールの割合が増加しています。さらに加熱調理(生姜湯や炒め物)に使うことで、よりショウガオールの効果が期待できます。
水分量とカロリー
文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)」によると、「しょうが(新しょうが、生)」と「しょうが(根茎、生=ひね生姜)」の100gあたりの成分は異なります。
- 新生姜:水分 92.2g / カロリー 28kcal
- 生姜(ひね生姜):水分 89.7g / カロリー 38kcal
新生姜の方が水分が多く、その分わずかに低カロリーです。ただし、ひね生姜も十分低カロリーな食材と言えますね。
料理での使い分け(新生姜 vs ひね生姜)
使い分けは簡単です。新生姜は、穏やかな辛味とシャキシャキした食感を活かし、「生食」や「漬物」(ガリ、甘酢漬け、千切り薬味)に最適です。生姜(ひね生姜)は、強い辛味と香りを活かし、「加熱調理」や「香味野菜」(炒め物、煮魚の臭み消し、生姜湯、すりおろし薬味)に最も向いています。
それぞれの特徴を活かせば、料理での使い分けに迷うことはありません。
新生姜のおすすめの食べ方(生食・薬味)
キーワードは「瑞々しさ」と「穏やかな辛味」です。
- 甘酢漬け(ガリ):新生姜の代表的な食べ方。薄くスライスして甘酢に漬けます。茎の付け根の赤みで、自然なピンク色に染まります。
- 千切り・みじん切り(薬味):冷奴、そうめん、カツオのたたきなどに添えると、爽やかな香りと食感がアクセントになります。
- サラダ・和え物:薄切りにしてキュウリやツナと和えたり、サラダのトッピングにしたり。
- 紅生姜:新生姜を梅酢に漬けたものです。
生姜(ひね生姜)のおすすめの食べ方(加熱・香味野菜)
キーワードは「強い辛味」と「香り」です。
- すりおろし(薬味):冷奴、そうめん、お寿司、天つゆなど、少量でピリッとした辛味を加えたい時に使います。
- 炒め物:生姜焼き、野菜炒めなど。油で加熱することで香りが引き立ちます。
- 煮物・汁物:煮魚(臭み消し)、豚の角煮、スープ、生姜湯など。加熱することで体を温めるショウガオールが働きます。
- 下ごしらえ:肉や魚の臭み消しとして、漬け込みダレに使います。
【NG例】ひね生姜でガリを作ろうとすると、繊維が硬すぎてシャキシャキ感がなく、辛味が強すぎて食べにくい仕上がりになってしまいます。
旬・価格・正しい保存方法の違い
新生姜の旬は初夏〜夏で、価格はひね生姜より高めです。水分が多いため傷みやすく、冷蔵保存が必須です。一方、ひね生姜は貯蔵品のため通年流通し、価格は安定して安価です。乾燥に強いため、新聞紙などに包んで冷暗所(常温)で保存できます。
旬の時期と主な産地
新生姜の旬は、収穫時期である初夏から夏(6月〜8月頃)です。この時期にしか出回らない、季節感のある食材です。
生姜(ひね生姜)は、秋に収穫されたものが貯蔵され、一年中出荷されるため、通年流通しています。
主な産地は、どちらも高知県、熊本県、千葉県、和歌山県などです。
価格の傾向
一般的に、旬の時期が短く、みずみずしさを保ったまま流通させる必要がある「新生姜」の方が、「ひね生姜」よりも価格は高めの傾向があります。
ひね生姜は貯蔵が効き、通年安定して供給されるため、価格も比較的安定しています。
正しい保存方法
水分量が違うため、保存方法も異なります。
- 新生姜:水分が多く、乾燥と低温に弱いです。キッチンペーパーなどで包んでポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存します。傷みやすいため、1〜2週間程度で使い切りましょう。甘酢漬けにすれば長期保存が可能です。
- 生姜(ひね生姜):貯蔵品であるため、保存性が高いです。新聞紙やキッチンペーパーに包み、風通しの良い冷暗所(13〜15℃程度)で常温保存します。冷蔵庫に入れると低温障害を起こしやすいため、カットした使いかけのもの以外は常温が適しています。
体験談|甘酢漬け(ガリ)作りで違いを実感
僕がお寿司屋さんの「ガリ」が大好きで、家で大量に作ってみようと思った時の話です。
当時は新生姜と生姜の違いを全く知らず、いつも冷蔵庫にあるゴツゴツした「ひね生姜」をスライサーで薄切りにして、甘酢に漬け込みました。
ワクワクして一晩待って食べてみたのですが…。
「辛い!硬い!色も茶色い!」
僕の知っているガリとは似ても似つかない、ただただ辛くて繊維質な「生姜の甘酢漬け」が出来上がってしまったんです。シャキシャキ感は皆無で、辛すぎてとても食べられませんでした。
後日、母にその話をしたら「ガリは新生姜で作るのよ」と笑われました。
初夏になってスーパーに並んだ、白くてみずみずしい「新生姜」でリベンジしました。皮をスプーンでこそげ取り、薄切りにしてさっと湯通し。甘酢に漬けると、茎の付け根の赤い色素がじわーっと溶け出して、全体が美しいピンク色に染まっていくではありませんか。
食べてみると、シャキシャキとした軽い歯ごたえと、ツンとこない爽やかな辛味。これぞ僕が求めていたガリでした。
この失敗から、生食や漬物には新生姜、薬味や加熱にはひね生姜、という明確な使い分けを身をもって学びましたね。
新生姜と生姜に関するFAQ(よくある質問)
新生姜と生姜の違いについて、よくある疑問をまとめました。
新生姜は生姜(ひね生姜)で代用できますか?
用途によりますね。
ガリ(甘酢漬け)やサラダなど、新生姜の瑞々しさや穏やかな辛味を活かす料理は代用が難しいです。辛味と繊維が強すぎるため、全く別の仕上がりになってしまいます。
一方、炒め物や煮込み料理で「少量」使う分には代用可能ですが、新生姜を使った時のような爽やかな風味にはなりません。
新生姜の根元の赤い部分は食べられますか?
はい、もちろん食べられます。
あの赤い(ピンク色の)部分は、汚れや傷みではなく、「アントシアニン」というポリフェノールの一種です。日光に当たることで発色します。毒性はなく、むしろ甘酢漬け(ガリ)をきれいなピンク色に染める役割を果たしてくれますよ。
「ひね生姜」とは何ですか?
「ひね生姜(ひねしょうが)」とは、私たちが一年中スーパーなどで見かける、皮が濃い褐色の一般的な生姜のことです。
「新生姜」と区別するために使われる呼び名で、「ひねる(古くなる・時間が経つ)」という意味から、収穫後に長期間(2ヶ月以上)貯蔵・熟成させた生姜を指します。「古根生姜(こねしょうが)」とも呼ばれます。
まとめ|みずみずしい「新生姜」、辛味の「生姜」
「新生姜」と「生姜(ひね生姜)」の違い、これでスッキリしましたね。
どちらも同じ植物でありながら、収穫時期と貯蔵という一手間によって、全く異なる個性を持つ食材に生まれ変わります。
- 新生姜:初夏が旬の早採り・未貯蔵品。白っぽく瑞々しく、辛味は穏やか。生食(ガリ、サラダ、薬味)に最適。
- 生姜(ひね生姜):通年流通する完熟・貯蔵品。褐色で繊維質、辛味と香りが強い。加熱(炒め物、煮物)やすりおろし薬味に最適。
生姜は古くから日本の食文化に欠かせない食材です。
季節を感じる「新生姜」と、通年で料理を引き締める「ひね生姜」。それぞれの魅力を理解して、日々の料理に賢く使い分けてみてください。
食の世界には、このように似ているようで異なる野菜・果物の違いがたくさんあります。それぞれの個性を知って、日々の食卓をもっと楽しんでいきましょう。